柚木麻子のおすすめ作品9選!黒くても白くても、女は怖くて面白い!

更新:2021.12.6

柚木麻子は、その作風から「幸せを他人と比べない」や「友情」を描く白柚木と、読者も登場人物も容赦なく切りこむ黒柚木がいると言われています。そんな振り幅が面白い、柚木作品のおすすめを黒柚木・白柚木混合で9作ご紹介します。

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女の切りつけ合うような友情や業を描く作家・柚木麻子

柚木麻子は日本の小説家です。1981年、東京都世田谷区で生まれ、恵泉女学園中学・高等学校を経て、立教大学文学部フランス文学科を卒業。在学中から脚本家を目指し、シナリオセンターに通い、ドラマのプロットライターを務めたこともありました。

その後、菓子メーカーへの勤務、塾講師などのかたわらに執筆して応募した『フォーゲットミー、ノットブルー』でオール讀物新人賞を受賞し、同作を含む単行本『終点のあの子』でデビューしました。

前を向ける白い柚木麻子作品

小学生用教材を専門的に扱う小さな出版社・雲と木社の営業部で派遣社員として勤務する澤田三智子は4年もつき合った恋人に振られてしまい、落ち込んでいました。そんな様子を見かねたらしい営業部長の黒川敦子ことアッコ女史にランチに誘われますが、毎日お弁当を作って来ている三智子は断ります。

ある日、三智子が食べられずに持ち帰ろうとしていたお弁当を食べたがったアッコ女史に譲ると、意外なことに素朴なそのお弁当を気に入り、来週1週間、自分のランチと取り替えてほしいという提案を持ちかけられて……。

著者
柚木 麻子
出版日
2015-02-12

まずは白柚木作品です。

アッコさんに指示されたランチを食べるために、三智子はあちこち走り回ったり、そのお店に力を貸したりすることになるのですが、日が過ぎるごとに彼女の鬱屈や落ち込みなども消えていき、視界が広がっていきます。その流れがほんとうに優しくて温かくて爽やかで。ページをめくるごとににこにこしてしまうのです。

ひとは、どんなことでもやるべきことを見つけ、それに対して良い反応があったり、周囲が喜んでくれたり認めてくれたりすると、こんなに変われるものなのだなと、改めてそんな当たり前のことに気づける作品。ちっとも優しいことなど言ってくれないアッコさんなりの優しさがとても伝わってきます。

どうしても前を向けないとき、毎日に疲れているとき、ぜひ読んでいただきたい1冊です。

アッコさんのような上司がほしい!!なんて思いでもだえちゃうかもしれませんが。

妙齢の仲良し4人組のおいしい探偵小説

ピアノの先生の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子は、中学・高校と女子校育ちの仲良し4人組。既婚独身、キャリアウーマンなど、学生時代とはそれぞれ異なってしまった環境の中でも常に助け合い、生まれた「謎」を解決し、難局を乗り越えていく連作「推理」短編集です。

咲子が食べたお稲荷さんの味をもとにひとめ惚れの相手を探したり、料理によって注目された由香子が困難に陥ったのを助けたり、満里子がハイボールの味で恋の行方を察したり……。良いことも悪いことも、素敵なこともいやなことも、常に味覚が大きくかかわっていきます。

著者
柚木 麻子
出版日
2013-11-08

もうひとつの白柚木作品です。

ひとつひとつの会話やできごとは些細でありふれていても、培った友情の強さがしっかりと根付いていて、ああ、ほんとうに仲の良い親友同士なのだなぁと伝わってきて、彼女たちの中に入ってみたいような、羨ましいような不思議な感覚であふれているんです。

いつまでも変わらずにいるなんて難しいけれど、いざという時にはきっと助けてくれるだろうと信じられる友達のいる素晴らしさを感じられる作品。甘いばかりではない友情をぜひ読んでみてください。

不遇な新人女流作家、野心で成り上がる!

