いつの時代も変わることのない永遠の少女漫画!読めば読むほどに深く入り込んでいくことができます。何度読み返しても新しい視点から新しい気持ちが生まれてくる、独特の世界観で読み手の心を掴んで離さないくらもちワールドベスト5!
独特の世界観で魅了するくらもちふさこ作品。夢物語のような恋愛漫画ではなく、ありふれた日常の中にある、人々の切なく美しい恋愛を繊細なタッチで描くということで人気を博しています。作家としては「別冊マーガレット」1990年半ばからは「コーラス」、そして「Cocohana」で優れた恋愛ストーリーの描き手として活躍しています。
何と言っても、独創的な世界観が魅力的。そしてあっと思わせるような展開も多いので、どんどんハマっていくこと間違いなしです。どの作品もいろいろな伏線が張ってあるので、フィナーレに向けて1つずつ回収されていくのがまるで点と点が繋がって線になるようで気持ちいい!そんなくらもちワールドの中から選んだおすすめランキングTOP5をお楽しみください!
チャコと達ちゃんは幼なじみ。達ちゃんが大好きなチャコは、好きだからこそ素直になれず意地悪ばかり言ってしまう……。ろくに口も聞かないまま迎えた高校生活ですが、果たして長く切ないチャコの恋は叶うのでしょうか。
- 著者
- くらもち ふさこ
- 出版日
こちらの話はチャコの長く切ない片想いを描いた物語です。チャコが素直になれないまま、高校で同じクラスになるふたりですが、人気者の達ちゃんはチャコに対する冷ややかな態度で接します。好きだからこそ素直になれない、酷い態度をとってしまうのは不器用なチャコの恋愛表現のひとつです。
素直になりたいけどなれないチャコの気持ちは随所に現れます。例えば達ちゃんの大事にしていた猫のお墓を見て「あたし いまだにあそこの土だけは踏まないもの」と言った後すぐに心の中で「あーーどうしよう やっぱりあたしらしくなかった こんなこというの」と後悔。しかしそんな声にならない気持ちはもちろん達ちゃんには通じるわけもなく、なかなか距離は埋まりません。
素直になれないチャコが素直になれるのか、それとも達ちゃんが素直になれないチャコの気持ちを理解するのか、少しずつ近く距離にドキドキする展開は、10代はもちろん大人な読者も懐かしく楽しめるピュアさがあります。
かつて同じピアノ教室に通っていた麻子と季晋。中学進学と共に西ドイツに留学した季晋ですが、留学中に事故で母を事故で亡くしてしまいます。高校生になったふたりは再開するけれど季晋の態度はどこか今までとは違い……。
- 著者
- くらもち ふさこ
- 出版日
ピアノ留学から帰ってきた季晋の態度は冷たく、ライバル心むき出し!それは季晋の母、華子が事故で亡くなる前に言った「麻子ちゃんにピアノ、負けないで!」(『いつもポケットにショパン』より引用)という言葉によるものでした。そのセリフを聞いて、実は昔ライバルだった母親同士の確執や、母の思いを知ってしまい、麻子をライバル視せずにはいられなくなってしまったのです。そして母の代わりに麻子にピアノで勝って復讐することばかり考えてしまいます。
そんな季晋と、昔の季晋の心を取り戻したい麻子がピアノを通して成長していくストーリーの本作。ピアノのシーンは物凄い迫力です。その描写は素晴らしく、ピアノの音色が聴こえてくるような、絵を見て音を感じられるかのような美しさ。恋愛ストーリーのみならず、悩みもがきながらも人として成長していくその過程が全て愛おしく感じ、そして読み終わった後は音楽に触れたくなる、ショパンが聴きたくなる作品です。
『いつもポケットにショパン』については<『いつもポケットにショパン』4つの見所!『半分、青い。』に登場【無料】>で紹介しています。ぜひご覧ください。
小さな村に住むそよと転校生の広海の恋のお話を中心の本作。その小さな恋心の周囲に田舎ならではの人間関係や、小さな出来事が大事件だったりする田舎の住民の日常が取り囲み、心が温まるストーリーとなっています。
- 著者
- くらもち ふさこ
- 出版日
小さな村で暮らしている人ならではの、みんな家族のような感覚、ゆっくりとした時間の流れが味わえる本作。自然と村の景色や空気の中に入り込んでいけるようなストーリーです。そんなゆるやかな物語に恋のスパイスが加えられています。出会って間もない広海がそよに「2人になりたかったんだよ」と言うなど、甘酸っぱい展開にドキッとさせられます。
田舎のほのぼのとした日常も、都会からの転校生の広海とそよの恋の話も、そして子供達の成長物語としても、どんな視点からでも面白い『天然コケッコー』。大人の女性が読んでも、男性が読んでも楽しめる作品です。
比々羅木神社の息子、陽大と兄の陽向、従姉妹の雛は弓道に励む毎日を送っていました。そんな陽大を見て弓道を始める花乃ですが、ある夜、神社の火事で陽大は両親と兄を亡くしてしまいます。傷ついた陽大とそれを取り巻く人間関係やそれぞれの思いを描いた作品です。
- 著者
- くらもち ふさこ
- 出版日
- 2010-08-19
神社の火事で、兄、陽向を亡くし、心因性ショックで心神喪失状態になり、施設に入った陽大ですが、施設から戻った陽大は以前とどこか違うと気がついた花乃。よく笑う子だったはずの陽大が笑わなくなったことに気づいた花乃は、以前の笑顔を取り戻し、陽向が生きていた頃のような弓道をしたいと願っています。陽大を取り巻くひとりひとりが誰かのためを思いながら成長し、それぞれの恋愛感情が複雑に絡み合ったミステリアスな作品です。
登場人物のセリフは多い方ではないのですが、絵や、セリフとセリフの行間にまでたくさんの気持ちが詰まっているかのような描写は流石だとしか言いようがありません。くらもちふさこの長編シリーズ全8巻、是非是非じっくり読んでいただきたい作品です。
舞台は花染町。1つの駅から5分圏内での出来事が主人公を次々変えながら描かれたストーリーです。オムニバスと思わせておきながらも、実は全て繋がっている?読めば読むほど点と点が繋がり線になる作品です。
- 著者
- くらもち ふさこ
- 出版日
- 2007-11-19
これこそがくらもちワールド!独特な世界観が炸裂しています。こちらはひとつの駅から5分圏内に暮らす住人ひとりひとりのストーリーで、どの主人公も他の主人公に影響していて繋がっているのです。それぞれのストーリーを読みながら、ここで繋がっているんだ!と、気が付く瞬間はまさにパズルのピースがひとつひとつハマっていくかのようで、とても気持ちいいものです。
視点を変えて読むことで、実はこの時こうだったのか!と、気がつく伏線が多いので、1度読むだけでは物足りず何度も何度も視点を変えながら読みたくなる作品です。そして登場人物のひとりに、『花に染む』の主人公、園城陽大も出てきます。どのストーリーに登場するのかは、読んでからのお楽しみ!
いかがでしたでしょうか。くらもちふさこ作品は読み手次第でいろんな心情が見えてきます。是非じっくりと読んでみてくださいね。