主人公ルフィが海賊王を目指す漫画『ONE PIECE』。今回はその数々の名場面の中から神回と呼ぶにふさわしいシーンをランキング形式でまとめていきたいと思います!
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2002-04-04
名場面ばかりの「ワンピース」ですが、選考の基準として、物語にとって大きな転換点となるシーンや、感動シーン、キャラクターにとっての大きな成長が見られたシーンなど総合的に見て考えています。それぞれの好みもあると思いますが、おつきあいください!
第64巻 634話 「10万VS10」
2年間の修行を終えて再集合した麦わらの一味の初めての大きな戦闘です。ホーディ率いる新魚人海賊団との戦闘において、相手は約10万人の敵がいました。それに対峙する麦わらの一味の戦力は10人。これに対して一体どういう戦略で戦っていくのか非常に楽しみなシーンでした。
それぞれの修行の成果が魚人島につくまでに小出しにされてきていましたが、その期待感がこのシーンで一気に爆発します。ルフィの覇王色の覇気の発動です。10万の敵が一気に5万人倒れてしまうシーンで圧倒的な麦わらの一味の成長と可能性が描かれた回であったと思います。
その後の戦闘においてもゾロの覇気を纏った剣撃、サンジのスカイウォークやフランキー将軍など様々な成長がかいま見られた印象的なシーンでした。新生麦わら一味の無双状態のお披露目兼それぞれの修行の成果を確認できた回でもあったと思います。
第44巻 427話 「ここが地獄じゃあるめェし」
CP9(サイファーポールナイン)のリーダー格であるロブ=ルッチとルフィの決戦シーンはエニエスロビー編においての神回といえると思います。まずはサイファーポールの駆使する体術「六式(ろくしき)」に対抗するための手段としてルフィが編み出したギア2の登場。
その前のブルーノ戦から使用はしていましたが、ギア2状態から放たれるルフィのラッシュとレオパルド状態のルッチの戦闘シーンは圧倒的なスピード感があり、今までのゴムの性質を活かした戦闘描写からガラッと変わった印象がありました。
格段にルフィの戦闘力が向上したにも関わらず、それに対応してあまりある実力を持つルッチの破壊力に恐怖しながらも拮抗する戦闘シーンの緊張感がたまらない場面であったと思います。その裏で並行して進むバスターコールの中、ロビンの想いやフランキーの想い、たくさんの人の想いを背負ってぼろぼろの体で戦うルフィの姿に心を打たれました。
六王銃が直撃し、倒れ込んでしまったルフィに対してそげキングの仮面を外してルフィを鼓舞するウソップの姿、それに答えるように「まいったなんて言ってねぇ」と再びルッチに対峙し、JETガトリングを懸命に打ち込んで勝利したシーンは最高です。
第65巻 644話 「ゼロに」
魚人島編で放たれた修行後のルフィの一幕です。武装色の覇気「硬化」によって硬くした拳から放つゴムゴムのブレットですが、その拳には炎が。頂上決戦の結末は最大の目的であった兄、エースの救出失敗、その兄の死をもって終結しました。
絶望の中、修行に向かい、様々な人のやさしさに気づきながら成長を果たしたルフィは、兄エースの死も受け止め糧にして進化を遂げました。もちろん戦闘力自体の向上は一味の再会の時点で分かっていたことですが、兄の死については言及されておらず、ルフィの心にどのように残っているのか心配に思っていた読者もいるでしょう。
それを払拭するかのように放たれたこの火拳銃(レッドホーク)はまさに兄から受け継いだ遺志を反映した拳。諸説あるようですが、レッドホークの原理はメラメラの実とは異なり、硬化したルフィの拳が空気との摩擦によって発熱して炎を纏っているため拳が燃えているのです。
ただ、この「火拳」銃という標記と兄の代名詞である炎はしっかりと兄の死を乗り越え、二度と兄のように自分の大切な人を失わないんだというルフィの決意も込めた一撃を表現しているように思います。特に魚人島編は新世界最初の長編でもあったため、修行後の一味の心を描く必要があったとも考えられるため、上記のように考えてもおかしくないでしょう。
