映画を見てから原作を読むか、原作を読んでから映画を見るか、悩みますよね。なぜか、どの作品もキャラは違いますが、クラスで孤立している女子が素敵な恋を手に入れるお話。あなたはどの作品が好きですか?胸きゅんすること間違いなし。人気少女漫画おすすめ14選です。アプリで無料で読める作品もあります。
主人公は、有栖川仁乃(ニノ)高校一年生。ニノは幼いころ隣の家に住む男の子の榊桃(モモ)といつも一緒に過ごしていました。嫌なことがあった時は、一緒に大きな声で歌を歌って乗り越えてきた2人。小学校に上がってからも2人の仲は変わることなく、モモはニノにとっての初恋の人でした。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2013-10-18
小学校4年生のある日、モモが突然引っ越して、ニノの前から消えてしまいます。激しい感情を抱えながら海に行ったニノは、同じ年の少年杠花奏(ユズ)と出会います。そこからニノとユズの大切な時間が生まれますが、ユズも突然、ニノの前から姿を消してしまうのでした。
舞台は数年後へ。高校生になったニノは、同じ高校でユズに再開します。そしてまた、モモも同じ高校にいることを知ります。ニノを軸に、モモとユズとの三角関係の恋愛ストーリーかと思いきや、登場してくるバンドメンバーの恋も絡んできて、一筋縄では済まない展開です。
歌うことが大好きで、絶叫を防ぐためにいつもマスクをしているニノ、不誠実な母親に振り回されながらも曲を作り続けるモモ、ニノを一途に想い、曲を作りバンドを引っ張るユズ。この3人の想いの終着点はどこなのか……。たくさんの想いが交錯する、音楽とコラボの恋愛ストーリーに引き込まれてしまいます。
舞台は北海道「北幌高校」四季折々の北海道のシーンの中で胸キュンに描かれるガール ミーツ ボーイの物語です。
北国の春の日の匂いや雪の日の頬にあたる空気の冷たさ。校舎の廊下ですれ違う高校生たちの甘酸っぱいざわめき。懐かしさを感じさせる描写と青春のためらいと切ない思いが丁寧に、時にコミカルに描かれたこの作品は、2010年に多部未華子、三浦春馬のキャストで実写映画化されました。多部未華子が漫画の爽子そのもので登場し、びっくりしましたね。
- 著者
- 椎名 軽穂
- 出版日
- 2006-05-25
主人公の女子高生“黒沼爽子(くろぬまさわこ)は、長い黒髪と真夏でも青白い肌、生真面目な性格から陰気だと思われ”貞子”というニックネームで呼ばれ、霊感がある、3秒以上目が合うと祟られるなどと面白半分、本気半分で恐れられています。
爽子は陰気なのではなく、レッテルを張られて臆病になっているだけなのですが、クラスの人気者”風早翔太(かざはやしょうた)“は仲間外れをほっておけない性格です。爽子にも気さくに声をかけ、ドキドキさせるのでした。実は翔太は入学式の時に出会った爽子のことが気になっていたのです。そして翔太が爽子のために企画した夏のイベントをきっかけに、ふたりはお互いを理解して…。
単純な恋愛ものと思うとこの作品は一味違います。陰気だと思われ、クラスに馴染めなかった主人公の爽子の心に翔太のひと言が浸み込みこむシーンの抒情。爽子の実は天然でポジティブな性格がクラスメートに理解されていくシーンの温かさ。作者が丁寧に描く爽子の青春にいつしか読者は引き込まれていきます。
少女漫画にありがちの守られるだけのヒロインではなく、臆病だけれど友人を守るためなら心無い無責任な噂に立ち向かっていく爽子の物語は2006年に掲載開始、単行本累計1400万部の大ヒット作品です。
