弊サイトで今まで紹介した瀬戸内寂聴の著作集めてみたら、どんな人物か見えてきた

更新:2021.11.13

2021年11月に逝去が報じられた瀬戸内寂聴。名前は知っているけれど実際のところはどんな人物だったのかわからないという方もいるでしょう。 ホンシェルジュでは瀬戸内寂聴の著作を、どのような角度のキュレーション記事で紹介してきたのか振り返ってみました。どんな人物だったのか、あらゆる角度から浮かび上がってきます。

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瀬戸内寂聴のプロフィールと代表作

一言でいえば、天台宗の僧侶である小説家。出家したのは自身が50代の時で、メディアなどでも話題に上がる書籍の多くは60代以降で著したものになります

1922年、徳島県に生まれた瀬戸内寂聴。東京女子大学在学中、20歳でお見合い結婚をしますが、その後すぐに戦争を経験。夫は無事帰ってきますが、夫の教え子と不倫。その数年後に正式に離婚し、小説家を目指します。

三谷晴美などのペンネームで執筆し、同人誌「文学者」に参加。同人雑誌賞を受賞しますが、『花芯』という小説により「子宮作家」「ポルノ小説」であるとレッテルを貼られてしまいます。長編小説『女の海』や自身の不倫体験を描いた『夏の終り』などを著し、女流作家として名をあげていきます。

40代の頃、小説家の井上光晴と恋愛関係になりますが、関係を断つため50代で出家。そこから10数年後の1988年、『寂聴 般若心経』がベストセラーに。徐々に名が売れていたとはいえ、遅咲きの作家だといえます。「源氏物語」の現代日本語文法訳でも有名になりました。

著者
瀬戸内 寂聴
出版日

95歳にして刊行した最後の自伝的長編小説『いのち』も話題に。入院生活を終えた心情を中心に自身の命を振り返って綴られます。大庭みな子や河野多惠子など、親しい作家との出来事も描かれています。

著者
瀬戸内 寂聴
出版日

 

ここからは、ホンシェルジュでこれまで取り上げてきた瀬戸内寂聴に関連する記事を集めてみます。どのような人物であったのか、いろいろな角度の著作を取り上げることで浮かび上がってきました。

 

子宮作家、のレッテルを貼られてしまった幻の傑作『花芯』(1957年)

著者
瀬戸内 寂聴
出版日

さまざまな論を巻き起こした作『花芯』。2016年に映画化されており、村川絵梨や林遣都らが出演しています。ホンシェルジュでは、林遣都の実写化した作品の紹介として取り上げていました。

映画『花芯』の見所に、林遣都の出演作ついてはこちらの記事もご覧ください。

林遣都の実写化原作が読みごたえ大!出演した映画、テレビドラマの役柄と魅力を一挙紹介

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その確かな表現力で、若手ながら実力派俳優との呼び声も高い林遣都。テレビドラマから映画、舞台などで、多様な役柄に挑戦してきました。2020年12月には30代の大台に乗り、大人の男性としてまた1つ成長する彼の今後に期待が高まります。 この記事では、林遣都が演じた役柄と作品について紹介します。

 

自身の不倫経験を赤裸々に綴る『夏の終り』(1963年)

著者
寂聴, 瀬戸内
出版日

2度実写化されている、瀬戸内晴美としての代表作『夏の終り』。2013年版の映画『夏の終わり』にて、満島ひかり演じる主人公と不倫関係に陥る年下の男性を綾野剛が演じました。

綾野剛による実写化作品をまとめた記事にて取り上げています。

綾野剛は役に生きる個性派俳優。原作ものの出演映画、テレビドラマを一挙紹介!

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どんな役柄にもチャレンジし、進化し続ける俳優・綾野剛。徹底した役作りに類まれなる感性の持ち主として、常に注目を浴びている俳優のひとりです。数々の作品に俳優として出演するまでには、実は意外な経歴も。 そんな彼が出演してきた映画やテレビドラマの中で、原作を実写化した作品を中心に紹介。綾野剛が演じた役柄と作品について紹介します。

 

瀬戸内寂聴が思想家・大杉栄について語る『諧調は偽りなり――伊藤野枝と大杉栄』(1984年)

著者
瀬戸内 寂聴
出版日
2017-02-17

思想家・大杉栄に関連した本を紹介しながら大杉栄について学べる記事で取り上げた1冊。瀬戸内寂聴自身も「最良の作品」と銘打つように、歴史的事実に拠りながら伊藤野枝と大杉栄の辿った運命について記します。明治~大正の時代を読むことができる歴史書としても。

