ジェーン・オースティンの名作5選!恋愛小説の名手!

更新:2020.12.10

『高慢と偏見』をはじめ、恋愛小説で有名なジェーン・オースティン。イギリスの美しい自然に囲まれた平凡な田舎で暮らす、名家の女性たちの恋愛から結婚までの紆余曲折を描きました。絶大な人気を誇る、オースティンのおすすめ5作品をご紹介します。

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ジェーン・オースティンとは

ジェーン・オースティンは、1775年イングランド南部ハンプシャーに生まれた小説家です。1817年に亡くなるまでの短い生涯の間に確かな作品を残しました。圧倒的支持は現在も衰え知らずで、今回ご紹介する5作品も度々ドラマ化、映画化され、パロディや解説本も多彩です。

昔ながらの田舎において、女性たちがどのような結婚をしていたのかをテーマにしています。当時、階級社会の保守的な考えが根強いなか、女性が自由な恋愛や結婚をするには様々な困難がありました。

日常的な場面をありのままに描く緻密さへの評価は揺るぎなく、夏目漱石も絶賛しています。ストーリーの舞台になるのはその家と、更に2、3家族が加わる程度のとても狭い世界なのに、続きが気になって読まずにいられなくなる作品ばかりです。

代表作にしてイギリス文学の傑作。『高慢と偏見』

18世紀末、イギリスの田舎町に住むベネット夫人は、娘たちの良縁探しを急いでいました。

ある日、この町に資産家の青年ビングリーが引っ越してきます。舞踏会で出会ったベネット家の長女ジェーンとビングリーは惹かれあいます。

一方次女エリザベスも、ビングリーの友人で大資産家のダーシーと出会いますが、エリザベスは彼の高慢な態度に反感を持ちます。ダーシーはエリザベスを魅力に感じていますが、高いプライドが邪魔して行動に移せません。

著者
ジェイン オースティン
出版日
2011-11-10

上・中流階級の女性たちはできるだけ金持ちの男性を見つけることが幸せとされていた時代にあって、エリザベスは、経済的利益のみの結婚を否定し、自分の意思を重視して結婚をしたいと思っていました。しかし、物事が見えているはずの彼女にも自負と偏見があり、誤解が重なります。

ダーシーも、格下の身分であるベネット家に偏見を持ちますが、エリザベスへの思いを募らせ、持ち前の忍耐強さで、エリザベスの偏見を拭っていきます。

人物の鮮やかな描写、無駄のない構成、テンポが良く喜劇的なストーリーは、今なお続く人気を力強く支えています。

感情を理屈通りに抑制できるのか。『説得』

サー・ウォールターは、妻に先立たれ、娘3人と暮らしています。長女と三女は父親に似て、虚栄心が強く、気位が高い女性です。次女のアンだけは、控えめで、家柄や財産にこだわらない性格ですが、それゆえ家族の中で孤立していました。

アンは8年前19歳のときに、恋仲だった貧しい海軍士官のウェントワースと、周囲に説き伏せられて別れた過去がありました。家柄も財産も適さないと判断されたのです。アンはその説得に従順であろうとしましたが、秘かな思いは変えられないままでした。

著者
ジェイン オースティン
出版日

アンは様々な人と出会ううち、人間に対する認識を深めていき、愛や幸せについて考えを確かにし、成長します。思慮深く従順な性格でしたが、それだけでなく感性との付き合い方を覚え、その考え方に人間味を増していきました。

作品を通して、地方の準男爵の一家や、地主階級の家が徐々に衰退し、海軍軍人たち新興の階級が力を得ていくという、当時のイギリスの時代背景が見てとれます。また、他の作品に比べ、アンは最年長で、過去のある女性であることがこの物語にいっそう重みを持たせています。

