胸糞悪いけど読みたい!おすすめ鬱漫画13選!

更新:2017.5.22 作成:2017.5.22

読んでいるとなんだかモヤモヤする・・・・・・けれど、読む手が止まらない!みなさんもそんな不思議な魅力を持つ作品に出会ったことがあるのではないでしょうか?今回は、そんな読んだ人の心になにか訴えかけてくる漫画を作品紹介します。

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精神破壊ホラー漫画

父の仕事の都合で東京から地方の中学校に転校してきた主人公・野咲春花は、クラスメイトから壮絶ないじめを受けます。心優しい性格の彼女は、家族に心配をかけないよう、必死でそのことを隠そうとしました。しかし、とうとう家族にいじめのことが知られると、家族は不登校を勧めてくれます。

言われるとおり、学校に行かず家にいた春花でしたが、なんと家にいじめっ子達が乗り込んできます。いじめっ子たちは、彼女の家族に危害を加え、最後はなんと家に火をつけました。なんとか春花と妹の祥子は助かりますが、両親が死んでしまいます。事件が明るみになることを恐れたいじめっ子たちは彼女に自殺するようにいいますが、そのことで事件の真相を知った春花は、いじめっ子たちに復讐をすることに・・・・・・。
 

著者
押切 蓮介
出版日
2013-03-12

全3巻ですが、2013年には加筆修正を加えた完全版全2巻が発売されました。

親の都合で東京から田舎に引っ越してきた主人公の野咲春花は、「よそ者である」というたったそれだけの理由のためにクラスメイトからいじめのターゲットにされてしまいます。しかし両親や妹・祥子、優しいクラスメイト・相場晄の存在のおかげでなんとかいじめを耐えられていました。けなげにいじめに耐える彼女の姿は、頑張れとつい声をかけてしまいそうになるほどです。

そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の両親はいじめっ子たちによって奪われます。この作品はホラーですが、一切化け物の類は出てきません。いかに、普通の人間が恐ろしいことをすることがあるか、その怖さがこの作品の主題です。「よそ者」であるというようなくだらない理由で、いかに人間は他人に対して攻撃的になれるか、そのことを改めて考えさせてくれます。

どうしてこんなにひどいことが出来るのだろう、この作品を読んでいるときはそう思うでしょう。しかし、ふと自分のことを振り返ってみたとき、自分に自覚がないだけで実はひどいことをしているかもしれません。程度の差はあっても、誰かを無意識に傷つけているかもしれない、そんな可能性を常に思わせてくれる漫画です。
 

『ミスミソウ』については<『ミスミソウ』の見所を最終回までネタバレ紹介!傑作ホラー漫画の鬱展開…>の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。

理不尽な大人の世界に子どもが立ち向かう鬱漫画

大人は子どもを保護し、育ててくれる存在ですが、逆に子どもを傷つけうる存在にもなります。誰もが優しいわけではなく、等しく手を差し伸べてくれるわけでもない。保護者のいない子どもは、簡単に大人の餌食にされ、その呪縛から抜け出せなくなることもあるのです。

『キーチ!!』は、染谷輝一という1人の少年の数奇な運命と成長を描く物語。保護されるはずの子どもが搾取される現状を良しとせず、毅然と立ち向かっていきます。その姿は、子どもらしからぬ、凛として力強いもの。汚れた大人と対比させると、よりその純粋さが際立ちます。

著者
新井 英樹
出版日

輝一は、幼稚園の頃から無口ながら気が強く、同じ年頃の子どもにいじめられても殴り返すという、乱暴者。問題はあったものの、子煩悩な両親とともに、幸せな生活を送っていました。そんな時、両親が通り魔の被害に遭って死亡。祖父母に引き取られることを嫌がった輝一は放浪の末、ホームレスの中年女性・モモに拾われます。

モモや他の大人たちと関わった後、結局祖父母に引き取られた輝一は、周囲に馴染めないまま小学生に。長野に越した先で秀才の甲斐慶一郎や、いじめられっ子だった佐治さとみと運命的な出会いを果たします。そこで、自分の父親によって理不尽なことを強要されていたさとみを助けようと、動き始めるのです。

