市川崑のおすすめ映画30選をランキングで紹介!実写化した原作作品も読めば2倍楽しめる!

更新:2021.11.23

日本を代表する映画監督・市川崑。代表作『犬神家の一族』をはじめとした数々の作品で知られる彼は、日本映画界だけでなく、テレビ業界やCM業界を席巻してきました。特徴的で革新的な作品は今なお愛され続けています。 この記事では、市川崑が監督を手掛けた映画作品の中から、特におすすめの30作品をランキング形式で紹介します。

ブックカルテ リンク

市川崑とは何者なのか【経歴・プロフィール】

市川崑(いちかわこん)は、1915年11月20日生まれ、三重県出身。

1933年に京都のJ.O.スタジオにてアニメーターとして入社し、短編アニメ『新説カチカチ山』を監督。その後、実写映画への転向のため上京すると、1948年には『花ひらく』で監督デビューを果たしました。同年、脚本家の和田夏十と結婚。多くの市川作品を担当した和田夏十は、公私ともに市川崑を支えたよきパートナーでもありました。

東宝から日活、大映と各映画会社を渡り歩き監督を続けながら、内外で高い評価を受けていく市川崑。1965年、ドキュメンタリー映画『東京オリンピック』を監督した際には、カンヌ国際映画祭国際批評家協会賞を受賞。世界にその名を知らしめました。

その頃、テレビ放送に反感を持つ映画監督が多いなか、いち早くその可能性を見出した市川崑は、『木枯し紋次郎』など人気テレビ作品も生み出します。1976年には角川書店の映画製作第1作目『犬神家の一族』を監督すると大ヒットを記録。それに続く「金田一」シリーズは爆発的ヒットとなりました。17年振りとなる同シリーズ『八つ墓村』も監督しています。

アニメーター出身でもある市川は、手塚治虫の漫画『火の鳥』を原作とした映画にも挑戦。実写とアニメを融合させるなど新感覚な作品も生み出しました。また、市川は多くのCMも手掛けています。大原麗子の出演する「サントリーオールド」のCMでみせた見事な演出力は大きな話題となりました。

スタイリッシュなセンスは、得意のタイポグラフィからも窺えます。『エヴァンゲリオン』の庵野秀明など、その影響を受け自身の作品でオマージュを捧げている監督も少なくありません。

そんな市川崑は生涯現役を貫き、92歳で亡くなるまで映画を撮り続けました。彼の死後、渋谷区南平台の自宅を立て直しその一部を「市川崑記念室」としてオープン。市川崑やその妻・和田夏十の貴重な資料が展示されています。

元映画業界人のライターだけが知る、市川崑を駆り立てたものとは

ディズニー映画に憧れ、アニメーターとしてそのキャリアを始めた市川崑。その後、実写映画へと転向していきます。アニメ監督が実写を手掛けることがありますが、その先駆けといえるでしょう。これまで多くの作品を生み出してきた市川崑は、その時代や状況において常にチャレンジを忘れない監督でした。

脚本家の和田夏十と結婚すると、彼女との共同執筆作品を次々に発表。その多くは、実験的で風刺的な作品でした。そのスタイリッシュでクールな作風は、市川監督のセンスの良さが光っています。その後も、文芸作品などを市川流に手掛けていくなど、注目を集めることに。特に『おとうと』で使った「銀残し」は斬新な手法でした。これにより、陰影の強い独特な映像を実現し、世界的な映画にも多大なる影響を与えていきます。

その後も、未知の世界であるテレビやCMへの挑戦など、常に新しいものを求めていく市川監督。「金田一」シリーズでは、コメディ要素がつまった新感覚ミステリーを確立し多くの映画ファンに支持されました。自身初となる切り絵を使った人形アニメを監督した時は、なんと85歳。これほどまでに市川崑を駆り立てるものは、ずばり、作品にかけるただならぬ情熱でしょう。

市川監督が亡くなる少し前に手掛けた作品に、筆者も関わっておりました。撮影現場での監督の姿を今でも鮮明に覚えています。杖を突きながら演出していた市川監督。ある時、ディレクターズチェアから何も持たずに歩き出そうとしました。今にも倒れそうになるところを慌てて数人のスタッフが支え、ことなきを得たのです。演出に夢中になりすぎて思わず気持ちが先に出てしまった、そんな様子だったと記憶しています。映画監督・市川崑の作品へのほとばしる情熱は、どんな状況でもいくつになっても変わらないことを目の当たりにした瞬間でした。

そんな市川崑本人が語る未公開のインタビューなどが詰まった貴重な1冊『完本 市川崑の映画たち』もおすすめです。これさえあれば、市川作品がより楽しめること間違いありません。

著者
["市川 崑", "森遊机"]
出版日

ここからは、市川崑の手がけた作品を30作厳選しランキング形式で紹介していきます。原作があるものは、その書籍の魅力もともに解説しますので、映像を見ることが好きな方もぜひ違う角度から作品を味わってみてはいかがでしょうか。

【市川崑のおすすめ映画ランキング第30位】豪華声優陣に大興奮!『新選組』(2000年)

『新選組』は、コメンテーターなどでも活躍する黒鉄ヒロシの漫画作品です。この漫画を書店で手にした瞬間、映画にしなければと思った市川崑により映画化されました。

原作は、近藤勇率いる新選組の発足から戊辰戦争の敗北による消滅までをシュールかつコミカルに描いた作品です。新選組をヒーローとして描くのではなく、客観的に歴史を検証し伝える手法は歴画とも呼ばれています。貴重な資料としてもおすすめです。

