「英語はツール、成果がゴール」——人気ビジネス英語コーチ・伊藤日加が語る“仕事に効く”英語術

更新:2025.5.22

英語は目的ではなく、成果を出すためのツール——そう語るのは、カナダ育ちの人気ビジネス英語コーチ・伊藤日加さん。著書『ビジネス英会話のコツ96』の魅力と、シンプルで伝わる“仕事に効く”英語術について、本人へのインタビューで深掘りしました。

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著者
伊藤日加
出版日

まずは著者である伊藤日加さんについてお伺いいたします。

ーー海外での生活経験について教えてください。

両親は日本人で、私はカナダで生まれ育ちました。“日加”という名前の由来はそこにあります。家庭では日本語が中心で、日本の文化に触れる機会が多かったです。父はシャイな性格で、あまり多くを語らない人でしたが、英字新聞を読んでいました。一方で、母は積極的にコミュニケーションを取る人で、ブロークンな英語でお客様と接していました。

ーー現在のお仕事の背景として、家族の影響や二つの文化を行き来する中での経験が深く関わっているのですね。

はい。そのような経験から、英語力を高めるためには文法やスキルの学習も大切ですが、それ以上にマインドセットが重要だと考えるようになりました。

ーー英語を教えるお仕事について、どのように始められたのですか?

実は、もともと英語教師になるつもりは全くありませんでした。来日して間もない頃、友人に勧められてベルリッツでアルバイト講師を始めたのがきっかけです。短期間のつもりが、気がつけばベルリッツで15年間勤務し、人気講師として高い評価をいただくとともに、商品開発マネージャーも務めました。その後も英語コーチとしての活動を続け、現在まででキャリアは29年目を迎えています。

その後、同僚と共にビジネス特化型オンライン英会話サービス「Bizmates(ビズメイツ)」を立ち上げました。このプログラムは単に英語力を上げるのではなく、「ビジネスで成果を出すための5つの素養」を高めることを目的としています。

ーーYouTubeでの活動について教えてください。

仕事で英語を使いたい英語学習者向けに、初心者から楽しめる動画コンテンツを配信しています。受講生の質問に答えるディスカッション形式の動画や、受講生をゲストに招いたインタビュー形式のコンテンツを制作しています。これらを通じて、視聴者が共感し、自信を持てるようサポートしています。

書籍を読んで興味をもってもらい、YouTubeでさらに英語にふれる。そしてオンラインレッスンを受講する。そのようなきっかけのひとつになると嬉しいです。

ここからは書籍『ビジネス英会話のコツ96』についてお伺いいたします。

ーー書籍の対象読者とその特徴について教えてください。

主に仕事で英語が必要な方を対象としています。具体的なシチュエーションを想定して、メール、プレゼン、ランチタイムの会話など実践的な場面で役立つ内容を盛り込んでいます。

例えば、“Why are you late?”の代わりに“Is everything OK?”と相手を気遣いながら尋ねることで、信頼関係を築くことができます。

ーー“Why are you late?”はどこがいけないのでしょうか。

実は、相手を責めるような強い言い方なんですね。

ーーなるほど。

このように「シンプル」で「丁寧」で「効果的」な英語を、理由と一緒に解説しているので応用もしやすくなっています。

ーーこの本にしかない特徴は何ですか?

本書の特徴はこの3点です。

  1. ビジネス英語を学ぶだけでなく、結果を出せるスキルを養成できること。
  2. 実践的ですぐに仕事で使える内容。
  3. 良い例と悪い例を比較し、なぜ良いのかを深く考えられる構成。

 

ーーシンプルな英語を使うことの重要性について教えてください。

英語を話す人の8割はノンネイティブだと言われており、その中でいかに分かりやすく伝えるかが重要となります。また、シンプルな英語だからこそ、相手への配慮が伝わりやすいんです。お客様や上司への丁寧語にこだわるよりも、関係性を築き、自然なやり取りを意識することが重要だと思います。

例えば、ランチに誘う際には“Have you had lunch yet?(もうお昼を食べましたか?)”と尋ねた後に“We’re heading to a pizza place. Would you like to join us?(これからピザ屋に行くんですけど、よかったら一緒に行きませんか?)”と言うと、自然なコミュニケーションが生まれます。正確な英語にこだわるだけでなく、自分の思いを伝えることが大切だと思います。

ーー書籍を通じてビジネススキルの向上も目指しているように感じますが、意識している点はありますか?

英語はツールであり、それを通じて仕事で結果を出すことが最終ゴールです。伝えたいメッセージに集中したシンプルな英語が、ビジネスの現場で求められています。本書ではそのための学びを提供できるように努めています。

英語を使って結果を出す力を磨くことができる、そんな書籍に仕上がっています。

ーー本書の中から、特におすすめしたい事例を紹介してください。

1つ目は、自己紹介のシーン。誰でも遭遇するシーンですのでしっかり攻略しておきましょう。

 

続いて、メールでのやり取り。「メールに添付ファイルが見当たらない時」という具体的なシチュエーションでも、納得の丁寧なビジネス英語を紹介しています。

 

最後に、チャットで「OK」の意図を伝える場合の例もご紹介します。きちんと時間をかけた分だけ、相手のことを考えたということが伝わるメッセージになります。

 

ーー最後に、伊藤さんから読者の方へ一言お願いいたします。

ビジネス英語を大人になってから学ぶときに「まずは日常英会話からはじめよう」と思う人が多いようです。しかし、日常生活とビジネスシーンではシチュエーションが違い、単語やフレーズもその分違うのでかえって遠回りになってしまいます。

最初からビジネス英語を学ぶほうが、近道です!ぜひ一緒に楽しく、「シンプル」で「丁寧」で「効果的」な英語を身につけませんか。

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