ラブコメディというジャンルがあるように、恋愛とコメディの相性は抜群。エンタメ性の高さも相まって、ぐいぐいと物語に引きずり込んでくれます。ここでは、笑って胸キュンも出来る、笑える少女漫画をご紹介いたします。
イケメンの定義は人それぞれ。大概は、容姿が優れている男性に使用される言葉として認識されています。しかし、イケメンは「イケてるメンズ」という言葉以外にも、「イケてるメンタル」という使用方法があることをご存知でしょうか。
性格の良さや精神力の高さを表す言葉として使用されることもあり、人間容姿だけではない、ということがより伝わる言葉となっています。
『俺物語!!』は、現代女子の多くが好む細身で整った顔立ちではない男子高校生と、ふわふわの女子高生の恋を描いたラブコメディ作品。主人公の超人っぷりが話題となった本作ですが、勉強や運動ができて、実はモデルをやっている、というような、少女漫画にありがちな設定が登場しないところが、大きな特徴です。
- 著者
- アルコ
- 出版日
- 2012-03-23
高校1年生ながら、常人離れした運動神経を持つ剛田猛男(ごうだたけお)。正義感が強く、まっすぐな性格をしている彼は、年齢問わず男友達には好かれますが、そのいかつい顔と推定2mかつごつい体格から、女子からは若干引かれていました。困っている人を見ると、脊髄反射的に人助けをしてしまう猛男は、ある日痴漢に遭っていた女子高生、大和凛子を助けます。
大和と猛男の恋は早々に成就するため、恋人となった大和と猛男の、初々しくもラブラブな日常が中心です。そこに、猛男と砂川(猛男の幼馴染)の友情や家族のこと、進路、大和の友人関係など、様々な要素が絡んできます。シリアスな場面はありますが、基本はラブコメディ。
まさしく美女と野獣的なほのぼのカップルである猛男と大和の恋は、笑いどころがありながらも、ほのぼのとして癒し効果も抜群です。
猛男は、世間一般のイケメン定義には外れるかもしれませんが、とにかく漢気と正義感のある、イケメン男子。時折その常人離れした身体能力で笑わせてくれますが、まっすぐな性格からくる言動は、計算が一切ありません。何気ない一言も、心の深いところに響きます。笑えて泣ける恋物語、猛男の魅力に、男女問わずハマってしまう作品です。
『俺物語』の魅力を紹介した<漫画『俺物語!!』の魅力を全13巻ネタバレ紹介!>の記事もおすすめです。
アニメや漫画、鉄道にアイドルなど、何かに熱中し、時に人生までかけてしまう人を、オタクと称します。オタクは総じて何かに対して一生懸命になりすぎて、周囲を置いてけぼりにしてしまいがち。その結果、対人関係に苦手意識を持ち、世間から隠れるようにして、オタク活動に精を出すのです。
本作は、オタク女子が登場する物語。クラゲ、三国志、鉄道、枯れ専、着物など、それぞれ熱中するものは違いますが、大好きなものにかける情熱は相当なもの。それゆえに、女性としては色々と終わっているところがあり、オシャレは天敵、異性と話すことを最も苦手としています。
そんな彼女たちが、自分たちの居場所を守るため、奮闘する姿を描くのが、『海月姫』なのです。
- 著者
- 東村 アキコ
- 出版日
- 2009-03-13
イラストレーターを目指し、鹿児島から上京した倉下月海(くらしたつきみ)は、極度のクラゲオタク。おさげ髪に眼鏡、常時すっぴんと冴えない容姿をしています。ネットのコミュニティサイトで知り合った、オタク仲間たちとともに、トイレ風呂共同、男子禁制なアパート「天水館(あまみずかん)」に住んでいました。しかし、土地再開発に伴い、アパートが取り壊しの危機に立たされます。
政治家の次男坊でありながら、女装趣味のある鰐淵蔵之介に尻を叩かれる形で、天水館のために行動することとなった月海たち。その意外な方法が、ファッションブランドを立ち上げ、アパートを買い取ること。海月愛ゆえに覚醒モードになると、クラゲをモチーフにしたファッションを次々と考案する月海を中心に、自分たちの居場所を守ろうと奮闘します。
実は尼~ず(アパートの住人たち)は、オシャレをすれば美人に見える、というお約束の展開があるのですが、美人になった状態でも、ちょっと卑屈でおしゃれ嫌いなところがブレないのが凄いところ。好きなジャンルに情熱を寄せる姿は、同じオタク女子でなくとも共感必至です。
月海と蔵之介、蔵之介の兄、修とのちょっと笑える三角関係など、恋愛要素も盛りだくさん。ヘタレでもやればできる、オタク女子たちの奮闘記をお楽しみください。
