第3回となる「フリースタイル書評バトル-芸人編-」。バトル形式で芸人に本をおすすめし合ってもらい、その紹介文を読んだ皆さまからの投票で、今後「連載」の権利を獲得する芸人が決まります。 今回は「型破りエピソード芸人」として錦鯉・長谷川、蛙亭・岩倉、スタンダップコーギー・奥村、春道・櫻間の4名が集結。いったいどんな本を、どんな語り口で紹介してくれるのか、誰も予想がつかない展開が待っています!
累計1000票近くを獲得したフリースタイル書評バトルを今月も開催!
第3回となる今回戦うのは、型破りなエピソードで知られるこちらの4名です。(芸歴順、敬称略)
誰がどの本を紹介しているのかは、投票期間終了まで公表しません。あなたの1票で、連載の権利を獲得する芸人が決まります。
投票は、紹介する文章だけでおこなってください。
【企画概要】フリースタイル書評バトル-芸人編-とは?
前回までの 企画や参加者が気になる方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。
<フリースタイル書評バトル-芸人編- 開催!第1回「今、ラジオが面白い芸人」>
<フリースタイル書評バトル-芸人編- 【第2回「出版芸人」】>
【投票方法】Twitterフォームから(投票は締め切らせていただきました)
投票終了後にこの企画を知ったという方は、「自分だったらこの作品に投票した」などと想像しながら読んでみてください。
<結果発表を見たい方はこちら!>
それでは早速、バトルの開始です!
僕にとって「どうぶつの森」は麻薬だ。
あの別世界に入り込んで行く「ふわっ」とした感覚が、僕は好きでたまらない。このストレス社会で、何かしら現実逃避できる手段を求めている人はたくさんいると思う。みんな「ふわっ」としたあの感覚が好きで堪らないんだ。ジブリ作品だってそのひとつかもしれない。「嫌な事を全部忘させて!」とみなゲーム機の電源をポチッと押す。その瞬間、あの別世界へとトリップを開始するのだ。
そして今回は、本で似たような感覚を味わえる作品があるのでぜひとも紹介させて欲しい。それが『神去なあなあ日常』という小説。映画『WOOD JOB!』の原作だ。
夢や目標などが一切ない。
都会生まれの主人公の青年が三重県の山奥に存在する「神去村」で暮らすところから物語が転がり始める。大自然に囲まれて暮らす村人たちは、個性豊かでツッコミどころ満載。
ここでしか絶対に出会えない「神隠し」、「何十年に一度の大祭」、「恋愛」に直面したりと、神去村での日常はおもしろすぎる。しかし、自然への礼儀や尊敬は重んじている村人たちなんかもリアルで魅力的だったり。
そして、この本最大の魅力といえばやはり没入感。
誰しもがページをめくるうちに、村人の1人として村で起こる事件に一喜一憂し、大自然に囲まれた村の四季の移り変わりに、村人でもないのに感動してしまう。
「でも、お前って神去村の村人じゃないじゃん」なんて、友達に言われたら「違うもん!俺は神去村にいたんだもん!ホントだもん!」と恥も外聞もなく言ってしまいそうな気がする(トトロ好きです)。それくらい神去村は実在しているし、自分もそこで昔から暮らしていたかのような錯覚に陥るのだ。素敵すぎる。
「別世界への現実逃避を味わいたい」という人にぜひとも読んでいただきたい作品。みなさんも近頃は、あの「ふわっ」とした感覚に出会えていますか?