物語的にも大きなポイントとなり、かなり注目度の高かったシーンです。何よりレッドホークがかっこいいという点も好評価です。
第50巻 485話 「麦わらの一味 海賊狩りのゾロ」
スリラーバーク編の終了後、パシフィスタであるバーソロミュー=くまの襲撃を受けた麦わらの一味。すでにぼろぼろのルフィを守るため、ゾロとサンジが体を張って船長を庇おうとします。その中でサンジを気絶させてまで一人でその痛みを全て請け負ったゾロの心意気はまさしく本物でした。
完全に死を覚悟せざるをえない実力差と状況であったため、仲間を思うゾロ、サンジの二人の心の強さが現れていました。その中で、世界一の剣豪という自分の夢が断たれる可能性があったにも関わらず、船長であるルフィを助けること、仲間を助けることをいっさいの迷いなく実行するあたりは本当にかっこ良かったです。
実際に壮絶なまでのルフィの痛みや疲労を肩代わりしたゾロはかけらだけでも悶絶するレベルで苦しんでいました。しかし最終的に気合ですべてを受け止め、何も知らないルフィたちに対して「何も無かった」と満身創痍の体で一言だけ言い放ちました。普通だったら死んでいてもおかしくないレベルの重症でしたが、決して倒れず、仲間も守りきったゾロの姿は誰しもが心動かされた名場面といっても良いのではないでしょうか。
ゾロの魅力を紹介した<漫画「ワンピース」ゾロの魅力6選!武士道を貫く男の生き様!>の記事もおすすめです。
第8巻 68話 「4人目」
サンジが首領クリークとの戦闘を終結させ、改めてルフィの誘いに乗った後のシーンです。いよいよ今までずっと世話になった海上レストランのバラティエの前には、口の悪い同僚コックたちが見送りにきてくれていました。それだけでも涙が出そうな程嬉しいサンジでしたが、そこはぐっとこらえて、黙って出て行こうとします。
その見送りの場所には一番世話になったオーナーのゼフの姿だけがありませんでした。少し気がかりなルフィでしたが、そろそろ出発の時間となり、サンジが一歩踏みだす瞬間、ゼフが現れます。ぴたりととまる時間。ゼフがサンジに一言「カゼ、ひくなよ」と。
この一言でおさえてきた感謝と別れの感情が爆発したサンジが振り返り、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらゼフに感謝の言葉を述べるシーンは読者の涙も誘ったことでしょう。ぶっきらぼうなゼフも息子同然のサンジの言葉を聞いて涙ぐんでおり、それを皮切りに他の同僚たちも大号泣するという感動的な旅立ちのシーンでした。
サンジとゼフの関係が描かれている経緯もあり、より二人の絆が強調されたシーンとなりました。血縁ではないものの、その後もサンジはふるさとをバラティエだということを自分の出生が明らかになった後も考えており、それほどの想いがサンジにはあったと感じ取れるシーンです。
サンジについては<漫画「ワンピース」サンジの魅力5選!ついに明かされた壮絶な過去!>の記事で紹介しています。
第9巻 81話 「涙」
物語の序盤からルフィに同行していたナミでしたが、このアーロンパークで出生が明らかになります。ナミの過去を知ったルフィは何かしようかと考えますが、ナミはかたくなにそれを拒否します。自分の問題なのだと抱え込み、全て自分が耐えて忍べばいつか解放される日が来るとナミなりに考えての行動をとってきました。
それはナミの町の人間もしっかりと理解しており、陰ながら感謝し応援してきました。しかし、それはナミやルフィの目の前でアーロン一味によって裏切られ、わずかな希望をかき消されることになります。
ナミの意志を尊重し、傍観していたルフィでしたが、絶望し、泣き崩れるナミのそばでジッと待っていました。ナミの決意を待つように、ジッとその場にたたずむルフィに対して、ナミが泣きながら「助けて」と絞り出します。
