人気実力ともに兼ね備え、日本映画界を牽引する岩井俊二監督。その才能は日本のみならず世界でも認められています。岩井美学と呼ばれる特徴的で独特な感性から生み出される作品は、唯一無二のものばかり。この記事では、岩井俊二が監督を手掛けたおすすめの作品を原作とともに紹介します。
独自の美学にもとづいた映像やストーリーに定評がある監督・岩井俊二(いわいしゅんじ)。映画監督としてだけなく、映像作家や音楽家、小説家などさまざまな顔を持っています。まずはプロフィールからご紹介します。
1963年1月24日、宮城県仙台市生まれ。1988年からミュージック・ビデオのディレクターとして仕事を開始します。1991年の深夜ドラマ『見知らぬ我が子』で初演出をしました。その2年後の『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』はテレビドラマであるにもかかわらず、日本映画監督協会新人賞を受賞。1990年代の深夜ドラマで、岩井俊二という映像作家が一大ブームを巻き起こしたのです。
それを受けて1994年には満を持して、短編作品『undo』で映画監督デビューを果たします。その翌年、初長編作品である『Love Letter』が異例のロングランヒットを記録。日本だけなく中国でも好評を博し、韓国でも爆発的人気となりました。続く、1996年の『スワロウテイル』は主題歌も大ヒットを記録した上、各映画賞を受賞。岩井俊二の名を不動のものとしました。
その後も、プロデュースやドキュメンタリー、アニメーション監督など表現活動に勤しみ、2020年には『Love Letter』に続く『ラストレター』を発表。最新作は、『シン・ゴジラ』の樋口真嗣原案による『8日で死んだ怪獣の12日の物語-劇場版』。2020年現在の難局を乗り越えるため、リレー形式で各映像作家がつないでいくという企画に参加しています。どんな状況であっても、精力的に作品作りに取り組む、それが岩井俊二監督です。
『Love Letter』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『リップヴァンウィンクルの花嫁』『ラストレター』と数々の名作を世に送り出し、内外に多くのファンを持つ岩井俊二。深夜ドラマで一大ブームを巻き起こし社会現象にもなった日本を代表する映画監督です。そんな岩井俊二監督の人々を惹きつけてやまない魅力を探っていきます。
「岩井美学」という言葉が生まれるほど、その映像美には定評があります。その美学を語る上で欠かせないのは「光の使い方」です。自然光を巧みに使い人物の感情を表現。それを表現するための貴重な人材が岩井作品には常に存在しています。
その代表といえるのは、今は亡き篠田昇カメラマン。岩井作品の代名詞ともいえる手持ちでのカメラワークなどを確立しました。『スワロウテイル』では小林武史の音楽も加わり、以降しばしばタッグを組むことに。美術にも種田陽平などが参加しています。
そんな岩井監督ですが、高い技術力を投入しつつも大切にしているのは、人物の感情がきちんと伝わるかということ。さまざまな技術を駆使し、私たちの心を揺さぶるような作品を作り続けているところが岩井俊二の魅力です。
また、岩井監督の弟子にあたる行定勲監督は次のように語っています。「岩井さんのすごいのはひとつの作品のモチーフを何とおりにも広げていくところ、『作り方の独自性』だと思います」と。独自のアプローチでの作品づくりは、メディアの形に囚われず常に新しい形を求めています。だからこそ、既存のファンだけでなく、若い世代など多くのファンに支持されているのでしょう。
岩井俊二をもっと詳しく知りたい人はこちらがおすすめです。
- 著者
- ["岩井 俊二", "松 たか子", "広瀬 すず", "森 七菜", "神木 隆之介", "福山 雅治"]
- 出版日
1990年代、フジテレビの深夜ドラマ枠では才能ある若いディレクターを多く輩出していました。そのなかでもひと際才能を発揮していたのが岩井俊二監督です。感性豊かな作品を次々と生み出しました。今回おすすめするのは、その深夜ドラマの中から『FRIED DRAGON FISH』です。