文学新人賞を受賞した加代子は、憧れの小説家として華々しくスタートを飾るはずだったのですが、同時受賞したのが元・人気アイドルで、まったく注目されませんでした。

それから二年半。依頼などありもしないのに憧れの作家御用達「山の上ホテル」に自腹で泊まり、カンヅメを気取っていたところ、大学時代の先輩で編集者の遠藤が訪ねて来ます。なんと、大御所作家・東十条宗典が加代子の上のフロアーで、「本物」のカンヅメで執筆中らしく……。

才能以上に野心旺盛な加代子の計算ずくの成り上がりぶりがすさまじくて、ちょっと呆れたような笑いすら漏れてしまいそうな作品。

著者
柚木 麻子
出版日
2015-11-28

こちらは黒柚木作品でしょうか。

加代子は、まさに「女は怖い」を体現しているような行動力なのです。とにかくすごい。リアリティさえ感じてしまうので、もしかしたらこんな作家さんもいたりして、なんて想像してしまうくらいの展開を見せます。

加代子をすごいと思うか、怖いと思うか、または呆れるかで作品への感じ方も違ってくるとは思いますが、このパワーだけは本物です。眼を放したくないと思うのは怖いもの見たさでしょうか。加代子が次になにをしでかすのか、気になって仕方なくなったら、もう彼女のトリコです。

この感覚、味わってみませんか?

自分さえ壊す、悲しくすさまじい執着

山本周五郎賞受賞、高校生直木賞受賞作品です。

大手商社に勤めるキャリアウーマン・志村栄利子は、毎日早朝出勤をし、ハードな仕事を毎日こなしています。彼女のひそやかな楽しみは、主婦の書く人気ブログ「おひょうのダメ奥さん日記」を読むことでした。

その「おひょう」こと丸尾翔子は、一見、気ままで自由な夫とのふたり暮らしをしているようにみえますが、実家の家族に対して鬱屈したものを抱えていました。ある日、たまたま近所に住んでいた栄利子と翔子はカフェで出会い……。

著者
柚木 麻子
出版日
2015-03-28

続けての黒柚木作品です。

ふたりは同性の友人がいなかったこともあって、一足飛びに親しくなるのですが、翔子がブログの更新をほんの数日休んだことがきっかけになり、その関係は歪んでいくことになるのでした。

栄利子の翔子への執着がすさまじくて、これを友情とよぶ彼女に恐怖すら感じてしまします。ですが、本を閉ざして、彼女の行為から逃げたいとは思わないのが不思議です。これも柚木麻子の筆力の賜物なのでしょうね。

「女の怖さ」と「女の寂しさ」が同時に存在する作品。女たちの行く末を見届ける気持ちとともに読んでいただきたいです。

裏切らない濃密度。黒い柚木麻子作品

関係をもつ男性が次々と亡くなる連続不審死事件の被告人のインタビューを主人公の記者が行う形で、物語は進みます。

被告人女性の容姿は決して美しくありません。不思議に思った記者は、どこに魅力があり、男性が虜になったのかを探っていると料理に関係があると辿り着きます。

記者は被告に言われた通りの料理を作ったり、お店を訪ねたりと試食をしていきます。そのような生活を続けていく内に、被告人に気持ちが入り、本当に殺人を犯したのかと疑問を持つのです。しかし、これは被告人の策略であり、友人や記者自身も彼女のリズムに狂わされ、環境が一変します。変わってしまった環境で記者が感じたこととは一体。

著者
柚木 麻子
出版日
2017-04-21

黒柚木作品です。

主人公の父親が高校生の時に孤独死したり、友人が不妊問題を抱えていたりと重く感じるかもしれませんが、それを吹っ飛ばすぐらいこの作品の虜になってしまうポイントがあります。

それは、バターを取り扱った料理がたびたび登場することです。特に作中に出てくる、炊きたてのご飯をバターと醤油で食べるバターご飯はすぐにでも真似したくなります。サスペンスでありながらこれはグルメ本なのかと錯覚するほど、グルメに長けている作品でもあるのです。長編の作品ではありますが、読者を退屈させない部分になっています。

最後には、主人公の環境が変わり今まで孤軍奮闘し生きてきましたが、人は1人では生きられないと気づくのです。友人や母親等に頼りたくましく頑張り始めるところには勇気をもらうことができる希望溢れた部分もあります。内容が濃密な小説が好きな方にはぜひおすすめの作品です。

黒柚木作品。ネットで幸せアピールしていませんか?