このシーンにはナミの葛藤や今までの想い、後悔や怒り、無力さを嘆く感情などが全て凝縮されて描かれています。ひとコマの、「助けて」という言葉から読み取れる背景が半端じゃありません。それに対してルフィはまっすぐに、そして嬉しそうに、「当たり前だ」と言い放ちます。ルフィとナミの間に本当の絆が作られたシーンであり、ナミ自身が孤独から抜け出した名場面と言えるでしょう。
ナミの魅力を紹介した<「ワンピース」ナミの5つの魅力!天候を操る航海士の過去や秘密、名言など>の記事もおすすめです。
第17巻 148話 「折れない」
チョッパーの尊敬するヒルルクの掲げた海賊旗に対しての名シーンです。チョッパーの信じてきたものを侮辱し、蹂躙しようとするワポルですが、とうとう城の頂上に掲げていたヒルルクの海賊旗に攻撃を仕掛けます。
海賊であるルフィは、海賊旗が何を意味しているものか分かっており、それを傷つけようとするワポルに激怒します。その忠告も無視して旗を攻撃するワポルですが、旗が折れて落ちてしまう寸前、その場にはルフィが。
折れた旗を持って、その場に立ちはだかります。「海賊旗は信念の象徴なんだ」と言い放ち、ワポルの追撃が直撃しても微動だにせずそこに立っています。ヒルルクの掲げた想いは絶対に曲げない、折れない、色あせないんだと伝えるかのごとく、大砲の直撃を受けてもその場に立ち、「ほらな、折れねぇ」と言い放つルフィ。
この時点でルフィはチョッパーもドクターくれはも救っているのです。2人が信じてきたものをルフィも信じると、どれだけ周りが2人を馬鹿にしようが、間違っていないんだと、自分たちが信じてきたものは絶対に正しい、俺も応援するんだという意思表示を体を張ってやってのけたのです。
それに呼応するようにチョッパーも自分の殻を破り、ワポル一味と対峙し撃退していきます。その過程の中でくれははチョッパーの成長を感じ、旅に出させようという決意が固まるのだと思います。この海賊旗のシーンはチョッパーの成長と、ルフィが仲間を見つける時の想いの伝え方の両方が熱く描かれた名場面ではないでしょうか。
チョッパーについては<漫画「ワンピース」チョッパーの魅力4選!トナカイだ!でも、男だ!>の記事で紹介しています。
第41巻 398話 「宣戦布告」
ルッチ戦と並行して進んでいたストーリーです。ロビンの出生の歴史が明らかになり、ロビン自身もまた他の麦わらの一味と同じように夢を持っていたことが描かれます。ロビンは麦わらの一味の中でも年長者であり、自分なりに苦労し、努力してきた経緯もありました。
その中で、どうしても限界を感じてしまっていました。本当は叶えたくてたまらない夢もあるし、絶対にあきらめたくなんて無いのに、世界がそれを許しませんでした。才能もあり、努力もしてきたロビンだからこそ、すがる先を見失ってしまっていたのでしょう。
バスターコールも発動され、サイファーポールも動き出します。自分自身もとらわれの身となり、いよいよ本当に無理なんだとあきらめかけた目の前には、決してあきらめることをしない、自分のことを仲間と思ってくれているのかさえ怪しいと感じていた(でも自分では少し信じたいと、可能性を感じて惹かれ始めていた)「仲間たち」の姿がありました。
彼らが待っているのは、自分のわがままだけ、どうしても生きたいというわがままを「仲間」に伝えるということだけ、でもその勇気が今まで出せなかったのがロビンの課題でした。ナミの時と同じように、ルフィは待ちます。
誰にも心を許さなかったロビンが、世界を敵だと思っていたロビンが、初めて人を頼り、自分のわがままを叫んだ瞬間でした。その瞬間、一味はさらに勢いを増して「仲間」ロビンを救出に向かうのです。約20年分もの苦しみがこもったロビンの「生きたい」という叫びはたった4文字でロビンの今までを伝える力がありました。そしてその決意を受け止めて応援する仲間の姿も。誰しもが名場面に必ず挙げると言っても過言でないシーンです。
第60巻 590話 「弟よ」
