2017年にテレビアニメ化がした『ひとりじめマイヒーロー』の作者。彼女の描くシュールでハッピーなBL作品を今回はランキング形式でご紹介します!
BL作家のなかでも、類稀なるシュールなギャグセンスを持つ作家。そのシュールさはコミックスのプロフィール、「口に長めのロールケーキを三本挿した状態で仕事がしたいですね」という近況報告からも伺えます。
『ひとりじめボーイフレンド』の連載をきっかけに一迅社より2009年に漫画家としてデビュー。初期の作品は王道BLといった感じで特にオカシイ点は見られませんが、作品を追う毎にシュールでじわじわ笑いがこみ上げてくるありいめめこワールドが展開されていきます。
シュールで笑える日常を描きながらも、BLにおいて大切なドキドキや切ない描写も見事に描ききるという何とも器用な漫画家です。今回は、そんなありいめめこの笑えて切ないBL作品を4冊ご紹介します。
まずは第4位『嘘つきとスイーツ』。こちらはスイーツが大好きな会社員たかふみとスイーツ嫌いな彼氏、近江さんの日常と葛藤を描いたラブコメディ作品です。
甘いものに目がないたかふみは近江に会うときにスイーツを我慢することができず、キスをすれば近江にトイレに駆け込まれてしまう始末。甘い匂いが苦手な近江はたかふみに自分に会うときはスイーツを食べるな。スイーツを食べるなら会いにくるな。という厳しい言葉を浴びせます。
近江と次のステップに進みたいがために何とかスイーツを我慢しようとするたかふみですが、ついにはスイーツの幻聴まで聞こえてるように……。
「あ…聴こえる チーズタルトちゃんの切ない声
…オレは耳を澄ました するとさらに声は切なさを増したんだ。
“寂しいよ…独りはやだよ…”って。」
(『嘘つきとスイーツ』より引用)
スイーツと近江の間で強く揺れるたかふみですが、その一方で近江にもたかふみには言っていない秘密があり2人の関係に変化をもたらすことになるのです。
- 著者
- ありいめめこ
- 出版日
- 2013-06-03
スイーツをやめられないたかふみが近江とスイーツのことを真剣に考え葛藤する姿はありいめめこにしか描けない世界といっても過言ではありません。
たかふみの姿は至って真剣そのもので、本気で恋人と同じくらいスイーツを愛しているわけなんです。笑える出来事を真剣に描くことによって生み出されるシュールさこそがありいめめこの魅力の1つともいえるでしょう。
作中に登場する美味しそうなスイーツ達と近江とスイーツに翻弄されるたかふみは少し滑稽でなぜだか愛おしくもなってしまうほどホッコリさせられます。その一方で甘ちゃんなたかふみに辛口で切り込んでいく近江のデレはスイーツよりも甘く、こちらも目が離せません。
一見、正反対にも思える2人ですが結局はバカップルという衝撃の一冊です。スイーツ好きな方、癒されたいかたにおすすめです。
続いて第3位は『闘うラブリーエプロン』
どっちが子供か分からないほど精神が子供な保育士直樹と保育園でバイト中の大学生凌。仕事ができず、逆に子供に遊ばれている直樹に対して器用で女ウケもよく何でもこなす凌は、なぜか直樹にだけ生意気な態度を取ります。まぁ単純に仕事ができないところをナメられているわけですが。
そんな意地悪な凌に子供な直樹はいちいち突っかかり、喧嘩の絶えない2人。しかし、直樹が家を追い出されたことをきっかけに2人の距離は急接近することになります。
- 著者
- ありい めめこ
- 出版日
- 2012-08-11
仕事もろくに出来ず、子供にも凌にも遊ばれている不憫な年上の直樹がとにかくバカ可愛いです。凌がついつい意地悪してしまう気持ちも分かります。
4歳も年下の凌にからかわれてムキになる直樹はもちろん子供ですが、好きな子をいじめてしまう凌も十分子供ですね。つまり、子供が子供の面倒を見ながら子供のような恋愛をするドタバタラブコメディになっています。
