宝井理人のおすすめ漫画ランキングベスト4! 『テンカウント』だけじゃない

更新:2021.11.27

「SUGOI JAPAN Award 2017」漫画部門第3位に選ばれた『テンカウント』の作者である宝井理人。今回は繊細かつ緻密な線により構築される宝井理人の世界を、存分に味わえる4冊をランキング形式でご紹介します!

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綺麗で繊細な宝井理人の世界

2017年にデビュー10周年を迎える作家、宝井理人。同人誌活動から小説のカバーイラストを経て2007年9月に『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』で漫画家としてデビューしました。

圧倒的な画力と、繊細かつ緻密な表現は宝井理人が作中でよく描いている美しくも儚い花のようです。決して迫力のある画風ではありませんが、繊細さに宿る熱は登場するキャラクター達の心情に寄り添っており、読者を引き込む要因となっているのではないでしょうか。

原作を橘紅緒が務めた『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』の後、『花のみぞ知る』からはストーリーも自身で手がけ、宝井理人の世界を確立していきます。

そして、後ほど紹介する宝井理人の代表作となった『テンカウント』は「このBLがヤバい!2016」第1位、「BLアワード2015」コミック部門第1位に選出されたほか「SUGOI JAPAN Award 2017」ではBLジャンルの枠を超えて漫画部門第3位に選ばれました。

BLの枠を超えて評価されている『テンカウント』を含めた、宝井理人の魅力が分かる作品を今回は4冊ご紹介します。

第4位 少年と種子、美しくも怪しい植物ファンタジー『グランネリエ』

こちらはBL作品ではなく、植物と不思議な世界を描いたファンタジーです。舞台は人々が特殊な植物の恩恵を受けて生活をしている、 火を起こすにも酒を作るにも植物の力が必要不可欠な世界。

リュカは、そんな世界で種子の研究と栽培を行う国家資格「グランネリエ」を目指して日々勉強を重ねていました。しかし、治安部隊に父の密培が見つかったことで状況は一変します。父はリュカに謎の種子を託し、リュカはその種子を体内に取り込むことによって人ならざるものになってしまうのです。まさに植物人間ですね。

この事件をきっかけに運命の歯車は少しづつ回り始めます。

 

著者
宝井理人
出版日
2014-11-27


宝井理人によって描かれる植物たちと、その美麗な世界観はそれだけでも見応えがあります。第3位の『花のみぞ知る』でも植物を多く描いていますが、この作品では人間と植物の融合という不気味さと美しい植物たちのギャップが、ついつい引き込まれてしまう独特の世界観を作り出しているのではないでしょうか。

物語はまだまだ序盤のため、リュカの取り込んだ種子や「グランネリエ」の正体についても謎が多く、気になるところです。また、リュカを守るため奔走する幼馴染のアベルの動向も、これからどのように展開していくのか目が離せません。

美しく繊細なタッチで描かれる命がけの冒険譚。美少年と植物とファンタジー、どれか一つでも好きな方は是非!ご一読ください。

第3位 ゆっくり育てる恋の花『花のみぞ知る』

恐ろしく花が似合う農学部生、御崎と御崎の美しさに惹かれていく法学部生、有川。何度か接触を経て美しい御崎に一目惚れした有川はひょんなことから御崎の研究室を手伝うことになりました。最初は有川を信用していなかった御崎も、天真爛漫で優しい有川に徐々に惹かれていきます。

そんな時、川端という男からの着信をきっかけに御崎の複雑な過去が少しずつ明らかになってゆくのです。

 

著者
宝井 理人
出版日
2010-12-25


美しい容姿に引き換え、辛い過去を持つ御崎。そんな御崎の歩幅に合わせるようにして寄り添う有川は御崎を花のように大切に思っていることがわかります。もともと恋愛に不慣れな二人なので、ゆっくりゆっくりお互いの気持ちを探りながら歩みよっていく姿は、じれったくもある一方で応援したくなってしまうでしょう。