本質を見極めるのに必要なのは。『分別と多感』

ダッシュウッド家の19歳の長女エリナは、分別があり忍耐強く控え目で、反対に17歳の次女マリアンは、情熱的でロマンチストです。

遠縁の青年エドワードは物静かで内気な性格で、エリナは好感を持ちます。しかし、後に婚約者がいることが判明。一方、次女マリアンは、35歳で持病のあるブランドン大佐から興味を示されますが関心を持たず、ハンサムな紳士ウィロビーに夢中になり、人目をはばからず親しくします。しかしエリナは、二人から一向に婚約の話を聞かないことをいぶかしく感じていました。

著者
ジェイン オースティン
出版日

マリアンは、純粋である分思い込むと激しいところがあり、それが魅力でもあります。本能や直観も人間として欠かせない要素ですので、読者もそれに引き付けられます。エリナとマリアンを単純に比較して、分別と多感どちらが重要か、という議論には終始していません。二人ともそれぞれの長所があり、且つ足りないところもあるのです。

オースティンは、少ない言葉でそれぞれの人物たちの性格を非常に豊かに描いてます。読み進めると、それまで悪者のように思えていた人物が、ある時にわかに同情を感じたり、行動の真意が理解できたりする瞬間は、オースティンの作品の醍醐味の一つです。

自分は自分を正しく評価できているだろうか。『エマ』

病弱な父と二人で暮らしているエマは、勝気で頭の回転が早い反面、自信過剰で独善的な面がありました。独身の自由を満喫しており、すぐに結婚したいという願望はありません。

エマが好意的に思い、周囲にも似合いだと思われている青年フランクには、焼きもちを焼くこともありました。しかし、フランクは別の女性と結婚してしまいます。

やがて、年上の大地主ナイトリーと出会い、会話するうち、その真摯な忠告に自分の言動を省みるようになります。

著者
ジェーン オースティン
出版日
2000-10-16

エマは、裕福で、自分の意思が何でも通る家庭に暮らしており、周囲に批判してくれる人がいませんでした。自分の行動の正しさを信じ、相容れない相手は見下しさえしますが、実際はエマのほうが、根拠もなく物事を決めつけるなど勘違いの連続です。

はじめは身勝手なエマになかなか感情移入できないかも知れませんが、エマは徐々に、人の意見に聞く耳を持ち、素直に反省できる人間に成長していきます。

オースティンの作品には、現代の私たちが読んでも、こういう人いるな、自分にもこういうところあるな、と思わせるリアルな人物が沢山登場します。

すぐ隣にいながら、忍ぶ思い。『マンスフィールド・パーク』

内気で大人しいファニーは、10歳のとき実家の経済的事情で、マンスフィールド・パークに養女として引き取られました。この屋敷のサー・トマス・バートラムは厳格で古風な性格ですが、夫人は愛情深い女性でした。

子供たちは丁寧ながらどこかよそよそしい態度でしたが、何かと気を配ってくれる次男のエドマンドに、ファニーは時とともに穏やかな愛情を感じるようになります。しかしエドマンドは別の女性に恋い焦がれていて、そしてファニーにも縁談が持ち上がります。

著者
ジェイン・オースティン
出版日
2010-11-12

サー・トマスの厳格さや、意地悪な叔母などの圧力を長年耐えながらも、優しく謙遜に育ったファニーが幸せをつかむまでのストーリーです。思いを寄せる人とすぐ近くにいながら、なかなか結ばれない境遇を耐える姿に、思わず応援したくなります。

オースティンの作品はどれも、本当の愛とは何か、人が持つべき道徳とは何かを示唆するものが多いですが、この作品もまたそうです。ファニーには引き取られた身であるというハンデが付きまとい、度々哀しい目に合いますが、それでも自分の愛情や感受性を豊かに保ったヒロインを好きにならずにいられません。


『高慢と偏見』が気に入ったなら、ぜひ他の4作も読んでみてください。舞台こそ狭いのに、それぞれの主人公たちは異なる事情を抱えていて、豊かな世界が広がっています。そして、日々、人間が繰り返す間違いの数々を、オースティンは、ユーモアと皮肉をもってそれを愛情豊かに肯定しています。

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