「ヒューマングラフィック崑メーション」と名付けられた市川崑の新手法で映画化。黒鉄ヒロシの原画から抜き出した切り絵のキャラクターを動かし撮影しています。独特な世界観でみせる新感覚映画です。声の出演には中村敦夫や中井貴一など市川作品の常連ベテラン陣が集結しています。

著者
ヒロシ, 黒鉄
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第29位】走る金田一に注目『八つ墓村』(1996年)

『犬神家の一族』を初めとする横溝正史原作の「金田一」シリーズを1970年代後半に映画化し一大ブームを作った市川崑。20年の時を経て、再度「金田一」シリーズに再挑戦したのが実写映画『八つ墓村』です。

八つ墓村と呼ばれる鳥取と岡山の県境の村で起こる悲劇の数々。かつて惨殺された8人の武士の呪いなのか……。事件の謎を解くべく依頼された金田一耕助が、異常な殺人事件の謎を解き明かす物語です。ミステリーの面白さが詰まった小説は、幾度となく映像化されている人気作品。

豊川悦司を迎え新しい金田一耕助像を作り出した映画が市川崑バージョンです。市川監督が豊川悦司の爽快に走る姿を気に入ったようで、本作はとにかく金田一が走ります。知的な中にもアクティブな要素が加わり、新たな金田一耕助がこうしてできあがりました。

「金田一」シリーズについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

「金田一耕助」シリーズおすすめ小説ランキングベスト10!

著者
横溝 正史
出版日
1971-04-26

【市川崑のおすすめ映画ランキング第28位】夏目漱石からの挑戦状『ユメ十夜』(2007年)

『ユメ十夜』は、夏目漱石による短編小説『夢十夜』を原作に、10人の監督による10本のオムニバス作品です。そのうちの第二夜をうじきつよし主演で市川崑が監督しました。

夢十夜という作品は、漱石の不安や恐怖などを夢という形で表現した不思議な10編の物語。「こんな夢を見た」で始まる物語の内容はさまざまですが、第二夜はある寺で悟りをひらこうとする侍の話です。何度読んでも飽きない、読むたびに発見のあるそんな短編集の夢十夜。

映画版の第二夜では、物語は原作に忠実に、全編サイレントに字幕が入るという手法で映像化しました。キャストのうじきつよしと中村梅雀の2人が、味のある演技を見せています。市川監督は、これまで幾度も夏目漱石の映画化に挑戦してきました。漱石の原作には、特に思い入れがあるようです。

原作について詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。

5分でわかる『夢十夜』ラストの第十夜は意味不明!?名作をネタバレ解説!

著者
夏目 漱石
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第27位】イタリアの人気者が大活躍!『トッポ・ジージョのボタン戦争』(1967年)

イタリアのマリア・ペレーゴが作り出した操り人形のキャラクター、トッポ・ジージョ。日本では、人形劇やコミカライズ、アニメ化などされ人気を博しました。そのトッポ・ジージョを主人公とした人形劇映画が『トッポ・ジージョのボタン戦争』です。

市川崑が監督を務め、脚本は市川をはじめ、永六輔、イタリアのアルベルト・オンガロ、フェデリコ・カルドーラが共同で担当。トッポ・ジージョの操演は、もちろんマリア・ペレーゴです。

ある夜、トッポ・ジージョが部屋を飛び出し街へ出たところ、赤い風船と出会います。その風船と散歩していると、ギャングが世界を破壊するためのボタンを奪おうとする瞬間を目撃してしまいます。必死で止めようとするジージョですが……。

トッポ・ジージョの声を担当したのが中村メイコ。彼女が演じることで、とてもキュートなジージョになりました。

【市川崑のおすすめ映画ランキング第26位】斬新な育児映画『私は二歳』(1957年)

医師であり育児評論家の松田道雄の育児書『私は二歳』と『私は赤ちゃん』を原作に、和田夏十が脚本を担当した実写映画『私は二歳』。監督は和田夏十の夫・市川崑です。

赤ちゃんの目線から描いた斬新な育児書の手法そのまま、映画もターちゃんこと小川太郎という赤ちゃん視点で描いた物語となっています。

著者
松田 道雄
出版日

『私が二歳』では、2歳になるとしつけが始められることやその頃の子ども心理について、『私は赤ちゃん』では、赤ちゃんがどうしてほしいのか、家庭や社会はどうあるべきかを教えてくれる非常にためになる育児書です。

映画では、ある都内の団地に暮らす一般家庭を舞台に、両親の赤ちゃんへの愛情や育児に対する対立など誰しもが経験することを赤ちゃん視点でユーモラスに描いています。昭和30年代の日本の様子なども垣間見ることのできる貴重な作品です。和田夏十の脚本センスが光ります。

著者
松田 道雄
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第25位】戦後日本のおかしみを描く『プーサン』(1953年)

漫画家の横山泰三が描く『プーサン』は、毎日新聞夕刊や週刊新潮に連載された四コマ社会風刺漫画です。『社会戯評』と並ぶ横山泰三の代表作。

言葉を使わず絵だけで表現しおかしみを誘い、その独特な線画とアイデアで人々の共感を誘いました。ともすれば、暗くなる話題でも笑いで受け止める力を世の中に伝え続けた作品です。この風刺漫画をもとに実写映画『プーサン』として成立させたのが、映画監督・市川崑。脚本は和田夏十が担当しました。

不器用な予備校教師が送る悲哀な人生を軸に、混沌とした戦後日本の世相をユーモラスに描いています。この当時、市川作品に多く参加していた伊藤雄之助が主演を務めました。伊藤の飄々とした風体と美しく強い越路吹雪のヒロインとの対比が作品をよりおかしくみせています。

