『アルルカンと道化師』半沢の運命を変える絵画の秘密!あらすじをネタバレ

更新:2021.1.28

「半沢直樹」シリーズ最新作の『アルルカンと道化師』。若い頃の半沢直樹「ヤング半沢」が会社の買収を巡って、ある絵画の謎を探偵のように解き明かします。 この記事では気になるあらすじを紹介するとともに、小説内に登場する絵画「アルルカンとピエロ」の謎をネタバレします。お馴染みのセリフ「倍返し」も再び登場しますよ。

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「半沢直樹」シリーズ最新作『アルルカンと道化師』とは

2013年に続き、2020年に放送されたテレビドラマも大流行し、作中のセリフもおなじみとなった「半沢直樹」シリーズ。最新作の『アルルカンと道化師』の舞台は、シリーズ第1作目の『オレたちバブル入行期』以前に遡ります。

半沢が東京中央銀行大阪西店の副融資課長に就任して間もない頃。ある美術系出版社の買収案件が持ち込まれます。大手IT企業がその会社を買収したいという裏側には、絵画「アルルカンとピエロ」が関わっていました。半沢はこの絵の謎を解き明かし、買収の裏に隠されていた真実を暴きます。

見所は半沢がいつものように銀行や企業の悪に立ち向かうだけではありません。買収の理由に関する1枚の絵画の秘密を追う、ミステリーのような緊迫感があります。最新作の『アルルカンと道化師』は、半沢ファンでも初めて読む方でも楽しむことができますよ。

『アルルカンと道化師』の登場人物をお馴染みのあの人からキーパーソンまで紹介

テレビドラマでもお馴染みの人物も多数登場する『アルルカンと道化師』。複雑な関係性に重点を置いて、登場人物を紹介します。

銀行員の半沢直樹は、「バンカーの鏡」といえる誠実で熱い男性です。『アルルカンと道化師』は東京中央銀行大阪西支店が舞台。若き半沢が融資課長として勤務しています。支店長の浅野匡は着任して3か月。偉そうにする割には嫌な仕事を部下に押し付ける厄介者です。人相の悪い副支店長・江島浩はその浅野を慎重に扱っています。

半沢は、大阪営業本部調査役の伴野篤から聞いた企業買収案件に関わることに。IT企業のジャッカルの田沼時矢は、社長・仙波友之が経営する仙波工藝社を買収したいとのこと。田沼社長は、仙波工藝社と所縁のある画家・仁科譲の作品を好んでいました。会社を守りたい仙波社長に向けて、半沢は仙波工藝社の融資を計画。仙波家と古き付き合いのある堂島家の資産家・堂島政子に担保の協力を依頼します。この仙波家と堂島家は商いの仲間でもあり、親戚でもありました。

しかし、この融資計画は宝田信介部長や和泉康二副部長ら率いる業務統括部が圧をかけているのか、なかなか進みません。半沢の同期で長らくの仲間でもある渡真利忍(ドラマでは及川光博が演じました)や、部下の中西英治とともに最良の道を探します。

著者
池井戸 潤
出版日

半沢が大きな敵をやりこめていく……だけじゃない!『アルルカンと道化師』のあらすじ 

東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにある企業売買の案件がやって来ます。それは大阪の老舗美術系出版社・仙波工藝社に関わるものでした。乗り気のない社長・仙波友之のために半沢は融資を計画します。しかし支店長の浅野や営業本部などの上司たちは融資をなんとか阻止しようとする様子。

そこで古き縁のある資産家・堂島政子に担保の協力を依頼します。断り続けられるも、政子の亡き夫の手紙によると、「仙波工藝社には宝が眠っている」とありました。それは仙波工藝社の地下に眠る落書きのことでした。絵画「アルルカンとピエロ」で有名な画家の仁科譲が描いたそう。価値は10億にも及ぶ、まさに夢のようなお宝だったのです。

しかし、大手IT企業・ジャッカルが仙波工藝社を買収したい訳は、別にありました。そして半沢の融資計画を邪魔する人間の正体も明らかになっていきます。

物語の鍵となる絵画「アルルカンとピエロ」。隠された秘密と芸術家の葛藤【ネタバレ注意】

そもそも「アルルカン」とはイタリア喜劇のキャラクターです。「ピエロ」の純粋さとは正反対にずる賢い性格の持ち主。実際に歴史上の様々な絵画に描かれています。ここではストーリーの鍵となる絵画について、ネタバレありでその秘密を紹介していきますので、未読の方はご注意ください。

半沢が計画する融資を認めてもらうための、最大の鍵となる絵画「アルルカンとピエロ」。その絵画は画家・仁科譲の代表作でした。

半沢が仙波工藝社で見た「アルルカンとピエロ」。実は故人の仁科譲の盗作だったのです。もとは友人・佐伯陽彦が生み出したもの。ことは2人が仙波工藝社で出会ったときから始まります。佐伯は画家を志していましたが、病気がちで夢も叶わず仕舞い。パリでの修行中に大成できず途方にくれていた仁科は、佐伯の無念も汲み取って、思わず模倣に至ってしまったのです。