幼少期の輝一を巡る大人のやり取りや、さとみを取り巻く現状から見る大人は、とにかく汚く、胸糞悪いとつい呟いてしまうほど醜悪。しかし、子どもだけの力で立ち向かうわけではなく、輝一たちに手を差し伸べるのもまた、大人です。大人に振り回される姿に、余計にやるせなさは倍増する一方。誰にも折られない、輝一の純粋な強さに惹かれながらも、失ったものを実感させられる作品です。

『キーチ!!』については<漫画『キーチ!!』が面白い!あらすじでわかる面白さをネタバレ紹介!>で紹介しています。

本当にすごいのは実在の人間だ……

本作の主人公であり、作者でもある卯月妙子はかつてAV女優として働いていました。それも普通の内容ではなく、いわゆるゲテモノ。

スカトロに食虫(しかも生きたまま)、しかもそれを男優に口移しするなどの過激な内容、パフォーマンスで、一部の人間の間ではカルト的な人気を誇っていたそうです。

そんな彼女が若くしてずっと付き合ってきたのが統合失調症でした。そのせいで絶えず精神的に不安定な彼女。新しくできた恋人であるボビーと仲良く暮らし始めるのですが、その日々が平穏に進む訳がありません……。

著者
卯月 妙子
出版日
2012-05-18

鬱漫画は数多くあれど、リアルを描いたエッセイでここまで苦しい気分にさせられる作品はそうそうないでしょう。実在の、しかも女性の日常を描いたとは思えない作品です。

卯月は精神的に不安定で、時には自分の首はもちろん、恋人の首も切りつけるほど自分の感情を抑えきれなくなってしまいます。しかも相手を傷つけておきながらも、ひと眠りつくとけろり。いつも通りボビーを迎えるのです。

家に帰ってくると、殺そうとしてきた相手が何事もなかったかのように笑いかけてくる……。病気のせいなので異常な性格が仕方ない部分もあれど、背筋がゾクリとしてしまいます。そしてその家に帰る勇気のあるボビーもまた、底知れぬ何かを感じさせられます。

そして彼との仲がこじれた卯月はある日、歩道橋から何となく、自殺。これもまた病気で分別がつかなくなってのことなのですが、楽しそうにボビーに行ってくるね、とメールを打つ姿には唖然としてしまいます。

ここまででもうすでに辛くなっている方もいるかもしれませんが、本作はここからが本番。卯月は統合失調症の薬が飲めなくなってしまったせいで、妄想にとりつかれる日々を送るのです。

その経過は読んでいるこちらまで、夢か現かわからなくなるほどのカオスなもの。作品の分量自体としては多い訳ではないのですが、延々と終わらない悪夢を一緒に見ているかのような気持ちになります。

現実だからこそ、読んでいて辛い。フィクションの漫画には無い、生々しい恐ろしさを体感できる作品です。

『人間仮免中』については<『人間仮免中』がすごい!還暦の恋人ボビーとの純愛に泣ける【ネタバレ注意】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

お金は絶対!違法闇金の取り立てに垣間見る人間の闇

お金はあればあるほど良いな、とは思うものの、度が過ぎれば人をダメにすることも。大概の人が、身の丈に合った生活をするのが一番である、と生きている間に学ぶものですが、様々な理由でお金を必要とする人は存在します。消費者金融で返済に四苦八苦するなら、利率がおかしい闇金融はそれ以上。逃げることは許されず、どこまでも追いかけてくる姿は、もはやホラーでしかありません。

返済できないのなら、借りなければいいじゃない、と読者は思うのですが、闇金を利用する人は後を絶ちません。本作は、10日で5割利子を取るという、暴利ヤミ金融である「カウカウファイナンス」を経営する丑嶋馨が主人公。丑嶋と、闇金を利用する客たちの見せる、様々なドラマが展開されます。

著者
真鍋 昌平
出版日
2004-07-30

1人の客とその周囲の人間関係などを軸に物語が展開。裏稼業の人間や、どうしようもない底辺の生活を強いられているという人ばかりが、丑嶋の元を訪れるわけではありません。客の多くは普通の人ですが、どうしようもない自分から抜け出せずにいます。