『海月姫』については<漫画『海月姫』の登場人物の魅力を最終回までネタバレ紹介!【ドラマ化】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
男女交際に至るまでに、必要なものと言えば会話です。話をすることで、趣味や気が合う、合わないといったところから、様々な悩みまで、互いを知るきっかけとなるもの。会話をしない人というのはおそらくおらず、コミュニケーションの手段として、最も有効なものでもあります。
互いを知るために、必要とされる会話ではありますが、その内容がかみ合わなかったり、返答が斜め上方向だったりする、なんてことも。『僕と君の大切な話』は、会話のかみ合わなさについ笑ってしまう1作。色々拗らせた状態だからこそ、予想外の方向に進んでいく会話や、行動に驚かされてしまいます。
- 著者
- ろびこ
- 出版日
- 2016-03-11
相沢のぞみは、同じ学校の東司朗くんに片想い中。しかし、男子と話をするのが苦手なため、その恋心を拗らせていました。ある日、勇気を出して東くんに告白をしますが、返ってきたのは意外な言葉。女性から告白することの、精神的デメリットを解説されたのぞみでしたが、紆余曲折あって東くんとは、お友達として接するようになります。
ストーカー気質で、東くんのノートや消しゴムを、こっそり拝借するなど行動が暴走気味ののぞみは、ちょっと天然気質。理想が先行しているせいか、ちょっとしたことで現実とのギャップに打ちのめされつつ、しかしすぐに立ち直るポジティブさが魅力です。東くんは理屈っぽいですが、とても誠実。年相応の反応をすることも多く、理知的な面とのギャップがたまりません。
駅での会話は1話できっちりオチがつきます。会話から始まり、クスッと笑えるオチが付くところまでの、話のまとまりは見事。少女漫画に欠かせない、胸キュンポイントもしっかり盛り込んであります。
冒頭の、のぞみと東くんの会話の流れにも、ぜひ注目してほしいところ。一風変わってはいますが、少しずつ恋が進んでいく、拗らせ男女の王道ラブストーリーとなっています。
『僕と君の大切な話』については<『僕と君の大切な話』を全巻ネタバレ紹介!笑えて胸キュン!>の記事で紹介しています。
漫画を読んでいて憧れるシチューションと言えば、異世界や過去に行くことができる、異世界トリップやタイムトリップ。現代では、技術的に難しいからこそ、創作の世界で楽しむものとされています。しかし、自分がその時代に行けたら、とつい想像してしまうのが人間というもの。憧れの人やものには、会ってみたいし、触れてみたいものなのです。
『アシガール』は、戦国時代にタイムトリップをしてしまった、女子高生が主人公。王道らしく、その土地を治める若き殿と恋愛をするのかと思いきや、一筋縄ではいかないのが森本梢子作品です。女子高生はその一途さから、とあることを決意。俊足を生かし、目的を成就させるために奮闘をはじめるのでした。
- 著者
- 森本 梢子
- 出版日
- 2012-07-25
速川唯は、居眠り遅刻常習犯で、恋愛にもオシャレにも興味が無い女子高生。勉強はできませんが、足の速さだけが取り柄です。ある日、優秀な弟が開発したタイムマシンをうっかり動かしたことで、戦国時代へタイムトリップ。そこで足軽の群れに紛れ込みますが、正体がばれる前に逃亡、その先で超絶イケメンと遭遇し、一目惚れしてしまいます。
イケメンの正体は、羽木久八郎忠清。黒羽城の跡取りである若君でした。忠清を追い、一度は城に入ったものの、現代に帰ることにした唯。その後の忠清の辿った歴史を確かめた唯は、忠清が10カ月以内に命を落とすことを知ります。自分が忠清を守る、と決意を固めた唯は、弟に作ってもらった秘剣を手に、再び戦国時代へと向かいます。
設定はよくあるタイムスリップものですが、本作の最大の特徴は、唯が足軽であるという点。戦では最下層の立場であり、忠清のため、身体を張る場面も多めです。唯は暴走気味ですが、目的のためになりふり構いません。現代女子らしい言動や、リアクションに笑いを誘われるものの、忠清を生かすために行動する姿の頼もしさに、感動を覚えます。
シリアスとコメディの配分も程よく、笑ってハラハラできる戦国奮闘記、唯の恋を応援してください。
『アシガール』の魅力を紹介した<『アシガール』の魅力を最新9巻までネタバレ紹介!アホすぎる純愛物語!?>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
