ライトベルの中にはアニメ化されたものがたくさんあります。アニメ化されるというのは、人気作であるという証ですね。今回はアニメ化された作品の中でも、特に学園恋愛ものをランキング形式でご紹介します。
高校に入学して2ヵ月が経った頃、富樫勇太は猛勉強の末に入学した高校で自分なりに充実した日々を送っていました。彼がそこまでして今の高校に入った理由……、それは「中二病」であった過去を封印し、自分のことを誰も知らない高校で過ごすためでした。
念願叶って勇太は普通の生活を送っていましたが、ある日、ひょんなことからクラスメイトである小鳥遊六花(りっか)と、「契約」を交わしてしまいます。戸惑う勇太を横目に、自分のことを「小鳥遊さん」ではなく「六花」と呼ぶように言う彼女は、明らかに「中二病」でした。
- 著者
- 虎虎
- 出版日
転んだ拍子に六花のパンツを見てしまった勇太の前で、六花は突然、眼帯をした目を押さえて倒れてしまいます。クラスメイトが呆気に取られる中、勇太は六花をそのままにしておくわけにもいかず保健室へと連れて行くのですが、その途中の六花の言動は、潔いまでの「中二病」です。
「『ああ……共鳴する、目が……!』と、叫びながら俺の肩から崩れ落ちていった。
『うぅ……貴方、貴方なの? 共鳴者は……?』」(『中二病でも恋がしたい』より引用)
「魔力を宿し、金色に輝く右目を普段は封印する」ために眼帯を付け、「刻まれた紋章を封印する」ために左手には包帯を巻いている彼女。見た目から言動まで賞賛に値するほど首尾一貫しています。
京都アニメーション大賞の奨励賞を受賞した本作品。テレビアニメ化の他、劇場版なども作られた人気作です。学園もののラブコメディですが、ドタバタというよりもほのぼの系で展開されるストーリーです。
元中二病患者である主人公の勇太が現役患者である六花の面倒を見る様子は、どことなく可愛らしくも感じられます。六花との触れ合いを通して過去の自分との折り合いも付けていく様子は、成長物語としても読むことができ、読後感が清々しい作品です。
同人ギャルゲー完成を目指す情熱的なオタク、安芸倫也は加藤恵という目立たない彼女こそが相応しいとゲームのモデルに定めます。幼馴染、美人の先輩、かわいい従姉妹などを巻き込み、日常とゲーム製作過程が交差していきます。
- 著者
- 丸戸史明
- 出版日
- 2012-07-20
主人公の安芸倫也は冬コミに向けギャルゲーを制作するほどのオタクをしています。読んだら忘れられないほどのバイタリティに満ちた凄まじいキャラクターで、読めばその飽くなきオタク魂に共感してしまうでしょう。
そんな彼が加藤恵という無個性ヒロイン……つまりは普通の女の子をヒロインにするため行動します。他のヒロインたちと比較すれば角のない平凡な女の子が、非凡なるヒロインへ昇華していくのかが物語の軸です。
そして倫也のオタク活動がどういった方向に転ぶのかが見どころであります。会話の面白さも作品の特筆すべき点であり、テンポよいやりとりは途切れることなくスラスラ読めます。そのほか随所に散りばめられたメタ発言やオタクネタを目に、思わずニヤッとしてしまうことでしょう!
