「タラレバ娘」でも知られる東村アキコが「あなたの生臭いところ、いいかんじに出てるよ」と表現した作品『カカフカカ』。かねてからその作風が人気だった漫画家・石田拓実の魅力が遺憾なく発揮されています。そんな生々しい漫画のあらすじと各巻ごとのリアルさをご紹介!ネタバレ少しあります。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
- 2014-08-12
『カカフカカ』は女性向け漫画雑誌「Kiss」で連載されている作品。それまで石田拓実は少女漫画誌で連載していたことから、描写はある程度マイルドでした。しかし、本作では比較的のびのびと男女のリアルな関係が描かれています。
作者は1巻の巻末時点では、まだその生々しさについて探り探り書いていると語っていました。しかし、徐々にそのバランスをつかんでいったのか、回を追うごとに身体的なつながりや心理的な駆け引きなどはより深みを増していきます。
今回はそんな、回を追うごとにどんどん面白くなる物語『カカフカカ』の各巻のあらすじをご紹介します!
24歳の亜希はフリーター。彼氏に浮気され、同棲した家を離れて友人の紹介でシェアハウスに移り住むことになりますが、なんとそこには中学の同級生、本行が居ました。実は彼は亜希の初めての相手であり、黒歴史を思い出させる存在で……。
主人公の亜希はフリーター。嫌な思い出がある本行が居るシェアハウスに住むことを決めたのも、敷金礼金を払うのがきついから。背に腹は変えられないという切実なきっかけからです。
そんな亜希が黒歴史と語る中学時代、彼女は「意味もなく無敵」でした。「何の根拠もなく でも疑いもなく 世界の中心」は彼女だったのです。自分が特別だと思ってしまうのは、思春期にはありがちな考え方です。
しかし高校、大学と進むうちに、多くの人々がそうであるように、亜希も自分が特別な人間ではないことに気づきます。
そしてだめ押しの就職活動。「1年近く 毎日毎日色んな会社に 特に理由も告げられずただ『いらない』といわれ続けて」、次第に亜希の心は擦り減っていきます。
亜希のモノローグは読者の心にも刺さってきます。
セルフイメージの思い込みが人一倍強かった反動か、現在の彼女はかなりの卑屈さを発揮しています。相手のことを褒めているようで「自分なんかだめで〜」と結局自分語りをして卑下してしまいます。聞いてる相手までイライラさせてしまうようなこじらせっぷりです。それでも、やはり何かあったら「自分だけ」特別なんじゃないかと期待してしまう気持ちは消えません。読んでいる読者の心までえぐる「こじらせ主人公」なのです。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
- 2014-08-12
石田拓実の世界観は、1巻から発揮されています。
亜希と本行はシェアハウスの共同スペースについて説明するため、台所に。微妙に開いた戸棚を閉めようとした時、亜希の頭上に鍋が落ちそうになります。
亜希をかばって後ろから抱きしめるような姿勢になる本行。普通の少女漫画なら、ドキッ!赤面!「ご、ごめん……」「ううん、私こそ……」的な流れなのですが、そこは石田拓実ワールド。
背中に何かが当たっているのです。そのままいい雰囲気になったり、冗談っぽく誤魔化したりなど、様々な対処法があるはずですが、不思議ちゃんである本行は特に何もリアクションせず、自分こそ不思議そうに首をかしげるのです。
「ちょっと相談があるんだけど 部屋いっていい?」
「相談がある」なんて言葉には裏がありそうにも思えますが、実は本行は本当に困っていました。後日、相談させてくれなかった亜希に抱きつきながらこう言うのです。
「実は俺 ここ2年ほど ぜんぜんたちません」
彼の言葉に疑いを持ちながらも、「自分だけ」に反応することを嬉しく思う亜希。それでもやっぱり体だけなのかな……と悩みます。
結局、そんな彼の「勃ちトレ」に付き合うことになる亜希なのですが、少しずつ密接になっていく関係性の中で、本行が言った言葉にふと疑問が湧きます。彼の「ヘンなことはしない」という言葉の意味を問うのです。