プーサン

1997年06月20日
横山泰三
小学館

【市川崑のおすすめ映画ランキング第24位】吉永小百合演じる田中絹代に感無量『映画女優』(1987年)

日本を代表する大女優・田中絹代。小津安二郎や溝口健二などの日本映画界の才能溢れる監督たちの作品に数多く出演し、大スターとなった田中絹代について、映画監督の新藤兼人が『小説 田中絹代』として発表しました。これを原作とした実写映画『映画女優』の監督を市川崑が務めています。主演の田中絹代は吉永小百合が演じました。 

新藤兼人が知る田中絹代をあくまで小説という物語として描いた『小説 田中絹代』。彼女の女優としての生き方やその素顔そして孤独、さらに肉親との確執までも赤裸々に描いた問題作です。田中絹代という生き方自体が、ドラマのひとつであるかのようでした。

映画では、映画女優を目指した1人の女性として儚くも美しく描いています。昭和を代表する吉永小百合が体当たりで演じた田中絹代は必見の価値ありです。

著者
新藤 兼人
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第23位】役所広司×市川崑の大傑作!『どら平太』(2000年)

ある町奉行の活躍を描いた山本周五郎原作の短編集『町奉行日記』。これを原作とし、実写映画化したものが『どら平太』です。1969年に発足された「四騎の会」メンバーの市川崑、黒澤明、木下惠介、小林正樹の4人で制作しようと共同執筆された脚本をもとに、市川崑が娯楽に振り切って監督しました。

もともとの原作は、若く破天荒な町奉行・望月小平太が藩の汚濁を取り除くため、難事件を描いていくという物語です。収録作は、山本周五郎らしく読者を裏切ることなく軽快に読める作品ばかり。

映画では主演に役所広司を迎えました。武芸には通じているものの、その放蕩無頼により「どら平太」とあだ名されている望月小平太を熱演。望月の本当の姿は、汚職にまみれたある小藩の悪事を解決していくこと。この二面性を役所の演技力で見事に演じています。

著者
周五郎, 山本
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第22位】岸恵子が演じる日本の母『かあちゃん』(2001年)

山本周五郎の短編小説『かあちゃん』は、江戸を舞台とした人情時代劇です。それを原作に、脚本を和田夏十が担当。もともと執筆されていたものに、竹山洋が加筆し実写映画化されました。監督は市川崑が務め、市川作品に多く出演している岸恵子を主演に迎えています。

原作は5人の子どもを女手ひとつで育てているお勝が、人を信じることを信条に生きる姿を描いています。我が家に入った泥棒とまで心を通わせていきます。そのほか、人が持つ善を描いた短編集です。彼らの生き方がある意味羨ましくもあります。

映画版でも原作に忠実に、人を信じることの大切さを笑あり涙ありの優しい物語として描きました。現代の尺度では計りきれない、日本にかつて存在した人情がそこにはありました。

著者
山本 周五郎
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第21位】若かりし中井貴一の代表作『ビルマの竪琴』(1985年)

『ビルマの竪琴』は、評論家でもある竹山道雄の児童向け小説。これを原作とし、同名映画が2度作られました。最初に作られたのは、1956年のこと。世界的にも高い評価を受けた作品でしたが、市川監督にはカラーで撮れなかった無念が残りました。その想いと当時の若い世代にも観てほしいという願いからセルフリメイクした映画です。

戦時中、ビルマの戦線でイギリス軍捕虜となった日本軍兵士たち。終戦を迎え、祖国に帰る日が来ても、ただひとり帰らぬ兵士水島がいました。彼がビルマに残る理由とは……。戦争が残した爪痕。歌により救われる人たち。人が生きる意味を問う物語です。

映画の中で、仲間たちが水島に呼びかける「水島、一緒に日本へ帰ろう」というセリフは、深く心に刺さる名シーンです。リメイク版の水島を演じた中井貴一の静かながら強い意志が感じられる演技は涙なしには見れません。小説、56年版、85年版と全網羅したい作品です。

原作について気になる方は、こちらの記事もおすすめです。

『ビルマの竪琴』が5分でわかる!あらすじやモデル、インパール作戦等を解説

著者
["竹山 道雄", "市川 禎男"]
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第20位】船越英二と山本富士子の豪華共演!『女経』(1960年)

『残菊物語』などで知られる村松梢風の中国大陸での放蕩譚を描いた小説が『女経』です。自身の中国での経験から、関係を持った女性たちについて1話につき1人描いていくというもの。「中央公論」に連載され好評を博しました。

これを原作とした実写映画が製作されました。3話からなるオムニバス映画で、監督も増村保造、吉村公三郎、そして市川崑という豪華メンバーが集結しています。市川崑は、第2話の『物を高く売りつける女』を監督しました。

村松梢風の金にも女性にも常識を超えた放蕩があったからこそ誕生した作品。また、中国に深く魅せられた作者が描く当時の中国を研究する上でも貴重な資料です。

映画では、二枚目だからこそ放蕩ぶりの似合う船越英二が作家・三原靖を演じ、妖しく美しい女性を山本富士子が艶やかに演じています。この豪華共演に魅了される作品です。

著者
村松 梢風
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第19位】泉鏡花のロマンティシズム溢れる『日本橋』(1956年)

『外科室』や『天守物語』などその作品の多くが映像化や舞台化され、今なお根強い人気のある作家・泉鏡花。独特のロマンティシズムで知られています。そんな彼の原作である『日本橋』は、溝口健二によるサイレント映画や市川崑による自身初のカラー映画が作られました。

