デビュー作である『君の膵臓をたべたい』で一躍有名になった住野よる。登場人物の心情を繊細に描き、若者を中心に人気を集めています。ペンネームや作風から女性作家だと思われることも多いようですが、実は男性。この記事では、彼の全作品を一覧で紹介していきます。読書感想文にもおすすめですよ。
2014年に小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿した『君の膵臓をたべたい』で一躍有名になった住野よる。デビュー作ながら本屋大賞にもノミネートされ、2017年に実写映画化、2018年にはアニメ映画化と、多くの人の目にとまることとなりました。
生年月日など詳しいプロフィールは明らかにされていませんが、男性作家です。高校時代から執筆活動をはじめたそう。
話題になった「キミスイ」以外にも、学生を主人公にした青春小説を多く手掛け、若い世代の読者を中心に人気を集めています。
デビューして以来精力的に活動を続ける住野の作品を、最新作からデビュー作までさかのぼってすべておすすめしていきます。
『麦本三歩の好きなもの』に続く、ほのぼの系女子・三歩の日常物語。第2弾の三歩はますますパワーアップしていますよ。
麦本三歩は大学の図書館に務めて、数年が経っていました。仕事はこなせるようになってきたけれども、先輩たちはまだまだ目を離せません。そんな中、新人さんが入ってきて、三歩にもついに後輩ができることに。中国から来たというその後輩は超真面目で、三歩よりも何倍もしっかりしています。後輩の仕事ぶりに焦る三歩ですが……。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
前作よりも、三歩は大人な女性に大変身しています。まずは後輩ができたことです。先輩になって少しはしっかりしてきたと思いきや、空回りのオンパレード。しかし、後輩と距離を縮め、悩みを打ち明けられるほど成長します。
この後輩に返した三歩のアドバイスは必見です。さらに、合コンに参加したり、デートしたり、SNSにハマったりと、どんどん外の世界へ足を踏み入れていきます。
たくさんの出会いがあれば価値観が変わることも多々ありますが、我を貫き通すのが三歩。ポジティブでのほほんとしている姿はいつも同じです。多少はしっかりしてきたといえど、やはり相変わらずどんくさいです。所々読者を癒してくれる三歩の姿は変わりません。
前作から読んでいるという方だけではなく、日常系の物語が好きな方にもぜひ挑戦していただきたい一冊です。
異世界の少女に出会い、恋をする恋愛小説です。住野よるが敬愛するバンドTHE BACK HORNとコラボ創作。楽曲CDが付いたバージョンも発売され、話題となりました。
高校生のカヤ(鈴木香弥)は日常に嫌気が差していて、つまらない日々を送っていました。しかし、深夜のバス停で1人の少女と出会い、変わります。彼女は目と爪でしか見えず、匂い、味も感じ取ることができません。カヤは彼女をチカと名付け、交流を深めていく2人。やがて恋心が芽生え始め、カヤはチカに想いを伝えます。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
チカの存在は本当にピュアです。「好き」がわからず、恋に関してまっさらな状態から始まりまるチカ。彼女の世界では恋の感情が存在せず、カヤの想いが届かないこともありました。
それでもカヤはチカを受け止め、徐々に交流を深めて心を通わせていきます。そして、カヤはただ想いをぶつけるだけではなく、相手を受け入れることも恋には必要だと気付きます。そんなカヤとチカの純愛を通して、人を好きになるとはどういうことか深く考えられるラブストーリーになっています。
チカとの楽しい時間の一方で、チカへ想いが届かず彼女の存在を忘れられない苦しみもありました。大人になったカヤにもまだこの苦しみは続きます。一体、どのようにこの苦しみを乗り越えていくのでしょうか。
『君の膵臓をたべたい』が好きな方は、特にハマってしまうかもしれません。
ホンシェルジュでは作者・住野よるに直接インタビューを行いました。その内容はこちらでご覧ください。
住野よる最新刊『この気持ちもいつか忘れる』 発売記念インタビュー