彼はとても彼らしい言葉で亜希を動揺させるのですが……。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
- 2014-08-12
それはシェアハウスの家主、長谷のひと言からでした。「寺田さんさ 俺と結婚しない?」亜希とはこれといって恋愛らしい展開も見られなかった彼。その理由を長谷はこう語ります。
「最低限の常識と生活能力はありつつ でもめんどくさそうな夢も目標も特に打ち込むものもなくて そこそこ世話好き気質だけど 自分に自信なくて卑屈で消極的だからヘンにでしゃばったり調子のったりもしなさそうで…なんかね」
「全体的にちょうどいいんだよ 寺田さんて」
もう少しオブラートに包めばいいものを、長谷くんはあまりにもストレートに言ってしまいます。
長谷くんはそれまで多くの女性と付き合ってきていますが、家庭環境のトラウマから女性に少しでも押しつけがましい態度がみられると潔癖な反応をするキャラクター。計算高く、自分の本音を鉄壁のガードで守っている彼の性格は、自分と真っ向から向き合ってくれない歪な母親との関係性から生まれたものでした。
2巻ではそのモンスターマザーが登場し、1巻ではあまり明かされなかった長谷の生い立ちが明かされます。亜希にとっては苦手な人間だった長谷ですが、その内容には同情してしまいます。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
- 2015-07-13
じわじわと焦らすように深まっていく亜希と本行の関係。徐々に亜希は身体的にも精神的にも本行ともっと近づきたいと思うようになります。
ふたりの関係は精神的にも深まっていき、「ーーうん やっぱ寺田さんだと………」と本行は思わせぶりなことを言ったりもします。更にマスク越しのキスをするシーンも。
そんな中で、徐々に亜希は本行は自分のことをどう思っているんだろう、と意識し始めるのです。本行との事件を回想しながら赤くなる場面はもう胸キュンです!これまでの印象的なシーンを彼女が思い返すことで、読者も再度その時のときめきが思い返されます。
彼は自分だけに何か特別な気持ちがあるのではないかと思い始めた矢先、ある衝撃の事実が明かされます。それは2巻収録最終話の長谷と本行、亜希の雑談から。
今まで彼女はいても好きになった人は一人もいなかったと語る長谷。それは本行も同じだと言うのです。長谷が本行に「なぁトモ!」と聞くと、「うん ないね」と答えるのです。
そこで亜希は、既に本行にかなり期待していたことを自覚することに……。
本行の発言にショックを受けていた亜希。自分だけは特別なんじゃないかと自惚れていたことを痛いと思いながらも、この件をきっかけに彼に対する期待がなくなれば、それはそれで楽かもしれないと思うようになります。
そんな考えから、添い寝を申し込まれてもすんなりと受け入れるようになるのです。
そして、彼女は吹っ切れた頭のまま、添い寝をしながらこんなことを言ってしまうのです。
「本行さ 前言ってたよね
こーゆー状態になって 当然したいとは思うって(中略)
じゃ いいよ しても」
それを聞いた本行は、無理強いはしないと返すのですが、本当に彼女が嫌がってはいないのだということを確認し……。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
- 2016-05-13
かなり強引に、そして突然に近づいたふたりの距離。しかし、本行の小説に心酔するルームメイトのあかりが彼を本気で好きだということに、亜希は気づいてしまいます。
しかも、あかりはその気持ちに気づいたと思うとすぐに本行にプロポーズ。
さらに、このシェアハウスでは、実は亜希も長谷にプロポーズされている真っ只中。
亜希と本行が身体の関係を持ったあとに、それぞれが別の相手にプロポーズされるという異常事態になるのです。果たして4人の生活はどう変わっていくのでしょうか?