日本橋の芸者の世界を舞台に、自由奔放で嫉妬深いお孝と誠実な清葉を巡る物語です。姉に似た京人形を溺愛する医学士の葛木はその人形に瓜二つの清葉を想い、お孝に付きまとう赤熊も登場し、この4人の複雑な人間関係が絡み合っていきます。

市川崑の映画は原作に忠実に、お孝と清葉を演じた淡島千景と山本富士子の美の競演も見事なもの。市川監督曰く「泉鏡花のロマン精神の源流をつきためい」と精力的に取り組んだ作品です。

泉鏡花についてほかの作品も知りたいという方には、こちらの記事もおすすめです。

泉鏡花おすすめ代表作6選!覗いたことはあるか、この世界

著者
["泉 鏡花", "季弘, 種村"]
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第18位】ジャズにのせて越路吹雪の魅力を堪能!『足にさわった女』(1952年)

『足にさはつた女』は、元新聞記者の沢田撫松原作の小説。これを原作に、同名のサイレント映画を監督したのは、市川崑が助監督時代に師事した阿部豊です。1952年には、市川崑が現代語の『足にさわった女』というタイトルで映画化。1960年には市川監督の企画で、増村保造を監督に映画としてリメイクされ、同年、市川監督自身のリメイクでテレビドラマ化もされました。こうして何度もリメイクされたのは、それだけ原作が魅力的だといえるでしょう。

ある特急列車に、女性スリ、刑事、小説家が乗り合わせていました。それぞれの事情を抱えながら、絡み合う登場人物をコメディタッチで巧みに描いています。市川崑の映画化では、全編にジャズを起用し作品を盛り上げることに。越路吹雪の女スリはカッコよく、池部良や山村聡との掛け合いも軽快です。

著者
文芸春秋
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第17位】市川崑の夏目漱石への初挑戦!『こころ』(1955年)

『こころ』は、1914年「朝日新聞」で連載された夏目漱石の長編小説です。上「先生と私」中「両親と私」下「先生と遺書」の3部で構成されています。これまで何度も映像化や漫画化、舞台化されていますが、1955年、最初に実写映画化したのが市川崑監督です。

語り手の「私」は、鎌倉の海岸で出会った1人の男性と交流を持つことに。その人は、「先生」と呼び慕う私にもなかなか心を開いてくれません。いつも謎めいた言葉ではぐらかしてばかりの先生からある日、分厚い手紙が届くのでした。そこには先生の過去の悲劇が綴られていました。

人間の奥底にあるエゴイズムを表現したこの作品を、市川崑はあくまでも真っ直ぐに捉えようと務めました。友情と恋のどちらかを選ばなくてはいけない時、人はどうするのか……。心の抱える孤独や苦悩を、先生を通して深く考察した作品です。

著者
夏目 漱石
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第16位】水谷豊の好演が光る『幸福』(1981年)

エド・マクベインの警察小説「87分署シリーズ」は、50年にも渡り描かれた大人気シリーズです。その中の1961年に発表された『クレアが死んでいる』を原作とし、『幸福』というタイトルで市川崑が実写映画化しました。

原作は、アイソラ市警察の第87分署を舞台にくり広げられる警察の物語。シリーズ14作目にあたる本作は、87分署の刑事・クリングの恋人クレアが、ある事件に巻き込まれて亡くなってしまったため、クリングのためにも、87分署署員を上げて犯人を追うというストーリーです。

映画ではこの原作を日本に置き換え、妻が家を出ていったため2人の子どもを育てる刑事と恋人を殺された若い刑事を主人公に、事件を解決しながら「幸福」とは何かを問う物語になっています。特に、家族の絆を強く表現するために、子どもを育てる父親という設定を追加しました。本作でも、「銀残し」を採用し、風情ある映像に仕上げています。

著者
["エド・マクベイン", "加島 祥造"]
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第15位】大岡昇平が描く戦争の真実とは『野火』(1959年)

『俘虜記』や『花影』などで知られる大岡昇平がフィリピンでの戦争体験をもとに描いた小説『野火』。読売文学賞・小説賞を受賞するなど高い評価を受けました。タイトルの『野火』とは、春の初めに野原などの枯れ草を焼く火のことを意味しています。

田村一等兵は、フィリピン戦線で結核に冒されたため、本隊から追放されてしまいます。野火の燃え広がる野原をさまよう田村。極度の飢えに苦しんだ彼が下した決断とは……。戦争という極限状態での人間性とはどんなものなのか作者の体験があるからこそ描ける究極の戦争文学です。

1959年、市川崑監督が脚本の和田夏十との名コンビで実写映画化しました。あくまで客観的に、戦争の惨状や追い詰められていく人間の奥底を描いていきます。原作も映画もどちらも考えさせられる名作です。

本作以外の同作者の作品はこちらの記事で紹介しています。

大岡昇平おすすめ作品ランキングベスト5!映画化作品『野火』作者の傑作!

