赤川次郎の初心者向けおすすめ代表作ランキングベスト9!

更新:2021.11.25

赤川次郎と言えば、ミステリーや推理小説を思い浮かべる方が多いかと思いますが、なんとファンタジーも書いているのです。

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赤川次郎の素顔

赤川次郎は福岡県博多の出身。手塚治に憧れた赤川は、小学校の頃には漫画を描き始めます。しかし挫折を経て、中学三年生のときに小説を書き始めることに。

その後、サラリーマン生活を続けながらシナリオを作成し、シナリオの募集をしていた『非常のライセンス』で初入賞。その後「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を獲得し、小説家デビューを果たします。

赤川次郎はパソコンなどの機械をまったく使わず、原稿用紙に手書きで執筆作業をしています。本人曰く、「手書きの方が早い」のだそう。

また、さまざまな作品を同時進行で執筆していたため、登場人物の一覧を書斎に貼っていたのだとか。ミステリー小説の中で殺された人物のお墓を作っているということも有名です。

9位:赤川次郎が29歳女性目線で綴る

『ヴァージン・ロード』は、結婚を意識した29歳独身OLの物語。29歳独身女性といえば、周囲もどんどんと結婚し、いやでも結婚を意識せざるを得ない状況です。そんな女性事情を、女性目線の得意な赤川次郎が綴ります。

典子はある商事会社のOLでタイピストです。同僚の洋子とともに29歳で独身、長女として弟妹に頼られ、後輩の結婚話を洋子と毎日の食事ネタにして過ごしています。毒舌の洋子に比べ、典子には華やいだ話はありません。恋愛に限らず積極的に人の輪に入っていくことが性格的に苦手なのです。

そんな典子に近所のおばさんからお見合い話が持ち込まれます。しかも相手はバツイチ、子持ちです。初婚の典子に対し、親を含め周囲にはバツイチなんてとんでもないという人もいますし、ようやくその気になった典子を応援する人もいます。事情がありそのお見合いは「ご縁がなかった」ことになってしまうのですが、これをきっかけに、親戚の紹介や結婚紹介所からの紹介にチャレンジしていくのです。

前の奥さんと死別した男性や、母親の縛りつけが激しい男性、怪しげな上司など、おとなしかった典子の恋愛事情は目まぐるしく変化していきます。はたして典子は幸せな結婚に至ることができるのでしょうか。

著者
赤川 次郎
出版日
2008-01-25

結婚に至る恋愛事情は一通りではなく、人それぞれです。人間観察、とりわけ女性目線からの人間観察が得意な赤川次郎は、女性の気持ちの変化を丁寧に綴ります。

女性が活躍する作品が多い赤川ですが、『ヴァージン・ロード』は、控えめなヒロインが恋愛事情に翻弄されながらも、結婚に向かって進んでいく物語です。恋愛を仕切っていく女性も世の中にはいますが、典子のように積極的になれない女性も多いような気がします。ですが、『ヴァージン・ロード』の典子のように、自分の気持ちと周辺状況がリンクしたとき、行動にエンジンがかかる人もいると思うのです。

結婚そのものや結婚事情に悩んだりしたとき、本書を読めば新しい世界に踏み出すことができるかもしれません。ミステリーとは別の赤川次郎のもう一つの世界を楽しんでみてください。

8位:赤川次郎独特の少し軽くて難しくない短編ミステリー風小説

主な登場人物は、結婚相談所を経営する42歳の深田栄一(37歳の妻と小学6年生と小学2年生の二人の息子の父親)と、結婚相談所の唯一の所員である小柄でかわいらしい23歳の寺沢紘子(独身で一人暮らし。相談者に少しだけ惹かれてしまうこともある、どこにでもいるような女性)です。この二人が経営している結婚相談所が舞台となっています。

結婚相談所にはなぜか変わった相談者が多く、鋭い推理を働かせる紘子と、ちょっと抜けている深田の名コンビが事件を解決していきます。事件といっても、殺人事件が起こるわけではありません。結婚しているにもかかわらず、妙な依頼をしてくる依頼者、財産問題、会ったこともない芸能人と結婚したい男、心の病などを持つ様々な依頼者が現れ、まさにタイトル通りのミステリー風になっています。

著者
赤川 次郎
出版日
1984-05-10

全6話の短編から構成されます。6話とも結婚相談所なのに結婚が成立しません。所長と同じようにさえない相談所ですが、各話それぞれの事件に紘子の鋭い洞察力による名探偵が光ります。

紘子のことを「こいつもなかなかいい娘だからな。まあ、話相手になら」と思う深田。一緒に飲んだ時には、あわよくばホテルにでも…とよこしまな妄想をしてしまいますが、現実にはそんなことにはまったくなりません。紘子のあっさりした対応に撃沈してしまいます。