パチンコ依存症の主婦や、若い女が大好きな男、親や友人にたかるゲイの男性、ホストに貢ぐ女性。皆どうしようもない自分を抱えたまま、丑嶋の元へお金を借りに行きます。丑嶋は、そんな客たちに容赦をせず、しっかりと取り立てていくのですが、その取り立て方法が、鬼畜。手加減してやれよ、と思うものの、丑嶋はぐうの音も出ないほどの正論を並べるため、読者もお客たちの末路を見守るしかありません。

闇金を運営しているものの、丑嶋は間違ったことは一切言っておらず、借金返済ができないのも自業自得。読者は丑嶋の取り立て方法に戦慄しながらも、どうしようもない自分を変えることができない客たちの姿に、モヤモヤした気持ちを抱き続けることになります。普通の人が、お金によって人生を狂わせる光景は、やけに現実的。様々な人間の闇に、自身のあり方すら考えさせられます。

『闇金ウシジマくん』の見どころを紹介した<『闇金ウシジマくん』が無料で読める!最新42巻までの見所をネタバレ紹介!>の記事もあわせてご覧ください。

突如として来る衝撃!おすすめ鬱漫画!

『ソラニン』で実写映画化も果たした漫画家浅野いにお。彼が6年以上もの間連載を続けた作品が、この『おやすみプンプン』です。普通の日本のお話なのに主人公の名前はプンプン。そして、主人公プンプンとその親族を「人間なんだけど、鳥のようなよくわからない生き物」として描くことで、独特の世界観が醸成されています。

著者
浅野 いにお
出版日

ストーリーは簡単にまとめると、プンプンが様々な事件を通して、囚われていた自身の誇大な自意識と向き合い、大人への階段を登っていく成長物語です。小学校編ののどかな恋愛物語から、少しずつ大人になっていくプンプン。初恋の人、田中愛子との別れや、両親とのトラブル、お世話になった人のケガなど、嫌なこと辛いこともありますが、そこに描かれているのは少し辛いリアルであって、陰鬱な傾向は見られるものの、不条理な鬱表現というものは影を潜めています。

この作品が鬱漫画と称される理由は、成長した田中愛子とその母親との間に起こったある事件とその後のふたりの逃避行からでしょう。事件のことで思い悩み、また身体への影響も大きく彼らを苦しめます。約束の地、鹿児島にふたりは辿り着けるのか、そして辿り着いた先にどんな人生が待っているのでしょうか。

大人になっていくにつれ、人間の汚い部分を見せられることが多いこの社会で、プンプンも同様に大人になっていきます。汚い大人になっていくという決して華やかではないリアルな暗さと、ある事件を契機に描かれる不条理な鬱展開。2本の柱で本作品のダークさは構成されているのでしょう。また、朗らかに描かれた小学生時代を見せられた後だからこそ、後半に一気にくる不条理な展開には衝撃を禁じえません。

本編とは一見関係なさそうなストーリーラインや主人公プンプンの造形に始まり、特異な表現をするコマに最初は戸惑うかもしれません。これらの描写の意味が、一気に、しかも終盤の鬱展開に向かって繋がっていく過程は、本編のプンプンの物語に対する想いとは別の興奮をもたらしてくれるでしょう。

『おやすみプンプン』については<『おやすみプンプン』5分でわかるあらすじと魅力!鬱すぎるプンプンの人生【13巻完結、ネタバレあり】>の記事で紹介しています。

もしも突然、とんでもない力を手に入れたら?

見た目よりかなり老けて見える、冴えないサラリーマンの犬屋敷壱郎は、家庭にも会社にも居場所のいない生活を送っていました。彼はある日、宇宙人が起こした事故に巻き込まれてその場にいた高校生・獅子神皓とともに死んでしまいます。しかし、そのことを隠したい宇宙人によって彼らは機械の体として蘇って・・・・・・。

人間ではなくなった彼らには、人間を救うことも殺すこともできる能力が備わっていました。この力を人のために使おうとする壱郎と私利私欲に使い平然と犯罪行為を繰り返す皓。壱郎は人間を守るため、皓は自分に敵対する人間を滅ぼすため、二人は激突することに・・・・・・。

著者
奥 浩哉
出版日
2014-05-23

大人気作品『GANTZ』の奥浩哉が描く新作SF漫画です。2017年にはアニメ化、2018年には実写映画化も企画されているなど、その人気はとどまるところを知りません。

