主に「週刊少年ジャンプ」で活躍する日本の漫画家、空知英秋。代表作『銀魂』は何度もアニメ化され、さらには実写映画化などもされた大人気作となっています。基本は暴走気味のSF時代劇ギャグ漫画ですが、シリアスで重厚なストーリーにも定評がある作品です。 今回はそんな漫画家・空知英秋について、あまり知られていない意外な事実をご紹介しましょう。
空知英秋(そらち ひであき)は、北海道生まれの漫画家です。誕生日は1979年5月25日で、年齢は39歳(2018年現在)。性別は男性。
ペンネームの苗字は、北海道の岩見沢市などがある空知地方からきているそうです。好んで似顔絵に使うモチーフは、ゴリラ。
2010年前後に結婚したようで、現在は2人の父親ということです。チャッピーという愛犬を飼っています。
詳しい生い立ちは不明ですが、漫画家を志したきっかけは宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』の影響であることが語られています。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2004-04-02
代表作は『銀魂』。作風は基本ドタバタギャグで、しかし時折、人情話などが見られます。シリアスで重い話も得意としていて、それが『銀魂』の魅力の1つともいわれています。
読者投稿などへの返答も面白く、無茶振りをきっちり返すことでも有名。『銀魂』の実写映画化が発表された際には、『るろうに剣心』並みの大作漫画と勘違いしたおかげで豪華スタッフとキャストが集まってくれた、などとコメントしてファンを沸かせました。
一方で、『銀魂』という泥舟に一緒に乗りたいと言ってくれた方達が作る作品なら見てみたいとのコメントも残しています。そういった真面目なところも垣間見えるので、かなり人のいい性格をしているのかもしれません。
そんなサービス精神からか、芸人のダウンタウンのファンを公言しており、作中の軽快なやり取りや読者への返しなどからは、そういったお笑い好きの影響を感じられます。
さらに、こぼれ話を1つ。『銀魂』内で「洞爺湖」と掘られた木刀が多様されるのですが、これによって洞爺湖印の木刀が大人気となり、後に洞爺湖のお土産屋さんから空知へ贈答されたというエピソードがあります。
『銀魂』は2004年から2018年まで「週刊少年ジャンプ」で14年間断続的に連載されました。既刊は75巻。アニメ版は4期も作られて、実写映画も2本目が封切られるなど、今や知らぬ者のいない大ヒット、ロングヒット作品です。
ところが、今でこそ超有名作品の『銀魂』ですが、連載が始まったころには不遇の時期がありました。ジャンプには伝統的に人気アンケートがあるのですが、作者曰く当初は連載を諦めるレベルのビリッケツだったとのこと。
それが話が進むと徐々に持ち直していき、10週を過ぎるころにようやく人気が出てきたそうなのです。
そういった状況だったので、空知本人はアンケートの順位が上がった時には、なんらかの組織票が入ったのではといぶかったとか。担当編集を交えたインタビューでは、勝負を賭けた思い切った回で反響が大きかったものの、その勝負以前の段階で奇妙な票数が入っていたことまで明かされています。
それが今や、名実ともにジャンプの顔。打ち切りにならなくて本当によかったです。
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空知英秋という漫画家を語るうえで、読者投稿への反応は切っても切れません。『銀魂』の各コミックスに収録されている質疑応答コーナーは、空知の返しが抜群に面白いため、それだけで1つのコンテンツとして成立しそうな勢いがあります。
たとえば『銀魂』の登場人物の1人、「若」とも呼ばれる柳生九兵衛についての質問。
Q:東城は、よく九べえのことを「若」と呼んでいますが、本名は何なのですか?
A:いや今君一回九べえって言ったよね
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2006-09-04
さらに、読者からのこの指摘には、こう返すのです。
Q:先生は幕末のことをしっかり勉強してから作品を描いていますか?陸奥宗光は土佐出身ではないです。
A:その前に幕末に宇宙人はいません。もっとしっかり勉強したまえ。
どちらも、かなり秀逸です。その他にも、『銀魂』の読者コーナーで松井優征の『暗殺教室』の話題が振られた時には、このように返しました。
A:空知先生が君たち姉妹を暗殺する前に もう一度君たちが行った所業を確認し もう一度手紙の宛先を確認しよう
また、時折送られてくる真面目な質問には、非常に真摯に答えることでも知られています。特に東日本大震災に際しては、『銀魂』レギュラーを横並びで描いたメッセージを発表し、
悲しいことがたくさん起こって 前向きになんてなれない時もあると思いますが
そんな時は気負わず横でも向いてください
みんなついております、
みんなで一歩ずつ前へ進んでいきましょう。
と、メッセージを送りました。こういった読者とのやり取りにも、面白さや人柄が光るのが、空知という漫画家の魅力なのです。
空知英秋といえば、ファンの間では自画像のゴリラと並んで「チーズ蒸しパン」が有名です。
なぜチーズ蒸しパンなのかというと、とある質問に対して漫画家の大変さを1コマで表現した際に、大変だし生きるのも面倒だし、いっそチーズ蒸しパンになりたいなどと発言したから。
また、なぜチーズ蒸しパンなのかという理由が、『銀魂』キャラクターブックにて後日談的に語られています。それによると、チーズ蒸しパンの敷紙が可愛く思えて、そのフェチだからということ。いずれにしても、常人の理解を超えた感覚です。
ちなみにこのチーズ蒸しパンになりたいという願望ですが、『銀魂』の展覧会「大銀魂展」が開催された時、空知の似顔絵ゴリラがプリントされた「チーズ蒸しパンキーホルダー」として商品化されたので、ある意味で実現しています。