仲間を信じてやまないルフィですが、自分自身の過去を知り、共に育った数少ない心のよりどころの喪失は、全ての自信を奪いました。今までは何とかなるで実際になんとかしてきたルフィの初めてと言っていい程の巨大な挫折です。
マゼランの猛毒、極度の疲労にドーピングを施し続けた満身創痍の体もあって、ルフィは今までにない無力感を味わいます。
守ろうとしたものを守れなかった。このままでは何も成し遂げられないのではないかと自暴自棄になるルフィに対して、なぜ自分の命が救われたのか、この後できること、死んだ兄の遺志を継いで何をしなければいけないのかを全力でぶつかり、思い出させてくれたのはジンベエでした。
ナミやロビンを救ったとき、必ずその決意を応援してくれた強引な船長ルフィがいたように、ルフィにもジンベエという味方がいてくれたのです。脱力してしまったルフィに渾身の喝を入れ、今その手に残るものは何なのか、改めて問いかけてくれたジンベエの言葉に、ルフィはやっと思い出すことができたのです。
目にたくさんの涙を浮かべながら、「仲間がいるよ」と自分が紡いできた絆を頼りに、一つ一つそれをたぐり寄せながらルフィに生気が戻っていきます。エースの死はルフィ以外にも深いキズを残しましたが、自分が救った仲間と同じように、ルフィ自身も仲間に救われたこの場面で、兄の遺志は受け継がれ、前進をするための準備が整いました。
ワンピースのシーンの中でもルフィの弱い部分が前面に描かれた重要なシーンですが、ここでのジンベエの行動が無ければ今のルフィは絶対にないでしょう。また、このシーンがあるからこそ、「絶対に繰り返さない」という本当に強くなったルフィが強調されることになるのです。
第59巻 579話 「勇気ある数秒」
頂上決戦はエースの死で終焉を迎えることは無く、その後も乱戦が続きました。その中で海兵隊員として決戦に参戦していたコビーに見聞色の覇気が覚醒します。そしてこの見聞色の覇気の覚醒がコビーの正義を定め、悪を殲滅せんと引き続き行動する赤犬の前に命を張って飛び出す覚悟を固めさせたのです。この捨て身の数秒は、四皇であり、ルフィの目標であるシャンクスの心にも響きました。
この数秒のおかげでシャンクスが赤犬を止めることができたのです。そしてこの衝突が終止符となり、頂上決戦は終結します。そもそも、大将3人が掲げる正義はそれぞれ違います。なぜでしょうか。きっと正義というものが立場やその人の価値観によって変わるものだということを表しているのではないでしょうか。コビーはそのことに気づき、迷ってしまったのです。
今自分たちがしていることは本当に正義なのだろうかと、誰のための戦いで、誰が救われるのかと、コビーには誰も救われるように聞こえなかったのでしょう。何よりも生きていることが、コビーにとっての正義だった。
悪は滅びよとしても、今この場所には正義は存在しないと感じ取ったからこそ、捨て身で動けたのだと思います。残念ながら赤犬は赤犬で強烈な信念があったため、理解こそされませんでしたが……。そもそもルフィたちのような海賊が存在している以上、正義と悪という概念についての問題提起もこの物語の中ではなされているのだと思います。
海軍は正義の象徴として描かれていましたが、その中でも葛藤がある。ただそれぞれの正義の名の下に活動していることが頂上決戦の終盤ではよくわかりました。その後の赤犬と青キジの対立を見ても分かります。この構図と、コビーの正義、シャンクスの迫力が描かれた非常に重要なシーンです。
コビーについては<「ワンピース」コビーの成長が止まらない!海軍大将を目指す男は、裏主人公かラスボスか。>で紹介しています。
第59巻 576話 「大海賊エドワード ニューゲート」
ロジャー亡き後の最強の海賊と名高い白ひげの戦闘シーンは頂上決戦でしかほとんど描かれていません。何千という強固な兵や兵器に対して一騎当千の奮闘をするものの、仲間の謀反や黒ひげたちの不意打ちによって命を落としてしまいます。
それでも逃げ傷なし、圧倒的なまでの迫力と戦果を残して散っていきました。その中での白ひげは終止仲間(息子たち)を思って死んでいく様が描かれており、白ひげの偉大さと、最強と言われるだけの器の大きさを示したシーンです。