主人公の耶居子(やいこ)は女子大を卒業して就職したものの同僚になじめず短期間で退社、その後のアルバイトも長続きせず実家の6畳間に引きこもり食べてはゴロゴロする生活です。そのため太って肌はボロボロ、お世辞にも美女とは言えません。そんな彼女の楽しみはネットで幸せそうな記事を見つけては攻撃することでした。自分の幸せを見せびらかすようなブログに悪口を書き込み炎上させたり、個人情報を調べ上げては嫌がらせのメールを送ったりするような日々の中でした。

その中でも、特に気になっていたのは「嘆きの美女」というサイトです。美人ならではの悩みを美人同士で話し合って解決しようというコンセプトの元に、耶居子から見れば傲慢で鼻持ちならない悩み事を投稿する女たちを次々に攻撃してサイトを休眠状態に追い込んだのですが、サイトの管理人が時々アップする記事の内容や写真から、美女たちが有名なケーキ屋に集まる事を探り当てます。自称美女の本当の姿を写真に撮ってネットにさらしてやろうと思い、耶居子はケーキ屋に待ち伏せに行くのですが、そこに自分と同じく美女の隠し撮りを目的にした男が現れ、逃げる男を反射的に追いかけた耶居子は車にはねられ重傷を負う羽目に。

著者
柚木麻子
出版日
2014-06-06

気が付くと耶居子は変質者から自分たちを守ってくれた恩人だと美女たちから誤解されていて、サイトの管理人のユリエと3人の美女が同居する家で手厚くもてなされ療養することになるのです。最初は心の中で美女たちに毒づいていた耶居子でしたが、彼女たちの人柄や今までの人生を知り、自分の先入観だけで攻撃していたことに気付かされます。また彼女たちと同じ食生活をするうち、耶居子は痩せて肌荒れもなくなり、いつの間にか綺麗になっていました。もともと機知に富んでいるうえ魅力的になった耶居子に男性も興味を示すようになり、美女たちとの間にも友情が芽生えていくのですが、ユリエの彼が耶居子に関心を持ったことから、優しかったユリエが豹変して……。

物語は序盤から耶居子の悪口雑言が繰り広げられるのですが、読んでいて不快感を覚えるどころか、むしろ引き込まれてしまいます。それは彼女の悪口が妬みや僻みといったマイナスの感情から発生するものではなく、純粋な怒りから生まれるものだからです。現実にもあふれている人のあざとい心や卑怯なところを敢然(かんぜん)と暴く耶居子の痛烈な毒舌は爽快そのもの。思わずニヤリとさせられます。

灰色の柚木麻子。幸せすぎるラストシーン

聖鏡女学園中等部2年生の範子は、気の合うチヨジ、スーさん、リンダさんたちと地味でも平和で楽しい毎日を過ごしていました。ある日、事件が起こり、クラスでの公開裁判の挙げ句、王妃と称される滝沢さんがクラスカーストのトップである姫グループを追われてしまい、範子たちが迎え入れねばならなくなります。

滝沢さんはとても傍若無人で、仲間たちのバランスも崩れてはじめ、かつての穏やかで平和な毎日を取り戻すために、範子たちは……。

著者
柚木 麻子
出版日
2015-04-04

黒とも白とも区別できない、いうなれば灰色柚木作品というところでしょうか。

誰もが経験のある傷つきやすい時代の物語。ちょっとした差異で仲間付けされ、カーストがつき、常に誰かと比べて過ごしていた教室での風景が浮かび上がってきます。毛色の違う者同士は仲良くなれない、つるめないが前提だったことをふっと思い出して、苦笑いしてしまうかもしれません。それくらいに教室での様子が生々しくも痛々しく描かれています。