大杉栄にまつわる本5選!激しく熱い彼の生涯を追う

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近代国家としての日本がその黎明期を終え、人々が個人の権利や自由の獲得を目指し、様々な社会運動を起こした大正時代。この影で、それらをさらに飛び越えて、究極の自由である無政府主義(アナキズム)を追求しようとした、大杉栄という男がいました。

 

釈迦の最期を瀬戸内寂聴はどう解釈する?『釈迦』(2002年)

著者
瀬戸内 寂聴
出版日
2005-10-28

ゴーダマ・シッダールタにまつわる逸話を紹介する記事にて。仏教説話が、瀬戸内寂聴ならではの視点で肉付けされています。瀬戸内寂聴の本領発揮ともいえる作品が、こちらの記事で取り上げられていました。

ゴータマ・シッダールタにまつわる7つの逸話!偉大なる仏教の開祖

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仏教は紀元前450年ごろのインドで起こり、開祖は仏陀と呼ばれています。サンスクリットで「真理に目覚めた人」「悟った者」などの意味で、その人物はゴータマ・シッダールタという名がありました。その人物と教えについて書かれた本を5冊紹介します。

 

瀬戸内寂聴が「蜻蛉日記」に寄せる思いを綴る『わたしの蜻蛉日記』(2009年)

著者
瀬戸内 寂聴
出版日
2012-11-20

「源氏物語」の現代語訳で一世を風靡した瀬戸内寂聴が、今度は「蜻蛉日記」に自身の人生観を重ねながら綴ります。「蜻蛉日記」についての解説記事で紹介されていました。

5分でわかる蜻蛉日記!概要、あらすじ、冒頭、和歌などわかりやすく解説

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千年の時を遡る日本。そこには今と変わらない男女の複雑な色恋がありました。思いどおりにいかない夫婦生活、葛藤、美しい和歌とともに綴られる蜻蛉日記の魅力は、時代を超えて人の心を打つ言葉の数々です。関連書籍も含めてご紹介しましょう。

 

清少納言のていで語る瀬戸内寂聴『月の輪草子』(2012年)

著者
瀬戸内 寂聴
出版日
2015-10-15

清少納言に関連した本を紹介しながら、清少納言について学べる記事にて紹介。90歳になった清少納言の体裁を借りて、生涯を振り返りました。『枕草子』の物語と比較してみても面白く読めるでしょう。

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平安時代に登場したキャリアウーマンの元祖、清少納言。彼女の陽気で快活な性格からくる物事を一刀両断する小気味よい物言いは現代人もなるほどと納得することばかりです。そんな彼女をより良く知るための本を5冊紹介いたします。

 

荒俣宏や養老孟司らとともに勉強の必要性について説く『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』(2013年)

著者
おおたとしまさ
出版日
2013-06-20

意外な記事に瀬戸内寂聴の名前がありました。7歳~9歳の女の子へ向けたプレゼントに贈りたい「楽しく学べる本」のキュレーションの中に、こちらの1冊が。

どのような書籍とともに選ばれたのか、ぜひこちらの記事でお確かめください。

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瀬戸内寂聴が美術家と何を語り合うか『創造&老年 横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集』(2018年)

著者
横尾 忠則
出版日
2018-01-20

横尾忠則について紹介する記事の中にも瀬戸内寂聴の名前が。「生涯現役」を掲げる、80歳でもなおそれぞれの道で活躍を見せる人物と横尾忠則が対談した内容を収めた1冊です。『寂聴訳 絵解き般若心経』などのイラストも手掛けていた横尾忠則。異色の2人はどのようなことを引き出し合うのでしょうか。

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サイトで紹介してきた作品を並べたら、瀬戸内寂聴の人生が見えてきた

ごく簡単にですが、ホンシェルジュで取り扱ってきた彼女の著作を刊行年代順に紹介しました。すると、見えてきた年代ごとの特徴が。やや強引ではありますが瀬戸内寂聴の一生を、このようにまとめることができるのではないでしょうか。

1.センセーショナルな女流作家期

『花芯』『夏の終り』など晴美名義での作品は、現代でも実写映画の原作として世代を超えて刺激を与え続けている。

2.古典解説先生期

「源氏物語」の現代語訳にはじまり、さまざまな古典文学と現代の橋渡し役として活躍。

3.生涯現役クリエイター期

「文学」の枠を飛び越えて、日本を代表する大家として意見を仰ぐ存在に。

ここで紹介した書籍は、瀬戸内寂聴の生涯で著したもののなかのほんの一部。これからも彼女の遺した作品は、世代を超えて親しまれていくことでしょう。

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