帰国子女、すなわち幼少のころより長く海外で生活し、日本へと帰国した人の事を指す言葉です。手軽に海外へ行き来できる現代でも、海外で暮らすことに、憧れを抱いている人も多いでしょう。国によって文化や習慣が違うこともあり、どこか自由な気風があるように感じられます。
『アヤメくんののんびり肉食日誌』に登場する菖蒲瞬は、帰国子女。考古学者の父を持ち、自身も恐竜の研究をしている、好奇心の旺盛な人物です。しかし、整った外見と肩書に反し、性格はかなりのんびりマイペース。女性へのアプローチも、女心からは逸れに逸れ、かなり斜め上方向に攻めていきます。
- 著者
- 町 麻衣
- 出版日
- 2013-07-08
骨をこよなく愛し、顔ではなく男性を骨で選ぶという、変わった趣向を持つ椿。大学の研究室で、帰国子女のアヤメくんと出会います。研究分野が似ていることから、関わる機会の増えた2人。飲み会の後に家に泊めてもらったり、一緒に研究を行ったりと、つかず離れずの距離を保っていましたが、アヤメくんが椿の裸を、偶然目撃したことで、事態は一変します。
「おっぱい、触らせてもらっていいですか」(『アヤメくんののんびり肉食日誌』より引用)
いまだかつて、これほどまで正直に、自身の欲望を口にした男性キャラクターがいたでしょうか。しかも、にやけておらず、ものすごく真剣な表情で願い出ているところに、アヤメくんの猛者感がにじみ出ます。さすが帰国子女、と言うと帰国子女の方に心外だと言われてしまうのは覚悟の上。言動の斜め上さは、生来の性格に加えて、育った環境もあるのでは、と勘ぐってしまいます。
衝撃発言以外にも、骨大好き椿のために、皮膚の上に手書きで骨や筋組織を描くなど、努力の方向性は、限りなく斜め上。そのくせ、椿との関係を推し進めるチャンス、と感じたタイミングを、絶対に逃さないという野生の感が冴えわたります。とぼけた性格で、のんびりしているように見えるけれど、かなりの肉食男子アヤメくん。不思議アプローチには笑ってしまいますが、時折見せる本気の押しに、ドキッとすること間違いなしですよ。
『アヤメくんののんびり肉食日誌』については<『アヤメくんののんびり肉食日誌』の見所を全巻ネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
誰かへの深い愛情を拗らせると、大変面倒くさいことになります。相手の行動をすべて知ろうとして、追いかけまわしたり、不法侵入をしたり、郵便物を隠したり。いわゆるストーカー被害が注目を集めていますが、行き過ぎた行動はとらずとも、ストーカー気質の人は、意外と多く存在しているようです。
市民の生活の安全を守る警察官も、人の子。誰かに恋をすれば、その人が気になりすぎて、うっかりストーカーまがいの行動に走ることもあるでしょう。『からっぽダンス』に登場する警官、久我慎一郎は惚れっぽくてストーカー気質。好きになり、追いかけまわしてフラれる、というサイクルを、何度も繰り返してきました。
- 著者
- 阿弥陀しずく
- 出版日
- 2015-01-24
そんな久我が、ある日一目惚れをした相手が月島翠。美人で優しい性格ですが、自分に自信が無いという翠に、ぐいぐいと押していった久我は、デートの約束を取り付けます。向かった先は、東京ドーム。ペンライトの光の海に、無数の女子とうちわがあるその空間は、アイドルのコンサート会場でした。
美人OLが実はガチのアイドルオタク、という設定が妙にリアルな本作。ストーカー気質の男子を前に、他の男性に歓声を上げる姿を見せるという、かなり攻めている内容でもあります。好きなアイドル尚也のために立ち上がる姿にときめき、楽しそうだからいいかと納得してしまうのは、惚れた弱みだからなのか。ストーカー気質だけ何とかなればと、思わずにはいられません。
久我のストーカー行為は、自身の欲求と不満を解消するための行動。その愛を一身に受けることになる翠の叫びは切実ですが、暴走しがちな久我をがっちりと受け止める、包容力に溢れています。アイドルが大好きな女子は共感必至。アイドルオタクたちの生態と、久我の言動が楽しい1冊です。
『からっぽダンス』については<漫画『からっぽダンス』のドルオタ×変態なカップルの恋を全巻ネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