1992年から2004年に発表されたこのメガヒット作品は1995年に主人公、牧野つくしを 内田有紀、F4道明寺司 を谷原章介、花沢類を藤木直人、西門総二郎を佐伯賢作、美作あきらを橋爪浩一で最初に実写映画化されています。
2005年にはテレビドラマ化され、井上真央主演で大ヒットしました。F4の道明寺司を松本潤、花沢類 を小栗旬、西門総二郎を松田翔太、美作あきらを阿部力という豪華なキャスティングがぴったりはまり、韓国、台湾(『流星学園』として大ヒット)でもドラマ化される人気ぶりでした。
- 著者
- 神尾 葉子
- 出版日
この作品の魅力は何といっても主人公の牧野つくしですね。つくしは普通の家庭の普通の女の子なのですが、理不尽な状況に投げ込まれても弱気を吐かない気の強さと正義感の持ち主です。つくしは過酷な状況に負けません。つくしはクラスメートの尊厳を冒すことを認めません。つくしはイケメンだろうが許しません。
つくしが巻き込まれる困難に、ありえると同情しながら読み進めると次第にありえないシチュエーションまで運ばれていく爽快感。これぞ漫画というデフォルメされた状況のおかしさ。読者はつくしと一緒にジェットコースターに乗り、最終巻まで降りられなくなります。
ストーリーは普通の家庭に育った女子高生のつくしが、母親の夢のお陰で名門永徳学園に入学する羽目になるところから始まります。母親の夢はつくしを「玉の輿に乗せる」こと。そのため、家族はとんでもない貧乏生活まですることになるのですが…。
永徳学園には性悪のお坊ちゃまグループF4が恐怖支配を行っていました。
名門中の名門、その中でも選ばれた存在である彼らは自分たちをF4と呼び、逆らう人間は容赦なく追放します。つくしは次第に黙ってみていられなくなり、F4に宣戦布告をしてしまうのでした。つくしの運命やいかに…。
ジェットコースターに乗って最終巻まで行くと、また最初から乗りたくなってしまうこの作品は累計5800万部の大ヒット作品です。漫画から、ドラマから、海外版から、どちらからでも何度でも楽しめるおすすめの作品です。
2004年から2010年まで掲載された、高校生から20台前半の登場人物たちの繊細な心情を綴った、いくえみ綾らしいオムニバス作品です。それぞれの巻で描かれるキャストは異なり、作者は登場人物たちが青春の前期から大人になっていく姿を丁寧に描いています。
- 著者
- いくえみ 綾
- 出版日
- 2004-11-25
このシリーズの主人公は女子高生の瀬戸カンナです。ハルタとカンナは幼なじみ同士、間山とアサミは中学の同級生同士、4人は高校で出会い、グループで行動するようになります。
真山はカンナに、アサミはハルタに淡い恋ごころを抱くようになりますが、それはまだほんとうに淡く、伝えられてはいないものでした。
夏の夜、花火を見る約束をしたカンナたちはハルタが自転車で向かう途中、トラックに跳ねられ、事故死したことを知ります。カンナの手元に届いたハルタからのメールは「行くよ」。
幼なじみを失い、深い喪失感にカンナは沈み込んでいきます。トラウマを抱えたまま、大人になっていくカンナを主旋律に、様々な登場人物が時にはカンナと交わり、カンナを語っていきます。そしてカンナはやがて同じようなトラウマを抱える青年、赤沢禄と出逢い…。
カンナと赤沢禄が抱えた喪失感が心に染み入ります。いくえみワールドの登場人物たちは忘れられない余韻を残して、何度でも読み返してしまう魅力があります。
実写映画化は2013年、カンナを長澤まさみ、赤沢禄を岡田将生のキャストで最終章が映画化されました。斉藤和義の主題歌「かげろう」や池頼広のサントラの優しいメロディと共にヒットしたこの作品、映画を見てから読みますか?それとも原作からですか?