ある探偵事務所に派遣されることになったデータバンク「デルタワークス」の女性オペレーター・プー。ひょんなことから、盗まれた熱帯魚ドラゴンフィッシュの事件を調査することに。徐々に明らかになる不思議な事件に深く関わることになってしまうのですが……。
このテレビドラマ放送後、フジテレビに岩井俊二についての問い合わせが殺到したそうです。脚本、映像、音楽どれをとっても魅力的。特に作品の持つ独特の色やリズムのようなものが異彩を放っていました。
1996年には『PiCNiC』とともに劇場公開され、当時アイドル歌手だった芳本美代子が女優として認められた作品でもあります。若かりし頃の浅野忠信も印象的です。
ここから先は、岩井俊二が監督した作品を原作とともにその魅力を紹介します。
岩井俊二監督の記念すべき初の劇場用長編映画『Love Letter』。1995年に公開されるとたちまち大ヒットを記録し、異例のロングラン公開となりました。同年、岩井自身による書き下ろし小説『ラヴレター』も発表されています。
もともと小説も書いていた岩井監督の文章も興味深いものがあります。映画版に負けず劣らずの瑞々しい世界観は必読です。
雪山の事故でフィアンセの樹を亡くした博子は、彼の3回忌に樹が昔住んでいた小樽の住所を手に入れます。気持ちに整理をつけるためその住所に手紙を出すと、返ってくるはずのない返事が戻ってくることに。そこからもう1人の樹という女性と奇妙な文通が始まるのでした。
映画版では、博子と女性の樹を中山美穂が演じ、フィアンセの親友を豊川悦司が演じています。雪山で博子が「お元気ですかー?私は元気ですー」と何度も叫ぶ名シーンは今でもなお語り継がれています。
原作が気になった方は、他の小説も紹介したこちらの記事もご覧ください。
<岩井俊二のおすすめ小説5選!映画監督や脚本家も務める作家>
- 著者
- 岩井 俊二
- 出版日
- 1998-03-20
岩井俊二監督のオリジナル作品『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、1993年にフジテレビで放送されていた『ifもしも』の一篇として製作されました。テレビドラマであるにも関わらず、日本映画監督協会新人賞を受賞した作品です。1995年には、放送時にはなかったカットを追加し同名タイトルで劇場公開されています。
劇場アニメ版に合わせて、放送から24年の歳月を経て岩井監督自身による小説版『少年たちは花火を横から見たかった』が発表されました。テレビドラマの原点ともいえる物語が展開されていきます。いわば、岩井版の『銀河鉄道の夜』。書き出しから宮沢賢治の小説が偲ばれます。
小6の典道となずなとのひと夏の切ない恋の物語。なずなはミステリアスな女の子で、演じた奥菜恵にピッタリな役柄でした。小説では「もしも~なら」という部分はカットされすっきり読み進められます。甘酸っぱい青春ストーリーです。
- 著者
- 岩井 俊二
- 出版日
- 2017-06-17
『スワロウテイル』も岩井俊二監督のオリジナル作品です。1996年に同名の実写映画が公開されましたが、映画の撮影に前に『FRIED DRAGON FISH』の続編として書かれた原案的な同名小説も発表されています。
基本の物語はどちらも同じで、架空の歴史を辿ってきた日本にある円都が舞台。円の価値が高いという設定の中、その街に移民達が移り住んできます。日本語だけなく、英語、中国語などが飛び交っていました。そこに住む娼婦グリコが仲間とともに偽札作りを始めたことで徐々に成功を掴んでいく物語です。
映画と小説では細かい設定などは異なっていますが、世界観はそのままにどちらも別物としてきちんと楽しめるようになっているのが岩井流。
映画に登場したグリコ演じる歌手のCharaが劇中で組むバンド「YEN TOWN BAND」が実際にCDデビューし、映画のヒットともに一躍注目を浴びました。小説、映像、音楽全ての世界観を堪能してください。
- 著者