あかりと長谷の過去も明かされ、それぞれの人物に感情移入しやすくなってしまう3巻。読者としては、あっちが立てば、こっちが立たずの状態でもう大変です。
3巻で訪れたある危機も落ち着き、本行のために最後の添い寝をすることになった亜希。期待してはダメだと分かっているのに、彼と近くで接しているとつい喜んでしまう自分に気づきます。
しかし、その幸せもつかの間。これで最後という約束を守る本行は、あっさりとこの関係を終わらせてしまうのです。しかし、そう言っておきながら関係が完全に消滅する訳ではないようで、さらに本行の不思議ちゃんな性格が亜希を動揺させます。
彼はプロポーズした後から随分と積極的なあかりからデートに誘われ、亜希の目の前であっさりと承諾。
それでいて、その直後にふたりきりになると亜希にキスをしてこようとするのです。
「寺田さんが言ってくれたじゃん
キスすんのはへんなことじゃないって
……だからいいんだよね?」
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
一見するとクズ男ですが、本行は天然で大真面目。善悪の判断というよりは、心の機微を読み取る力がまったく足りないのです。小説家なのに……。
しかも、亜希はこの後さらに本行、長谷、あかりのまっすぐすぎる行動に振り回されていきます。
4人のシェアハウスですが、彼女がくるまでほとんどコミュニケーションがなかったというだけあり、亜希にあらゆる負担やしわ寄せがいっているようにも見えます。
本人は無自覚に掃除や料理をこなしているからいいのかもしれませんが……。
これぞまさに大人の少女漫画とも言える、ハラハラでキュンキュンな展開をご覧ください。
4巻で長谷やあかりの気持ちが本気であることを感じ取った亜希。それから彼らのことを考えてぐるぐるしていましたが、彼女も彼女で流されやすいところがあります。
そんな彼女の性格から、5巻では長谷と本行が火花を散らすシーンもありました。
しかし、あかりが本気で恋する様子を見た亜希は、流されるままではダメだと考え、本行との関係を彼女に言う決心をします。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
しかし、よくよく考えると、本行が自身のインポテンツについてあかりに伝えていない限り、それを勝手に言うのはよくないと思い直します。本行の編集担当でもあるあかりに、彼のインポテンツが書けないことにも繋がっていると伝えるのは確かに筋違いです。
そして、色々考えた末に亜希は……。詳しい内容は作品でご覧ください。
ここでの彼女の決断は悪くはありませんが、その話をした夜にさらに事件が起こってしまい、あかりが真実を知ってしまうことに。
長谷はポーカーフェイスを装いながら、計算のうえで亜希と本行の関係を受け入れました。しかし、そもそもこの関係性は歪で、あかりのようにショックを受けるのが当然なのですよね。
そんな状況にいながら、亜希はなかなかのタフさを発揮します。この事件から自分の短所と向きあうきっかけを作るのです。どんどんカオスになっていく展開に読む手が止まりません!
6巻では、またしても亜希の流されやすい一面が描かれます。ついつい弱った長谷の姿を見て、彼に手を触れたくなってしまうのです。
実は、長谷はいわゆる「毒親」に苦しめられていたのでした。彼のポーカーフェイスもその環境ゆえだったのですね。
だからといって彼の頭に無防備に手を伸ばしてしまう亜希は、好かれている立場だという自覚が薄すぎるといえるでしょう。しかし、そんな亜希だからこそ、人間くさくて嫌いになれないのかもしれませんね。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
そんななか、5巻で一山乗り越えたものの、あかりと亜希の関係は傍から見るとかなりおかしなことに。お互い本行が好きだと知っており、添い寝のことも理解した上で、それぞれ彼との近況や気持ちを相談しあうという謎の事態になっているのです。
あかりはちょっとずれたところがあるので納得ですが、亜希もなかなかのツワモノで、それをすんなりと受け入れます。むしろあかりの本行への気持ちや感情を知り、「それぞれ見えている世界は違うのだな」と冷静に学ぶのでした。
しかし、何と言っても6巻の見所は、本行が中学時代に亜希をどう思っていたのかが明かされたことでしょう。
亜希は学生時代に別れた後から、彼から見抜かれているような、見下されているような気持ちを抱いていたのですが、そこには彼女が拍子抜けするようなある思いがあったのです。
しかし、いいことばかりではなく、今後を暗示するような長谷の不吉な言葉もあり……。
各巻にそれぞれ見どころがあり、読者を飽きさせない『カカフカカ』。ますます目が離せません!