なかでも注目しでいただきたいのが、作中に登場するやたらと達観した保育園の子供達です。直樹の相談に乗る姿は見た目は子供、心は62歳という感じで思わず笑いを誘います。
子供達とのやり取りや徐々に片鱗を見せ始めるありいめめこワールドを味わってみてはいかがでしょうか。
第2位『ひとりじめボーイフレンド』
小学生の時、支倉が引っ越してしまうことが寂しくてつい絶交宣言をしてしまった健介。しかし、2人は偶然にも3年ぶりに高校で再会を果たします。絶交のことを謝ってもう1度やり直したい健介でしたが、中々勇気が出ず行動に移すことができません。
そんな時、支倉から声をかけてくれたことをきっかけに2人は再び友達としてやり直すことになるのですが支倉から「友達だと思ったことはない」と言われ健介はひどくショックを受けるのです。
すれ違う2人の甘酸っぱい青春ラブストーリーが始まります。
- 著者
- ありい めめこ
- 出版日
- 2010-11-15
こちらの作品はありいめめこのデビュー作となっており、そのせいか彼女特有のシュールギャクも控えめになっています。
健介と支倉は『ひとりじめマイヒーロー』にもメインキャラクターとして登場します。こちらではシュールギャクが惜しみなく力を発揮していて健介の鈍感天然具合に拍車がかかっているので、また違った2人を見ることができるのではないでしょうか?
ギャグが控えめの王道BLを読むことができるので初めてありいめめこの作品を読む方やBL初心者の方にもオススメの一冊です。
また、『ひとりじめマイヒーロー』はこの作品のスピンオフとなっているので合わせてどうぞ!
第1位は2017年7月からテレビアニメの放送が決定している『ひとりじめマイヒーロー』です。元々は『ひとりじめボーイフレンド』のスピンオフ作品として連載されましたが、その人気からテレビアニメの放送が決まりました。
根は真面目な勢多川は中学時代、不良達の優秀なパシリとして日々を過ごします。優秀なため、殴られることや怒鳴られることもなくどちらかといえば可愛がられているパシリでした。そんな時不良達の間で「熊殺し」と恐れられている非常勤講師康介と出会い弟子になります。
弟子といっても料理が殺人級に下手な康介の母親の代わりに、康介と弟健介にご飯を作り、掃除をして、ペットの世話をするという、ほぼ妻です。世話を焼くのが癖になっており、自分の欲求に疎くなってしまった勢多川でしたが康介が高校の数学教師になったことをきっかけに強引な康介に振り回されていくことになります。
強引な康介と不憫な不良の笑いあり、涙ありのラブコメディになっています。
- 著者
- ありい めめこ
- 出版日
- 2012-02-15
1巻では大人の余裕から勢多川の心を無理やり開かせて自由自在に振り回す康介でしたが、物語が進むにつれ「甘やかしたい」という感情以上に勢多川を大切に思うようになり逆に振り回されていくさまからは恋が制御できない感情だということを思い知らされます。
勢多川と康介の痴話喧嘩に巻き込まれる支倉や健介にも注目です。また、康介の同級生である変態刑事の宝城、その妻である支倉の姉に健介と勢多川の同級生など個性が溢れすぎるキャラクターも多数登場するのでそちらも楽しんで読んでいただけるのではないでしょうか?
教師と生徒、大人と子供、男同士などさまざまなしがらみの中で問題も喧嘩も嫉妬も絶えない2人ですが、それでも一緒にいることを選ぶ2人の愛に心打たれる作品となっています。
『ひとりじめマイヒーロー』については<漫画『ひとりじめマイヒーロー』の魅力を全巻ネタバレ紹介!おすすめ健全BL>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
いかがだったでしょうか!ありいめめこはTwitterもすごく面白い独特なツイートが多いのでぜひチェックしてみてください!