くり返しになりますが、『銀魂』はジャンプで14年間連載されてきました。そんな本作の連載終了が、2018年8月20日発売のジャンプで発表され、同時に残り5話であることも告知されたのです。
期限が切られ、ジャンプ発売ごとにカウントダウンの進むなか、ファンは最後の時をまんじりともせず見守りました。大ヒット作の完結とあって、メディアでも大々的に発表され、テレビの情報番組でも取り上げられたほどです。
そうしてついに、9月15日に発売されたジャンプ42号に最終回が掲載されて堂々完結……しませんでした。
最終回では主人公・坂田銀時が打ち切りエンドのような台詞を残し、あわせて作者の「5回で話をまとめるのはゴリラには無理でした」という、謝罪か開き直りかわからないコメントが載ったのです。
そこで、あらためて12月発売の「ジャンプGIGA」で完結編掲載が告知されました。最後までしんみりしない、『銀魂』らしいといえばらしい展開に、読者も思わず苦笑いです。
『銀魂』が長期連載となった理由の1つに、空知の絶妙なバランス感覚が挙げられます。
ジャンプに掲載される漫画、特にアクション要素のある作品は、連載が長期化すればするほど本筋がトーナメント形式のバトルに傾いていく傾向があります。その結果ストーリーがおざなりとなり、人気が落ちることも珍しくありません。
翻って『銀魂』の場合は、ドタバタ短編ギャグが基本ですが、それ一辺倒になるのではなく、バトル多めのシリアス長編ストーリーが、短編と交互に語られるのです。
また、その合間合間にはアクセントのように感動的な人情話が挟まれて、物語の構造的に読者に飽きられにくく、常に新鮮な感覚で読めるのが大きな魅力といえるでしょう。
このギャグとシリアスのちょうどいいバランス感覚が、人気の秘訣なのかもしれません。
空知自身は誰かのアシスタントを経験したことはないようですが、彼のアシスタントからは、何人かジャンプ連載漫画家が誕生しています。
その1人が、篠原健太です。『SKET DANCE』がヒットし、アニメ化もした彼は、空知のことを師匠と公言しています。
- 著者
- 篠原 健太
- 出版日
- 2007-11-02
また、この作者同士の繋がりから、『SKET DANCE』アニメ化の際には『銀魂』と同作とで、クロスオーバーのコラボ漫画も描かれたのです。
そのアニメでも同様に、両作品間でコラボがおこなわれ、ファンを喜ばせました。
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主人公の丹波鉄男と、その上司・黒鉄美咲は、天使連盟送迎部のたんぽぽ組という部署に所属する天使。彼らの使命は、未練を残して成仏出来ない幽霊を探し出し、無事あの世に送ることでした。
そんな2人はある日、未練が高じて地縛霊と化した老人・中山春吉を追っていました。追い詰められた彼は成仏出来ない身の上を語って、彼らに協力を仰ぐのです。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2004-04-02
本作は、空知英秋のデビュー作。『銀魂』1巻に同時収録されていますが、そこでの作者のコメントによると、読み切り作品ながら非常に人気の高い話だったようです。
主人公コンビは現世で彷徨う幽霊を(物理的に)導く天使ですが、鉄男は黒のスーツ、美咲は黒の着物とという出で立ちのせいで、とてもそうは見えません。あの世に強制送還する装置がどう見ても拳銃なこと、2人の物騒な言動や荒くれ者の同業者からして、どう控えめに見ても任侠団体にしか見えません。
そういうギャップがありつつも、老夫婦のために奔走するなど、後の『銀魂』にも見られるほろりと来る人情話が温かいです。理不尽で突拍子もない展開、強烈過ぎるツッコミも同様。
掲載後に多大な反響があったことも頷ける、空知英秋の力量が感じられる作品となっています。
江戸時代の末期、「天人(あまんと)」と呼称される宇宙人が地球に飛来し、未曾有の戦争に突入しました。10数年におよぶ宇宙人との戦争の末に、日本は侵略同然の支配を受け、世界の何もかもが変わってしまったのです。
それから20年後。過去に因縁を持ちながら、明るくお気楽に生きる万事屋の坂田銀時と、彼を慕って(?)集まる仲間達による、笑いあり涙ありの物語が展開されます。
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坂田銀時(さかたぎんとき)とは、空知英秋作画の漫画『銀魂』の絶対的な主人公です。銀色の天然パーマがトレードマークで、常にダメ人間っぷりを発揮しているジャンプ漫画の主人公とは思えない人物。でも、なぜかみんなに愛され、やる時はやる頼もしい銀さん。 今回は、そんな銀さんの意外な魅力を14に分けて紹介していきます。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2018-10-04
ご存知、空知英秋の代表作にして代名詞が本作『銀魂』です。タイトルの由来は主人公たる銀時の「銀」と、シリアスシナリオで重要視される侍の魂の「魂」から。あるいはそれを建前として、ギリギリの線を狙った下ネタです。
万事屋という名の何でも屋を営む主人公を中心として、腐れ縁の仲間や市井の人々のドタバタギャグの日常が、本作の柱の1つ。
他にも浪花節が利いた人情譚や、バトル要素多めのシリアスかつハードなストーリーも作品の柱であり、同じ作品内でありながら温度差が凄まじいバラエティ豊かな漫画となっています。
原作漫画はもちろんのこと、メディアミックスで展開されるアニメ版や、掟破りの実写映画も大好評。アニメ版で銀時を演じる声優の杉田智和は、役というよりむしろ本人に近く、出来映えが危惧された実写版も小栗旬に至っては、銀時がはまり役となりました。
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いかがでしたか?ヒット作『銀魂』を生み出した作者について、深く知ることが出来たのではないでしょうか。今冬に控える完結編、そして、その次に生み出されるであろう新作にさらなる期待が高まります。