- 著者
- 三浦 しをん
- 出版日
- 2012-09-07
ある人物は言った。
「夜のピクニックを読んで、一緒に歩こう。」
詳しく聞いてみた。
『夜のピクニック』を読んで感化された3人が中心となり、集団で歩こう!という話になったそうだ。
今、メンバーを集めているらしい。
なるほど。よくわからないが、おもしろそうだ。
僕は、「いいよ!じゃあ、その本貸して。」と言った。
その人物は、「本を貸すのはだめだ。借りた本は読まない。自分で買え。」と言った。
その人物のこだわりなのか、経験なのか、よくわからないが僕は本屋で『夜のピクニック』を買った。
「人生で初めて、字だけの本買ったよ。」
と言うと、
「字だけの本て何だ!てめー小学生か!」
と怒られた。
『夜のピクニック』を読んだ。とても読みやすかった。夢中で読んだ。あっという間に読み終わった。
その人物に「どうだった?」と、聞かれた。
僕は、「おもしろかった!俺も小説書きたくなった!」と言った。
「そんなこと聞いてねーよ!歩きたくなったかどうか聞いてんだよ!」
と、怒られた。
『夜のピクニック』とは、修学旅行のない高校の話で、代わりに歩行祭という80キロを歩く行事の話である。
中心メンバーの1人から、電話がかかってきた。
「読んだか?歩いたか?」
僕は、「読みながら冷蔵庫にジュース取りに行ったり、トイレ行ったりして歩いたよ。」と言った。
「感情移入して、登場人物と一緒にあの場面で歩いたかってことを言ってんだよ!」
と、怒られた。
僕は、とんちんかんな返事をしたらしい。
そして『夜のピクニック』を読んだ人間20名程で、湘南からゴールの東京タワーまでを歩いた。
ただ歩くだけなら、余裕だと思った。
とても辛かった。本当に辛かった。
足が棒になるという経験を初めてした。
物語では、ただただ歩く中で今まで人に言ったことがなかった話を語り出し、お互い心の距離が近くなる場面があった。
人間は極限になると、そうなるのか⁉
実際歩いてみると、みんな疲れ果て会話もなくなりただ黙々と歩いていた。
なんせ全員初めての経験で、休憩の取り方などペース配分が下手くそだったからだと思われる。
「もう2度とこんなことするか!」
と、誰もが思った。
しかし、この我々の歩行祭は毎年秋の行事として行われることとなる。
『夜のピクニック』を読んで青春だ!と感化され、実際歩いた30オーバーの男達がいたことをいつか作者の恩田陸さんに会って言いたい。
- 著者
- 恩田 陸
- 出版日
- 2006-09-07
人は死んだらどこへ行くのだろう。
誰しも一度は死後の世界や、生まれる前の世界について考えたことがあると思います。
あの知らない世界について、とんでもない情報を与えてくれる女の子と出逢いました。
この本の主人公は小学5年生のスミレちゃん。胎内記憶があり、生まれてくる前は2番目に偉いかみさまだったという女の子です。彼女がかみさまからのメッセージを私たちに伝えてくれるという、不思議だけど、とてもワクワクするお話です。
空の世界にはかみさまと天使さん達がいて、私たち魂はその下の存在。成長していつかかみさまになるために、地球に生まれてきて修行をしているそうです。
私も修行を頑張って、いつかかみさまと大喜利をしてみたいので、精一杯修行に取り組みたい所存です。
以前自分で死について少しだけ考えてみたところ、何となく死んだ後の世界の方が大事なのではないかという考えにたどり着きました。この本を読んでみて、「やっぱりそうなんだ。」とすごく納得がいくお話がたくさんあったので、全てのメッセージが心にスッと入ってきました。
かみさまからの私たちへの言葉はとてもシンプルなものばかりでした。自分を幸せにしてあげよう、好きな事をしよう、戦争はダメだよ。
どうして簡単なことなのに簡単にできないんだろう。生きていてたくさん悩むこともあるし、間違えることもあります。でも今自分のやりたいことをやって、心に嘘をつかないというシンプルな生き方。これだけはやっていこうと思います。
まだまだ修行の途中で非力ですが、自分を幸せにして、幸せになった姿を大事な人に見せてあげたいです。
この本を読み終わると会いたくなる人がいると思います。私がこの本を読み終わったとき、その人に本を貸しました。みなさんもぜひ一度読んでいただきたいです。
- 著者
- すみれ
- 出版日
コーヒーのブラックが子どもの時全然美味しくなかった。でも大人になったらこの苦味がいい、美味しいって感じるからみんな飲む。
僕が読んだ『死命』はブラックコーヒーなんじゃないかと、こんな苦々しいものありゃしない。これを読み終わった時、心がぺしゃんこにされた。だけどこんな心持ちが悪いと感じなかった……これが大人になったということなのか?この重苦しい気持ち、嫌じゃない。