味方の謀反にあってダメージを受けるシーンでも、後悔する犯人に対して、決しておこらず、その罪までも愛するという姿勢で救おうとしました。エースに対しても、自分の命を賭してエースを救おうと海軍に向かっていきます。
その際も「俺が親父で良かったか?」とエースに投げかけていました。本当にエースは白ひげを慕っていたのでしょう。それがきっかけになり、エースの死へもつながっていきます。
若い世代に時代をつなごうとした偉大な男の最後を描いた名シーンです。
第59巻 574話 「ポートガス D エース死す」
頂上決戦では弟分のルフィの命がけの勇気によって、一旦は救出されたエース。弟とのコンビネーションも絶妙で目的は遂げられたかに思いました。しかし、そう思ったのもつかの間、大将たちの防戦に合い、苦戦を強いられます。
そして、死に至る引き金になったのは、エースが感謝してやまない親父、白ひげを侮辱した赤犬のセリフでした。白ひげを前の時代の敗北者、ゴミ山の大将と罵った赤犬に対してエースは激高してしまいます。
おそらく、勝利とまではいかなくとも、拮抗する程度の実力は本来ならあったはずのエースでしたが、満身創痍のルフィを庇い、赤犬の一撃を食らってしまいます。エースはメラメラの実の能力者で炎人間でしたが、赤犬はさらにその上を行くマグマ人間。
上位種の力を無効化できず胸を貫通する致命傷を負ってしまいます。薄れゆく意識の中で、弟のルフィを始め、今まで奔放な自分を支え、助けてくれた仲間たちに感謝を述べながらエースは散っていきました。「愛してくれてありがとう」この最期の言葉はエースというキャラクターの死以上の重みを持って物語の中で使用されました。
エースを育てた親父「白ひげ」の想い、兄を救おうと命をかけて切り込んだ「ルフィ」の想い、その二人に時代を託そうとした人々の想い全てにエースは感謝をしていたのだと思います。物語の中でも1、2を争う人気キャラクターの重要シーンです。
第5巻 40話 「ウソップ海賊団」
物語序盤の名場面です。一貫してキャラクターの根本にあるのはその人物の掲げる「夢」や「信念」であると思います。特に麦わらの一味はそれぞれルフィが気に入るような信念や想いを持っているキャラクターが多いと思います。
その中でウソップの仲間入りのシーンです。ウソップはもともとふるさとの村で「ウソップ海賊団」というウソップ以外の団員年下3名と徒党を組んでいました。その海賊団と、カヤ救出やクロたちとの戦いを経て、とうとうウソップが旅立ちの決意をした際、全員が丘の上に集合しているシーンです。実はこの場所がウソップ海賊団発足の地でもあったのです。
そこにあえてウソップは3人を呼び出し、「海賊旗が俺を呼んでいる!」と高らかに自分自身の決意表明をします。
最初は3人から反対に合うものの、船長の覚悟を察してか、ウソップの「お前たちの野望は何だ!」から始まり、「酒場を経営することです!」「大工の棟梁になることです!」「小説家になることです!」とそれぞれが涙ながらに自分の目標を宣言し、「それぞれの野望の火を絶やすこと無く己の道を突き進むことをここに誓え!」とウソップなりのメッセージを送り、「今日限りを持って、ウソップ海賊団を解散する!!!」と言います。
これは別れの言葉のように見えますが、互いに目標に向かっていくのだから決して道は違えない、歩む道は違っても、自分たちはずっと仲間だということが分かります。3人もそういったウソップの想いが分かったのでしょう。必死に涙をこらえて受け止めようとしています。
ウソップは臆病な面もありますが、誇りや信念といった点においての名言や名場面が多くあります。戦闘シーンこそ狙撃手と言うこともあり派手ではないですが、人一倍夢や志への執着は強く、それは同士と認めた仲間の夢であっても笑うものは許しません。そんなウソップの優しさと強さがしっかりと描かれたシーンです。
ウソップについて<漫画「ワンピース」ウソップ6つの魅力!無類の嘘つき、いまやゴッド!>をチェック。
