新しく漫画を読んだけど、イマイチだった……。そんな経験はありませんか?毎年宝島社によって発表される年間漫画ランキング、「このマンガがすごい!」には本当に面白い漫画が厳選されています。今回はそのなかのおすすめをランキングでご紹介します。
ゴキブリが脅威の進化を遂げ、強大な軍隊として人類を滅ぼそうと宇宙戦争をしかけてくる……。あまりに斬新なストーリー設定で私たちの話題をさらったのは、2016年4月時点で累計発行部数1600万部を突破しているメガヒット作品『テラフォーマーズ』です。
- 著者
- 橘 賢一
- 出版日
- 2012-04-19
私たちの日常生活でお馴染みの黒い敵。見た目の気持ち悪さと、そのしぶとい生命力に対してぞっとする気持ちは、日本で暮らすほとんどの方が味わったことがあるはず。この作品はそんなゴキブリを巨大な敵対勢力「テラフォーマー」として据え、SFバトル漫画として仕立て上げた傑作です。
舞台は西暦2599年、地球では資源が枯渇し火星移住計画が進行していました。人類は火星を人間の住める環境にするためゴキブリを火星に放ちますが、長い年月をかけゴキブリは「テラフォーマー」という驚異の戦闘力を持つ人型の生物へと異常進化を遂げていたのです。人間は「バグズ手術」によって昆虫人間となり、同じように生物進化を遂げて戦いますが、テラフォーマーの武力は人間の想像を遥かに超えるもので……。
見所はやはり、圧倒的な戦闘力を誇るテラフォーマーズの気持ち悪いビジュアルと、その戦闘シーンでしょう。そしてそのゴキブリ軍に対抗する、「バグズ手術」によって与えられた昆虫の能力を武器に戦う人類側の軍隊もなかなかの気持ち悪さ。同じく大ヒット漫画である諫山創『進撃の巨人』の癖になる気持ち悪さに通ずるところもあると思います。『進撃の巨人』のような気味の悪さが好きな方に特におすすめです!
『テラフォーマーズ』については、<『テラフォーマーズ』20巻までネタバレ考察!ゴキブリ(じょうじ)がすごい>の記事で詳しく紹介しています。気になる方はご覧ください!
2012年にアニメ化&実写映画化もされた大ヒット作。特に映画は、主演を小栗旬と岡田将生が演じたこともあり、大きな話題になりました。この物語は、主人公の南波六太と弟の日々人が幼い頃に「共に宇宙飛行士になろう」と誓い合うところから始まります。
- 著者
- 小山 宙哉
- 出版日
- 2008-03-21
時間は流れ大人になり、夢を叶えて宇宙飛行士となった日々人に対し、兄の六太はサラリーマンになっていたのですがクビになり、鬱々とした日々を過ごしていました。そんなとき日々人の計らいで、宇宙飛行士の選抜試験を受験することになり、幼い頃の夢であった宇宙飛行士をもう一度目指すことを決意するのです。
見所の一つは、リアルとフィクション織り交ぜられた宇宙飛行士選抜試験の様子です。あまり知られていないNASAという場所をうかがい知れる面白いエピソードがたくさんありますよ。作者は実際に連載のためにアメリカへ行ってNASAの取材も行っているというのですから、練られたストーリーの深さ、描写などのリアルさにも納得です。
また、主人公と弟をはじめとした仲間たちとの人間ドラマこそが本作の最大の魅力といえるでしょう。宇宙飛行士になるという並々ならない険しい道のりを、共に助け合いながら歩む仲間との絆。この作品では宇宙やNASAという壮大な舞台ですが、きっと私たち読者もどこか共感できるポイントがあるはず。読後は不思議と明日も頑張ろうと思わせてくれる作品です。
主人公は17歳の女子高生橘あきら。陸上部のエースだった彼女は怪我で引退を余儀なくされ、落ち込む日々を過ごしていましたが、ある日恋に落ちます。お相手は45歳、職業はファミレスの店長、近藤正己。バツイチ、子持ち、後頭部に10円ハゲあり。ファミレスの従業員にもナメられ、いつもお客にペコペコ頭を下げている冴えない男です。
- 著者
- 眉月じゅん
- 出版日
- 2015-01-09
可憐で清純な容姿の主人公とぱっとしない中年男性という異色の組み合わせは、不思議とどんどん惹き込まれていきます。見所は主人公橘あきらの純粋な恋心と、世間体や常識からそれを受け入れられない近藤正己の、なかなか通じ合えないもどかしい恋模様。
クールな美少女でありながら必死に恋心を伝えようとするけなげな少女、あきらの姿には、きっと胸を打たれることでしょう。そして親子ほどの年齢差、相手の高校生という立場、自分には子どもがいるという事実、そういったことからなかなか彼女と向き合えない近藤正己の思いも、理解できるだけに切なくなります。
テーマは恋愛ですが、女性より男性こそ楽しめる本作。恋ってなんだろう、大切なことってなに?そんなことを改めて考えられる物語です。
『恋は雨上がりのように』については、<漫画『恋は雨上がりのように』の魅力を最終回まで全巻ネタバレ紹介!映画化!>の記事で詳しく紹介しています。気になる方はご覧ください!