苦しくなったり、つらくなったり、登場人物たちといっしょに怒ったり、やりきれない気持ちになったり。まるで教室にいて、彼女たちを見守っているような感覚に陥ることでしょう。

ラストシーンがなにしろ素晴らしいのですが、それを味わうためにも多少苦しくてもそこへ向かって読み進めて欲しい傑作です。

灰色の柚木麻子。あなたの友は本当に心からの友と言えますか?

人はそれぞれ人生の中で様々な人に出会いますが、仲良くなれる人もいれば苦手な人もいるでしょう。友達だったはずの人が何かのきっかけで急に嫌いになったり徐々に離れていったりすることもありますよね。

『本屋さんのダイアナ』は2人の少女の友情を描いていますが、友情物語の一言で片づけられる単純な作品ではありません。柚木麻子は少女文学のような誰にでも読みやすい文章の中から、人の生き方について鋭く問いかけています。本作を読み進めるうちに、友達を選ぶということは自分の生き方を選ぶことなのだと気付かされるでしょう。

著者
柚木 麻子
出版日
2016-06-26

こちらも灰色の柚木麻子作品。

主人公の女の子は純日本人なのに名前は「ダイアナ」、しかも漢字で書くと「大穴」。学校で自己紹介をするたびにクラスメイトから馬鹿にされ傷ついてきました。ダイアナの母親はキャバクラ勤めのシングルマザーで、チャラチャラした服装に軽薄な喋り方、小学生のダイアナの髪を自分と同じ金髪に染めるような人です。ダイアナは名前と金髪のせいで学校では孤立し、家に帰れば母は毎晩のように留守、唯一の楽しみは図書館で借りた本を読みふけることでした。

そんなダイアナに転機が訪れるのは小学校3年生の新学期。いつものようにクラスで名前を馬鹿にされていたとき、彩子という同級生が自分をかばってくれます。実は彩子も本が大好きでよく図書館に行くのですが、そこで見かけるダイアナにずっと前から興味を持っていたのです。彩子は裕福な両親に育てられた優等生ですが、ダイアナの人目を惹く美貌や自分と全く違う生い立ちなど自分にはない非凡な個性を羨ましく思い、ダイアナはその個性ゆえに常に嫌な思いをしてきたので、彩子の上品さや知的で優しい両親、裕福な家庭など誰にも恥じるところのない彩子の恵まれた境遇に憧れます。

しかし彩子は苦労知らずに育ったせいで実は自分勝手なところがあります。自分は中学から親のすすめる私立のお嬢様学校に進学するのですが、ダイアナと離れたくないため「ダイアナのお母さんは自分の親より休みなく働いているのだから、いざとなればまとまったお金が作れるだろう」などと思うようなところがあるのです。彩子はよかれと思ってダイアナを自分が受験する中学校の下見に誘うのですが、そこでダイアナが感じたのは自分と彩子との大きな格差、自分ではどうすることもできない厳しい現実でした。しかも彩子は、ダイアナが自分に知らせずに同級生の男の子と一緒に出掛けたというだけで理由も聞かずにダイアナに絶交を言い渡してしまいます。

その後2人は別々の人生を歩み10年後に再会することになるのですが、物語はその間のダイアナと彩子を交互に描きながら進みます。ダイアナはいつか本屋で働くことを夢見ながら公立の中学・高校と進学する中で周囲に溶け込む努力をするのですが、ただの誤解から心ない友人に深く傷つけられてしまいます。彩子は優等生として中高一貫の女子校生活を送ってきましたが、温室のような環境から抜け出したいとの思いで共学の大学に進学し、そこで人生で初めて他人から心に大きな傷を負わされるのです。人から理不尽に傷つけられてきたダイアナ、無意識のうちに人を傷つけてきた彩子、2人がそれぞれ選んだ道は……。