本行と付き合えることになったものの、今までと変わらないどころか、むしろそっけなくなった彼の態度に悲しさを感じる亜希。「交際」「付き合う 意味」などと検索し始め、さらに悶々としてしまいます。
そんな時、長谷から優しくされ、まっすぐな思いをぶつけられた亜希は……。
なんと、長谷と付き合ってしまいます。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
いくらなんでもフラフラしすぎでは、と読者としても頭を抱えてしまう展開です。しかし、亜希は自分を好きな人と付き合う安心感、幸福感に浸ってしまい、まだ好きな気持ちがあるのに、本行を拒否。さらには、「もう好きでいるのをやめる」と宣言し、ほとんど一方的に別れてしまうのです。
そんな7巻の見所は、珍しく自分の気持ちを表に出した本行と長谷。どちらもそれぞれに可愛さがあり、キュンキュンしてしまいます。
しかし、本行が亜希と付き合っても冷たかったことには、ある事情があったのです……。
石田拓実らしい読者をモヤモヤさせるストーリーが光ります。詳しい内容は作品でご覧ください。
ハッキリしない本行を離れ、長谷と付き合い始めた亜季。
付き合ってはじめてのお出かけは、一泊の温泉旅行に決定!部屋に露天風呂のついた旅館で、はじめて一夜を共に過ごすこととなった二人は……⁉
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
前巻のラストで、付き合いはじめの長谷に遠くへのお出かけを提案した亜季でしたが……帰ってきた返事は何故か、「シェアハウス解散」⁉
面食らった亜季を見てハッとなった長谷は、改めて一泊の温泉旅行を提案。今は長谷のことだけを考えようと決心した亜季は、長谷の本心も良く分からぬまま、二人で温泉旅行へと出掛けます。
長谷が用意してくれたのは、なんと部屋に露天風呂が付いた旅館。
コレはやはりそういう展開……⁉緊張しつつも亜季は、長谷と過ごす一夜に覚悟を決めます。果たして、この温泉旅行の行方は……⁉
そして、今巻のラストでは、本行が遂に核心へと迫ります!亜季と本行の関係はどうなってしまうのでしょうか……⁉
これからの展開から、目が離せません!
長谷と一緒に温泉旅行に行った亜希でしたが、実は彼の思惑に乗せられていたことを知ります。
実は、本行は長谷から「小説が書き上がるまで亜希に接触禁止」と告げられていたのです。しかし、約束を守って書いていたところ、長谷と亜希が付き合ってしまったのだといいます。
亜希は、長谷のしたことは確かにずるいと感じますが、「嫌わないでほしい」とうなだれる彼を見て、かわいい、愛しいという感情も浮かんできます。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
長谷は「二度とこういうことをしないでほしい」と伝え、長谷に謝罪させます。
そのうえで、「自分と一向に肉体関係を持たない長谷には性欲がないのでは」という疑念をストレートに本人に投げかけると、なんと「あんなものはほとんどただの排泄だ」という驚きの回答が返ってきました。亜希は初めからないとわかっていればそれはそれで楽だと考え、シェアハウスを出ていくことを考え始めます。
しかし、そんな折、長谷が香水の匂いをさせ泥水して帰ってきます。もしや、彼は浮気をしているのでは……?
また、本行の小説が完成し、それを読んだ亜希は、小説の中に登場した人物に自身を投影し、心をかき乱されます。そして、浴室に行くと、シャワー中の本行とバッティングしてしまって……!?
4人の関係性はどうなってしまうのでしょうか?