- 岩井 俊二
- 出版日
スティーヴン・セガールの娘であり女優の藤谷文子の短編小説『逃避夢』を原作に、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明が初の実写映画監督にチャレンジしました。タイトルを『式日』に変更し、主演を藤谷文子本人と岩井俊二が務めています。
岩井監督の映画初出演作品です。式日とは、儀式を執りおこなう日のこと。作中では、毎日変わった儀式をおこなう少女が登場します。
自身の家庭問題をベースに、藤谷が描く傷ついた1人の少女・純。そんな彼女はある時、1人の男性に出会うのですが……。映画ではこの男性をスランプに陥った映画監督という設定に。庵野監督が自分をモデル生み出したカントク役を岩井俊二が演じています。互いに傷ついた心を持つ同志が徐々に心を通わせていく物語です。
作者の藤谷がこの作品を執筆したのが10代後半。多感な感性が生み出す珠玉の物語は、人と人との繋がりに想いを馳せる作品となっています。
- 著者
- 藤谷 文子
- 出版日
岩井俊二監督のさらなる新境地をみせてくれた映画『リリイ・シュシュのすべて』。初めにインターネット小説が発表され、その後同名の書籍として出版。最後に映画が公開されるという展開になりました。
このインターネット小説は、架空の歌手であるリリイ・シュシュのファンサイトにあたる掲示板が作られ、そこに岩井監督が書き込みをしていくというもの。実際に閲覧している一般の人も書き込みができ、それが小説の一部となっていきます。これらをまとめたものが小説版として発表されました。
映画版では小説に登場する中学生のリアルな少年少女が描かれていきます。映画で主演を演じたのは、市川隼人。そのほか、忍成修吾、蒼井優、伊藤歩など今も活躍中の俳優陣の活躍も見ることができます。
掲示板の書き込みで進んでいく物語がよりリアルで、仮想の世界の中でくり広げられる顔の見えないコミュニケーションが痛切に感じられます。映画では、子どもたちの言葉にならない叫びがリリイの曲とともに響き渡ります。小説と映画すべてで完結していく物語です。
- 著者
- 岩井 俊二
- 出版日
岩井俊二監督のオリジナル作品『花とアリス』は、2003年に作られたショートフィルムをもとに、2004年、長編実写映画として劇場公開されました。主演を鈴木杏、蒼井優が務め、彼女たちに振り回される先輩を郭智博が演じています。
明るく元気なハナと行動力があってハナを振り回してばかりのアリスは大親友。そろって同じ高校へ入学しますが、ハナに憧れの先輩ができます。偶然ハナがついた嘘にアリスも巻き込まれ、先輩とのおかしな三角関係が始まるのでした。
岩井監督は映画の絵コンテを漫画形式で作るそうで、その絵コンテを同名でコミカライズとして発表しています。基本は映画そのものですが、この絵を監督が書いたかと思うと新鮮で、多才な監督であることをあらためて感心します。ぜひコミックと映像を見比べてみてください。
思春期の少女たちの心の動きをリリカルに表現。シンプルな絵柄だからこそ伝わる世界観は岩井作品そのままです。映画版では音楽も担当し多才ぶりをさらに発揮しています。
- 著者
- 岩井 俊二
- 出版日
『イノセントワールド』で衝撃的なデビューを果たし、当時の女子中高生に絶大な支持を受ける桜井亜美の『虹の女神 Rainbow Song』。岩井俊二監督の初プロデュースにより、同名タイトルで実写映画化されました。監督は『君に届け』などの熊澤尚人。
映像会社に勤める智也には学生時代からの親友がいました。彼女の名はあおい。ある日、智也はあおいがアメリカで飛行機事故に遭ったことを知るのでした。あおいの告別式、智也を主演にあおいが監督した自主映画を見ることになるのですが……。友情と恋の狭間で揺れ動く女心を描いた名作です。映画では智也を市川隼人、あおいを上野樹里が爽やかに演じています。
本作では、原作者・桜井亜美と齊藤美如、岩井俊二がペンネーム網野酸として脚本に参加。桜井は、作家活動以外に映画監督としても活躍しています。
- 著者
- 桜井 亜美
