数多の星が瞬くBL界。ひときわ輝いているのが宝井理人先生の漫画『テンカウント』です。 2017年1月現在5巻で150万部突破、「全国書店員が選んだBLランキング」2015年・2016年、2年連続1位を受賞、「BLアワード2015」コミック部門ランキング第1位、「このBLがやばい!」2016年度ランキング第1位、など数々の賞を受賞。海外でもサイン界が行われるなど、その人気のほどが伺えます。 2020年、アニメ化も決まった漫画『テンカウント』の魅力を徹底紹介。ネタバレもあるので、未読の方はご注意を!
- 著者
- 宝井 理人
- 出版日
- 2014-03-29
社長秘書の城谷は潔癖症。手袋はかかせないし、手自体も、洗い過ぎであかぎれから血がにじむほど。スリッパも、書店の本、空気、そして人間関係にすら「汚さ」を感じています。城谷は、そんな自分自身の「生きづらさ」を諦めていました。
しかし、あることがきっかけで黒瀬というカウンセラーの治療を受けることに。その治療法は、「抵抗がある行為」を抵抗が弱い順に1から10まで記入し、一定の期間をおきながら黒瀬と一緒に実行してみるというもの。タイトルにもなっている「テンカウント」とは、この療法を意味しています。
10項目全てを克服した時、城谷は完治するという黒瀬。しかし10個目の「絶対にできないと思うこと」を城谷は埋められないまま治療がスタート。黒瀬はカウンリングの領域を超えて、城谷の体と心に入り込んでいきます。
…そんな『テンカウント』が腐女子にも腐女子じゃない人にもド刺さりする理由を、BLBBAこと佐藤おむすびがナビゲートします。
- 著者
- 宝井 理人
- 出版日
- 2014-09-30
とにかくスタイリッシュな絵柄がステキです。1巻発売当初、マスクしてシャツの前を全開にした主人公の城谷を見て、思わずジャケ買いしたという人が続出したとのこと。私もその一人でした。
そして城谷のスーツがエロい!秘書+手袋をしていても変じゃないという理由で基本的にプライベートでもスーツ、しかもベストありのスリーピースなのが、ストイックさを引き立てていて、エロいんですよね。普段、手袋とシャツの袖の間がちらっとだけ肌が見えているんですが、手を突っ込みたくなって仕方ありません。パンモロにはドン引きするけど、見えそうで見えないミニスカに興奮するのってきっとこんな感じなのでしょうか?
ああ、引ん剝きたい……。というか、作中ではもちろん剥かれるんですが……いやぁ……最高です。
対して黒瀬は基本ラフな格好です。リュック+自転車通勤で、その違いが2人の性質の違いを表しているようで、非常に心惹かれます。加えて黒瀬はカウンセラーなので、職場ではスクラブ(上・下に別れた白衣的な服)なんですよ。これもまた禁欲的でエロい。こんな真面目オブ真面目な格好しているのに、職場のクリニックに来た城谷とエロいことしちゃいますからね。
2人してコスプレのような格好をしているのが非常においしいです。うーん、ずっと見ていたい!
- 著者
- 宝井 理人
- 出版日
- 2015-02-28
1巻の表紙がセクシーハードな雰囲気なので、てっきり開始5Pくらいでディルドや尿道ブジーを駆使したSMエロシーンが始まるのか?と思ってしまいがちですが、どっこい1巻ではほとんどエロなし、どころかキスもしませんし手もつなぎません。あるのはお姫様だっこと、城谷単独のお風呂シーンのサービスショットぐらい。
宝井理人先生もあとがきで「表紙詐欺だと怒られるのでは…」と書いているくらいのゆったりしたペースで、2人が日常を重ねていきます。しかも近づくどころか、1巻最後では黒瀬が「最初で最後の握手にしましょう」とか言って、城谷から離れていこうとさえします。
このじれじれ具合は少女マンガを彷彿とさせ、BL読み始めの方にとっても手にとりやすいのではないかと思います。
- 著者
- 宝井 理人
- 出版日
- 2015-10-30
だかしかし、そんな清純派の1巻から一転、2巻から距離がぐぐぐっと縮まっていきます。そりゃもう、びっくりするくらいの高速の詰めです。
以下、2巻の出来事。
道の真ん中で告白。→黒瀬、城谷の手をベロベロ舐め回す+受付の共用ソファーに押し倒してイかせる→日を改めてレストランでデート→黒瀬の家に連れ込み、兜合わせでフィニッシュ(意味がわからない人は絶対に人に聞かないように)。
どういうスピードだよ!緩急にもほどがあるだろ!!と内心悲鳴をあげながらページをめくる手が止まりません。しかもそのステキな出来事が美麗なイラストで描かれているのだから、もうたまりません。城谷が、ベッドに押し倒されてスーツを脱がされ、シャツの前を全開にされた上で、黒瀬から「どうして欲しいですか……?」とか聞かれるシーン、完全にSMです。ああ、本当のSMには、罵倒の言葉はいらないのだ……。宝井理人先生にこの世の真実を見せてもらいました……。
そして3巻、4巻と、その勢いは更に加速。ちなみに、それらエロタスクの間に、ドレスコードのあるレストランで食事したり、年下の黒瀬が年上の城谷にオーダースーツ作ったりと、あま〜い恋人っぽいイベントも盛りだくさんです。
そして2人の関係も、主人の黒瀬と隷属する城谷、という図式が完成されていきます。例えば、風邪の城谷を心配して、黒瀬が城谷の家に上がるシーン。実は家に人を上げるのは潔癖性克服のテンカウントのうち9個目にあたります。
黒瀬は「城谷さんが目覚める前に俺 部屋のどこに触れたか解らないですよ」と言いますが、城谷はちょっと戸惑うものの「大丈夫です」と返答。それに対して「偉いですね 城谷さん」と言い放つ黒瀬。褒められてゾクゾクと、感じてしまう、城谷。
こういった、暴力的な支配ではなく、あくまで甘く絡めるように依存させていく様子が沢山散りばめられており、城谷だけでなく、読み手の胸をもときめかせまくってくださいます。
このむずむずとしたトキメキは宝井理人先生だからこそ!
人気になるのも納得、ああこれからが楽しみです。
- 著者
- 宝井 理人
- 出版日
- 2016-08-30
本当は3つどころか、数えきれない『テンカウント』の魅力。ああ、語っても語り尽くせません。
読み進めるうちに城谷と黒瀬の過去もあきらかになり、ますます2人の行方が気になってきます。次巻が待ち遠しくなること間違いなしの作品。未読の方はぜひお手に、既読の方はこれからどうなるのか、BL界の星を一緒に見つめていければと思います。
宝井理人の作品を紹介した<宝井理人のおすすめ漫画ランキングベスト4! 『テンカウント』だけじゃない>もぜひご覧ください。