本屋大賞でノミネートされた回数歴代ランキング!【2018年版】

更新:2021.12.12

毎年話題になる文学賞の1つ本屋大賞。全国の書店員による投票で選ばれるため、ノミネートされる作品も本当に面白いものばかり。そんな本屋大賞に、これまで数多くノミネートされてきた人気作家を、代表作とともにランキング形式でご紹介していきましょう。

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同率3位・幅広い世代から大人気! 有川浩【4作】

読みやすい文章と、テンポ良く軽快に進むストーリーが魅力的な有川浩の作品は、あっという間に物語の世界に引き込まれてしまいます。特徴の1つとしてもあげられる、ドキドキするような甘いラブストーリーに、虜になった女性も多いことでしょう。2007年『図書館戦争』、2010年『植物図鑑』、2011年『キケン』『ストーリーセラー』と、2017年現在までに、4作が本屋大賞にノミネートされました。

代表作『図書館戦争』

著者
有川 浩
出版日
2011-07-23

映画化や漫画家もされ大ヒットした『図書館戦争』は、「メディア良化法」の制定に伴い、厳しい図書検閲がおこなわれている、2019年(正化31年)を舞台として描かれます。良化特務機関による、行き過ぎた図書弾圧に対抗すべく、図書館は本の自由を守るための図書隊を結成。メディア良化委員会と図書館との武力抗争は、日に日に激化しています。

主人公・笠原郁は高校3年生の時、書店で大事な本を「検閲」されそうになったところを、図書隊に助けられます。郁は、その時の図書隊の彼を「王子様」と慕い、自分も図書隊を目指すことを決意するのです。こうして入隊した図書隊でしたが、指導教官の堂上篤がとんでもない鬼教官で……。

作品内では、男勝りな郁と、厳しくも優しい堂上のキャタクターが、とても魅力的に描かれています。2人のドタバタとしたやりとりは、可笑しくも微笑ましく、つい頰が緩んでしまうことでしょう。まるで少女漫画を思わせるような「ラブコメ」要素がふんだんに散りばめられ、普段本を読まない方でも、楽しく読める作品になっています。

本を奪う良化特務機関と、守る図書隊の抗争には、しっかりとしたルールが存在し、また様々な歴史があり、こうした細かい設定が、世界観をよりリアルにし、物語を読み応えのあるものにしています。シリーズ化されている人気作品ですから、ぜひ有川浩の描く素敵な物語に触れてみてくださいね。

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同率3位・美しく紡ぎ出した世界観に魅せられる 小川洋子【4作】

繊細で美しい世界観を、巧みな文体で綴る小川洋子の作品は、これまでに芥川賞をはじめ、数々の文学賞を受賞してきました。静かな世界観の中にも、様々なドラマが展開され、その独特の演出に心を奪われてしまいます。2004年『博士の愛した数式』で本屋大賞を受賞。その他、2007年『ミーナの行進』、2010年『猫を抱いて象と泳ぐ』、2012年『人質の朗読会』と、4作が本屋大賞にノミネートされてきました。

代表作『博士の愛した数式』 

著者
小川 洋子
出版日
2003-08-28

読売文学賞と本屋大賞を受賞し、映画化もされ話題になった作品『博士の愛した数式』。28歳の「私」は、家政婦として働き、10歳の息子と2人で暮らすシングルマザーです。ある日、新しい派遣先である、元大学講師の男性の家に就くことになりました。「私」を雇ったのは、男性と同じ敷地内に住む義姉で、彼は17年前に巻き込まれた交通事故が原因で、80分しか記憶をとどめておくことができないといいます。

彼が着ているスーツのあちこちには、様々なメモがつけられ、袖には「僕の記憶は80分しかもたない」と書かれたメモもつけられています。最初は戸惑いを隠せなかった「私」ですが、徐々に彼と言葉を交わすようになり、「私」の息子がそこに加わるようになってから、その関係が変化していきます。彼は、訪れた息子を優しく抱きしめ、「ルート」という愛称をつけ、「私」と息子は彼を「博士」と呼ぶようになり、こうして3人は交流を深めていくことになるのです。