『冴えない彼女の育てかた』については<アニメ化ラノベ『冴えない彼女の育てかた』の魅力を全巻ネタバレ徹底紹介!>で紹介しています。ぜひご覧ください。
高校2年生の羽瀬川小鷹は日本人とイギリス人のハーフですが、外見はほとんど日本人。それなのに髪だけはくすんだ金髪なので、パッと見ではヤンキーにしか見えません。そんな小鷹は、聖クロニカ学園高等部に転校してきますが、初日から遅刻したうえに自己紹介にも失敗、完全にクラスで浮いた存在になってしまいました。
それは、転校から1ヵ月経った後も続いていて、小鷹は一向に友達を作ることができません。そんなある日、ひょんなことから同級生である三日月夜空を見かけます。楽しそうにおしゃべりをしている様子の夜空ですが、そこにいるのは夜空1人きり。おしゃべりの相手は見当たりません。不思議に思った小鷹に、夜空はこう説明するのです。
「私は友達と話していただけだ。エア友達と!」(『ボクは友達が少ない』より引用)と
彼女も小鷹と同じで、友達のない少女だったのです。
- 著者
- 平坂 読
- 出版日
- 2009-08-20
小鷹は夜空との出会いをきっかけに、夜空が作った「隣人部」という部活に半ば無理矢理入部させられてしまいます。「隣人部」の活動目的は、「友達作り」です。
「……活動内容を聞いても何を目的とするクラブなのか理解できる者など一人もいないだろう。俺たち隣人部の活動目的。ずばり言ってしまえばそれは――「友達作り」である」(『僕は友達が少ない』より引用)
ストーリーも、小鷹や夜空、その他に同じように友達のいないキャラクター達が集まってきて、友達を作るために邁進していく様子がコミカルに描かれています。本人達は大真面目に努力しているのですが、それはどこかズレていて、ついつい笑ってしまう言動ばかりです。
ラブコメとしてはもちろん、日常ものとしても面白く、笑いながらもどこかほのぼのとした気持ちになれるライトノベルです。
水明芸術大学付属に通う高校1年生の神田空太は寮暮らし。しかしある夏の日、こっそり猫を飼っていたことがバレてしまいます。もちろん寮はペット禁止なので、空太は猫を捨てるか、もしくは学園の変人が集まることで悪名高い「さくら荘」に住むかの2択を迫られました。大の猫好きである空太は猫を捨てることなんてとてもできず、「さくら荘」へと引っ越すことになりました。
- 著者
- 鴨志田 一
- 出版日
- 2010-01-10
そうして「さくら荘」で暮らすようになった空太が2年生へと進級した春、「さくら荘」にまた新しい住人が入居してきます。入居してきたのは、椎名ましろという名前の清楚で可愛い美少女でした。しかも彼女は世界的にも活躍する天才画家。空太はましろを「さくら荘」に暮らす変人から守らなくては!!と張り切りますが、実はましろには致命的な欠点があったのです。
ヒロインのましろは、美人で天才的な画家というハイスペックな少女ですが、掃除や洗濯といった基本的な生活力が欠如した女の子です。そんな美少女を、主人公の空太がお世話をするという典型的な「萌え」を強調したストーリーは、まさにラブコメといった様相。
一方、天才と凡人という比較から生まれるキャラクターの葛藤も、読者を引きこむものになっています。
「芸大の付属校という少し特殊な環境のせいか、すでに将来の目標を見定め、そこに向けて努力を続ける生徒は少なくない。(中略)人生設計が明確な彼らとは違い、空太は進路調査を白紙で提出した」(『さくら荘のペットな彼女』より引用)
空太が自分の将来や目標について悩む場面は、共感を持って読むことができます。高校生の青春と王道のラブコメの両方を楽しみたい人におすすめのライトノベルです。
文化研究部に所属する八重樫太一は、何も特別なことはない平凡な日常を送る高校生。しかしある日、そんな平凡な日常が唐突に変わってしまう出来事が起こります。最初のきっかけは、同じ文化研究部に所属している桐山唯と青木義文の魂が「入れ替わった」ことでした。
ただ、あくまでも夢の中での出来事であり、その現象を体験したはずの唯でさえ「あれは悪夢だった!」と信じられない様子。もちろん他の部員達もそんな話をすんなり信じることはできませんでした。しかし、今度は太一と、同じ部員である永瀬伊織の魂が入れ替わってしまうのです。
- 著者
- 庵田 定夏
- 出版日
- 2010-01-30
こうなっては義文や唯の話を信じずにはいられませんでしたが、どうして自分達にこんなことが起こるのかはわかりません。原因もわからないまま、太一達は何とかいつも通りの生活を送ろうとしますが……。
主人公の八重樫太一を始め、個性的だけど平凡なキャラクター達は「穏やかで、少し騒がしい、『ありふれた』と形容される日常が繰り広げられて」(『ココロコネクト』より引用)いる世界で、普通の高校生活を送っていました。しかし物語はそこに、「入れ替わり」という非日常を入れ込むことによって、少年少女達に少しずつ起こる変化をエンターテイメント性を出しながら描いていきます。
少年少女の内の部分を丁寧に描いた青春ストーリーは、笑えたりシリアスなシーンで切なくなったりとメリハリのあるストーリーで、飽きることなく読み進めることができます。青春らしい、どこか甘酸っぱく切ない雰囲気は、つい引き込まれて一気に読み進めてしまうでしょう。