時が経ち、半沢は佐伯の実家のギャラリーで、「アルルカンとピエロ」とそっくりな絵画を見つけます。そこで本物だと思われていた絵画が盗作だった事実に辿り着きます。「アルルカンとピエロ」には、他人には図り得ない2人の深い友情が関与していました。

模倣と盗作に境界線を引くことは、時には非常に難しいもの。『アルルカンと道化師』は、芸術の在り方についても語られている奥が深い小説です

実は渡真利忍が主役のスピンオフだった⁉『アルルカンと道化師』既存の「半沢直樹」シリーズとの違い【ネタバレ注意】

小説もテレビドラマも、銀行の年功序列や縦社会の中でくり広げるバンカー・半沢の一発逆転劇が魅力的。企業のために銀行の悪に立ち向かう熱い半沢の姿は、幅広い世代から愛されています。小説『アルルカンと道化師』では、さらに一味違う見所があります。

まずは芸術作品に秘められた謎を解き明かす、探偵のような半沢の姿が見られること。ミステリーが好きな方や芸術に興味のある方にも読んでもらえる小説です。

さらに画家・仁科譲と友人・佐伯陽彦の深い友情。それは小説中に登場する絵画の秘密からも見受けられます。そして注目すべきは2人の書簡のやり取りです。

たとえば、仁科譲が盗作を手紙で告白した際に、佐伯陽彦が返事として送った言葉がこちら。

「よかったですね、譲兄。ほんとに、よかった。」
(『アルルカンの道化師』より引用)

自分が病気で絵が描けず苦しむなか、代わりに自分の作品を世に送り出してくれたことに陽彦は怒るどころか感謝するのです。また、尊敬する仁科譲の成功に心から喜んでいることを感じ取れます。

もうこの世にはいない2人の心のこもった手紙は、文字で読むからこそのもの。最新作でしか読めない人情味溢れるシーンです。

作者の池井戸潤が語るには、なんと本作は半沢の盟友である渡真利忍を主役にしたスピンオフ作品として生み出されたのだとか。途中まで書くも納得がいかず、半沢を主人公に戻して書き直したそう。どおりで、既存のシリーズとはまったく違う魅力のある作品に仕上がったわけですね。

テレビで半沢直樹が再び見られるのか?『アルルカンと道化師』ドラマ化の可能性を推測

テレビドラマ『半沢直樹』は2020年に最終回視聴率44%の大ヒット作。池井戸潤による原作小説をもとに、大物俳優たちがくり広げる渾身の演技や予測不能な物語の展開が視聴者を夢中にさせました。そして2020年9月の放送終了後、またの続編を期待する声が多く挙がっています。『アルルカンと道化師』のドラマ化は実現可能なのでしょうか?

ドラマ化を予測すると、大きな問題として時系列の問題があります。『アルルカンと道化師』はヤング半沢の物語です。テレビドラマ第一弾の過去になってしまいます。キャストの年齢を考えると、小説そのままの設定では難しいでしょう。

突破口としては、時代背景や物語の舞台を変えてしまう方法があると考えられます。ストーリーの展開やオチを改めず、キャラクターの設定をドラマオリジナルに。もしかしたらあらゆる可能性を探って、再びテレビに半沢直樹が戻ってくかもしれません。

池井戸潤の作家人生を代表作とともに紐解く!『銀翼のイカロス』の続きも⁉

「半沢直樹」を生み出した小説家・池井戸潤。最後に、小学生から80代のご年配の方まで幅広い読者を持つという彼の人生や代表作を紐解いてみましょう。

池井戸潤は1998年に『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞。同時に作家デビューを果たします。今やエンタメ作家で有名な彼ですが、ミステリー作品も多く執筆していました。『シャイロックの子供たち』『空飛ぶタイヤ』などの執筆で作風の変化が訪れます。

その後、2004年に「花咲舞」シリーズ「半沢直樹」シリーズが世に送り出されました。テレビを見て原作を読んでみたいと思う方も多くいるはずです。『陸王』『ノーサイド・ゲーム』なども、テレビドラマと原作の両方で大好評でした。

池井戸潤は執筆の際に、作品中のキャラクターに丹精を込めているそうです。生き生きとした描写に加えて、登場人物の心に宿る情熱や懸命に人生を歩む姿が読者を惹きつけている理由なのではないでしょうか。

「半沢直樹」シリーズのファンとしては、テレビドラマで実写化された『銀翼のイカロス』の時系列順の続きが気になるところ。池井戸潤は「書いていくつもりはもちろんあるものの、自分のなかで興味が持てる題材を探している段階」と語っています。2021年1月現在57歳の作者が、まだまだ果敢に挑戦していく様子に期待大。巨大な敵に立ち向かう半沢直樹を、これからも応援したいですね。

著者
池井戸 潤
出版日
2016-07-08

まとめ

『アルルカンと道化師』は若き時代の「半沢直樹」の活躍が見られます。常に企業を救うために奮闘する姿は変わっていません。

絵画の秘密を解き明かす半沢とともに、銀行の闇と戦ってみませんか?池井戸潤の「半沢直樹」シリーズ最新作を、ぜひ手にとってご覧ください。

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