一方で深田に対して「傷ついた乙女心をいやしてくれるには、ちょっとばかり魅力に乏しすぎるけど、単純なだけに人は好いから」と思う紘子。だからといっても二人には恋愛感情はないのですが、紘子の危機には深田は駆けつけてくれます。しかし、やはりそこは自分でも言っているほどのさえない中年。どこか抜けてしまっているので、そこを厳しく指摘してしまう紘子。雇い主と所員の立場が逆転してしまいますが、テンポの良い会話が心地よく感じられます。

本格的なミステリー小説とは違い、赤川次郎独特の少し軽くて難しくない短編小説です。赤川作品の入口にしてみても良いのではないでしょうか。

7位:赤川次郎が描く、迷推理

大貫警部が主人公の推理小説のシリーズです。最初の話である『東西南北殺人事件』から、ほとんどの題が四文字熟語になっていることもあり、「四文字熟語」シリーズとも呼ばれています。

このシリーズは「名推理に飽きてしまったのでたまには迷推理も読んでみたい」という人におすすめです。

 

著者
赤川 次郎
出版日


主人公は、周りを混迷させる行動、唐突に出る迷言ばかりの大貫警部50歳。見た目はただのおじさんで、なすことは常に破天荒です。

夫が殺されたら妻を犯人、事件現場で飯をくれなかったらそいつが犯人だと決めつけてしまう大貫は、警視庁でも現場でも、迷惑な存在でしかありません。

そんな大貫の前に、井上という新人刑事が部下として現れます。大貫は、井上をこきつかい、ときには井上を犯人の人質にさせたりしながらも、様々な難事件を2人で捜査していきます。名コンビであるのか、迷コンビであるのかを決めるのは読み手のあなた次第です。

名推理に慣れている人たちは、予想もできない発言や、行動を経てできあがる迷推理の結末に振り回されてみてほしいです。

変なおじさんの話だけではなく、ちゃんと井上刑事の恋愛の場面もでてきます。

でも、そんな井上刑事のラブロマンスのひとときも束の間。井上に大貫からの呼び出しがかかるのです。呼び出された内容の続きが知りたい方は、ぜひ物語で。読んだあと、ああ、私も呼び出されたい、大貫警部と捜査がしたい、となるでしょう。

6位:人殺し×家族愛×それぞれの人生

平凡な1組の家族「早川家」。彼らには驚くべき秘密があります。

それは、彼らが泥棒、殺し屋、弁護士、詐欺師、警察官であること。

 

著者
赤川 次郎
出版日


この小説の読みどころは何と言っても、家族構成。普通ならありえないの一言に尽きる設定も、赤川次郎の手にかかれば驚きと笑いありのお話へ大変身です。「詐欺師」と「警察官」が1つ屋根の下で暮らしていたら、どんな生活をしているのか?全く想像できないですね。

物語は、石油王橘源一郎が日本に帰国したことで始まります。彼が開いたダイヤの展示会に、早川家の5人が違った形で事件に巻き込まれていくというストーリーです。

ちなみに、この小説はシリーズとして続編もあります。

笑いあり、人殺しあり。そして、時々家族の愛があります。早川家の個性あふれる人々の日常に、ぜひ魅了されてみてはいかがでしょうか。

5位:佐々本家の三姉妹が探偵になる!

佐々本家の三姉妹は、放火のせいで家をなくしてしまいます。その焼け跡からは女性の遺体が発見されてしまい、出張に行っている父親が殺人容疑で指名手配されるのです。無実を証明するため三姉妹が始めたのは、なんと探偵業。

国友刑事などの協力を得ながら最初の事件は解決しますが、父親の不在の瞬間を狙ったかのように、姉妹の周りをさまざまな事件が取り巻きます。

 

著者
赤川 次郎
出版日
1985-07-08


長女の綾子は天然ボケの入った、おっとりした性格の大学生。女子高生の次女夕里子は、三姉妹をまとめる気の強いしっかり者。しかし、怒ったときには亡くなった母そっくりになり、長女も次女もたじたじです。三女の珠美は中学生ながら、ちゃっかり者のけちんぼなんです。

そんな三姉妹の性格も、思わずくすりと笑ってしまうほどリアルで、本当の家族が目に浮かぶようですね。しかし、そこから急に探偵という非日常が現れることで、ミステリー感が増していきますよ。

赤川次郎ならではの、長編推理小説です。

4位:三毛猫ホームズと刑事が、あらゆる事件を解決していく

刑事と飼い猫ホームズが、巻き起こるさまざまな事件を解決していく物語。ホームズが大事なことを指し示し、義太郎が解決します。殺人はもちろん、幽霊や駆け落ち、国外での事件の解決に挑む展開は、推理小説ならではのハラハラ感を味わえます。

 