脱衣所の鍵が壊れ、閉じ込められた亜希と本行。ここで、本行の小説の登場人物のモデルがやはり亜希であることが明かされます。
小説を読んで心をかき乱された亜希は、本行に触れたいという衝動を抑えるため、なんとか脱衣所の扉をこじ開けようとするものの、逆にその反動で彼に倒れ込んでしまいます。直後にあかりが帰宅し、二人の間で間違いは起きずに済むものの、亜希は改めて本行への思いを自覚することに。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
一方、長谷はやはり浮気していたことが発覚。亜希は、自分に聖母のようなイメージを当てはめる長谷に対して告げました。
「私はそういう人間なんです
弱いくせにずるくて打算的で自分本位で
きれいでも立派でも全然ないです」
そのうえで、「長谷が自分としてくれないのなら別れる」と切り出しました。
長谷はどんな結論を出すのでしょうか?また、本行と亜希の関係性は?そして、最後には本行が勃たなくなってしまった驚きの原因が明かされて……!? 穏やかに進みながら、今後の展開が気になる10巻でした。
10巻の最期では、本行がインポテンツになってしまった原因が明かされました。それは、亜希が当時の彼氏と一緒に歩いていたところを本行が目撃したことがきっかけでした。
そんな衝撃の事実が打ち明けられた少し後、なんとあかりに彼氏ができていたことが発覚します。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
長谷は、あかりが簡単に本行以外の男を作っていることや、男のために料理を覚えて媚を売っているように見えることに「ちょっとがっかりだな」と漏らします。しかし、あかりは持ち前の性格でそんな彼の言葉を一蹴します。
もうあかりは本行を諦めたかと思いきや、彼女はまだ本行のことを思っていました。しかし、智也があかりにがっかりされたくないあまりに、勃起不全で小説が書けないことを隠していたと知ると、不思議とすべてが満たされた気持ちになったのだとか。
あかりの独特すぎるものの自己肯定感に溢れた恋愛観は必見です。そして、そんな満たされた彼女を見た亜希は、自分が欲しいものや行きたい場所について自問するように。
そして、長谷は亜希の本性を知って幻滅したものの、彼女と一緒にいたい気持ちは変わらないと告げたうえで、肉体関係については汚いものと認識しているため待ってほしいと伝えます。一方の亜希は、長谷に対してどんな答えを出すのでしょうか?
クライマックスへ向かう11巻、ぜひ手にとってその全貌を確かめてみてください。
長谷と別れ、本当に好きな本行と向き合うことを決意した亜希。長谷の誘惑も断り、人間的な成長を見せました。
そんな亜希を見た本行は、「寺田さんが誰とも付き合っていないと安心する」と言います。そんな彼に「それってもう私のことが好きなんじゃないの?」と尋ねる亜希ですが、そこに返ってきたのは「たぶんそういうのとは違うと思う」という返事。
亜希は要領を得ない彼の返事に怒り、「真意を教えてくれなければ一生口を利かない」とまで言います。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
本行は、「小説の中で"彼女"に起こる事の内容が自分の願望」だと伝えます。小説の中の彼女は、首を切られ、焼かれ、溶かされといった悲惨な結末を辿っていたのです。
本行『あの時の俺は たぶん
寺田さんに笑って 側にいてほしくて
でもその笑顔を自分の手でぐちゃぐちゃに崩したくもあって
でもやっぱ 笑っててもほしくて』
そんな複雑な感情を文章に叩き付けた結果、彼は小説家として成功したというのです。
しかし、シェアハウスでの生活を通して成長した亜希は、そんな彼の清濁を併せて受け容れるのです。亜希に諭され、ついに自分の亜希に対する気持ちが「好き」であると自覚できた本行。その言葉には、本作を追いかけてきた読者の思いまで救われるような気持ちになります。
そんな折、シェアハウスを解散する話が持ち上がり、本行は亜希と一緒に部屋を借りて生活したいと提案しますが、なんと彼女に断れてしまいます。彼女は何故、本行を愛していながら彼と暮らすことを拒否したのでしょうか?
二人の関係性の行き着く先は、ぜひご自分の目で確かめてみてください。
- 著者
- 石田 拓実
- 出版日
- 2014-08-12
今回紹介した以外にも、まだまだ生々しいシーンや心理描写が満載の恋愛漫画『カカフカカ』。ストーリーのあらすじ上重要な部分のみネタバレしてお伝えしましたが、まだまだ伝えきれていない魅力がたくさんあります。
過激な設定に目がいきがちですが、読んでみると一人ひとりの繊細な心理描写に魅力があることが分かります。不思議な恋模様の中で揺れるキャラクターのリアルな気持ちを、ぜひ作品で味わってみてください!
作者・石田拓実については、以下の記事で詳しく紹介しています。気になった方は、あわせてどうぞ。
石田拓実おすすめ漫画ランキングベスト5!ややエロい、大人向け少女マンガ
大人になっても読み返したくなる、石田拓実の癖になる少女マンガを5つご紹介します。リアルなキャラ設定で、ぐっと引き付けられる絶妙なストーリーは何度も読み返したくなる面白さ。大人女子もドキドキして続きが気になる事間違いなし!