著者
大岡 昇平
出版日
1954-05-12

【市川崑のおすすめ映画ランキング第14位】京マチ子の七変化に注目!『穴』(1957年)

『東北の神武たち』でもタッグを組んだ久里子亭のオリジナルの脚本を、市川崑が監督した実写映画が『穴』です。

美人記者北長子は、実在する警部をモデルに汚職警官の記事を書いたところ、出版社をクビになってしまいます。そこで思いついたのが、長子本人が失踪したふりをして、自分を捜す懸賞募集を出すというもの。その間、ルポルタージュを書くのです。そのための資金を調達に、銀行へ融資の相談に行くのですが……。次々と事件に巻き込まれていく長子。裏切りに次ぐ裏切りがスリル満点の物語です。

主演の京マチ子が美しく、さまざまな変装姿が非常に魅力的。市川作品常連の船越英二、山村聡、川上康子、菅原謙二などが集結しました。市川監督のユニークな演出を堪能できる作品です。

【市川崑のおすすめ映画ランキング第13位】映像の魔術師・市川崑が描く娯楽大作!『雪之丞変化』(1963年)

1934年に発表された三上於菟吉の時代小説『雪之丞変化』は、これまで映画、テレビドラマ、舞台、歌舞伎、宝塚などで原作とされてきました。1963年、市川崑により実写映画化されています。主演は、長谷川一夫。彼の300本記念映画として製作されました。長谷川は、1935年に製作された最初の実写映画でも林長二郎名義で主演を務めています。

江戸で人気の上方芝居の若手女形・雪之丞は、ある決意をしていました。それは、長崎で豪商だった両親が、長崎奉行に嵌められ命を落としたことによる復讐だったのです。免許皆伝の腕を持つ雪之丞は闇太郎となり、宿敵を討つ好機を伺うのですが……。

雪之丞と闇太郎の二役を演じた長谷川一夫の美しさを市川崑の映像美がさらに彩ります。原作へのリスペクトがあるからこそ、自身が持つ最大限の映像トリックを使って、最高のエンターテインメント作品に仕上げています。

著者
三上 於莵吉
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第12位】山崎豊子の世界観を市川流に表現『ぼんち』(1960年)

新聞社勤務をしながら執筆活動していたベストセラー作家・山崎豊子の『ぼんち』。タイトルの「ぼんち」とは、船場にある商家の跡取りに対する呼び名で、放蕩を重ねても、辻褄の合う遊び方をする人のことをいいます。

この物語の主人公・喜久治も、父の喜兵衛の最期に「ぼんちになれ」と言われたことを信条に生きていました。彼を取り巻く5人の女性と、船場商家の厳しい決まりに翻弄されていく喜久治を描いています。この時代の船場の世界が興味深い作品です。山崎自身が、大阪の裕福な商家で育った経験を投影しています。

この原作をもとに、実写映画化したのが市川崑です。テレビドラマ化や舞台化もされている人気作品。映画版では、主人公を市川雷蔵が演じています。そのメイク映えする端正な姿で人気を博し、大映を背負った大スターでした。そんな雷蔵が市川崑に持ちかけた企画が本作。市川監督得意の娯楽大作となっています。

著者
山崎 豊子
出版日

市川崑のおすすめ映画ランキング第11位】萩原健一×市川崑タッグで贈る『股旅』(1973年)

1960年代に発足した映画会社ATG。これまでの日本映画とは異なる前衛的で野心的な作品を作り出しました。そのATGと市川崑が初めてタッグを組んだ実写映画が『股旅』です。

「股旅」とは、博徒や芸人などが諸国を股にかけて旅することをいいます。脚本は詩人として知られる谷川俊太郎、主演を萩原健一、小倉一郎、尾藤イサオが務めました。

社会の底辺からどうにかして抜け出したい3人の若者、源太、信太、黙太郎。生まれ故郷を飛び出しヤクザの世界で名を売りたいと、父を斬り、恋人を売り飛ばしていきます。そんな無鉄砲な生き方をしていく若者の生きざまを描いていく物語です。

ヤクザの世界を描くいうよりは、あくまで若者たちの野望や葛藤を描いた作品。低予算にも挑戦した、これまでとは一味違った市川作品です。 

【市川崑のおすすめ映画ランキング第10位】カンヌも唸らせた銀残しは必見!『おとうと』(1960年)

『五重塔』などで知られる幸田露伴の次女・幸田文。父と同様、小説家となった文が、自身の経験をもとに描いた小説が『おとうと』です。これまで映画化もテレビドラマ化も幾度となくされてきました。1960年に実写映画化したのが市川崑です。

主人公のげんは17歳ではありますが、継母に代わり家事一切を任されています。父は高名な作家でしたが、3つ離れた弟の碧郎は、父母の不仲や経済状態の悪化により、徐々に不良の仲間に。しだいに体調も悪くなり、ついには結核を患ってしまいます。

そんな碧郎のため、げんは甲斐甲斐しく最期まで看病に明け暮れるのでした。実際に他界してしまった実弟への想いが書かせた作品です。

市川作品に数多く出演している岸恵子の市川作品への初参加映画。その後、市川崑の代名詞となる「銀残し」に挑戦した記念すべき作品でもあります。物語の持つ清い愛情と情感深い映像は、いつまでも心から離れません。

著者
幸田 文
出版日
1991-02-10

【市川崑のおすすめ映画ランキング第9位】京マチ子の妖艶な魅力満載!『鍵』(1959年)

谷崎潤一郎の晩年の作品『鍵』は、発表されるや否や物議を醸した問題作かつ代表作です。老夫婦が互いの日記を交互に盗み読みするさまを、読者自身もまた主体となる手法を取ることで描いています。

これまでも数多くの映像作品が作られてきましたが、最初に実写映画化したのが市川崑です。市川作品でもお馴染みの京マチ子が妻を演じています。

ある夫婦が、読まれることを前提に書かれた日記を互いに盗み読みすることで、夫婦の性的な欲求を満たしていきます。しかしそこには、妻の驚くべき思惑が絡んでいるのでした。夫婦の究極の愛が描かれた作品です。

映画版では、この日記という形は採用されず普通の物語として進んでいきます。意図的に俳優に能面のようなメイクを施し、映画独自のラストも用意しました。市川崑の谷崎文学へのチャレンジが感じられる意欲作です。