- 出版日
『ビューティフルライフ』など恋愛ドラマの女王、脚本家・北川悦吏子の初監督作品が『ハルフウェイ』です。脚本も北川が務め、岩井俊二と小林武史がプロデュースを担当しました。
田舎の高校生たちのピュアな恋愛物語です。主演を北乃きいと岡田将生が務めました。なんとセリフはアドリブという演技力の高さは必見。この同名の小説版も北川自身の書き下ろしです。
地元の高校に通うシュウとヒロは恋人同士。初恋ながら、きっと永遠に続く恋だと信じあう2人でしたが、卒業を前に心は揺れ動きます。東京に進学を決めたシュウと彼を素直に応援できないヒロ。しだいにすれ違っていく2人でしたが……。
小説も映画も柔らかく優しい物語に涙は必至。北川悦吏子お得意の王道青春ラブストーリーです。タイトルの意味はぜひ作品中で確認してみてください。
- 著者
- 北川 悦吏子
- 出版日
岩井俊二が主宰する若手発掘プロジェクトのプレイワークスに応募された作品が、菅知香原作の『グッドドリームズ』です。1990年代の日本におけるバンドブームを描いた物語。
これを実写映画化のためメガホンをとったのが、音楽プロデューサーでもある小林武史です。本作では、岩井俊二とプロデューサーとしても名を連ねています。もちろん音楽も担当。映画の主演を赤西仁と北乃きいが務めました。
バンドブームが到来していた1990年代。普通の女子高生のアサコが人気ロックバンドである「ルーツ」にのめり込み、ボーカルのタクヤと付き合うことになります。そんなあさことバンドにかける若者たちの青春ストーリーです。小説、映画ともに90年代のリアルな熱気が描かれています。
映画では、『BANDAGE バンデイジ』というタイトルに変更。それは「バンド」への熱い想いと「時代」の持つ熱の高さを意味しています。
- 著者
- 菅 知香
- 出版日
『イノセントワールド』などで知られる桜井亜美は、積極的に映画製作にも取り組んでいます。その中のひとつが、2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を描いた短編映画『FUKUSHIMA DAY』です。
『虹の女神 Rainbow Song』のコンビが再タッグを組み岩井俊二がプロデューサーとして参加しました。この同名の小説版を桜井自身が映画のために書き下ろしています。
自身は東京に住みながら、家族が福島に住んでいるある男の子の目線で、福島にいる人々の恐怖や不安を描いていきます。離れた家族や友人を思う気持ちや土地を離れられずにいる人たちの心を丁寧に描く貴重な作品です。
人の心の機微を描くことに長けている桜井だかこその視点が胸に突き刺さります。小説でも映画でも伝えたいことは変わらない、表現に垣根はないのだと気付かせてくれる作品です。
- 著者
- 桜井亜美
- 出版日
『ヴァンパイア』は、岩井俊二完全オリジナル作品として製作された8年振りの長編実写映画。岩井監督が原作から脚本、監督、音楽、撮影、編集・プロデュースと1人7役という多才ぶりを発揮した渾身の1作です。
血を抜かれた若い女性の死体が次々に発見されます。犯人は病気の母の面倒をみる高校教師のサイモン・ウィリアムズ。その殺人鬼を世間では「ヴァンパイア」と呼んでいました。自殺志願者の女性を襲ううち、しだいに彼女たちへの不思議な愛情に気付くことになる「ヴァンパイア」を描いています。
日本からの出演は蒼井優のみで、ほかはみなハリウッドで注目のキャストを起用。カナダを舞台に全編英語で撮り下ろしています。岩井ワールドさく裂の究極の吸血鬼作品となっています。
- 著者
- 岩井 俊二
- 出版日
数多くの恋愛ドラマを手掛けてきたことで知られる脚本家の北川悦吏子が原作を担当した『新しい靴を買わなくちゃ』。2009年にくらもちふさこの作画で漫画化されたコミックが雑誌「an・an」に掲載されました。
それをもとに、北川自身が同名で小説を書き下ろし、実写映画の監督も務めています。プロデューサーは岩井俊二が担当。主演は中山美穂、共演に向井理という豪華キャストです。オールフランスロケを敢行したことでも話題となりました。