16歳の女子高生の典子は、お父さんと二人で暮らしています。お父さんの名前は佐々木光太郎。中年のサラリーマンです。
お母さんが死んでから男手ひとつで典子を育ててきたお父さん。彼は極度の心配性で、門限から25分過ぎてもまだ帰ってこない娘を心配して警察に電話をしてしまうほど。典子が小さい頃は優しかったのですが、お父さんがそんな異常な心配性になったのはある原因からでした。
- 著者
- 岡田 あーみん
- 出版日
典子とお父さんのドタバタ劇が最高に面白く、予想外の展開に笑わせてくれます。絵が強烈で、目にページ全体が飛び込んでくるかのような印象を受けるほど。豪快な二人のやり取りは、まるでドリフのコントを彷彿とさせますよ。それが感じられる典子とお父さんが喧嘩しているシーンがあります。
「ほんとうにもう!はずかしったらないわ!!!いいかげんにしてよね!!!!!」
「なまいきを言うな!」
「なによ万年平社員!」(『お父さんは心配症』より引用)
典子の怒りの言葉は「!」マークの数の多さで迫力が伝わってきます。諭したつもりが痛いところをつかれて反撃され、都合の悪くなったお父さんは風邪を引いた振りをして氷嚢の頭に布団に入ります。激しく咳き込むふりをするお父さんの姿は、こてこてのコントを見ているようです。
この他にも岡田あーみんの爆裂な世界は止まりません!ある時は、体育祭で包丁でできた平均台が登場し、参加者は血まみれ状態!ある時は、お父さんのお見合い相手の子どもが、実は伊賀忍者の子孫。お見合い中に甲賀忍者に命を狙われ、手裏剣がそこかしこに飛んできたりと、とにかく話がはちゃめちゃなのです。激しいアクション?とギャグが、物語のそこかしこにちりばめられていますよ。
世間のお父さんたちに「気持ちがわかる!」と共感を呼んでいるドラマ化までされた衝撃作をぜひ、ご覧ください。
お金持ちは、お金があるがゆえに、常人からは想像も出来ないようなことを、容易にやってのけます。そこに憧れるかはさておき、お金を持っているという事実は、羨ましいと感じるもの。だからこそ、女性の中には玉の輿を狙い、己を磨くことに、全力を注いでいる人もいるのです。
『東京スーパーシーク様!!』は、大富豪とリアリストな一般家庭女子が繰り広げるラブコメディです。大富豪から求婚されるとは、夢見るシチュエーションではありますが、本作のヒロインである須軽まあやは、玉の輿が転がり込んできた状況を一切喜んでいない、というところが、面白いところ。外見は、女子の理想を詰め込んだキャラクター、ファキールの、お金持ちらしい斜め上方向の言動が笑いを誘います。
- 著者
- さぎり和紗
- 出版日
- 2014-08-01
父親の借金のせいで、極貧生活を送ってきたまあやは、お金を憎む超現実主義な少女。
ある日、そんなまあやの前に、唸るほどの金を持った大富豪、ファキールが現れます。彼は、とある砂漠の国のシーク様。シークは王子様や富豪といった意味合いを持っており、ファキールもいわゆる石油で財を成した1人です。まあやは知らないうちに、異国の大富豪へ、自身が借金のカタとして売られてしまったことを告げられます。
基本的に、突然現れたファキールとまあやたちの日常が中心の物語です。しかし、その日常が、文化の違いという言葉で説明するには、少々難しいくらいにぶっ飛んでいます。例えば登場時には、札束をばらまきながらのヘリコプター使用、異動はラクダ。サングラスをかけたお供が付き従い、小さな出来事が、なぜか大会規模にまで発展。
読者はまあやとともに、ツッコミに励むことになります。
コメディ中心ですが、ファキールがまあやに真剣に迫るシーンもあるため、胸キュン要素も満載。お金持ちとは言え、突き抜けた描写が多いため、こうであったら面白い大富豪像を楽しみながら、しっかり恋愛要素を楽しむことができます。
ラクダに乗ったアラブの国の大富豪との、爆笑必至の結婚の行方がどうなるのか、新感覚の大富豪コメディをご堪能ください。
『 東京スーパーシーク様!!』については<『東京スーパーシーク様』遂に完結!11巻までの魅力をネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
泣ける作品よりも、誰もが笑える作品を作る方が難しい、といわれています、今回紹介した作品は、笑いのベクトルはそれぞれ違うため、どれかしら笑いのツボにはまる作品が出てくるはず。笑って胸キュンも出来る、楽しめる要素の多い作品ばかり、憂鬱な気分も吹き飛ばしてくれますよ。