著者
赤川 次郎
出版日


飼い主の森崎智雄が殺されたことで、もうひとりの主人公・片山の家で飼われることになった三毛猫ホームズ。事件が起きると、まるで自分で推理をしたかのような不可解な行動をとります。その他にも、物思いにふけったり、紅茶を嗜好したりと、猫っぽくないところがあります。

飼い主である片山義太郎は柔らかい印象の童顔かつ、なで肩のために、「お嬢さん」とのニックネームを持つ高身長の刑事。事件現場においては、ホームズの行動から事件の謎を読み解いていきます。母を幼い頃に亡くし、鬼とも称される刑事の父と、妹がいます。血液が嫌い、アルコールもダメ、高所と女性を怖がってしまう、そんな独身男性です。

また、義太郎は事件に関わった女性には一瞬モテますが、すぐにふられてしまうところにも、ひと笑いしてしまいます。

余談ですが、ホームズは赤川次郎の飼い猫、「ミーコ」がモデルとなっているそう。ホームズを読みながら、こんな猫を飼っているのかと想像もでき、二度楽しい作品です。

3位:組長になったセーラー服の女子高生?

父を殺されたことをきっかけに、組員がたったの四人の弱小ヤクザ目高組の組長を襲名することになった星泉。しかし彼女はまだ十七歳の可愛い女子高生。そんな彼女に組長が務まるのでしょうか。

そんな不安をよそに、襲名後すぐにマンションが荒らされたり、殺人事件が起こったりしてしまいます。行方不明の大量のヘロインを巡る、大きな抗争も起き始め……。

 

著者
赤川 次郎
出版日
2006-09-15


組長として勇敢に悪と立ち向かう、セーラー服に身を包んだ泉。単なる女子高生が、父親が亡くなってすぐにヤクザの組長になってしまうという、あまりにも突飛なストーリーですが、正義のヒーローが好きな方にはぴったりなのではないでしょうか?

襲名直後に機関銃が打ち込まれるシーンに始まり、さまざまな抗争や事件に対し、泉がどのように解決していくのか。次の展開が気になって、ページをめくる手が止まらなくなります。

映画化とドラマ化で一世を風靡した、大ベストセラーの作品です。

2位:ガラスの人形が、何をした

フランスへ留学していた、主人公の上田修一。帰国してきた彼は、恩師の口利きのおかげで、三ヶ月間の住み込みで100万円の報酬というフランス語の家庭教師の職を得ます。

広大な敷地に構えた大きな洋館に住む峯岸家の美人三姉妹を教えることになった上田はある日、そんな洋館の地下に牢獄があるのを発見します。なんとそこには、三女の雅子が閉じ込められていたのです。彼女はガラスのように脆く、見かねた上田は助け出そうとしますが……。

 

著者
赤川 次郎
出版日


”私のことを、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。”

そんなセリフが発せられる中、大都会で起こり続ける連続殺人事件にナイフが残されます。幽閉された雅子と、巻き起こる事件にどんな関係があるのか、読者の推理と疑念を掻きたてます。

また、ガラスの人形だと呼ばれていたという発言の後、「脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない」という言葉。この言葉が何を表しているのか。読み進めるたび、答えに近づいていきます。

1位:姉の年齢を、越える

来年には高校生になってしまう、主人公の実加。彼女には、登校中に事故死してしまったしっかり者の姉・千津子がいました。あと三年したら、姉の年齢を越えてしまう、そんな不安に駆られる実加の頭の中に、姉の声が聞こえ始めます。そのときから、姉と妹の不思議な共同生活が始まるのです。

姉からのアドバイスを受けながら、次第に大人になっていく実加。しかし、実加が姉の年齢に近づいたある日、父親の浮気が発覚。感情的になって放った美香の一言がきっかけで、急に姉の声が聞こえなくなってしまいます。

 

著者
赤川 次郎
出版日
1991-11-28


本書のところどころで描かれる、母の不安定な様子や父の不審な行動の数々。姉が亡くなったことをきっかけに家族もおかしくなっていく状況は、非常にリアルです。

また、成績優秀でスポーツ万能、ピアノも上手な姉に憧れていた実加。そんな彼女が姉と共存しつつ乗り越えていく姿に共感する反面、姉の年齢を越えてしまうことがミカヤ両親にとっていかに未知の領域なのかを教えてくれます。

最後は父の不倫という現実的な問題が起きますが、赤川次郎が「名刺代わり」と表現した青春ファンタジー小説です。

いかがでしたでしょうか?赤川次郎のおすすめ作品を8点、ご紹介致しました。有名なミステリー作品から、推理小説、それからファンタジーまで、実は幅広い作品が集まっているとお気付きかもしれません。

赤川次郎を読んでみたいけど、ジャンルに悩まれている方は、ぜひとも今回の8作品を読んで頂ければ幸いです。

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