2007年から2011年まで掲載、累計800万部突破、水波風南の描くsho-comi連載少女漫画です。実写映画化は2012年、武井咲と松坂桃李の主演でした。桃李君の俺様ぶりにドキドキした人も多いのではないでしょうか。
- 著者
- 水波 風南
- 出版日
- 2008-01-25
ヒロイン 日比野つばきは、おさげ髪にひざ丈スカートで、クラスのお洒落な高校生たちから浮いてしまっている女子高生です。そのつばきにちょっかいを出し、やがて恋に落ちる椿京汰は学年一番の成績で、超モテ男のイケメン。つばきに無理やりキスしたり、最初は犬猿の仲になるかと思っていたけれど…。
ある日彼はクラスメートのイジメからつばきを守ります。実は京汰には幼少期のトラウマがあって…。
作者の絵の綺麗さと巧みなストーリーテラーで、引き込まれてしまいます。
2008年から講談社「デザート」で連載中のこの作品は、現在単行本500万部目前の人気漫画、2014年に川口春奈、福士蒼汰主演で映画化されました。根暗な女子高生の隠された優しさや美しさを見つけ出してくれるイケメンのボーイフレンド。憧れのシチュエーションですが、この主人公はなかなか手ごわいのです。
- 著者
- 葉月 かなえ
- 出版日
- 2008-08-11
主人公の”橘めい“は幼いころから「友達はいらない。いても自分が傷つくだけ。自分には不要なものだって気づいたんだ」と自分に言い聞かせている友達いない歴16年、一匹狼の女子高生です。
ある日、自分をからかったクラスメートの男子 中西と間違えて人気者の男子 黒沢大和にまわし蹴りをしてしまいます。大和は外見しか見ない軽薄な誘いには頑として乗ろうとしない硬派な男子、誰にでも距離を置いて優しく尊重するクールさから、女子にも男子にも人気があります。大和は蹴られて怒るどころか、「面白そうなやつ。友達になろう」と言い出し、めいを驚かせます。めいは「いやです」とにべもなく断りますが、大和の言葉に、自分をスポイルするクラスメートとは違う響きを感じ取り…。
面白そうだと近づいためいは思いの外頑固で、一本筋が通った女の子。そんなめいに大和はますます惹かれていくのでした。めいの心がほぐれていくシーン、めいの優しさを見つけるシーン、そしてふたりが結ばれるシーンの美しさ…。大和の優しい視線を通して思春期の女子の心の揺らぎを丁寧に描く、優しさにあふれた作品です。
主人公は、高校生の吉良ゆいじ(キラ)。イケメンで、モテモテのちょっと不良です。ヒロインは、キラの家の隣に住む、岡村ニノン(ニノ)。過去にイジメにあったトラウマから人と関わることから逃げる、内向的な性格の少女です。家は隣同士で、高校では同級生の2人は、お互いに関わることなく生活していました。ただし、ニノの両親とキラのパパは仲良し。こういった関係がある日突然、変わっていき……。
- 著者
- みきもと 凜
- 出版日
- 2012-01-13
そこで重要なキャラが登場です。ニノが「先生」と慕うインコです。このインコ、ただのインコではなく、人間の言葉を理解し、関西弁を話します!ニノは、「先生」をいつも肩に乗せて学校に行きます。「先生」は人前ではしゃべらず、はく製のフリをしているので、ニノは学校の生徒から「鳥女」と呼ばれ、変人扱いをされていたのでした。そんなある日、ニノが学校で「先生」と話しているところに偶然キラが訪れます。これにより、「先生」が人間と話せる秘密を知ったキラ。一方、キラも誰にも話せない秘密を抱えて苦しんでいました。その秘密を、ニノは両親から聞かされ流ことになったのでした。「先生」はキラの本心を知り、キラとニノの365日が始まるのでした……。
作者のみきもと凛さんが、それぞれのキャラクターの背景や、心の心情を丁寧に描くストーリーですので、9巻まであっという間に読んでしまえる作品です。
主人公は、与謝野すずめ。コンビニもカフェも信号もない田舎でマイペースに暮らしていたある日、父親が転勤でバングラディッシュへ行くことになります。母親も一緒に行ってしまい、すずめは東京に住む諭吉おじさんに預けられ……。
- 著者
- やまもり 三香
- 出版日