宇宙人の隠蔽工作のために機械の体となり、摩訶不思議な力を手に入れた主人公・犬屋敷壱郎。元々正義感の強かった彼は、ホームレス狩りにあっていたホームレスを助けたり、重病人を治療したりしてその力を多くの人の役に立てようとします。

もし、自分にそんな力が宿ったとして、本当に他人のためにその力を使おうと思えるだろうか・・・・・・。多くの読者にとって、そんな疑問は浮かぶことでしょう。そんな疑問に答えるキャラクターが、もうひとりの主人公・獅子神皓です。

彼は自分勝手な目的のためだけに、手に入れた力を使って犯罪を繰り返します。対照的な力の使い方をする壱郎と皓ですが、皓のように自分のために力を使うほうが自然だと考える人も多いでしょう。一つの力を軸にして、全く逆の使い方をするキャラクターを描くことで、読者に感情移入をしてもらいやすくなっています。

しかし、単純な二項対立というわけではなく、壱郎を支持することもあれば、皓の方が正しいと思えることもあります。そうやって、場面ごとにどちらが正しいのか、読者が常に考えることが出来るのがこの漫画の魅力です。もし、自分にこんな力が宿ったら・・・・・・、常にそれを考えさせてくれます。

『いぬやしき』については<漫画『いぬやしき』の魅力を最終10巻まで全巻ネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。

少女ハードボイルド漫画

舞台はイタリア。地域・思想対立が国内に残り、テロや暗殺が絶えません。イタリア政府は、障害者支援を行う公益法人「社会福祉公社」を設立。しかしそれは表向きだけであり、実際は身体障害を持った少女たちを改造・洗脳し、政府に従わない組織などに対して暗殺などの超法規的活動を行わせる組織でした。彼女たちは「義体」という人工の肉体を与えることと引き換えに、政府に過酷な道を歩まされていきます。
 

著者
相田 裕
出版日

初めてこの作品を見る人は、ただの萌え系の漫画かと思うかもしれません。しかし、現代イタリアで起こっている社会問題を上手く作品に取り入れることで、ストーリーに深みが出ています。ただ美少女が出てくるだけではなく、ストーリーにもしっかり力を入れたこの作品は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞し、アニメ化もされました。

この作品はオムニバス形式で、話ごとに主人公が変わるので特定の主人公はいません。しかし、そんな彼女たちには「義体」と呼ばれる人工の肉体を持っているという共通点があります。この義体は、物理的に戦闘用に加工されているだけではなく、「条件付け」と呼ばれる洗脳処理もされています。

つまり、肉体的に障害を持つ少女たちはこの義体を手に入れ、肉体的自由を得る一方で、洗脳によって精神的な自由を奪われてしまうのです。本来人道的に問題がある行為ですが、そもそも組織に選ばれ義体を与えられるのは身寄りのない子供ばかり。日々を生きることで必死な彼女たちにとって、選択の余地はありません。

義体の少女たちには、それぞれ担当官と呼ばれる管理者が割り当てられます。義体と担当官、二人で一組の「フラテッロ(イタリア語で兄弟の意味)」と呼ばれますが、身寄りのない少女たちへの皮肉かもしれません。作中では、本来道具として少女たちを見るべきはずの担当官に、徐々に愛情のようなものが芽生えていく過程が感動を誘います。

義体となった少女たちは、それぞれ重篤な病気、もしくは障害をかかえていました。もし自分が同じ立場になったとき、洗脳されて過酷な戦いを強いられてでも健康な肉体を得るべきか、それとも生まれ持った肉体を受け入れるべきか。非常に考えさせてくれる作品です。

敗戦直後の日本で描かれる友情

昭和30年、敗戦から立ち直りつつある日本で、犯罪を犯し湘南特別少年院の二舎六房へと入った6人の青年。彼らはそれぞれ、生きるためであったり、戦後の混乱の中で不条理がまかり通ることに耐え切れなかったりという理由で犯罪を犯しました。そんな彼らは二舎六房で、桜木六郎太、通称・アンチャンと出会います。

社会に少なからず絶望していた6人でしたが、アンチャンとの日々で少しずつ希望を持って生きるようになります。しかし、そんな彼らを待ち受けていたのは、決して納得することのできないような苦難と葛藤の日々でした・・・・・・。
 