物語は、まるで音楽の旋律を聞くように静かに流れ、ゆっくりと心に染み渡ってくるようです。博士の圧倒的な優しさ、「ルート」の純粋さ、「私」の暖かいまなざし、そして美しく紡ぎ出される数式の数々。どれもが静かに心に響き、思わず涙腺を刺激されてしまいます。登場人物たちの心情や、過去についてなど、多くのことは描かれていないにもかかわらず、物足りなさを感じることはなく、綴られているその風景だけで、様々なことを想像することができる奥深い作品です。

作中、多くの数学用語や数式が登場しますが、難解に描かれているわけではありません。わかりやすく柔らかい文体で綴られる、数学についての話題は、数学が好きな方はもちろん、数学に苦手意識のある方でも、興味深く読むことができるでしょう。読後、心地よい余韻に包まれる、愛に溢れた素敵な作品です。

小川洋子の他の作品は、こちらの記事で紹介しています。

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同率3位・魅力的な感性が光る人気作家 西加奈子【4作】

個性溢れる感性で、独特な視点から登場人物たちを描き出す作家・西加奈子。2015年、本屋大賞にもノミネートされた『サラバ!』では、直木賞を受賞したいへん話題になりました。人間のディープな内面を描くこともしばしばありますが、西加奈子の作品には、いつも明るさが漂っています。『サラバ!』の他、2006年『さくら』、2013年『ふくわらい』、そして2017年『i』が本屋大賞にノミネートされました。

代表作『i』

著者
西 加奈子
出版日
2016-11-30

主人公の女性の、子供時代から大人になるまでの半生を綴った長編小説『i』。2017年現在、西加奈子注目の最新作となるこの物語は、多くの人に感動を与え絶賛されています。

主人公・ワイルド曽田アイはシリア生まれ。幼少の頃養子に出されたアイは、アメリカ人の父と日本人の母に育てられることになります。小学校卒業までをニューヨークで過ごした後、日本にやってきました。アイが高校に入学した翌日、数学の授業で教師は、「この世にアイは存在しません。」という話を始めます。数学に対して、もっと生徒たちに興味を持ってもらいたいと、虚数単位の「i」を話題に出したのですが、アイはこの言葉が心から離れなくなり、事あるごとに頻繁に思い出す事になります。

物語には、9・11テロや3・11大震災など、実際に起きた事件や災害、戦争などが登場し、なぜ自分は巻き込まれずに生きていられるのか、なぜ自分ではなく彼らだったのかと、自分が恵まれた環境に身を置いていることに対し、罪悪感を募らせていくのです。

この世界で起こる、悲惨で残酷な出来事が、毎日のようにニュースや新聞で、私たちの目に飛び込んできます。それを目の当たりにしたとき、ふと同じような感情を抱く方もいるのではないでしょうか。この作品では、自分の存在意義について悩みぬくアイの心情が、繊細すぎるほど真っ直ぐに、正直に描かれています。

自分自身を見つめ、他者の痛みを想い、やがてたどり着く主人公なりの答えのようなものに、心が震えることでしょう。西加奈子の想いが凝縮された渾身の一作。ぜひたくさんの方に読んでいただきたい、おすすめの作品です。

西加奈子のその他の作品は、こちらの記事で紹介しています。

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同率3位・圧倒的なストーリーテラー 百田尚樹【4作】

ジャンル問わず、数々の傑作を世に送り出している百田尚樹。そのどれもが非常に読み応えがあり、登場人物たちの生き様には、毎回圧倒されてしまいます。2013年『海賊とよばれた男』で本屋大賞を受賞。その他、2009年『ボックス』、2011年『錨を上げよ』、2012年『プリズム』が、それぞれノミネートされました。