第44巻 430話 「降りそそぐ追憶の淡雪」
麦わらの一味の最初の海賊船であるゴーイングメリー号ですが、長い航海の中で航行不可能なまでのダメージが蓄積されてしまいます。メリー号を迎えるきっかけとなったのはウソップの村での出来事でした。特に一味の中ではウソップが、船に対する思い入れが強く、フランキーが来るまでは器用さを買われてメリー号の修繕は全てウソップが担当してきた経緯もありました。
その中で、船長として、今後の航路を考えてもメリー号を手放す決意をルフィはします。しかしそれに反対するウソップと喧嘩になり、ウソップが一味を抜けると言い出してしまう事態に発展してしまいました。
その後、ウソップはそげキングとして復帰し、ロビン救出にも参加するのですが、その過程の中で最期の敵としてCP9リーダー、ロブ=ルッチが立ちはだかります。ギア2、ギア3を駆使してなんとかルッチと死闘を繰り広げ、そげキングあらためウソップからのルフィにたいする喝も後押しとなってルッチに勝利します。
しかしギアの反動で身動きができないルフィは崩壊する建物から脱出できなくなってしまいます。このままだと泳げないルフィが海に落ちてしまう!というシーンでどこからか声が聞こえてきます。そこにはもう海には出れないと言われたはずのメリー号の姿が。波に乗ってまるで自立しているかのようにルフィたちを救い出し、サンジの機転もあって海軍に囲まれた海域を見事に脱出しました。
一味がメリー号に感謝をする中、本当にこれが最期の航海であったことが伝えられます。メリー号自身から、聞こえるはずの無い声がみんなに届き、互いに感謝の言葉を伝え合いながら、ルフィがメリー号に火を放ち、お別れを告げます。楽しい思い出も、苦しい思い出もずっと一味と共に過ごしてきた仲間との別れは本当に切なく、涙無くしては見ることができない名場面です。
第23巻 216話 「ビビの冒険」
栄えある第1位はアラバスタ編のラストシーンです。国を救うため、麦わらの一味とずっと行動を共にしてきたアラバスタ王国王女ビビ。一味と過ごした時間の中で、仲間同然の絆が生まれていました。そのままルフィたちと一緒に海に出ることもできたはずですが、王女としての責任を果たすため、一味とはお別れをすることになりました。
海軍の監視もあって、国を救ってもらったこと、大切な絆をもらったこと、感謝してもしきれないあふれんばかりの想いを、王族であるビビは真っ向から伝えることができません。
海賊と関係があることが知れてしまったら良くないからです。それを分かっているルフィたちは黙って旅立とうとするのです。ただ、お互いに気持ちは一緒。本当は寂しくてたまらないのです。離れていく麦わらの一味の船を見ながら、ビビは拡声器を使って語りかけます。
「私一緒には行けません!今まで本当にありがとう!冒険はまだしたいけど私はやっぱりこの国を愛しているから!だから行けません!」
「私はここに残るけど!いつかまた会えたら!もう一度仲間と呼んでくれますか!!」
ルフィが答えようとしますが、それは許されることではありません。そして、その代わりに一味が掲げたのはそれぞれの左腕に刻んだ×印。「これから何があってもこの印が、仲間の印」こうして無言の絆が交わされ、一味はアラバスタを旅立っていくのです。
ビビのキャラクターも相まって、何度見ても泣いてしまうという方もいるのではないでしょうか。「ワンピース」の「仲間との絆」を象徴する代表的な場面です。
いかがでしたでしょうか!これ以外にも名場面はたくさんあります!今後もこれ以上の名シーンが描かれることを期待して応援しましょう!
ビビについては<「ワンピース」ビビの5つの魅力!砂の王女の名言、レヴェリー編での活躍など>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
ワンピース
「ワンピース」の考察や「ワンピース」好きにおすすめの漫画を「ワンピース」好きのホンシェルジュがお届けする特集です。