天才詩人アルチュール・ランボーを読む、知る、おすすめ本5選!

更新:2020.12.10

アルチュール・ランボーは早熟の天才と呼ばれ、若く情熱的な詩を残していきました。散文的ですが、象徴的で何かを示唆するような詩が魅力的です。彼の残した若々しさにあふれるおすすめの詩の数々を紹介します

ブックカルテ リンク

激しく若い時代を駆け抜けた若き詩人、アルチュール・ランボー

若さと情熱さがあふれる詩からアルチュール・ランボーは早熟の天才と呼ばれていました。抽象的な概念をイメージとして表現する象徴派を代表する詩人です。散文的な詩なので読みやすいという特徴もあります。その熱情あふれる作風と同じく、ランボーの人生は壮絶なものでした。

1854年にフランス北東部アルデンヌ県で生まれたアルチュール・ランボーは、軍人の父と地主の娘を母に持つ、比較的恵まれた環境で育ちました。しかし16歳の頃から家出を繰り返しては、逮捕や保護を受けて家に帰される生活を送る中で詩人のポール・ヴェルレーヌと出会い、人生は大きく変わるのでした。

出会いをきっかけにヴェルレーヌと愛人関係になったランボーは、彼とベルギーやイギリスなどを放浪しています。同じく象徴派の詩人だったヴェルレーヌとの経験から、詩の才能を育んでいきました。しかし口論の末にヴェルレーヌに左手首を打たれてその関係は終わっています。

ランボーはヴェルレーヌと出会った16歳の頃から嵐のように詩を書き続けましたが、20歳の誕生日を過ぎた頃から突然詩を書くのを止めてしまいます。その後は軍人に商社マンと職を転々とし、1891年に骨肉腫を患い右足を切断しますが時すでに遅く、体中に転移した癌によって37年という短い生涯の幕を閉じました。

旅を通して見た地獄を綴った詩集

『地獄の季節』は アルチュール・ランボーが若くして書き記した詩の数々が載っています。家出し、ポール・ヴェルレーヌ出会い、ふたりで旅をしていた間に書き続けた詩集です。

著者
ランボオ
出版日


本書にはランボーが作家であることを自覚し、技術をものにしようとしていた試みが見られます。たとえば「母音の色」の項では母音に使われるアルファベットを色に当てはめて、詩のイメージに関連付けようとしていました。Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青といった具合に。こうした詩人独特のシナスタジアに似た感覚に触れることができます。

視覚的イメージを楽しめるのもアルチュール・ランボーの特徴です。同じく「母音の色」からですが、黒いコルセット、とがった氷の槍、震えるオンベルの花など、視覚的イメージに変換しながら読み進めると、より解釈の世界が広がる彼の代表作のひとつです。

若き詩人が残した未完の集大成

『イリュミナシオン―ランボオ詩集』は散文詩によって書かれたランボーによる詩集です。これまでに多くの研究がなされていますが、掲載されている詩がいつどのようにして書かれたなど判明していないことが多くあります。未完の詩集ですが、世界中で多くの人に読まれている詩集です。

著者
アルチュール ランボオ
出版日


この詩集は何度も色々な解釈で出版されています。詩の順番に関してもバラバラなのですが、巻頭に「洪水の後」という詩がくるのは、すべてのヴァージョンの『イリュミナシオン』に共通しています。「洪水の後」は動物たちが人間のように暮らす不思議な内容になっています。そんな日常の中に暗示的な言葉が書き連ねられており、イメージ化すると魅力が増す作品です。

「ヴァガボンド」という作品にはヴェルレーヌとの関係性について書かれています。この詩には兄貴という言葉が度々出てきており、その兄貴をどうにかしなくてはと「俺」は語っているのです。ランボーの兄貴分だったヴェルレーヌですが、精神的にはランボーのほうが上だったことがうかがえます

 

わかり易さに徹底したランボーの日本語訳集

日本でもランボーの作品は何度も別の翻訳家によって訳されてきました。ちくま文庫から出版されている『ランボー全詩集』は宇佐美斉によって、読みやすく分かりやすく訳されており、初心者にはおすすめです。

著者
アルチュール ランボー
出版日


ランボーの翻訳で一番有名なのが小林秀雄の訳ですが、そちらはランボーの若々しさや荒々しさが良く表されている分、難解な言葉も多く見られて読みにくいという欠点があります。なので、宇佐美訳で詩の意味を把握した上で、別訳で感覚的にランボーを楽しむのがおすすめです。

また翻訳について注釈が付けられているのも、詩の意味を理解するうえで役に立ちます。こういう理由でこういう日本語訳にしているということや、こういうニュアンスの言葉がフランス語で使われているんだなど、解説があるおかげで、詩が持つ意味を理解しやすいです。

詩人によるランボーの別解釈

アルチュール・ランボーの翻訳家として小林秀雄と肩を並べていた詩人がいます。それが中原中也です。1920年代を中心に活躍していた詩人ですが、岩波文庫から出版されている『ランボオ詩集』ではそんな中原中也によって訳されたアルチュール・ランボーを今でも楽しむことができます。

著者
出版日
2013-08-21


ランボーを永遠のロマン主義者だと解釈していたのに対し、中原中也は異端者だと読んでいました。そんな中原の訳で反骨精神にあふれるランボーの詩を読むことができます。若々しさゆえの横暴な態度の詩が多く、まさに10代のカリスマ的な様子が見られる訳です。

詩ということで韻を踏んでいるので、流れるようなメロディで読むことのできる作品も読むことができます。「冬の思い」のように僕という一人称と、「~でしょう」と続く優しい音韻で、まるで歌を聞いているような優しいもあり、色々な側面からランボーを楽しめる1冊です。

 

ランボーの残したメッセージを読み解く

『地獄の季節』を書きあげたアルチュール・ランボーは家出から放浪を経験して地獄のような経験をしてきました。そんな反骨精神を持ったランボーの詩には若さ、未熟さ、甘さなど早熟の天才ならではの青二才っぷりを楽しむことができます。そんなランボーがわかる短い詩や文献などを収めたのが『ランボーの言葉地獄を見た男からのメッセージ』です。

著者
野内 良三
出版日
2012-03-23


本書にはランボーの青さや若さが目立つ詩が多く載せられています。陳腐さや単調さが自分を腐らせているや、「職業はどいつもこいつも虫酸が走る」など、まるで現在でいう尾崎豊のような社会に対する憤りに触れられるのが魅力です。

他にも牢獄に何度も入れられる囚人への憧れを示唆していたり、「できあいの幸福なんて、家庭的なものであろうとなかろうと、嫌なこった。ぼくには無理だね」という詩を書いていたり、まだ大人になりきれていない甘い考えなどを読むことができます。そうしたランボーの思いを分かりやすい訳と文章でまとめられているのが本書です。

早熟の天才と呼ばれたアルチュール・ランボーの詩には早熟だからこそ持っている若さや甘さ、反抗精神などが見られます。その思いを象徴的なイメージによって魅力を爆発させた才能高き詩人です。そんな彼の残した若々しい詩には一読の価値があります。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る