パリに住むライターのアオイは、ある日すれ違ったセンの落としたパスポートで足を滑らせ、ヒールを折ってしまいます。センは妹とパリを旅行するはずが置き去りにされ、途方に暮れていたところでした。たった3日間ですが、おとぎ話のようなロマンスへと展開していきます。奇跡が起こした素敵な大人のラブストーリーです。
小説には、映画では描き切れなかったアオイの願いが明らかに。くらもちの漫画は、映画のオフィシャルブックに掲載されました。それぞれ違う目線で楽しめます。
- 著者
- 北川 悦吏子
- 出版日
- 2012-07-20
- 著者
- マガジンハウス
- 出版日
『遠くでずっとそばにいる』は、恋愛をテーマに執筆を続ける狗飼恭子の小説です。この原作を同名タイトルで実写映画化したのが『夜のピクニック』などの長澤雅彦監督。以前から映画の脚本も執筆している狗飼は脚本としても参加しています。岩井俊二は音楽を担当しました。
27歳になった朔美は会社を辞めた日に事故に遭い、10年分の記憶をなくしてしまいます。17歳時までの記憶しかない彼女に、本人だけでなく周囲の人間も戸惑いを隠せません。失ってしまった記憶を辿りながら過去と向き合う朔美でしたが……。
恋愛ベースとなっているものの過去の自分と向き合うという主人公の再生も描かれています。言葉の選び方、表現方法など狗飼特有のセンスが本作でも発揮。原作者が脚本を担当するよさが本作には滲み出ているようです。
また、映画は秋田県でのオールロケを敢行。その土地の持つ風景も味わい深く描かれます。原作と映画それぞれの魅力がつまった作品です。
- 著者
- 狗飼 恭子
- 出版日
2004年に公開された岩井俊二監督作『花とアリス』の前日壇ともいうべき物語が『花とアリス殺人事件』です。岩井監督は本作で初の長編アニメーション映画に挑戦しています。前作で主演を演じた蒼井優と鈴木杏が同様の役柄で声の出演を果たしました。
この同名の小説版を担当したのは乙一です。ホラー作家として知られる彼ですが、いくつものペンネームを持ち幅広いジャンルの作品を世に送り出しています。この小説版でも、岩井俊二の世界観を損なうことなく、乙一作品としても読みごたえのある作品となっています。
アリスこと有栖川徹子が石ノ森学園中学校に転校してきます。そこでアリスは自分の席には呪われた噂があることを知ることに。アリスの隣家・花屋敷に住む不登校中のクラスメイト・荒井花が関係しているようなのですが……。本作では、アリスと花の友情の始まりが描かれています。
絵コンテから実写映像を撮り、その体の動きをトレースして絵にする「ロトスコープ」という手法で制作されているのも必見です。なめらかなその動きを堪能できます。
- 著者
- ["乙一", "俊二, 岩井"]
- 出版日
岩井俊二監督のオリジナル作品『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、『花とアリス』から12年振りの実写長編映画です。2015年に原作となる同名小説が発表され、岩井監督自身がその小説をもとに映画化しました。
ある日、皆川七海は声が小さいという理由で派遣教員をクビとなります。しかも、SNSで知り合って結婚した男性には、浮気したと勘違いされ追い出されることに。困った七海が頼ったのは妖しい便利屋・安室でした。月100万も稼げる仕事を紹介される七海でしたが、そこで待っていたのはメイド仲間の里中真白という不思議な女性でした。
おとぎ話のような岩井ワールドで語られる切ない愛の物語です。黒木華を主演に、綾野剛やCoccoなど豪華キャストが共演しています。
公開年、映画版と同じキャストでストーリーが異な『リップヴァンウィンクルの花嫁 serial edition 』が放送され、2018年にはもとの映画に再編集を加えた5時間の『リップヴァンウィンクルの花嫁 complete edition』が放送されました。
小説、映画、ドラマとどれも見逃したくない不思議な魅力を持つ作品です。