著者
潤一郎, 谷崎
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第8位】金閣寺に魅せられた雷蔵の美しさ『炎上』(1958年)

1956年に発表された近代日本文学を代表する三島由紀夫の長編小説『金閣寺』を『炎上』というタイトルで実写映画化したのが、市川崑監督です。脚本は和田夏十が務めました。

物語は、金閣寺の美しさに取り憑かれた学僧・溝口の告白という形で綴られていきます。そこには、自身の持つ重度のハンディキャップによる宿命や父から再三聞かされていた金閣寺への憧れからの執着、そしてそんな金閣寺に火を放つまでの経緯が語られていくのでした。実際に起こった「金閣寺放火事件」をもとに取材を重ね書かれた三島由紀夫渾身の傑作です。

映画では市川雷蔵が主人公の溝口を演じ、三島本人からも高い評価を得ています。同時に三島は市川崑の演出も讃えています。市川は小説よりも三島の「創作ノート」をベースにしているので、原作と映画の両方を堪能することで、作品をより深く味わうことができるかもしれません。

著者
三島 由紀夫
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第7位】飛び散る汗!スポーツの素晴らしさを知る!『東京オリンピック』(1965年)

1964年10月10日に開幕した「第18回オリンピック東京大会」の公式記録映画を市川崑が担当しました。タイトルは『東京オリンピック』。当初は、黒澤明が決まっていたものの、ピンチヒッターとして市川が務めることに。

まずは、オリンピックの理念や歴史を調べながら脚本を作りました。記録映画では珍しことですが、脚本にした方がスタッフにも監督の意向が伝わるからです。初の記録映画ということもあり、戦前のベルリンオリンピックで作られた『民族の祭典』なども参考にしました。

「オリンピックは人類の持っている夢のあらわれである」という字幕で始まる本作は、選手たちの肢体美の追求やその内面にも迫り、あらためて平和やスポーツの素晴らしさを伝える内容になっています。そして、スタッフや観客などオリンピックに関わった全ての人たちを作品の出演者とし、彼らの表情なども作品の一部としました。市川崑監督らしい記録映画に仕上がっています。

【市川崑のおすすめ映画ランキング第6位】10人の女優の美の競演!『黒い十人の女』(1961年)

監督・市川崑と脚本家・和田夏十のコンビが送るブラックユーモアたっぷりの大人のストーリーが実写映画『黒い十人の女』です。幻の名作と言われていましたが、作品に魅了された多くの人たちの熱望により、1997年リバイバル上映されると一大ブームとなりました。

その後も、2002年市川監督本人によるリメイク版のテレビドラマが放送され、2016年には芸人のバカリズムが現代風にリメイクした連続ドラマの放送もされています。

某テレビ局プロデューサーの風松吉は妻の双葉がありながら、多くの女性と関係を持っていました。「風を誰か殺してくれないかしら」などと冗談に女たちが話しているのを聞いてしまった風は、自分が彼女たちに殺されると思い込んでしまいます。そこで、相談したのはなんと双葉だったのです……。

風に対する陰謀に巻き込まれる9人の愛人たち。女性の持つ恐ろしさを皮肉も交えて描く大人のおとぎ話のような作品です。そのスタイリッシュな映像美、煌びやかな女優陣の競演は今なお多くのファンを惹きつけています。

【市川崑のおすすめ映画ランキング第5位】手毬唄が誘う恐怖の連続!『悪魔の手毬唄』(1977年)

『悪魔の手毬唄』は、横溝正史の長編推理小説。横溝作品のなかでもベスト1と呼び声も高い作品です。「金田一シリーズ」の1つで、手毬唄の歌詞になぞらえた殺人事件が次々に起こっていきます。

これを原作に市川崑が監督した実写映画『悪魔の手毬唄』は、石坂浩二が金田一耕助を演じるシリーズの第2弾です。1作目の『犬神家の一族』が大ヒットを記録したのを受けて制作されました。

岡山と兵庫の県境に鬼首(おにこうべ)村という村がありました。そこに伝わる手毬唄。ある時、この手毬唄の歌詞どおりに死体が残されてました。そこで、たまたま村に訪れていた金田一耕助に事件解明の白羽の矢が立ちます。現場に残された暗号の謎……。そこで浮上する20年前の未解決事件。金田一が辿り着く真実とは?

事件の伏線、トリックの仕掛け方、また人間関係などさまざまな描写が巧みに表現されている作品です。前作に負けない市川崑の「金田一」シリーズ。本作でもその面白さは折り紙付きです。

著者
横溝 正史
出版日
1971-07-14

【市川崑のおすすめ映画ランキング第4位】4人姉妹と四季折々の映像美『細雪』(1983年)

市川崑が描く『鍵』に次ぐ谷崎潤一郎作品の『細雪』を市川崑が実写映画化しました。市川作品のなかでも根強い人気を誇る作品です。大阪の船場の名家・蒔岡家の4姉妹を巡る物語。

3女の雪子の縁談を中心とし物語は進行していきます。姉妹の中で1番の器量よしにも関わらず、なかなか縁談が決まらない雪子。二女の幸子夫妻は心配してさまざまに奔走していきます。緩やかに進行する物語は、登場人物がきめ細やかに描かれていきます。

タイトルの「細雪」とは、とても小さい雪乃こと。雪の美しさと儚さを表現しているのもしれません。映画でもその映像美は、市川作品のなかでも際立っています。

「雪子の縁談が決まって、彼女を秘かに思っていた幸子の夫が1人涙を流す」というシーンだけ、市川崑の妻で脚本家の和田夏十が書いたとされています。それは、死を前にした和田から夫へのメッセージだと言われることも。そんなことを意識しながら鑑賞するとまた違った趣が感じられるかもしれませんね。