著者
安部 譲二
出版日
2003-04-05

「週刊ヤングサンデー」と「ビッグコミックスピリッツ」に連載されていた作品で、累計発行部数は330万部を超える人気作品です。小学館漫画賞も受賞しており、アニメ化もされました。

二舎六房に入ることになった水上真理雄(通称・マリオ)、前田昇(通称・スッポン)、遠山忠義(通称・ヘイタイ)、野本龍次(通称・バレモト)、横須賀丈(通称・ジョー)、松浦万作(通称・キャベツ)の六人は、それぞれが悪質な犯罪を行いました。しかし、それは戦後10年経ってもまだ復興することができておらず、GHQに実質支配され常識や良心が通じない時代だったからこそ、仕方なく起こしてしまったものばかり。戦争のツケを取らされるのは、いつだって社会的に弱い女性や子供なのです。

そんな状況の中ですから、彼らは社会に、大人に対して絶望し、希望など持つことはできませんでした。しかし、二舎六房に入って彼らはアンチャンに出会います。アンチャンもまた自分勝手な理由ではなく、他人を守るために少年院に入っていました。なにもかもを失っていた6人に、アンチャンはまた夢や希望を与えてくれる存在になります。

アンチャンは本当にかっこいいです。男の中の男という感じで、自分もこうなりたいと読者に思わせてくれます。6人も最初こそ社会に絶望していますが、アンチャンと出会い二舎六房で暮らしていくうちにそれぞれ自分らしさを取り戻していきますが、6人が6人とも違った魅力を持っており、読んでいて飽きることがありません。

出所後、彼らには更なる困難が・・・・・・。しかし、6人ともアンチャンの姿を思い出し、アンチャンとした約束を果たすために夢を叶えていきます。美しい男同士の友情に憧れるとともに、自分の生き方をもう一度考えるきっかけになる作品です。
 

想像を越える不幸の連続

主人公・別所たけしは大学受験を目指し勉強に励んでいました。しかし、彼の母親が事故あったことからどんどんと不幸の底へ・・・・・・。父も死亡し、たけしが工場を継ごうとするも倒産。その後妹たちを育てるために鉄工所に勤めますがそこでイジメにあい、だんだんと精神に変調をきたしていきます。

家も引き払ったため、ボロアパートに移り住むことになったたけしたちでしたが、そのアパートに住んでいるのは異常者ばかり。たけしたちを待ち受けるのは一体どんな過酷な運命なのか・・・・・・。

著者
山野 一
出版日

日本初の青年漫画雑誌であり、多くの鬼才を生み出してきた「ガロ」にこの作品は連載されていました。タイトルの『四丁目の夕日』というのはもちろん映画化もされた漫画『三丁目の夕日』のパロディです。当時、三丁目と四丁目を間違えて読み、トラウマになった子供がたくさんいるとか・・・・・・。

普通の漫画なら、不幸になった主人公にはなにかしらの形で救いがありますが、この作品はそういうものが一切ありません。一度転落し始めたが最後、主人公・たけしは絶望の底まで叩き落とされた上、さらに追い打ちをかけられていきます。格差、貧困といった社会問題だけではなく、家族や友人との仲がどんどん壊れていく、もしかしたら明日自分に降りかかるともわからない内容に、読んでいてゾッとします。

そんな風にトラウマになるほど読むのがキツイ作品にもかかわらず、それをわかった上で最後まで読ませてしまう魅力がこの漫画にはあります。いつの時代も、悲劇の物語は人の心を掴んで離しません。この作品もまた、多くの人にとってそうなった名作です。

普通を追いかけたかった少年

「普通」であること、それはどれほど難しいことなのでしょうか。「普通」であることに憧れながら、「普通」から逸脱していく若者の物語。それが本作『ヒミズ』です。

『行け!稲中卓球部』などを世に送り出した古谷実が、ギャグ要素を廃して「週刊ヤングマガジン」にて連載した本作。はじめは若者達の日常生活を描いていきますが、主人公・住田の身に立て続けに起こる事件は次第に物語は陰惨なものになっていきます。