デイトレードで成功した榊信一が主人公。彼は自分のなかにある得体の知れないどす黒い欲望が「女性への殺人衝動」だと気付く。余命宣告をきっかけにその衝動に対してのタカ(編集者注:タガ)が外れ、「命」が尽きるまで究極の快楽に溺れるという悪魔の所業。しかしそれに反して、元恋人の山口澄乃が頭から離れない。かけがえのない存在である澄乃との幸せを夢見るのだ。
そしてこの殺人事件を追う刑事・蒼井凌が、徐々に榊の元へ辿り着く。誰に何を言われようが自分の直感を信じて突き進む。そんな蒼井にも奇しくも同じ病が襲い……。
僕にも得体の知れない感情はたまにある。心にうっすら膜が張られてて、昨日の寝るまでの1日はめちゃくちゃ充実してたのに、今日はなんかどんよりと重たくて何かしようとしても手につかない、なんだこの気持ち?と……。
結局それは昨日が楽しすぎただけだったりする。
もしかしたらこの楽しすぎた昨日とどんよりした今日が、榊にとっての澄乃と一緒にいる時間とあの衝動に駆られていた時なのかもしれない。もちろん榊のようなとんでもない悪魔を心に飼ってはいない。絶対に。ただ何かをきっかけに突然悪魔が出てくるかもしれない。悪魔どころかサタン級が出てくるかもしれない。
その時あなたは自分自身のその欲求を否定することはできますか?それも「命」の期限が限られてると言われた時。
この『死命』ではそんなもしもが曝け出されている。でもそんななかに「幸せ」もあり、溢れんばかりの「欲求への汚さ」が詰まっている。でも目を瞑らず、蓋をしないで、そんな悪魔に魂を売った榊・それを追う蒼井・そして澄乃をどうか皆さんにも見守ってもらいたいです。
ちなみに本当のブラックコーヒーはずーっと子どもの時と一緒で美味しくはない。
- 著者
- 薬丸 岳
- 出版日
どの本を1番読みたいと思いましたか?
あなたの1票で、連載の権利を獲得する芸人が決まります。
投票はこちらから、8月18日(火)18時00分まで受け付けています。(※既に終了しました)
(Twitterへのログインが必要になります。)
結果発表は8月19日(水)18時にホンシェルジュのTwitterアカウントで行いますので、フォローして最新の情報をチェックしてください。
たくさんの投票、ありがとうございました。
投票結果と、それぞれの本が誰のおすすめだったのかを発表します!(敬称略)
ということで、優勝者は、錦鯉・長谷川雅紀さんでした!
優勝した錦鯉・長谷川雅紀さんには、コラムの連載を依頼します。9月末から開始します。
今後の更新のお知らせはホンシェルジュのTwitterやnoteでおこないます。こちらをフォローしていただくか、honciergeのトップページでもチェックできます。どうぞお楽しみに!
前回までの記事はこちら。
<フリースタイル書評バトル-芸人編- 開催!第1回「今、ラジオが面白い芸人」>
<フリースタイル書評バトル-芸人編- 【第2回「出版芸人」】>
また、前回までの勝者による連載もぞくぞく始まっています!
<Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載初回】>
今回「型破りエピソード芸人」として集結した、4名の芸人。どんなエピソードを持っているのか気になるところでしょう。最後に簡単に、それぞれのエピソードの一部を紹介したいと思います。
錦鯉・長谷川は、ライブに出演しに行くための交通費がなく、交番で「お金を貸してください」と言ったことがあるそうです。もちろん貸してもらえるはずもなく、引き留められて身元を調べられまいた。
蛙亭・岩倉は、仕事が10回あったら9回は遅刻してしまうという破天荒ぶり。相方とのネタ合わせには最大10時間遅れてきたこともあるとのこと。
スタンダップコーギー・奥村は、「立ったままコロッケパンを食べた」「バツイチ・子持ちであることを相方や事務所に黙っていた」などさまざまなミスが蓄積し、事務所ライブの手伝いを2040年までやることが決定しています。
春道・櫻間は、相方を誘い、番組や依頼でもないにも関わらず世界一周のバックパックの旅へ出てしまいました。「ニカラグアではテロリストに囲まれ、バスのなかで遺書を書いた」など、道中で起きた予想外のエピソードはこちらの書籍に収められています。
- 著者
- ["春道", "櫻間 心星", "林 高士"]
- 出版日
第4回以降も定期的な開催を予定しています。記事への感想がありましたら、Twitterにてハッシュタグ「#フリースタイル書評バトル」をつけてツイートをお待ちしております。「次はこの芸人さんにオファーをしてほしい」などの声もお待ちしております。
フリースタイル書評バトル
毎月4名ほどの芸能人が本のおすすめバトル!どの本を読みたくなったか、投票で参加していただけます。