代表作『海賊とよばれた男』

著者
百田 尚樹
出版日
2014-07-15

出光興産の創業者・出光佐三をモデルに、戦後の日本を復興させるため闘った男の姿を綴る『海賊とよばれた男』。上・下2巻からなるこの大作は大ベストセラーとなり、映画化もされ、たいへん話題をよびました。出光興産を「国岡商店」、出光佐三を「国岡鐡造」として物語は描かれていきます。

1945年8月15日、日本は終戦を迎えました。国岡鐡造は、石油販売業をおこなう国岡商店を経営していますが、敗戦により、62店舗あった海外の営業所をすべて失い、膨大な借金を抱えることになります。国岡は、奇跡的に戦火の被害から免れた、国岡商店本社「国岡館」へ店員を集め、「愚痴をやめよ。」「日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上がる日が来る」と店員たちを鼓舞。なんとしても国岡商店を復興させようと、決意を固め前に進み出したのでした。

なによりもまず人を大事にし、1人の店員も首にすることなく、闘い続ける国岡の姿に胸が熱くなります。国岡の発する一言一言には重みと熱意があり、読んでいて度々目頭が熱くなってしまいます。復活へと突き進む、国岡と店員たちの姿とともに、戦前の国岡が、いかにして国岡商店を旗揚げしたのか、日本はいったいなんのために戦争を始めたのか、といった歴史についても濃密に描かれていきます。有名な日章丸事件についても克明に綴られ、作品通して飽きるところがありません。

出光佐三を知らなかった人でも、これを読めば、こんなすごい人物が戦後の復興を支えてきたのかと驚くことでしょう。多くのことを知ることができ、そのストーリーに涙する、感動的な傑作です。

百田尚樹の作品を他にも読みたい方にはこちらの記事もおすすめです。

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苦悩しながらも必死に生きる人物を描くことの多い百田尚樹。読者のツボを的確につく作家で、オチが見事な物語から感動させる物語までそのジャンルは様々。「直木賞よりも本屋大賞ははるかに素晴らしい」と言い切るなど、自身の考えを明瞭に発信する百田尚樹のおすすめ作品をご紹介します。

同率3位・常識にとらわれない奇抜な世界観が魅力 万城目学【4作】

奇想天外な世界観を作り出し、思いもよらないストーリー展開で、読者を楽しませてくてる作家・万城目学。「万城目ワールド」とも呼ばれる不可思議な世界に、ついはまってしまいます。2007年『鴨川ホルモー』、2008年『鹿男あをによし』、2012年『偉大なる、しゅららぼん』、2014年『とっぴんぱらりの風太郎』の4作がノミネートされてきました。

代表作『鹿男あをによし』

著者
万城目 学
出版日

奈良を舞台に、女子校に赴任してきた教師が、日本滅亡を阻止するため問題に立ち向かう、ファンタジー小説『鹿男あをによし』。本屋大賞ノミネートの他、直木賞候補にもあげられた作品で、TVドラマ化されたことでもたいへん注目を集めました。

主人公の「おれ」は、関東の大学院で研究に打ち込んでいましたが、ある不祥事を起こしたことがきっかけで、研究室に居づらくなります。そんなこともあり、教授からの勧めで、奈良の女子校で2学期間だけ物理の教師を務めることになりました。女子生徒たちとのコミュニケーションはうまくいかず、慣れない教師の仕事に、毎日四苦八苦です。そんなある日、奈良公園で「おれ」は、なんと鹿に話しかけられ、ある使命を託されてしまうのです。

物語は、奈良の歴史も含めた、ローカルな題材をふんだんに取り入れた、独創的なストーリー展開で進んでいきます。言葉を話す奈良の鹿だけでなく、大阪のねずみや京都の狐まで登場する、斬新で突飛な世界観。巧みなストーリー構成によって、どんどん壮大な物語に姿を変えていくので、知らぬ間に引き込まれてしまいます。

「おれ」は、けして“かっこいい主人公”というわけではありませんが、イライラしたり不安になったり、妙にとぼけていたりする様子には、とても親近感がわき応援したくなってしまいます。他の登場人物も皆個性豊かで存在感があり、物語をより一層面白くしています。