著者
古谷 実
出版日
2011-12-20

住田は中学3年生。普通に憧れ、普通に生きることを目指す彼は、家は母親とふたりで貸しボート屋を営み、学校ではお金に目がない夜野正造とつるんでいます。漫画家志望のきいっちゃんや、なぜか住田のことを好きと言う茶沢さんとの出会いなど、中学3年生の物語として描かれてきた作品は、母親が愛人と失踪することで歪な方向に動き出します。

ボート屋だけでなく、新聞配達をすることでひとりで暮らしていけると考えた住田は、学校には行かなくなりますが、まだ自分のことをギリギリ普通と認識していました。そうして考えることで心の平穏を保とうとしていた住田に次の災難、元父親が残した600万の借金の取り立てが来ることで事態は悪化。不条理な出来事の連続に心をすり減らす住田の元にふらっと現れた人物とは……。

本作は「普通」に憧れる住田が主人公の物語なのですが、住田の親友として動く正造や、住田を支えようとする茶沢さんといった住田の周囲の物語も同時に展開していきます。正造も初期の頃から比べると、事件を経てひとりの人間として成長していきますし、夢を追うきいっちゃんのその後など、住田以外の人間たちも魅力的に描かれていることで独りよがりの物語になっていません。

そうした周囲の人間の物語により、読者は住田に対しさらなる思い入れを募らせることができるようになっています。読者は住田を支える環境を知ることができるけれど、住田がそれを知るのは最後。

「一瞬そんな“普通”な未来を・・・・本気で手に入れられるかも知れないと思った」
(『ヒミズ』より引用)

ラストで住田は救われるのか。住田にとっての救いとは何なのか。読後の感想がどうなるかは読者の皆さんの眼でお確かめ下さい。

『ヒミズ』については<漫画『ヒミズ』全4巻の魅力をネタバレ紹介!【映画作品原作】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

グロ耐性必須!回収屋の追い込みシーンがヤバイ鬱漫画

何か罰を受ける時に、肉体的に痛いのもごめん被りたいですが、精神的にダメージを受けるのも遠慮したいところ。『シマウマ』はその両方を見事に突いており自分が受けているわけではない拷問シーンで、精神的なダメージを簡単に負うことができてしまうのです。グロ耐性が無い人は絶対回避してほしい本作は、いったいどんな物語なのでしょうか。

結婚相談所を利用し、美人を使って結婚詐欺を行うグループにいたタツオ。ある日引っかかったヤクザを集団リンチしてしまったことから、次々と周囲でおかしなことが起こりはじめます。判別できないほど腫れあがった顔や、背中一面に割りばしを突き刺された姿、さらには抜かれた肋骨など、仲間たちの凄惨な姿が発見されたり、写真付きメールで送られてきたり。次は俺の番か、と怯えるタツオは、ついに仲間を襲った犯人と遭遇します。

著者
小幡 文生
出版日
2010-11-29

タツオたちを恐怖に陥れていたのは、負傷したヤクザが依頼した回収屋。依頼主から寄せられた復讐を代行することを生業としています。その回収屋の男、アカと幼馴染だと判明したタツオは、回収屋にならないかと誘われ、アカの依頼主である男を殺害。ボスであるシマウマと会い、タツオは名前を「ドラ」に改め、正式に回収屋として動き始めます。

世間ではどうにもならない心を回収して昇華する、というのが回収屋の仕事。内容は、依頼があった相手に、肉体的かつ精神的に苦痛を与える事です。死んでしまったほうが楽、と思うようなことはなさそうに思いますが、本作には次々と実例が登場。物理的に痛いのはもちろん嫌ですが、虫系の拷問描写の精神的ダメージは想像以上です。

代理復讐の物語ですが、復讐相手が不幸になって爽快感を得る、ということはありません。逆にそこまでやらなくても、という後味の悪さが残ります。とにかく暴力的な描写が多いため、怖いもの見たさでページを捲るのもとても危険。憎しみの心の持つ暴力性とエネルギーに、打ちのめされる作品です。

意外な出会いから始まる救済一切なしの歪んだ愛を描く鬱漫画

愛には様々な形がありますが、それは千差万別。性的なものに限っていっても、だれにも心を制約することはできません。個人の趣向はその人のもので、他者に強要しないのであれば、それを貫き通すことは自由。自分だけの愛の形を、胸に抱いて生きることはできますが、そこには一抹の寂しさも宿るのです。

