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ヨネダコウのおすすめ漫画ランキングベスト4!映画化された作品も

更新:2020.11.30 作成:2017.4.10

デビュー作『どうしても触れたくない』が実写映画化された、ゲイにも人気のあるベストセラーBL作家ヨネダコウ。今回はそんなヨネダの描くオトコの世界が存分に味わえる4冊をランキング形式でご紹介します。

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オトコを描く漫画家、ヨネダコウ

デビュー作である『どうしても触れたくない』からスピンオフ『それでも優しい恋をする』。そして短編集『NightS』に、2017年現在連載中の『囀る鳥は羽ばたかない』。4作品全てが発売年度の「このBLがヤバい!」トップ10にランクインしている、まさにベストセラーBL作家です。

ヨネダコウの描くキャラクターは皆まごう事なき男です。BLなんだからそりゃ男だろう、というツッコミがあるかもしれませんがそういうことではありません。BLは男同士の恋愛を描いたジャンルですが、男といいながら女顔負けに華奢で可憐なキャラクターが多く登場します。つまり、BLとして描かれる世界はほぼファンタジーであり実在するゲイとは別物なのです。

しかし、ヨネダコウの作品はゲイの方からも人気を集めています。それはキャラクターや物語が男性的感性を持って描かれているからではないでしょうか。ヨネダコウの描くキャラクターは決して頬を染めて涙目で見上げてくることはありません。それなりにガサツで奔放で性欲のある男らしい男たちの男による恋と愛の物語。それがヨネダコウの最大の魅力です。

その画力と表現力から、青年漫画誌でも活躍中。今回はヨネダコウの男の世界が味わえるおすすめ作品を4冊紹介します。

第4位 ヤクザから整備士まで『NightS』

まずは第4位、ヨネダコウ初の短編集です。こちらは運び屋とヤクザ、男子高校生、車の整備士と営業マンの3つのストーリーが収録された1冊になっています。

表題作「NightS」に登場するのは運び屋唐津と、色気のあるヤクザ穂積。穂積から運びの仕事を請け負う唐津ですが、取引を重ねるたびに妖しくも色気のある穂積に唐津は翻弄されていってしまいます。これは仕事の取引なのか?それとも恋の駆け引きなのか?衝撃のラストまでハラハラドキドキ、目が離せません。

また、同時収録の「リプライ」は車の営業マンと整備士のお話です。仏頂面の営業マン、高見と腕の良い整備士、関。それまで営業に対してのイメージが悪かった関ですが、整備士にも気配りのできる高見を尊敬し惹かれていきます。しかし、高見には男だからと振られてしまい……。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2013-02-09

こちらの1冊だけでもヨネダコウの男の魅力を三種類も味わうことができます。

まず、表題作である「NightS」では秘密のある男の魅力。そして「感情スペクトラム」では思春期ならではの青臭い男の魅力。「リプライ」では働く男の魅力が描かれています。

「NightS」は、怪しい色気のある穂積とそれを楽しむ唐津の駆け引きだけでなく、麻薬の取引もあり二種類のドキドキに思わず夢中になってしまいます。気づけば読者が騙されている、そんな作品です。

また、仕事をする男たちを描く「リプライ」には、男性同士の恋愛の難しさを描くヨネダコウの魅力が詰まっています。プライドを持って仕事をしているからこそ、それに応えてくれる相手が現れて嬉しいと思える。そのようなきっかけは我々の日常にも潜んでいるのではないでしょうか?好きになって、悩んで悩んで悩んで、告白した結果、振られてしまうのは見ている方も辛くなります。しかし、後半の高見視点では物語が大きく展開するので是非最後まで見届けてあげてください。

仕事で疲れた1日の最後に、こっそり男たちの魅力に癒されてみませんか?

第3位 命をかけた男たちの任侠BL『囀る鳥は羽ばたかない』

続いて第3位は講談社FR@U漫画大賞を受賞した本作。こちらは、あらすじや帯などにもあるようにドMな組長と無愛想な部下のお話になっていますが、まったくもってエロ漫画などではありません。

ドMで淫乱なことで有名な若頭の矢代は、ひょんなことがきっかけで、ガタイのいい無愛想な新入り百目木と出会います。顔がタイプであったことと百目木がインポであるということが気に入り、矢代は百目木を側に置くようになりました。最初は矢代に対して「綺麗な人だ」という感情しかなかった百目木ですが、側で過ごすにつれて「誰とでも寝る淫乱ドM」な矢代の中に隠れる本質が見え始め、少しずつ惹かれていきます。

そんな中、百目木の妹が現れたことをきっかけに2人の関係は大きな変化を迎えることになるのです。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2013-01-30

何と言っても物語の構成に圧巻の1作です。1話目では矢代の親友である内科医、影山と年少上がりの狂犬、久我の物語が描かれているんですが、表紙の矢代はほぼ出てきません。しかし、これが後のストーリーで矢代という人間を表現する「起」になっていきます。

巻を追うごとに複雑になる組内で、因縁や激しくなる抗争の様子を描く本作は、もはやBL作品の枠を超えてヤクザ漫画でもあります。登場人物たちの職業をしっかりと調べ、その魅力を余すことなく描いているのはさすがといっていいでしょう。

矢代は事あるごとにインポである百目木にフェラをしますが、これもヨネダコウならではの表現になっています。百目木はインポなのでフェラをしてもなんの意味もありません。全く反応もしませんし、表情一つ変わりません。

しかし、百目木が矢代に惹かれるにつれて感じるようになるのです。つまり、百目木の気持ちの変化を、まさかのフェラで読者に伝えているんですね。驚くほど切なく描かれているので、こちらにも注目して読んでいただけるとより感情移入することができるのではないでしょうか。

また、ヤクザの話なのでスーツの男がわんさか出てきます。これはスーツフェチには堪らないので、スーツが好きな方はそれだけでも読んでみる価値があります!