史上初、小説家とミュージシャンがコラボして生まれた恋愛小説『この気持ちもいつか忘れる』。 大ベストセラー『君の膵臓をたべたい』の著者・住野よる初めての恋愛小説であり、住野よる自身がファンであるTHE BACK HORNと構想段階から作り上げた作品。小説も、曲も双方ともに何度も打ち合わせを重ねできあがった小説です。 「なぜ今回この2組のコラボが実現したのか」「なぜ初の恋愛小説をこのタイミングで書いたのか」など、作品について住野よるさんに直接話を伺ってみました。
ちょっとヘンテコなある女性の何気ないエピソードを集めた日常小説。大手書店の「2019年 二十歳(はたち)が一番読んだ小説ランキング」で2位を獲得しました。2020年にはコミカライズも。
学生の登場人物による物語を得意とする住野よるが、初めて学生以外の主人公を描いた作品です。
主人公の麦本三歩は、大学の図書館に勤務しています。職場ではいつも先輩たちに𠮟られてばかりで、働く気が進まない三歩。ある日図書館の配架作業をしていたら、ある本を探していると若い女性から声を掛けられます。
しかし、三歩はあやふやな返答をしてしまい、彼女の機嫌を損なわせてしまいました。その後、何度も三歩のもとにやって来て……。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
本作の見所は三歩のキャラクターです。基本的に大人しい性格ですが、よく失敗したり、奇怪な行動を起こしてしまいます。病んでしまいそうなぐらいのドジっぷりですが、ちょっとおいしいものを食べるだけで復活。いつも日常の些細なことを楽しもうとする三歩の姿は羨ましいぐらいです。
実は、三歩の好きなものは「もの」だけではありません。物語の始まりは、1人の時間が好きそうに思われますが、その印象は徐々に変わっていきます。展開が進むにつれて、過去にいた彼氏や自慢の親友が登場。さらには気まずかったある職場の先輩とも距離が縮まります。
不器用な接し方であっても、彼女なりにちゃんと愛情を注いでいることが伝わってくるはず。三歩の好きなものと同時に、彼女自身の本当に大切にしたいものがわかってくる点にも注目したいですね。
2018年に発表された住野よるの作品です。「オリコン週間BOOKランキング」文芸部門で1位を獲得しました。
大学生になったばかりで周囲に馴染めていなかった田端楓(たばたかえで)は、同じく浮いた存在だった秋好寿乃(あきよしひさの)と出会い、「モアイ」という名のサークルを作ります。
「モアイ」はもともと、「理想の自分を目指す」ことを目的とした秘密結社のようなものでしたが、時が経つにつれて、しだいにその様相を変えていくことになるのです。理想とかけ離れてしまった「モアイ」を本来の姿に戻すために奮闘する楓ですが……。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
- 2018-03-02
序盤は大学生になったばかりの2人が「モアイ」を作るところまでが描かれ、中盤以降は3年が経過して4年生になった楓と、秋好がいなくなり変わってしまった「モアイ」を壊そうとする様子が描かれます。
仲間だと思っていた人に裏切られたり、知らぬ間に人を傷つけてしまっていたり、過去の理想にとらわれすぎてしまったり……。時が経つにつれて相手が自分の理想と異なることがわかり、それを受け入れられない様子などは、まさにタイトルのとおり「青くて痛くて脆い」。
そしてその幼いともいえる感情に、大人になった読者もきっと共感できるでしょう。けっしてハッピーエンドなわけではないですが、読後も余韻が残る一冊です。
『青くて痛くて脆い』についてもっと知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
『青くて痛くて脆い』が100倍面白くなる!映画、原作小説の解説【ネタバレ注意】
『青くて痛くて脆い』という小説をご存じでしょうか? 映画化もした『君の膵臓をたべたい』が代表作の人気小説家、住野よる自身が現時点での最高傑作だと語っている作品です。 2018年に刊行された後、オリコンの文芸書ランキングで初登場で1位、2019年には「2018年二十歳が一番読んだ小説ランキング」で1位を獲得しました。2020年8月には映画の公開も予定されており、注目を集めている小説です。 今回は、そんな本作のあらすじをご紹介したあと、読むうえでさらに面白くなるポイント、誕生秘話などをご紹介します。
2020年に映画化され、楓を吉沢亮、寿乃を杉咲花が演じました。俳優の実写化した作品をまとめたこちらの記事もおすすめです。