- 2011-10-25
東京に着いたすずめが偶然話した、「東京で初めて話した人第1号」の男。なにやら怪しい男が、すずめが初恋をする獅子尾でした。なんと獅子尾は、諭吉おじさんが経営するお店の常連で、すずめの転校先の担任だったのです。
マイペースで真っすぐなすずめに恋をするのは、すずめの隣の席になる馬村。女子に対してとてつもなく冷たい馬村に対してマイペースにぶつかっていく、すずめとのやり取りも楽しいです。
獅子尾に恋するすずめ、すずめに恋する馬村、すずめの真っすぐな想いに惹かれながらも教師としての自分と葛藤する獅子尾……。3人の思いが切なく交錯するラブストーリーです。
主人公は佐賀野功太、職業は警察官。ヒロインは、16歳の本谷歌子(カコ)。
ある日、カコは親友の三門(ミカド)に頼まれて、ミカドの姉主催の合コンに、年齢を22歳と偽って参加することになります。その合コンにいたのが、功太。功太はなにも知らずに、ピュアで可愛いカコに惹かれます。一方カコも、不器用だけど優しい功太に惹かれます。しかしカコの本当の年齢を知った功太は、カコを恋愛対象外とします。そんな中でも惹かれ合ってしまう2人が、一緒に生きていくために出した答えは、なんと結婚!女子高生と付き合うことは出来ませんが、保護者の同意があっての結婚なら大丈夫なんですね。
- 著者
- 三次 マキ
- 出版日
- 2013-04-12
結婚してからが本当の2人のラブストーリーの始まりです。未成年のカコに対しての功太の我慢は、見ていて微笑ましくもあります。
カコと功太以外にも、親友ミカドとシローの恋の行く末や、大神君の登場など、原作でこそ楽しめる内容も盛りだくさん。功太の頑固すぎるポリス魂にも、深い理由があり……。
どこにでもいそうなピュアな女子高生カコと、いろいろな経験をつんだ功太とのラブストーリーをぜひ楽しんでみてくださいね。
本作連載当時の女子高生の流行り「ガングロ」や「ルーズソックス」など、ピンポイントの世代の方は懐かしいワードの数々、若い世代の方には新鮮にうつるであろう作品です。
- 著者
- 上田 美和
- 出版日
- 2016-08-12
物語の主人公は、高校1年生の安達もも。ももは、中学時代に水泳部だった為、日焼けをして、髪の毛も傷んで赤くなり、一見コギャル状態。そんな彼女は中学生の時から同級生で野球一筋の、東寺ヶ森(とーじ)に片思いする一途な女の子です。
ももととーじは同じ高校に進学しました。ももは毎日、日焼け止めを塗り、必死に白い肌を目指します。それは、コンプレックスの黒い肌がとーじより白くなったら告白すると決めていたから。
そんなももには入学してから、やたらと自分についてまわる柏木さえという女友達ができます。このさえちゃんが曲者で、なぜかももが気に入ったものを先に手にいれようと姑息な手を使います。そんな小悪魔なさえに警戒したももは、とーじへの想いを必死に隠します。気持ちを隠すために、ウソの好きな人を作らなきゃ!ももが選んだのは学年で一番人気の岡安浬(カイリ)。この4人の想いが、すれ違ったり揺れたり、最後まで展開の読めないドタバタラブストーリです。
新鮮さと懐かしさをただよわせる珠玉の作品です。
多田かおるが「別冊マーガレット」にて1990年〜連載していた少女漫画です。1999年3月号まで連載されていましたが、作者である多田かおるの急逝によりラスト不明のまま未完となりました。(その後見つかった作者によるメモによりスタッフがラストを作成。)
- 著者
- 多田 かおる
- 出版日
- 2008-04-04
主人公は落ちこぼれのドジっ子女子高生、相原琴子。母親は亡くなっており、父と2人暮しをしています。
そんな琴子が高校に入り恋に落ちたのは、学年一の秀才、入江直樹でした。直樹は頭脳明晰な美少年で、そんな彼の新入生代表の挨拶を聞いた琴子は、あっという間に直樹に恋をしてしまったのです。
そんな琴子はさっそく直樹に告白するも「オレ頭の悪い女は嫌いなんだ」(『イタズラなキス』より引用)とあっさり振られてしまいます。それでもめげずに想い続けた結果、直樹も弾けるような明るさを持った琴子に少しずつ惹かれていって……?!