心温まるとは程遠いですが、かっこいい男たちの命をかけた愛の物語がそこにはあります。繰り返しますが、ドMで淫乱な若頭のエロ本ではありませんよ。

第2位 器用な2人の不器用な恋『それでも優しい恋をする』

こちらは後ほど紹介する『どうしても触れたくない』のスピンオフ作品です。

『どうしても触れたくない』では後輩である嶋に惹かれつつも、上司の外川と嶋の関係を後押しする器用貧乏キューピットだった小野田。そして、その小野田に4年間も片思いをしている、こちらも器用貧乏かつ打算的なゲイ、出口。物語は2人の出会いから始まり、小野田と出口の視点が交互に描かれます。

上司にも愛想が良く自分がゲイだということは一切匂わせない、しかし仕事中であっても自分の欲求はホテルでしっかり満たすという出口はおそらく一般的に見れば世渡り上手なキャラクターでしょう。出口はゲイである自分に後ろめたさなどは感じませんし、ノンケを好きになるなんて不毛なことはあり得ない……はずでした。

共通の知り合いをきっかけに出会う2人ですが、友達としての親交を深めるうちに出口は小野田の纏う、自分には無い優しい空気に惹かれていきます。ノンケなど好きになって後で傷つくのは自分だ、と、何度も小野田への気持ちにブレーキをかけ続け、親しい友達としての関係を保つことなんと4年。駅のホームで彼女と手を繋ぐ小野田の姿にとうとう気持ちが抑えられなくなってしまうのです。

「あの繋いだ手が羨ましいと思った。わがままを聞いてもらえるのが羨ましいと思った」
(『それでも、優しい恋をする』より引用)

しかし、そんな出口の想いをよそに、小野田は同僚である嶋に惚れたことを彼に相談します。とんだ阿呆ですね。これをきっかけに長年友達だった2人の関係は大きく変化していくことになります。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2014-04-01

なんといっても今までゲイとして上手く世の中を渡ってきた出口が、小野田への気持ちにブレーキをかけられず葛藤する姿は行動や言動とは裏腹に凄く謙虚で、ギャップ好きには堪りません。小野田も小野田で好きな人の恋を応援してしまうような器用貧乏なので、ある意味似た者同士とも言える2人です。が、出口に比べて小野田は自分への好意には鈍感なので、そこがもどかしくもありこの作品の魅力でもありますね。

小野田は出口の気持ちに対して鈍感かつ無神経が炸裂しているので、何度も出口を上げては落とし、上げては落とします。惚れている方からしてみれば堪ったものではありません。それでも小野田を諦めきれない出口が愛しくなります。

現実的なゲイの恋愛の難しさを描いているBLなので初心者の方にも読んでいただける作品です。

第1位 ヨネダコウの代表作『どうしても触れたくない』

2014年には実写映画が公開され、当初は渋谷のイメージフォーラムのレイトショーのみという単館上映でしたが立ち見や通路の階段まで超満員という好評を得ました。この後もオリコンDVDチャート週間第1位や第4回愛媛LGBT映画祭で上映されるなどBL界の伝説とも言える作品です。

転職してきた無口で愛想のない嶋とガサツで陽気な上司の外川。最初は無愛想な嶋をからかって嫌がる彼を面白がっていた外川でしたが、嶋が時折見せる弱さに惹かれ一線を超えてしまいます。ガサツなので手が早いですね。

それからずるずると2人の体の関係は続きますが、嶋とちゃんと付き合いたい外川に対して過去のトラウマを持つ嶋は外川の想いに応えることができません。外川の過去と嶋の過去、変えることのできない事実に苦しむ2人の姿は現実の厳しさを表現しており、ヨネダコウの作品がゲイにも好まれている理由の一つとも言えるのではないでしょうか。

著者
ヨネダ コウ
出版日
2008-09-01

男同士の恋愛を描く上で家族という問題は大きな障害となります。作中で外川も言っているように、家族を持つか持たないかというのは可能性の1つでしかありません。しかし、嶋を選ぶということは同時に家族の可能性を捨てるということになります。好きな相手の可能性を奪う覚悟、それは男女の恋愛には無いBLならではの葛藤だといえるでしょう。外川に幸せな家庭を築いてほしいからこそ、自分では駄目なんだと苦しむ嶋の姿は愛するということを教えさせられます。

得るものよりも失うものの方が多い中で、それでも相手を選ぶというのは究極の愛の形ではないでしょうか。男女の恋愛では描くことのできない、BLならではの魅力が詰まった本作を、1人でも多くの人に読んでいただければと思います。

BL界を代表する漫画家ヨネダコウによるオトコの世界、いかがだったでしょうか?これを機に是非読んでいただければ幸いです。