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奇抜で変わったタイトルが目を引く本作は、恋や進路など悩みごとを抱えた5人の高校生を主人公にした連作短編集。タイトルの意味は、すべてを読み終わると納得できるはずです。
5人はそれぞれにちょっと変わった特殊能力をもっていますが、それ以外はとても普通の高校生。文化祭や修学旅行、受験勉強などに取り組んでいきます。
雑誌「小説新潮」で連載され、2018年にはコミカライズもされました。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
- 2017-03-22
「5人のクラスメイトがくり広げる、これは、特別でありふれた物語」
(『か「」く「」し「」ご「」と「』帯より引用)
京、ミッキー、パラ、ヅカ、エルという人とはちょっと違った特殊能力をもった5人が織りなす青春ストーリー。たとえば1章の主人公の京は、相手の頭の上に「、」「。」「!」「?」などが浮いて見え、第2章の主人公のミッキーは相手の感情がプラスかマイナスかを見ることができるのです。
劇的な事件が起きるわけではありませんが、この少しの能力のおかげで相手のことが気になってしまい、でもその悩み自体は誰もが経験する甘酸っぱいもの。ストーリーのなかで特殊能力がメインに据えられているわけではないからこそ、多くの読者の共感を呼ぶのでしょう。
主人公は、夜になると豹変し、「ばけもの」になってしまう安達という中学生の男の子。8つの目、6つの足、4つの尾という姿になり、夜な夜な街を徘徊しています。
ある日、宿題を忘れたことを思いだして学校へ向かうと、そこには夜にも関わらず、クラスメイトの矢野さつきがいました。
彼女はばけものに驚きつつも、その正体が安達だということを見破ります。そしてその日から2人は、夜を一緒に過ごすようになるのです。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
- 2016-12-07
矢野さつきはいわゆる空気を読めない少女で、日常的にいじめを受けていました。机を汚されたり持ち物を隠されたりしても、にんまりと笑っていることから、余計に気味悪がられています。夜の学校では「夜休み」をしていたそう。
安達は夜の間は彼女と楽しい時間を過ごしますが、昼間は自分の学校生活に支障が出ないよう、クラスメイトと同様に矢野を無視しているのです。
物語は安達の目線で語られ、また彼自身がかなり未熟であるため、人物評は独善的。なぜばけものになってしまうのかも謎のまま進んでいきます。読者は語り手の思い込みに騙されずに、真実を読み取らなければなりません。
昼の安達と夜の安達はどちらが本当の彼なのか、そしていじめを受けても笑っている矢野は、なぜ嫌われるような行動をとるのか、ぜひ実際に読んでそれぞれの解釈を得てほしい作品です。
『君の膵臓をたべたい』に次ぐ住野よるの2作目で、コミカライズもされています。
主人公の小柳奈ノ花は、小学生の女の子。自分だけが賢く、同級生はみんな馬鹿だと思っていて、学校に友達はいません。
そんな彼女が放課後に訪ねる先は3つ。表札にマジックで「アバズレ」といたずら書きされた風俗嬢のアバズレさん。お菓子作りが大好きなおばあちゃん。そして、リストカットをしていた高校生の南さん。
孤独だった奈ノ花が3人と関わり、幸せとは何かを考えていく物語です。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
- 2016-02-17
クラスメイトから浮き、孤独を深めている奈ノ花が、個性的で年代も違う3人の女性たちとの交流を通じて生きることや人と関わることの意味、幸せについて考え、成長していきます。
学校のことや家のことを相談すると、彼女たちのアドバイスは三者三様。だからこそ奈ノ花は自分自身で物事を真剣に考えるようになるのです。
主人公が小学生ということもあり、どこか寓話的な雰囲気がありますが、侮るなかれ。物語全体に大きな仕掛けがしてあり、中盤からは意外なラストに向けて急展開していきます。散りばめられた伏線に気づいた時に得られる納得感をお楽しみください。果たして奈ノ花は幸せな大人になることができるのでしょうか。
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『また、同じ夢を見ていた』6の見所をネタバレ解説!物語の謎・伏線を考察
