暴れん坊の少年が両親を亡くした先に見た世界とは……?『キーチ!!』は主人公の染谷輝一と、その周囲の人との物語です。かなり過激な内容の本作のあらすじと主人公輝一の生い立ちをご紹介します!
- 著者
- 新井 英樹
- 出版日
幼い頃から暴れんぼうの男児が突然両親を亡くし、自分で生き方を模索していく姿を追った作品です。目をそらしたくなるような厳しい現実社会で、小学生の登場人物たちが理不尽な大人に負けじと世の中を変えるべく奮闘していきます。
本作は主人公が小学生時代までの物語で、続編『キーチVS』ではさらに成長した姿が描かれています。
主人公は世の中を変えようと行動していますが、正義感や平和を目的にしているわけではありません。とにかく社会にある、自分が許せないものと戦うのです。その姿には、作者の強いメッセージが込められているように感じられるでしょう。
海育ちの母と山育ちの父との間に生まれた輝一は、幼稚園児の頃からかなりのきかん坊で問題児。無口でどんなに怒られ殴られても絶対に泣きません。そして親に対しての執着がなく放浪癖があり、母が少し目を離したスキにどこかに消えてしまうこともあります。
そんな輝一が尊敬する唯一の人物が父です。元々父のことはあまり気に留めていなかったのですが、あるきっかけがあり父を心から尊敬するようになり父の言うことは何でも聞くようになります。
そんな日々を過ごしていたある日、輝一の両親は輝一の目の前で通り魔に刺されて殺されてしまいます。尊敬していた父が目の前で殺されショックを受け、輝一は初めて涙を流すのでした。
- 著者
- 新井 英樹
- 出版日
- 2002-07-30
両家の祖父母による毎日の親権争いが嫌になり、輝一は家出をします。街をウロついていると、モモと名乗る女のホームレスと出会いました。そのままモモと生活を共にするのですが、捜索願を出されている身の輝一との生活は危険と隣り合わせで、モモと輝一は今まで住んでいた場所から逃げ、モモの旧友の秋ポンがいる伊豆に身を寄せるのですが……。
秋ポンから部屋を借りそこで生活していたモモと輝一でしたが、その部屋は秋ポンと愛人のヤリ部屋だったので、秋ポンの愛人と鉢合わせてしまいます。モモが上手く言い訳をしてことなきを得ますが、秋ポンの愛人はモモのことを気に入り、最終的にモモは輝一を置いて高飛びしてしまうのです。
取り残された秋ポンと輝一でしたが、秋ポンは輝一を警察に連れて行くことを決めます。しかしその道中で輝一は秋ポンとはぐれ、秋ポンは輝一を探している間に事故に合い、昏睡状態となってしまうのです。
- 著者
- 新井 英樹
- 出版日
- 2004-06-30
輝一は山中で発見され、発見された当初のインタビューで、1人で生きて行くことはとても素晴らしいという旨の発言をし、ちょっとした有名人になりネットなどでファンサイトが作られるなどコアなファンが増えていきます。
後に小学校に進学する輝一でしたが、周囲に馴染めず問題行動起こしては転校を繰り返し、最終的に父方の祖父母に引き取られそこで甲斐という天才小学生と出会います。
輝一のクラスでは陰湿なイジメが行われており、そのターゲットみさとを助けろと輝一は甲斐に指示し、以前の事件で輝一を知る甲斐は輝一に認められたい一心でイジメを止めさせるのですが、みさとにはある秘密がありました。
みさとはなんと父親に児童売春されており、輝一と甲斐に助けを求めますが、みさとの客の中には政治家や様々な権力を持った人物が多く2人の行動はことごとく揉み消されてしまいます。
2人だけの力でとどうにもならないと、周りの大人の力を借りて政治家たちの児童売春という悪事を公にします。そこから輝一は更に熱狂的な支持を受け、甲斐は輝一をより一層国民に崇拝させるための算段を企てていくのです。
輝一は幼少期に面倒を見てくれた秋ポンに会いに行くのですが、秋ポンは何年も経った今でも昏睡状態のまま。輝一は秋ポンを必ず迎えに行くと約束したのですが、その約束を果たせず自分の無力さを感じ落ち込んでしまいます。
しかし、病院からの帰り道に秋ポンか昏睡状態から目覚めたという連絡が入り……。
- 著者
- 新井 英樹
- 出版日
世の中の不条理に対して、大きな声でノーと言ってはいけないような風潮が少なからずあるなか、本作の主人公の行動は非常に清々しくうつります。
しかも、行動を起こしている人物は小学生たち。理不尽なことに対して、「世の中そういうものだ」と諦める大人たちには、到底できない行動です。
『キーチ!!』で描かれるのは、子供時代のみ。その後の奮闘劇は続編でお楽しみください。次で少しだけ見どころを紹介します。
- 著者
- 新井 英樹
- 出版日
50代独身男が認知症の母を介護するシーンから始まる続編『キーチVS』。社会の厳しい現実がかなり際どいところまで描かれていて、「現実でも辛いのに、どうして漫画でもこんなにツラい心情を味わなければならないのか……」と感じてしまう方もいるかもしれません。
前作で小学生ながら、大人たちに世の不条理を訴えてきた主人公たちは、「真っ当でいろ」をモットーにNPO法人を立ち上げます。
より力を得た主人公たちは、世の中の理不尽なものに対して、どのような行動に出るのでしょうか?