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- 著者
- 俊二, 岩井
- 出版日
1993年にテレビドラマとして放送された岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が時を経て、同名の長編アニメーション映画として蘇りました。
今回、岩井監督はあくまで原作という立場で、本作の総監督はアニメーション監督の新房昭之。脚本も『モテキ』の監督・大根仁が担当しました。小説版も大根が書き下ろしています。岩井監督とはまたひと味違った初々しい少年少女を描いています。本作では主人公たちが、小学生から中学生へ変更されました。
ある夏の花火大会の日、幼なじみと花火を見る約束をしていた典道は、同級生のなずなから「かけおち」の誘いを受けることに。しかし、なずなの母にバレて未遂に終わります。もう一度やり直したいと願う典道でしたが……。
映画版では声の出演に、広瀬すず、菅田将暉、松たか子と豪華俳優陣が集結しました。DAOKOと米津玄師が歌う主題歌「打上花火」も大ヒットを記録。夏の代表格となった作品です。
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- 著者
- ["大根 仁", "岩井 俊二"]
- 出版日
2019年、岩井俊二が1冊の本を発表します。タイトルは『ラストレター』。感動の名作『Love Letter』から早24年、ここに新たな手紙の物語が誕生しました。
2018年には同原作の岩井監督による中国映画『チィファの手紙』が公開されました。2020年にも日本で、岩井監督自身が同名タイトルで実写映画化しています。
亡き姉・未咲に代わって同窓会に出席した裕里は、姉の死を伝えられぬまま、その場を立ち去ります。そこで、部活の先輩だった初恋の相手・乙坂鏡史郎と再会することに。姉のふりをしたまま、鏡史郎との不思議な文通が始まります。その手紙はしだいに、未咲と裕里の娘たちをも巻き込み物語は意外な展開へと進んでいくのでした。
過去と現在が交錯し、それぞれの関係性が明らかになっていった時、そこにはつらく悲しい真実と同時に未来も待っていました。そんな再生の物語です。小説としての完成度も高く、映画としても素晴らしい岩井俊二の集大成と言っても過言ではない珠玉の傑作です。
原作の詳細が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。
<『ラストレター』は原作必見。これほどロマンチックな小説はないかもしれない>
- 著者
- 岩井 俊二
- 出版日
- 2019-09-03
最後に、原作がおすすめの岩井俊二プロデュースのテレビドラマを紹介します。
SFジュブナイル小説で知られる眉村卓の名作『なぞの転校生』。これまで数々の映画やテレビドラマが作られましたが、2014年のテレビドラマでは、岩井俊二が企画プロデュースと脚本を務めました。
主人公の広一が住む団地の隣に、ある日突然越してきた不思議な家族。その息子の典夫は広一のクラスメイトとなります。何でもこなす典夫はクラスの人気者となりますが、彼には秘密があったのです。さまざまな問題が巻き起こす学園SFストーリー。
原作では中学生という設定をテレビドラマでは高校生に変更しています。眉村卓作品の思わず物語に引き込まれいく面白さはそのままに、独特な映像美が魅力的な作品。岩井俊二が創作したドラマオリジナルの設定はSF学園ドラマの新境地を切り開きました。
眉村卓と岩井俊二のコラボレーションで新たな『なぞの転校生』が誕生。ぜひ原作とともに楽しんでください。原作が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。
- 著者
- 眉村 卓
- 出版日
- 2013-12-13
映画監督としてだけでなく、さまざまな才能を持ち、多くの魅力ある作品を世に送り続ける岩井俊二。今回紹介した作品は、映像はもちろんのこと文学としてもぜひ触れてほしい作品ばかり。岩井ワールドに存分に浸ってみてください。