『いびつ』は、歪んだ愛の物語。物語の始まりからは予想も出来ないような結末が待っていますが、そこにあるのは歪んだ愛情。タイトルから考えれば妥当な結末だと言えますが、後味の悪さは相当なもの。誰も幸せにならない愛は、読者に深い悲しみを残します。

著者
岡田 和人
出版日
2010-08-20

アダルトショップに勤務する柿口啓吾は、背が低く童顔、かつ童貞の22歳。日々理想の身体を求めて人形製作に没頭していました。そんなある日、電車で痴漢と間違われ、女子高生の森高円と知り合います。円は啓吾の弱みを握り、強引に同居生活を開始。そこから、啓吾と円のいびつな関係が始まります。

啓吾は生身の人間との接触を苦手としており、ネット上では「オナホ王子」として勇名をはせている人物。対する円はサディスティックな性癖の持ち主。2人の性癖が重なり合い、歪んだ愛の形が作中で描かれますが、とてもエロティック。退廃的かつ狭い世界の中でのやり取りは、息をひそめて2人の生活を覗いているような、錯覚をしてしまいます。

互いにぴったりとあっていたはずの歪んだ愛の形は、やがて思わぬ方向へ進んでいってしまいます。その兆候は随所に感じ取れるため、読者は常に緊張しながら2人の愛の形を見守っていくことに。エロティックなのにもの悲しく、とても繊細な物語、歪んだ2人の関係から目が離せなくなり、小さな世界に囚われる、そんな作品です。

世界の平和のために子どもたちが戦う!究極の不条理SF

何かと契約し、世界平和のために異世界の敵と戦う子どもたちが主役の物語は世の中にたくさん溢れている昨今。その特別感に小さなころは憧れ、大人になってからは、彼らに与えられた試練を見守り、世界を守る子どもたちの物語を楽しむようになります。すると、彼らは世界を守る英雄であり、その実不条理にさらされた被害者でもあるのだと、不意に気づかされるのです。

『ぼくらの』は、近未来を舞台としたSF作品。15人の少年少女が、ある日を境に世界の平和のために戦う姿を描いた漫画です。本作の特徴は、単純に戦っていくだけでなく、終わりが見えているということ。彼らは、文字通り自分の命を懸けて、平穏な生活のために戦っているのです。

著者
鬼頭 莫宏
出版日

夏休み、自然と触れ合う自然学校に参加した15人の子どもたちは、謎の男ココペリにゲームをしないかと誘われます。内容は、子どもたちが巨大ロボットを操縦し、地球を襲う強大な敵を倒す、というもの。兄に止められたカナ以外は、ココペリと契約し黒く巨大なロボット「ジアース (Zearth)」に乗り込み、戦うことになるのです。

子どもたちはゲームだと思っていましたが、実は自分たちの命をかけた戦いであるということに、2番目の操縦者である小高勝が死亡した時点で告げられます。最初の2名以降の操縦者は、自分自身が死ぬとわかっていながら、ロボットに乗り込み敵と戦う。そして、ジアースと世界平和を巡る謎が明らかになっていく度に、子どもたちは苦悩し、それぞれの決意を持って敵に向かっていくのです。

ジアースを巡る設定がとても理不尽で、自分自身の死を持ってなお逃げることが許されない子どもたちの状況を考えると、憂鬱度がアップ。さらに、個々のキャラクターの背景を知ると、より憂鬱さが増していきます。

しかし、彼らが絶望しながら敵と戦うわけではありません。自身をとりまく世界や、戦うことに折り合いをつけていく姿は、もの悲しさとともに、清々しささえ感じられます。絶望の中にあるかすかな希望、避けられない運命に、彼らの幸せを願いたくなる物語です。

『ぼくらの』については<『ぼくらの』5分でわかる魅力!乗ったら死ぬ?!ロボット鬱漫画【全巻・ネタバレあり】>で紹介しています。

いかがでしたか?読んでいる最中に感じたモヤモヤ感も、読んだあとにはちょっとした爽快感になる鬱漫画をご紹介しました。ぜひ、実際に作品を読んでみて、この不思議な気持ちよさを味わってみてください。