大ヒット作『DEATH NOTE』の大場つぐみ&小畑健のコンビが送る青春漫画です。主人公の高校生、真城最高はクラスメイトの高木秋人に、コンビを組んで一緒に漫画家を目指そうと持ちかけられるところからストーリーが始まります。
- 著者
- 小畑 健
- 出版日
- 2009-01-05
迷う最高でしたが、クラスのマドンナ亜豆美保と「アニメ化したら結婚する」「それまでは会わずにお互い頑張る」と約束したことから、高木の誘いを受け、本気で漫画家を志すようになるのでした。そうしてふたりは作画担当・真城最高と原作担当・高木秋人として、人生の全てをかけ、売れっ子漫画家を目指していき……。
特筆すべきは、週刊少年ジャンプの名物編集者たちが事実に忠実な描写と実名で登場することなどに代表されるリアルさ。いかに漫画家としてデビューし生計を立てていくのかが、編集部での出来事と共に細かく描かれているので、漫画好きの読者には興味深いシーンが多くあります。読むと夢に向かってひたむきに努力したくなる一冊です。
『バクマン。』については、<漫画『バクマン。』の魅力を徹底考察!【ネタバレ注意】>の記事で詳しく紹介しています。気になる方はご覧ください!
聴覚障害、いじめ……。この難しい問題を、ごまかすことなくまっすぐ向き合って描いた本作『聲の形』は、多くの議論を巻き起こし、映画化もされるなど大ヒットとなりました。主人公は、聴覚障害のためいじめを受ける小学生の硝子と、そのいじめを行った中心人物である同じクラスの将也。彼らが共に成長していく姿が描かれていきます。
- 著者
- 大今 良時
- 出版日
- 2013-11-15
物語は、ある日小学生の将也のクラスに硝子が転校生としてやってくるところから始まります。硝子は耳が聞こえないために授業を止めてしまうことが多く、将也はそんな彼女を面白半分にいじめるようになるのです。
しかしエスカレートしていったいじめは問題を起こし、将也は逆にクラスのいじめの標的になってしまいます。結局ふたりはわかりあえないまま、硝子は転校していきますが、後になって将也はいじめていた硝子だけが自分の味方だったことに気づき、贖罪をするために硝子を探し始め……。
本作の見所は、耳の聞こえない硝子と友情を築いていく人々のやりとりです。硝子と将也は手話や筆談を用いて次第に心を通わせてゆくのです。いじめも、障害を持つ者への冷たい人間の感情も、きっと誰もがどこかで多かれ少なかれ触れたことがあるはず。私たちの日常に確かに存在するこの問題を、読めばきっと考えさせられるでしょう。
『聲の形』については<漫画『聲の形』の魅力をネタバレ徹底考察!伝えたい焦りと伝わらない口惜しさ>の記事で解説しているので、気になる方はご覧ください。
今回はヒューマンドラマからSFバトル漫画まで幅広くご紹介しました。読めば日常を離れて物語に没頭でき、また日々頑張る活力をくれるものばかりです。ぜひ一冊手に取ってみてくださいね。