丸善丸の内本店の「〈ウクライナ情勢〉を読む」フェア/書店のフェアに会いに行こう【第2回】

更新:2022.5.24

本屋さんに立ち寄ると、目当ての本を見る前に開催中のフェアをついチェックしたくなりますよね。そんな書店オリジナルのフェアを紹介する「書店のフェアに会いに行こう」。連載2回目は、「〈ウクライナ情勢〉を読む」をテーマに約300冊もの書籍を集約した丸善丸の内本店を紹介します。

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知りたい、がここにある。「〈ウクライナ情勢〉を読む」フェアをご紹介

お客様の反響から生まれた「〈ウクライナ情勢〉を読む」フェア

 

このフェアが生まれたきっかけは2月下旬頃、ある書籍に需要が殺到したこと。元駐ウクライナ大使の黒川祐次による歴史書『物語ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』(中公新書)や、コメンテーターとしても活躍する小泉悠の『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書)といった書籍です。ロシア軍によるウクライナ侵攻の影響を受け、大きな注目を集めました。

 

丸善丸の内本店で売り場を管理する副店長の友田健吾さんは、「ネットやテレビよりも正確な情報をお客様が求めていると感じた」と言います。

ウクライナ関連のコーナーは、ほかの書店でも展開しているでしょう。しかし顧客層のコアをビジネスパーソンが占めるこの書店でコーナーを設けることに、「あらためて意義があるのでは」と考えました。

そこで急遽、ウクライナやロシアに関連する書籍を集約してフェアを開設。3月中旬からミニコーナーを設置したのち、3月末からは「〈ウクライナ情勢〉を読む」と題して3階ミュージアムゾーンにて展開しています。

と言ってもまだ新刊はほとんどありません。政治に関してはここ5年から10年を振り返って解説するような著作を中心に取り揃えました。また今までカテゴリー分けのキーワードに存在していなかった「プーチン大統領」という名詞。需要を見込み、出版社に問い合わせるなどして関連書籍を集めました。

 

お客様の関心は、侵略の背景といった政治分野にとどまりません。ウクライナのガイドブック、言語や食文化についての書籍も大きな反響をいただいたそうです。

「ウクライナ」という国名はなんとなく知っていても、詳しくは知らないという方も多かったのでしょう。「そもそもウクライナとはどのような国なのか」を知ることができる、歴史や民俗文化に関する書籍もこのフェアの1つの軸となっています。

2022年4月現在、おおよそ300タイトルもの関連書籍が一角に陳列されています。東欧各国の歴史、文化……とキーワードに沿ってカテゴリー分けがなされているので、自分の関心に合わせて選ぶことができるでしょう。

 

コミックに、絵本に、幅広く。丸善丸の内本店だけの見どころ

先に挙げたような歴史書は今年のベストセラーにもなっており、ウクライナ情勢関連のコーナー自体は珍しくないと思うかもしれません。このフェアの最大の見どころは、幅広いジャンルの書籍からの選書です。4フロアもの売り場を誇る、丸善丸の内本店ならでは。

たとえば「歴史書は難しくてハードルが高い」という方には、コミックもおすすめ。1つ目は、ソ連軍に従事した女性兵の過酷さを描いた同名書籍のコミカライズである『戦争は女の顔をしていない』。そして、主人公が世界各国の地政学の知識を活かして様々な紛争を解決していく漫画『紛争でしたら八田まで』。特に2、3巻はウクライナが舞台のエピソードが収録されており、情勢がよくわかるとして話題を呼んでいます。

 

また、ウクライナの地政学については児童書ジャンルからのラインナップも。そのほかウクライナの絵本など、子どもから大人まで理解を深められる書籍が大集結しています。

 

フェアは2022年5月末頃まで3階ミュージアムゾーンにて展開予定とのこと。5月以降も、切り口を変えていずれかの売り場には引き続き展開する予定もあるそうです。

最新の売り場の情報は、丸善丸の内本店の公式Twitterでも見ることができます。

 

ビジネスマンに「一歩先」の価値観を!丸善丸の内本店の魅力

丸善丸の内本店のご案内

1階から4階まで、なんと言ってもその充実した品揃えが魅力の丸善丸の内本店。1階から3階までは和書、4階は洋書、文具や雑貨の売り場となっているほか、メガネサロンや時計売り場、そしてギャラリーやカフェも併設しています。