著者
谷崎 潤一郎
出版日
1955-11-01

【市川崑のおすすめ映画ランキング第3位】謂われなき差別に人間の尊厳をみつめて『破戒』(1961年)

『初恋』などの詩で知られる島崎藤村が小説に転向した最初の作品が『破戒』です。夏目漱石などからの高い評価を受け、自然主義文学の旗手として期待されていました。

明治後期を舞台に、父の教えを守り、部落出身であることを隠して生きる瀬川丑松は小学校教員になります。同じく部落出身の解放運動家・猪子蓮太郎と知り合い、彼に自身の身分を打ち明けるか思い悩みます。そんな折、猪子の壮烈な死を目の当たりにし、自らの殻を破り本当の自分を解放することに。そして、アメリカのテキサスへと旅立っていくのでした。

まずは1961年に市川崑と和田夏十コンビで連続ドラマに挑戦。その翌年、市川作品3度目の主演となる市川雷蔵を迎え、テレビ版と同じコンビで実写映画化します。本作で藤村志保がデビューを飾りました。映画版では、テレビ版と演出のリズムを変化させ、ある若者の目覚めを表現しています。原作の完成度に負けない映画となっています。

著者
島崎 藤村
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第2位】戦争とは。人間の命について考える『ビルマの竪琴』(1956年)

市川崑監督は、竹山道雄唯一の児童向け小説『ビルマの竪琴』を同名タイトルで2度映画化しています。そのうち最初に実写映画化したのは1956年でした。この時はモノクロフィルムだったため、1985年にカラーフィルムでセルフリメイクしています。ヴェネツィア国際映画祭での受賞など、内外で高い評価を得ました。

戦時中のビルマに駐留する日本軍のなかに、隊長が音楽家だったため合唱で士気を高めていた小隊がありました。そのなかでもひときわ音楽の才能に長けていたのが水島上等兵。終戦を迎え、イギリス軍の捕虜になる水島でしたが、消息不明となってしまいます。そんななか、水島に似たビルマの僧侶を見かける仲間たちでした。

戦争が終わっても、人々の心に残った傷は永遠に残ります。戦死した同胞のため、ビルマに残る水島の選択に深い感動を覚える作品です。児童書といいながら、大人でも十分読みごたえがあります。この映画版は原作に忠実に製作されています。小説も映画も、命の大切さを教えてくれる珠玉の作品です。

こちらの記事でもより詳しく解説しています。

『ビルマの竪琴』が5分でわかる!あらすじやモデル、インパール作戦等を解説

著者
["竹山 道雄", "高田 勲"]
出版日

【市川崑のおすすめ映画ランキング第1位】新感覚ミステリーの決定版!『犬神家の一族』(1976年)

『犬神家の一族』は、横溝正史の人気小説「金田一」シリーズの1つです。何度も映像化されている作品ですが、市川崑監督による1976年公開の同名実写映画が最も知られています。この映画は、角川春樹事務所に映画製作第1弾として製作され、一大ブームを巻き起こしました。

私立探偵金田一耕介は、信州財界の重鎮・犬神家の顧問弁護士事務所の若林から、遺産相続を巡り調査依頼を受けます。金田一が逗留していたホテルで若林が毒殺されたことで、犬神家に関わる人々に起こる大きな事件に巻き込まれていく金田一でした。調査が進むにつれ、新事実が明らかになっていくのですが……。

名家のお家騒動、斧・琴・菊(よきこときく)の見立て殺人、偶然の産物によるトリックという斬新さ。この一味違ったミステリーに魅了されてしまう原作ファンも多いようです。

映画版はまた原作とは異なる設定も多く、映像だからこそできる表現でビジュアルインパクトの大きさはこの映画の1番の特徴です。原作と映画がこれほどまでに相乗効果で楽しめる作品は他にないかもしれません。

著者
横溝 正史
出版日

【監督・脚本・演出作品一覧】市川崑は日本の誇る文学を美しく見せる名監督

最後に、ランキングでは紹介しきれなかった作品もふくめて、監督が手掛けた作品を原作の有無とともに一覧で紹介します。

【映画】

『弱虫珍選組』(1935年)

『新説カチカチ山』(1936年)  原作『かちかち山』

『娘道成寺』(1945年)

『東宝千一夜』(1947年)


 

*以下が実質的な監督昇進後作品

『花ひらく』(1948年) 原作『眞知子』

『三百六十五夜 東京篇・大阪篇』(1948年)  原作『三百六十五夜』

『人間模様』(1949年) 原作『人間模様』

『果てしなき情熱』(1949年)

『銀座三四郎』(1950年)

『熱泥地』(1950年)

『暁の追跡』(1950年)

『夜来香』(1951年)

『恋人』(1951年)

『無国籍者』(1951年)

『盗まれた恋』(1951年)

『ブンガワンソロ』(1951年)

『結婚行進曲』(1951年)

『ラッキーさん』(1952年)  原作『ホープさん』『三等重役』

『若い人』(1952年)  原作『若い人』

『足にさわった女』(1952年)  原作『足にさはつた女』

『あの手この手』(1952年)

『プーサン』(1953年)  原作『プーサン』

『青色革命』(1953年)  原作『青色革命』

『天晴れ一番手柄 青春銭形平次』(1953年)  原案『銭形平次捕物控』

『愛人』(1953年)

『わたしの凡てを』(1954年)

『億万長者』(1954年)