子供から大人へと成長する過程で何を受け入れ何を拒むべきなのか、自らの意志で何を選択し何を捨てるべきなのか。自分が歩んできた道をもう一度見つめ直したくなる一冊です。

灰色の柚木麻子。未完成な少女たちがたどり着く、それぞれの終点

世田谷にある中高一貫のお嬢様学校の最寄り駅はいつも工事中。いつから始まっていつ終わるのか、そして何を工事しているのかも分からない駅は、そこから学校へと通う少女たちを表しているようでした。本作はそんな少女たちをそれぞれ違う視点から4部構成で描いた物語です。

著者
柚木 麻子
出版日
2012-04-10

こちらも灰色の柚木麻子作品。

立花喜代子が通う学校には大きく分けて「成績優秀」「特に問題のない普通の良い子」「華やかな美人」「オタク系」と4種類のグループがあり、皆それぞれ自分に合ったグループ内で交流しながら学校生活を送っていました。「普通」のグループに属し平凡な日常を送っていた喜代子は高校生1年になった時、奥沢朱里という非凡な女の子と友達になります。有名なカメラマンを父に持ち、抜群の絵の才能で美術の先生にも一目置かれ、自由奔放で誰にも媚びず、クラスのどのグループにも属さないけれど皆の注目を集める朱里。喜代子はそんな朱里と一番仲良くしているのが自分であることに優越感を覚えていました。

そんなある朝の通学電車の中、喜代子は朱里から電車を降りずにこのまま江の島に行こうと誘われます。喜代子は平凡な自分の殻を破り更に朱里と仲良くなれるチャンスだと思うのですが、結局学校をサボるのが怖くて電車を降りる事を選ぶのです。

その時朱里は喜代子に「いくじなし」と言い放ち、そのまま電車に乗って去って行ってしまいます。朱里から嫌われてしまったと思い一晩中悩んでいた喜代子は、翌日普段と全く変わらない態度で接してくる朱里に、自分を悩ませた事なんて朱里にとっては全くどうでもいいことなのだと思い知らされ、朱里に対し違和感を覚えるようになるのです。そして喜代子は、朱里の家に遊びに行った際に興味本位で朱里のノートを盗み見てしまいますが、そこには自分やクラスメイトたちを批判する言葉が延々と綴られていました。その時から喜代子は朱里を傷つけてやろうと決意します。

いつも人を見下すような発言をしてきた朱里に、クラスの皆も不快感を抱き始めていた事を知り、喜代子は全員で朱里を無視するように仕向けるのです。しかし喜代子が本当に望んでいたのは、朱里に人の心の痛みを知ってもらいたいということでした。朱里が傷つき人の心の痛みを知ることが出来たなら仲直りをしようと思っていたのですが、朱里は示した反応は喜代子にとって意外なものだったのです。

物語はその後、朱里に夢中で自分から離れていく喜代子に腹立たしさを感じている「普通のグループ」の奈津子、朱里に彼を取られたと学校中に噂され自尊心を傷つけられた「華やかな美人グループ」のトップだった恭子を中心に、少女たちのそれぞれの葛藤や成長を描いています。そして最終章では、今まで他人を傷つけていた朱里の本当の姿が描かれます。

子供には戻れず未だ大人にもなれない複雑な年頃の少女たちを、作者はそれぞれに優しさを込めて描いています。どの少女の幸せも願わずにはいられない、心温まる作品です。


女性の黒い部分を描かせたらトップクラスのいやな感じを醸し出せる柚木麻子。これがミステリーになったら「イヤミス」と称されるのかもしれませんが、そこまではいかない微妙なラインの生々しい作品を生んでいます。女性が主役でも、男女問わず沁みわたる内容のものばかり。ぜひ手に取っていただきたいです。

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