本好きにとっては、間違いなく「どれだけ滞在しても時間が足りない!」と感じる本屋さん。そして本以外にも、きっと興味のあるものが見つかるエンターテイメント施設です。

東京駅からすぐ、という立地も書店を特徴付けています。店舗の周囲には様々な企業がオフィスを構えており、日本の中心都市で新しいモノやサービスを生み出すビジネスマンが仕事の合間に多く来店。彼らに「一歩先のものの見方」を提案するのも、丸善丸の内本店が担う役割なのです。

もちろん乗り換えのついでに気軽に立ち寄る方や、休日にふらっと遊びに来る方にも幅広く楽しんでいただける書店です。時勢に合わせてこまめに配置替えされる売り場を訪れれば、今あなたが読むべき「必要な言葉」をきっと見つけることができるでしょう。

住所:東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ1階~4階

営業時間:9:00~21:00

最新の情報は、公式サイトをご覧ください。

honto店舗情報 - 丸の内本店:丸善 - 店舗詳細

フェア担当書店員・友田健吾副店長からのメッセージ

1869年の創業以来、歴史ある丸善という書店には書店自体のファンの方も少なくありません。そんな丸善ファンの方も満足いただけるような企画を日々考えながら営業しています。

本が好きな方はもちろん、本以外の文化に興味がある方も1階から4階までゆっくりご覧いただける店舗です。日本に留まらず、世界中の様々な事柄についての書籍を取り揃えています。気になるものがあれば、ぜひスタッフにお声がけください。

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「〈ウクライナ情勢〉を読む」フェアにも関連する内容のオンライントークイベントを開催します。

小泉悠先生『ロシア点描』刊行記念 オンライントーク

開催日時:2022年05月21日(土) 11:00~12:30

ロシア、ウクライナの情勢についての解説はもちろん、日本への影響や今後の行方について、さらには書籍に掲載しきれなかったこぼれ話も著者自らトークする予定です。

興味を持った方は、イベントの公式ページから視聴チケットを購入できます。本と合わせて、知識欲に応えてくれるイベントに参加してみませんか。

ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔

2022/4/19
小泉 悠
PHP研究所

この本を読んでみたい方は、こちらから。

 

ここからは「〈ウクライナ情勢〉を読む」フェアで集約した本の中から、厳選5冊をご紹介。友田健吾副店長に特におすすめの書籍をお伺いしました。

おすすめフェア本①『ウクライナ・ファンブック 東スラヴの源泉・中東欧の穴場国』

ウクライナ・ファンブック 東スラヴの源泉・中東欧の穴場国

2020/02/10
平野 高志 (著)
パブリブ

この本を読んでみたい方は、こちらから。

 

おすすめフェア本②『ポーランド・ウクライナ・バルト史』

ポーランド・ウクライナ・バルト史

1998.12
伊東 孝之 (編),井内 敏夫 (編),中井 和夫 (編)
山川出版社

こちらの本を読んでみたい方は、こちらから。

 

おすすめフェア本③『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』

ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔

2022/04/20
小泉 悠 (著)
PHP研究所

こちらの本を読んでみたい方は、こちらから。

 

おすすめフェア本④『ロシアについて 北方の原形』

ロシアについて 北方の原形

1989/06/10
司馬 遼太郎 (著)
文芸春秋

こちらの本を読んでみたい方は、こちらから。

 

おすすめフェア本⑤『新しい世界の資源地図 エネルギー・気候変動・国家の衝突』

新しい世界の資源地図 エネルギー・気候変動・国家の衝突

2022/01/28
ダニエル・ヤーギン (著),黒輪 篤嗣 (訳)
東洋経済新報社

こちらの本を読んでみたい方は、こちらから。


取材をさせていただいた友田健吾副店長、ご協力ありがとうございました!あなたの「知りたい」に応える本に、出会いに行ってみてはいかがでしょうか。

ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。

次回はどんなフェアか、お楽しみに!

この記事が含まれる特集

  • 本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~

    ホンシェルジュでは書店オリジナルのフェアを「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名。 本屋さんへの取材を通してフェアのテーマや選書を紹介、アーカイブ化する特集です。 ぜひお気に入りの本屋さんを見つけてください。

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