おっちょこちょいで可愛い女の子とクールでカッコいい男の子の恋愛漫画は少女漫画の王道中の王道ですよね。ベタな王道少女漫画と思っても、素直に二人の恋を応援したくなってしまうのは、性格の全く違う琴子と直樹が、お互いに足りない部分を補っているように見えるからかも知れません。
琴子は万年落ちこぼれのF組にいながらも、優しく思いやりあふれる友達に恵まれています。上手くいかない事が続いても、慰めたり励ましてくれる素敵な友達に囲まれて、幸せな学校生活を送っているのです。
一方直樹は頭脳明晰で何事も器用にこなしますが、友達とお腹を抱えて笑うようなことはあまりありません。可もなく不可もなく、学生生活を淡々と送っています。直樹だけでなく周りの友達もソツのないクールなタイプです。
この2人のパズルのピースが、ハマるはずなのになかなかはまらない。直樹が琴子に興味がなかったり、琴子が他の男の子から求愛されたり、この恋は一筋縄ではいきません。そんなもどかしさもこの物語の魅力です。
読者から見たら「お似合いなのになんでそこでそんなこと言うの?!」「もっと素直になって!!」と二人の恋模様がじれったくてじれったくて、仕方ありません。気づかぬうちに、どんどん作品世界の深みにはまっていくことでしょう。
原作とドラマを比べてみても面白いかも知れません。琴子の恋を応援しながら、時にはヤキモキしながら、思う存分王道青春恋愛ストーリーをお楽しみください!
作者は講談社漫画賞を受賞した『恋文日和』で知られるジョージ朝倉。男性のようなペンネームですが女性の漫画家です。『溺れるナイフ』のナイフは、著者曰く10代の自意識を表しているそうです。小松菜奈と菅田将暉の主演で映画化もされ、若い世代を中心に人気を集めています。
- 著者
- ジョージ 朝倉
- 出版日
- 2005-03-11
ストーリーは東京に住む小6の望月夏芽が、家庭の事情で同い年の長谷川航一朗の住む田舎町に引っ越す場面から始まります。夏芽は容姿端麗で東京ではモデルの仕事をしていましたが、田舎に引っ越してからは前のように仕事をするのは困難になってしまいました。
また、航一朗は地元では大変有名な資産家の一人息子として蝶よ花よと大切に育てられましたが、同時に大きなプレッシャーを感じていました。
繊細でいて大胆な、空虚なようで破裂しそうな、10代特有のちぐはぐさを備えた2人の青春模様を多彩に描いたのがこの作品の魅力です。
注目すべきなのは夏芽と航一朗のハリネズミのジレンマのような危うさです。2匹のハリネズミがお互い近づいて温め合おうとすると、お互いのハリで相手を傷つけてしまう…というジレンマが、まさに夏芽と航一朗にぴったりなのです。
夏芽がヌードの仕事を引き受けようとするとヤキモチを焼く航一朗ですが、夏芽が航一朗の気持ちを確かめようとすると「おまえキレイじゃけえ、ひとり占めしたろ思うたが なんかもうええわ」と突き放したりします。
夏芽も航一朗を一途に想うだけでなく、航一朗に対してライバル心を燃やしたり、クラスメイトの前でわざと航一朗に恥をかかせたりと素直になれません。好きなのに、好きだからこそ、航一朗に対して上手く振る舞うことが出来ないのです。
本当は誰よりもお互いが好きなのに、若者故の不完全さが邪魔をして、相手を傷つけてしまう。相手を幸せにする余裕などなく、独りよがりの気持ちだけが暴走して止まらなくなってしまう。「ああ、自分も10代の頃こんな恋愛をしたな」と過去のほろ苦い記憶を思い出す人も多いのではないでしょうか。
10代の頃、自分の心の大部分を占めていたあの人にもう一度会って、当時の思い出話の1つや2つをしたいと思ってしまう、そんな作品です。
本作は西炯子(にしけいこ)によって描かれました。
登場人物は堂園つぐみ。30代半ばで大手電機メーカーのプロジェクト管理課長を務めるキャリアウーマンです。そんなつぐみは祖母の死をきっかけに、祖母の実家のある田舎に移り住みます。
その家で海江田醇(登場時51 歳)に出会うのです。彼は学生時代つぐみの祖母である下屋敷十和に片思いをしていた男で「生前、十和からこの家の離れの鍵を譲り受けた」という理由から、つぐみと海江田の奇妙な同居生活が始まります。
そしてだんだんと2人は惹かれ合っていき……。
- 著者
- 西炯子