万城目学の他の作品は、こちらの記事でおすすめしています。

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同率3位・穏やかであたたかい気分に浸れる 三浦しおん【4作】

ほんわかとした世界観の中にも、卓越した文章力と緻密に練られたストーリーが光る、人気女性作家・三浦しをん。豊かな発想で独特の物語を描き出し、作品の世界に心地よく浸ることができます。2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞。2012年には、『舟を編む』で本屋大賞を受賞しました。その他本屋大賞には、2005年『私が語りはじめた彼は』、2007年『風が強く吹いている』、2010年『神去なあなあ日常』がノミネートされてきました。

代表作『舟を編む』

著者
三浦 しをん
出版日
2011-09-17

様々な問題を乗り越えながら、国語辞書を完成させるため奮闘する、編集者たちの姿を描く長編小説『舟を編む』。映画化もされたこの作品は、15年という長い年月をかけ、言葉と真摯に向き合い、辞書作りに深い情熱を注いだ人々の、あたたかい物語になっています。

玄武書房の辞書編集部では、国語辞典「大渡海」の編集がおこなわれていました。「大渡海」を企画し、熱意を持って取り組んできた編集者・荒木が定年退職となるため、その後継者として選ばれたのが、主人公の馬締光也です。ボサボサの髪で本ばかり読んでいる風変わりな馬締は、社内でも浮いた存在。それでも、言葉に対する強い思い入れのある馬締は、辞書作りの仕事にのめり込んでいき、その才能を発揮していくのです。

作品内では、辞書を作っていく過程が細かく描かれ、とても興味深く読むことができます。なんと人の熱い想いに溢れた読み物なのかと驚かされ、辞書に対する認識が大きく変わることでしょう。読後、辞書を手に取ってみたくなります。

辞書作りを通して生まれる、嫉妬や友情があたたかく綴られ、馬締の恋の行方からも目が離せません。どの登場人物も個性的ですが心の優しい人ばかりで、最初から最後まで、穏やかな気持ちで読み進めることができます。コミカルな場面も多く、読みやすい作品なので、物語の世界に深く入り込むことができる、傑作長編小説です。

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『まほろ駅前多田便利軒』や『舟を編む』など、数々のヒット作を生み出した人気作家・三浦しをんは、優れたエッセイストでもあります。BLをこよなく愛する作者らしく、BLについてとことん綴った作品も。独特な視点が魅力的な、おすすめのエッセイをランキングにしてご紹介していきましょう。

2位・古風な文体でユーモラスな世界観を描く 森見登美彦【5作】

文体に古風な雰囲気を漂わせ、且つ独特のユーモアで面白可笑しく作品を彩る森見登美彦。主に京都を舞台として物語は描かれ、個性溢れるキャラクターたちが織り成す、不可思議なファンタジーの世界を堪能することができます。2007年『夜は短し歩けよ乙女』、2008年『有頂天家族』、2011年『ペンギン・ハイウェイ』、2014年『聖なる怠け者の冒険』、2017年『夜行』と、5作もの作品がノミネートされた、注目の人気作家です。

代表作『夜は短し歩けよ乙女』

著者
森見 登美彦
出版日
2008-12-25

冴えない男子大学生と、黒髪の乙女の恋の行方を描く、恋愛ファンタジー『夜は短し歩けよ乙女』。本屋大賞ノミネートの他、山本周五郎賞を受賞し、アニメ映画化もされる作品です。京都の大学に通う、なんともぱっとしない学生「先輩」と、その「先輩」が恋をする、後輩の「黒髪の乙女」。物語はこの2人を語り部として、テンポ良く描かれていきます。

後輩の少女に密かに想いを寄せる「私」は、彼女のいく先々に現れ、どうにか近づこうと不器用なりに頑張っています。一方の後輩「黒髪の乙女」は、好奇心旺盛でアクティブな女の子。先輩のそんな想いにまったく気がつかず、会うたびに「奇遇ですねえ」と言うばかりです。そんな2人の前には、度々奇妙な人物たちが現れ、不思議な世界へと2人を巻き込んでいくことになるのです。はたして先輩の恋は成就するのかしないのか……。

