芥川龍之介おすすめ作品5選!不朽の名作『鼻』以外にも、傑作多数。

更新:2020.12.15

芥川龍之介といえば、教科書にも載るほど有名な明治の文豪。代表作『鼻』や『羅生門』など、数々の傑作を残しました。今回はそんな芥川作品の中で、おすすめの5作品をご紹介します。

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「なぜ」を問い続けた作家、芥川龍之介とは?

1892年に東京で誕生した芥川龍之介は、1900年代前半に活躍した作家です。教科書に作品が載っているので、ご存知の方も多いことでしょう。

新現実主義を掲げた作風は暗く、読み終えたあとも心の中に疑問を残します。

「なぜ、主人公はあの行動を取ったのだろう?」
「なぜ、あの登場人物はこの結末を迎えたのだろう?」

これらの疑問こそが、芥川の面白さだといえるでしょう。この「なぜ」を問い続ける姿勢は、遺稿『或阿呆の一生』を見てもわかります。自分の人生はなんだったのか、と見つめ直したとき、彼が導き出した答えは、同小説の冒頭文にある「僕の阿呆さ加減を笑つてくれ給へ」という一文に集約されているのでしょう。

芥川は「ぼんやりした不安」の中で、人生の答えとして自殺を導き出しました。現代に生きる私たちは彼の作品から、様々な答えを導けるでしょう。そんな答えを探し出すことこそ、芥川龍之介作品の醍醐味といえるかもしれません。

生きるための悪は、許されるのか?『羅生門』

芥川龍之介の代表作の一つである本作。高校の教科書などにも載っているため、その全容を覚えている人も多いのではないでしょうか。

しかし本作をここであえておすすめする理由は、本作は大人になってから読み直すことにより、新たな発見があるであろう傑作中の傑作だからです。

著者
芥川 龍之介
出版日
2016-12-08


時は平安、舞台は荒廃し、盗みが蔓延る平安京。下人は職を失い、明日を生きる術も失っていました。生きていくためには悪事に手を染める他ない状況でしたが、どうしてもその勇気が出ずにいたのです。そんな彼の前に、死体の髪を奪う老婆が現れます。「生きるために仕方ない」という老婆に対して、下人の出した答えとは……。

本作の魅力は、下人が出した決断にあるでしょう。彼は、生きるためには悪事に手を染めるべきなのか、最後の最後まで悩み続けます。本作は、著者芥川が生きるための悪とは果たして「悪」なのか、ということを問うているのです。

著者の答えは、「仕方がない」という老婆の言葉に表れているでしょう。すなわち生きるためには仕方がない「悪」もあるということです。もちろんこの問いに、正解はありません。ぜひ本作を通して、自分なりの答えを探してみてください。

描かれる、陰鬱な人間心理『鼻』

夏目漱石からも絶賛され、現代に通用するテーマを扱う作品です。不幸なことを経験したり、不幸な目にあった人を笑ったりした経験はありませんか? 本作は、それらの経験を思い出しながら読むと、より深く堪能できるでしょう。

著者
芥川 龍之介
出版日
2007-06-23


僧侶である禅智内供は、非常に鼻が大きいことで有名でした。そのせいで人に笑われることが多かったので、内心では傷ついていたのですが、気にしない風を装っていました。ある日、内供は医者の助言に従って、鼻を短くする方法を試します。結果、鼻は短くなりましたが、今度は短くなった鼻を笑う者が増えたのです。笑う者は日ごとに増え、最後には、鼻が長かった頃よりも笑われるようになり……。

本作の「なぜ」は人々が内供の短くなった鼻を、なぜか前にも増して笑うようになった点にあります。ここに描き出される陰鬱で醜くもある人間心理こそが、本作の魅力でしょう。

想像してみてください。笑い者にされていた人間が、その笑いの種を取り除いた後の人々の反応を。人はその人を素直に祝福するでしょうか。それとも、理由をつけて彼を笑い続けるのでしょうか。芥川の出した答えは後者だったようです。あなたはどう考えますか?

芥川龍之介による童話『杜子春』

中国の古典を童話化した作品です。童話といっても、大人が読んでも面白い作品となっています。童話という分類は、この話が教訓じみたものを含んでいるからでしょう。しかし本作では、教訓以外の深さを見つけられるはずです。

著者
芥川 龍之介
出版日
1968-11-19


杜子春という青年は、親の遺産で遊び呆けた結果、乞食同然になります。そんな彼を哀れに思った老人の指示に従うと、彼はたちまち大金持ちになりました。老人は仙人だったのです。やがて彼は、自身の財産によって手の裏を返す人間に絶望。仙人に仙術を教えてもらうことを懇願します。そこで老人は杜子春を自身の住む山に連れて行き、声を出してはならないという試練を与えるのです。どんなことがあっても決して声を出さなかった杜子春でしたが……。

本作では、人間らしい生活とはなにか、そこにある幸せとはなにかを問うています。金持ちでも仙人でも幸せになるとは限らない、というのが芥川の答えだったのでしょう。苦難の人生を歩んできた著者にとっては、普通の生活こそ最も幸せな生活だったのではないでしょうか。

芥川龍之介、晩年の作品『河童』

著者晩年の作品。当時の世相を考えながら読むと様々な疑問が生まれます。また本作は、芥川が自殺した意図を考える上でも重要な作品とされていて、その文章に滲み出る人間や社会への絶望が、自殺の理由を読者に知らせてくれるようです。

著者
芥川 竜之介
出版日
2003-10-17


精神病患者の第23号は、河童の国に行ったことを誰にでも話していました。彼は河童の国に迷い込み、そこで様々なことを経験したのだといいます。彼がとりわけ驚いたことには、雌が雄を追いかけること、出産時には胎児に対して生まれたいかを問いかけ、生まれたくなければ合法的な中絶がなされること、そして働けなくなった河童は食肉として加工されてしまうことなどがありました。そのような価値観の中で生活してきた第23号は、友人の死をきっかけに、人の世界に戻ってきます。しかし人間世界では彼は異常者であり、精神病患者として扱われていたのでした……。

本作で問われる、異常と正常。河童社会は人間にとっては異常でしょう。一方、河童にとって人間は「遅れた」存在なのです。河童の価値観に染まった第23号は、正気であっても人間世界においては「異常」なのでしょう。そしてこの第23号は、「なぜ」を問い続ける内に、社会と自身の認識との違いに気が付いた、芥川本人であるかもしれません。

人間と付き合うのに疲れたという方は、ぜひこの機会に河童の世界を覗いてみませんか?

 

芥川龍之介の遺稿、彼のすべて『或阿呆の一生』

本作は自らの人生を小説風に書き綴ったとされています。冒頭に、友人に対して「どうかこの原稿の中に僕の阿呆さ加減を笑つてくれ給へ」というメッセージを残し、綴られていく芥川の一生。本書に描かれる人生と、自らの人生を照らし合わせることにより、それぞれ見つかるものがあるはずです。

著者
芥川 龍之介
出版日
2001-12-06


断章形式で書き綴られる語り口はどれも陰鬱です。なぜ彼が自殺に思い至ったのか、言葉の端々に死をイメージさせるものがあります。芥川龍之介という人物をより深く知り、彼のことをより理解したい人は、ぜひ読んでおきたい小説です。


「なぜ」を問い続けた作家、芥川龍之介。自分なりの答えを探したあと、誰かと議論してみるのも楽しいかもしれません。不朽の名作は古くなりません。今の時代に読んでも共感できる、おもしろい作品ばかりですので、ぜひ手に取ってみてくださいね。

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