また、ゆったりとお互いに惹かれていく心理描写がとても魅力的な作品なので、BL初心者の方にもオススメの一冊になっています。

第2位 一週間後、君は誰のもの?『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』

月曜日に告白を受け、一週間付き合うも日曜日には必ず相手を振ることで有名な芹生。

別れの言葉は決まって

「ごめん、好きになれなかった」(『セブンデイズ―MONDAY→THURSDAY』より引用)

とんでもない男ですね。

しかし、その噂を耳にした篠弓弦は、偶然出くわした芹生に冗談で「付き合ってよ」と申し出ます。冗談半分から始まった交際でしたが、弓弦にとってガサツな自分にも紳士に対応してくれる芹生の隣は居心地がよく徐々に芹生に惹かれていきました。

芹生も素直でサッパリとした弓弦に心を寄せ始め、両思いになる二人でしたが芹生に本命の女性がいることを知った弓弦は1週間で別れることを決意します。お互いが思い合っているのに、すれ違ってしまう二人を見ていると、どうして恋愛ってこんなにもうまくいかないんだろうという気持ちにさせられます。
 

著者
橘 紅緒
出版日
2007-09-01

物語は1週間のお話ですが、なんとこの作品、1週間を約3年かけて描いています。そのせいか1週間とは到底思えない濃密な七日間です。宝井理人の描くキャラクターは静かで優等生なタイプが多いので弓弦のようなサバサバとしたやんちゃなキャラクターは珍しいですね。

たった1週間という短い期間の中で恋に落ち、いつか終わりが来るとわかっていながらもその気持ちに抗えない二人の姿はとても切ないです。続編である『セブンデイズFRIDAY→SUNDAY』では二人の関係の終わりとそれぞれの答えがしっかりと描かれているので、こちらの2冊を続けて読むことをオススメします。

切ない青春に胸が締め付けられること間違いなしです!

第1位 触れられたくない。だけど触れてほしい『テンカウント 』

第1位は宝井理人の代表作とも言える本作。

重度の潔癖症を持つ社長秘書、城谷はとあるきっかけで心療内科のカウンセラー黒瀬と出会い、彼の治療を受けることになります。その治療法とは「抵抗がある行為」を弱い順に1〜10まで書き出し、10番目の「絶対にやりたくない行為」を克服する頃には潔癖症が完治するというものです。しかし、城谷は10番目の項目を埋めることが出来ず、ひとまず空欄のまま治療がスタートしました。

黒瀬の支えもあって順調?に項目を克服していく城谷でしたが、突然黒瀬から治療は終わりだと告げられ、物語はここから動き始めるのです。
 

著者
宝井 理人
出版日
2014-03-29

潔癖症である城谷の見ている世界は宝井理人の繊細かつスタイリッシュな作風と、とてもマッチしています。

BLとして城谷と黒瀬の恋模様を描きながらも城谷の潔癖症に苦しむ姿はとてもリアルで普段は気にしないような電車のつり革、ドアノブ、回し飲みなども漫画を通すことで思わず気持ち悪いと共感してしまうほどです。

宝井理人の繊細さと美しさの権化とも言える城谷が黒瀬と出会い、恋をすることによってみるみる内に汚れていく様は綺麗なものほど汚したい、そんな気分にさせられます。

そして物語が進むにつれて明らかになっていく二人の過去は潔癖症という綺麗なものの内に秘められた人間の汚い部分を暴いていくのです。

BLを初めて読む人も、城谷が潔癖症を克服していくにつれて、いつの間にかBLの世界にハマっていってしまうのではないでしょうか。

BL界を代表するとも言える宝井理人の代表作。この機会に是非手にとってみてください。

『テンカウント』については<2020年アニメ化『テンカウント』を徹底ネタバレ!全女子が悶える3つの理由>で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。


さて、いかがでしたでしょうか?BLに興味のある方も無い方も、これを機に宝井理人の世界に足を踏み入れていただければ幸いです。

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