ヒロインとなる、天真爛漫な黒髪の乙女がとにかく可愛らしく、読んでいてほっこりとした気分になる方も多いことでしょう。乙女が独自に編み出した「お友達パンチ」や、「なむなむ!」というお祈りには、思わず頰が緩んでしまいます。京都の風景がとてもリアルに描かれ、その中で展開される、疾走感たっぷりのリズミカルなストーリーについのめり込んでしまう、不思議な魅力のある作品です。

森見作品特有の、古典を思わせるような言い回しや言葉使いが、この作品でも遺憾なく発揮され、そこに現代的なセンスが見事に融合されたこの作品。独特の文体で繰り出される、どこか間の抜けたような、真剣なやり取りはとても可笑しく、1度ハマったら癖になり、読むのをやめられなくなるでしょう。

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京都を舞台にした作品を多く執筆し、京都いち愛されていると言っても過言ではない作家・森見登美彦。くせのある文体、世界観ですが、ハマってしまえば森見ファンとなること間違いなしです!学生時代に好きだった、という方も大人になってからもう一度手を伸ばしてみるのはいかがでしょう?

1位・圧倒的人気を誇るギミックのスペシャリスト 伊坂幸太郎【10作】

本屋大賞ノミネート回数、断トツのトップは伊坂幸太郎です。2000年にデビューして以降、その人気は衰えるところを知りません。魅力的な登場人物、あちこちに張られる巧妙な伏線、それが回収された時の爽快感など、伊坂幸太郎の作品には、読者を惹きつける面白さに溢れています。

2008年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞を受賞。その他、2004年『重力ピエロ』・『アヒルと鴨とコインロッカー』、2005年『チルドレン』、2006年『魔王』・『死神の精度』、2007年『終末のフール』、2009年『モダンタイムス』、2015年『マイネクライネナハトムジーク』・『キャプテンサンダーボルト』(阿部和重との合作)、2018年『AX』と、なんとこれまでに11作品がノミネートされてきました。

代表作『ゴールデンスランバー』

著者
伊坂 幸太郎
出版日
2010-11-26

首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の、手に汗握る逃亡劇を描いた傑作長編小説『ゴールデンスランパー』。映画化もされたこの作品は、本屋大賞の他、山本周五郎賞を受賞し、「このミステリーがすごい!」第1位にも輝いた作品です。

仙台市街でおこなわれていた、金田首相のパレードの最中、突然爆破テロが発生します。首相は死亡。首相暗殺の犯人として、メディアで名前が取りあげられているのが、主人公の青柳雅春です。連日報道される青柳の顔写真、マスコミによって作り上げられる犯人像。いったいなぜこんなことになってしまったのか。

物語は一旦20年後に飛び、新たな視点から金田首相暗殺事件の疑問点を提示したのち、青柳が事件に巻き込まれていく様子、そしてスピード感溢れるスリリングな逃亡劇が描かれていくのです。

とにかく逃げて逃げて、逃げ続ける主人公。命がけの逃亡は、読んでいて本当にハラハラしてしまいます。作品内では、青柳の青春時代のストーリーも織り交ぜられ、かつての友人・知人が、青柳を助けようと奮闘する姿に胸が熱くなります。それぞれのキャラクターはとても魅力的で、伊坂幸太郎お得意の軽妙でスマートなトークも、随所に見ることができます。

その信頼の深さに感動し、謎の陰謀の巧妙さに戦慄する、読み応え充分な作品です。1度読み出したら止まらなくなることでしょう。まだ読んだことのない方は、ぜひこの圧巻の大作を楽しんでみてくださいね。

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本屋大賞候補に、度々名前のあがる人気作家を、ランキングにしてご紹介しました。これからも、どんな作家の作品が登場するのかとても楽しみですね。本屋大賞からますます目が離せません。

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