『女性に関する十二章』(1954年)  原作『女性に関する十二章』

『青春怪談』(1955年)  原作『青春怪談』

『こころ』(1955年)  原作『こころ』

『ビルマの竪琴 第一部』(1956年)  原作『ビルマの竪琴』

『ビルマの竪琴 第二部』(1956年)  原作『ビルマの竪琴』

『処刑の部屋』(1956年)  原作『処刑の部屋』

『日本橋』(1956年)  原作『日本橋』

『満員電車』(1957年)

『東北の神武たち』(1957年) 原作『東北の神武たち』

『穴』(1957年)

『炎上』(1958年)  原作『金閣寺』

『あなたと私の合言葉 さようなら、今日は』(1959年)

『鍵』(1959年)  原作『鍵』

『野火』(1959年)  原作『野火』

『女経 第二話・物を高く売りつける女』(1960年)  原作『女経』

『ぼんち』(1960年)  原作『ぼんち』

『おとうと』(1960年)  原作『おとうと』

『黒い十人の女』(1961年)

『破戒』(1962年)  原作『破戒』

『私は二歳』(1962年)  原作『私は二歳』『私は赤ちゃん』

『雪之丞変化』(1963年)  原作『雪之丞変化』

『太平洋ひとりぼっち』(1963年)  原作『太平洋ひとりぼっち』

『ど根性物語 銭の踊り』(1964年)

『東京オリンピック』(1965年)

『トッポ・ジージョのボタン戦争』(1967年)

『第50回全国高校野球選手権大会 青春』(1968年)

『愛ふたたび』(1971年)

『股旅』(1973年)

『時よとまれ 君は美しい -最も速く-』(1973年)

『吾輩は猫である』(1975年)  原作『吾輩は猫である』

『妻と女の間』(1976年)  原作『妻と女の間』

『犬神家の一族』(1976年)  原作『犬神家の一族』

『悪魔の手毬唄』(1977年)  原作『悪魔の手毬唄』

『獄門島』(1977年)  原作『獄門島』

『火の鳥』(1978年)  原作『火の鳥』

『女王蜂』(1978年)  原作『女王蜂』

『病院坂の首縊りの家』(1979年)  原作『病院坂の首縊りの家』

『銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)』(1979年)  原作『銀河鉄道999』

『古都』(1980年)  原作『古都』

『幸福』(1981年)  原作『クレアが死んでいる』

『長江』(1981年) 

『細雪』(1983年)  原作『細雪』

『おはん』(1984年)  原作『おはん』

『ビルマの竪琴』(1985年)  原作『ビルマの竪琴』

『子猫物語』(1986年) 

『鹿鳴館』(1986年)  原作『鹿鳴館』

『映画女優』(1987年)  原作『小説・田中絹代』

『竹取物語』(1987年)  原作『竹取物語』

『つる -鶴-』(1988年)

『天河伝説殺人事件』(1991年)  原作『天河伝説殺人事件』

『帰って来た木枯し紋次郎』(1993年)  原作「木枯し紋次郎」シリーズ

『四十七人の刺客』(1994年)  原作『四十七人の刺客』

『八つ墓村』(1996年)  原作『八つ墓村』

『どら平太』(2000年)  原作『町奉行日記』

『新選組』(2000年)  原作『新選組』

『かあちゃん』(2001年)  原作『かあちゃん』

『犬神家の一族』(2006年)  原作『犬神家の一族』

『ユメ十夜』(2007年)  原作『夢十夜』

【テレビ作品】

『恋人』(1959年)

『冠婚葬祭』(1959年)

『恋飛脚大和往来・封印切の場』(1959年)

『隣の椅子』(1959年)

『足にさわった女』(1960年)  原作『足にさはつた女』

『駐車禁止』(1960年)

『檸檬』(1961年)  原作『檸檬』

『破戒』(1961年)  原作『破戒』

『プロ』(1963年)

『源氏物語』(1965年)  原作『源氏物語』

『木枯し紋次郎』(1972年)  原作『木枯し紋次郎』シリーズ

『ただいま浪人』(1972年)  原作『ただいま浪人』

『追跡』(1973年)  原作「天使」シリーズ

『狼無頼控』(1973年)※タイトルバック

『世界の絵本』(1974年)

『丹下左膳』(1974年)  原作『丹下左膳』

『われらの主役 男の詩・長嶋茂雄』(1977年)

『われらの主役 金田一登場・石坂浩二』(1977年)

『ゆく年くる年・その愛』(1979年)

『御存知!鞍馬天狗』(1989年)  原作『鞍馬天狗』

『終戦45年ドラマスペシャル 戦艦大和』(1990年)  原作『戦艦大和ノ最期』より「吉田満著作集」

『真実一路 前編・後編』(1993年)

『その木戸を通って』(1995年)  原作『その木戸を通って』

『刑事追う!』(1996年)

『赤西蠣太』 (1999年)  原作『赤西蠣太の恋』

『オードリー』(2000年)※題字

『水戸黄門』(2001年、2002年)※第29部・第30部OPタイトルバック

『盤嶽の一生』(2002年)  原作『盤嶽の一生』

『逃亡』(2002年)  原作『逃亡』

『黒い十人の女』(2002年)

『娘の結婚』(2003年)  原作『父と娘』

『娘の結婚 「晩春」より』


 

市川崑監督作のおすすめ映画を中心に紹介しました。ランキングでは紹介しきれなかった作品も含めて、映画でもテレビでも原作がある作品の多さに驚かされます。特に文豪作品への挑戦が多く見受けられました。市川崑監督作の原作だけでも、豊かな読書経験になること間違いありませんね。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る