- 出版日
- 2009-03-10
海江田という男が大学生時代に講師である十和(当時40代)に片思いをし、その十和との出会いがきっかけで約30年後に十和の孫であるつぐみに恋と落ちる……。とにかくこの物語は設定が斬新です。主人公はつぐみですが、海江田を軸にして物語を眺めると「どれだけ堂園家の女が好きなんだ!!」と突っ込みたくなってしまいます。
ただ、その海江田の恋愛観の自由奔放さがこの物語の重要なエッセンスになのです。質実剛健なキャリアウーマンであるつぐみが、田舎ののんびりとした土地でそんな海江田と過去に忘れてきた「大切な何か」を拾っていきます。
それは「自分に正直であること」だったり「我慢しない」ことだったり。物語を読み進めていくうちに、少しずつつぐみが変わっていく様子を読み取ることが出来るでしょう。
また、同居が始まったばかりの頃は、自分が過去に十和(つぐみの祖母)と関係があったと匂わせる海江田に対して、つぐみは素直になることができません。しかし、それと同時に十和の過去に驚き、次第に興味を示していくのです。そこには祖母の若かりし頃の秘密が込められていて、つぐみは祖母のいなくなった家で若かりし頃の祖母を受け入れていく。このつぐみの心情も、物語をさらに味わい深くしています。
つぐみを軸足にしても、海江田を軸足にしても、どちらも楽しめる大人の恋愛物語です。海江田という「おとこ」の一生をじっくり味わってみてください。
小林ユミヲによるによるラブコメ漫画です。単行本は全12巻。大手広告代理店で働く江田マキと、男子校の美術講師である片山渚の同居生活をコミカルに描いた作品として人気を博しました。
江田マキは28歳のキャリアウーマン。会社では完璧な女性を演じて後輩女性から絶大な支持を集めていますが、実は女子力ゼロ。高校生の時に突然会社を辞めて、東京から茨城へ引っ越して有機農家を始めるという父と絶縁してから、10年の時が経とうとしていました。
マキは家族の幸せを壊したきっかけとして、野菜に対して強い嫌悪感を抱いています。それゆえ、実家から送られてくる有機野菜に手をつけることもありません。
- 著者
- 小林ユミヲ
- 出版日
- 2010-08-12
そんなマキとひょんなきっかけから同居する事になった片山渚は、イケメンで菜食主義者でした。そして、周囲には隠していますがゲイです。野菜をこよなく愛し、毎回の料理も野菜ひとつひとつと向き合い、作る事と食べることをしっかり楽しんでいました。
ゲイという秘密をマキに握られたことをきっかけにマキとの同居生活が始まります。
この作品の魅力は何と言っても、速い安いおいしいもの至上主義のマキと、ゆっくり良いもので極上の味をつくる渚との対照的な食生活への向き合い方です。そしてそこが、ストーリーの柱になり物語が展開されてゆくところでしょう。
効率良く速いものに価値観を置いているマキは、下拵えの面倒な野菜料理などは大嫌い。そんなマキに渚は、手間と時間をかけておいしい野菜料理を作り、野菜の魅力を伝えて行くのです。
作中では渚の作る野菜料理についても丁寧に描写されているので、料理本としても非常に魅力的です。例えば渚の作る料理として登場する「菜々もちもちキーマカレー」は、高キビ(雑穀の一種。食感は牛ひき肉の食感に似ており、美肌づくりに効果的)、玉ねぎ、人参で作ったカレーで、もちろんルーも渚の手作りです。
美味しいでなく、ヘルシーな手料理が次々と登場します。読んでいるだけで、作ってみたい!食べてみたい!と料理へのやる気がわいて、食欲もそそられて来ること間違いなしです。
渚の手料理を食べながら、次第にマキの野菜への嫌悪感は解れていきます。マキにとって、野菜を受け入れることは絶縁状態の父親を受け入れること。さらには、マキの生き方をも少しずつ変えて行くことに繋がっていきます。
対照的な男女のコミカルな同居生活ストーリーとして、個性豊かな登場人物たちに共感したりキュンとしたり、非常に味わい深い物語に仕上がっています。そして身体に優しいレシピ本としても、野菜の栄養価に対する知識本としても完成度が高く、一粒で何度も美味しく楽しめる作品となっています。
いかがでしたか?実写映画化される漫画はやはりすごいですね。これを読めば少女漫画が堪能できること請け合いです。