通称「バカテス」とも呼ばれる本作は、笑えるラノベといえば必ず名前が挙がるラノベです。
舞台は「試験召喚システム」という謎の技術を試験的に採用した文月学園高等部。クラスは試験の成績で分かれており、主人公吉井明久は最低クラスであるFクラスに振り分けられていました。しかし学年トップの学力を誇る美少女姫路瑞希も、なぜかFクラスに。彼女に密かに憧れを抱いていた明久は、瑞希やクラスの代表坂本雄二と共に、Fクラスという最低設備から抜け出すため、試験召喚戦争を仕掛けていくことになります。
- 著者
- ["井上 堅二", "ファミ通文庫編集部", "葉賀 ユイ"]
- 出版日
クラスはFからAまであり、Aという最上クラスに近づくほど設備は良いものになっていきます。豪華設備なAクラスとは対象的に、明久が属するFクラスは学び舎とは思えないほど劣悪な設備環境。普通の教室にあるような机や椅子はなく、ボロボロの畳が敷き詰められ、そこにあるのはちゃぶ台。さらに明久たちが昇格ならず、ちゃぶ台からみかん箱に格下げされるという世知辛い一幕も。
また章と章の間に、バカな明久のテスト解答が挿入されているのも楽しみの1つでしょう。電車や喫茶店なんかで読んでいると吹き出しそうになることもあるので要注意、かもしれませんよ。なおアニメ化に際しては、召喚獣が動いて戦う姿が見られるので、原作が面白いと感じたらアニメの方も見てみるといいでしょうね。
ただただ笑うためのラノベになっており、漫画のようにゆるく楽しめる本作。タイトル自体にインパクトがあり、なんでこんなタイトルなんだと疑問に思ってしまいますよね。そんな衝動だけで手に取ってみても損はしない作品といえるでしょう。
「俺ガイル」という略称で親しまれる本作。性格がひねくれていたため友達がおらず、そして友達を作ろうともしない男子高校生比企谷八幡が「奉仕部」という部活に入ってからの高校生活を描いた作品です。タイトル通り、間違った青春ラブコメを楽しめますよ。
- 著者
- ["渡 航", "ぽんかん8"]
- 出版日
最初は距離があった奉仕部メンバー比企谷、雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣の関係性。奉仕部の活動を行っていくにつれて次第に縮まっていく距離は、ちょっとした出来事でまた離れて行ってしまったりします。3歩進んで2歩下がるような、ぎこちない関係性。しかし彼らは「本物」という関係を求めるようになっていきます。
第5位でご紹介した『僕は友達が少ない』のような残念系ラブコメを目指して書かれた本作では、しっかりとしたラブコメが楽しめます。『僕は友達が少ない』著者の平坂読からは、第1巻の帯に推薦文が寄せられました。またキャラクターが魅力の本作では、『このライトノベルがすごい! 2014』の好きな男性キャラクター部門で比企谷八幡が1位、『このライトノベルがすごい! 2015』の好きな女性キャラクター部門で雪ノ下雪乃が1位を獲得しています。
目つきの悪い高須竜児(たかすりゅうじ)は、その容貌のせいでいつも周りから「ヤンキー」扱いされてしまう高校2年生。誤解を解くのも大変なので、2年生になり新しいクラスで、親友の北村祐作や片思いの相手である櫛枝実乃梨と同じクラスになれたことは嬉しい一方で、憂鬱な気持ちを拭うこともできませんでした。
そんな竜児の前に、逢坂大河(あいさかたいが)という少女が現れます。実乃梨の親友である彼女は、小柄で可愛らしい容貌とは裏腹に、凶暴で残忍な性格を持つ少女でした。そんな見た目と性格を表して、人から「手乗りタイガー」と呼ばれています。彼女のおかげで竜児はクラスの誤解を解くことはできましたが、その後、ひょんなことから大河の秘密を知ってしまった竜児は、彼女とある「共同戦線」を張ることになるのです。
- 著者
- 竹宮 ゆゆこ
- 出版日
- 2006-03-25
ふたりの「共同戦線」とは、すなわち「お互いの恋を応援する」というもの。竜児は実乃梨を、そして大河は竜児の親友の裕作にそれぞれ恋をしており、そのことを偶然お互いに知ってしまったことをきっかけに共同戦線を張ったのでした。
好きな人に気持ちを伝えるために協力する、というわかりやすい目標に向かって、細かな心理描写や、恋愛だけではない青春ストーリーなども絡み合いながら進んでいく物語は、胸キュンなラブコメ要素がいっぱい詰まっています。
「そう簡単には手に入らないように、世界はそれを隠したのだ。だけどいつかは、誰かが見つける。手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。そういうふうになっている」(『とらドラ!』より引用)
物語の冒頭からどこか甘酸っぱいような切ないようなラブコメを予感させてくれます。そしてそこから始まるエピソードは心情や場面を丁寧に描きながらも、テンポ良く進んでいきます。読んでいるといつの間にか引き込まれてしまうこと間違いなしの作品です。
いかがでしたか? 学園と恋愛はライトノベルには欠かせない要素です。しかし学園や恋愛と一言でいっても、それらを取り巻く舞台や設定は様々。ぜひ自分の好みにあった学園恋愛ラノベを探してみてください。