250万部以上を売り上げた『君の膵臓を食べたい』の作者・住野よるの、2冊目の作品『また、同じ夢を見ていた』。 本作は、小説とひとくくりにするのは難しいでしょう。童話のように感じさせる反面リアリティもあり、幸せや人生について考えさせる自己啓発的な要素も組み込まれています。読者になんとも言い難い感情をもたらせてくれる作品です。 今回は、そんな魅力満載の『また、同じ夢を見ていた』のあらすじや登場人物の紹介、さらには結末までをご紹介していきましょう。
住野よるのデビュー作であり、本屋大賞で2位を受賞したほか、映像化もされた注目作品です。
他人に興味がなくクラスでも孤立している主人公「僕」と、明るく快活でクラスの人気者の山内桜良の2人を中心とした青春小説になっています。
「僕」はある日、通院していた病院で、桜良の日記帳を拾ってしまいました。そこに書かれていたのは、彼女が膵臓の病気で余命わずかであるという事実。「僕」は、これまでまったく接点のなかった桜良を気にかけるようになり、しだいに心惹かれていくようになります。
そして、余命わずかな彼女の「死ぬまでにしたいこと」に、なかば強引に付き合わされることになるのですが……。
- 著者
- 住野 よる
- 出版日
- 2017-04-27
本作の特徴のひとつに、主人公である「僕」の名前が出てこないことがあります。クラスメイトは彼のことを「地味なクラスメイト」「根暗そうなクラスメイト」と表現し、先生ですら「おとなしい生徒」と評するといった感じで、徹底して名前を出しません。
そんななか桜良は、「僕」のことを「地味なクラスメイト」から「秘密をしっているクラスメイト」に、そして「仲良しくん」へと呼び方を変えていくさまが秀逸です。
タイトルの猟奇性と反して、登場人物の心情が繊細に描かれる作品。世界観にどっぷりと浸ることができるでしょう。
本作についてもっと知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
『君の膵臓をたべたい』に隠された初恋の謎。結末や名言から見所ネタバレ考察
2016年「本屋大賞」第2位、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR」2位、「2015年 年間ベストセラー」6位(文芸書・トーハン調べ)、「読書メーター読みたい本ランキング」1位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2015」1位、「2016年年間ベストセラー」総合5位・文芸書1位(トーハン調べ)、「2016年 年間ベストセラー」総合4位・単行本フィクション1位(日販調べ)、「キノベス! 2016」3位、「2016 TSUTAYA BOOKS 上半期ランキング総合部門」1位と、さまざまな評価を受けている『君の膵臓を食べたい』。 累計発行部数は300万部を突破し、実写映画、アニメ映画化もされる本作。この物語に隠された謎について、さまざまな観点から考察を加えていきます。本作はさまざまな解釈ができることから、ネットでもその評価は賛否両論。 この記事では、結末や見どころ、名言などを深く考察することによって、本作の魅力について詳しく説明していきます。ネタバレも含みますので、ご注意ください。 また、漫画版作品がスマホアプリで無料で読めるので、そちらからこの世界観を覗いてみるのもおすすめです。
漫画版の『君の膵臓をたべたい』についてはこちらの記事で紹介しています。
漫画『君の膵臓をたべたい』全巻ネタバレ!原作・映画との違いは?【無料で読める】
住野よる原作の大ヒット小説のコミカライズ版!「キミスイ」が漫画になって登場です。 死ぬことが運命付けられた少女と、他者との関わりを持たなかった少年。そんな2人の切ない関係を描いたラブストーリーが本作『君の膵臓をたべたい』です。実写映画、アニメ映画と、次々と映像化された事により話題となった小説作品が、ついに漫画化されました。今回はそんな本作の魅力を全巻ご紹介。 スマホアプリからは無料で読むことができるので、ぜひご利用ください。
2017年に公開された映画では「僕」を北村匠海、山内桜良を浜辺美波が演じて話題になりました。俳優について気になる方はこちらの記事もおすすめです。
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