大人になったあなた、今更少年漫画なんて……と思っていませんか?いい大人がボロボロ泣ける名作少年漫画、ここにあります!少年漫画だからこそ描ける、まっすぐな熱い想い。傑作とよんでも過言ではない少年漫画を5冊選びました。
全国の少年に囲碁ブームを巻き起こした作品。『DETH NOTE』でも大ブームを巻き起こした原作・作画のペアが描いた大人気作です。
ごくごく普通の小学6年生だった進藤ヒカル。彼は祖父の家で見つけた碁盤に憑りついていた平安時代の天才棋士・藤原佐為にせがまれるまま、代わりに囲碁を打つことになります。
ヒカルにとって佐為は、自分を「天才棋士」に仕立て上げてくれる存在でした。佐為が言う手を打っていれば、たいていの人には勝てるのです。しかしヒカルはそんな「チート状態」に疑問を持ち始めます。
- 著者
- ["ほった ゆみ", "小畑 健", "梅沢 由香里"]
- 出版日
そして同年代のライバル・塔矢アキラに出会って自分自身で碁を打つ楽しさを知り、自分で考え、棋譜を読み、囲碁部を作って仲間とも出会います。どんどん囲碁が面白くなっていくヒカル。そんなヒカルを見て佐為は、自分が現世にとどまっていた理由を理解し始めます。
ヒカルの目の前に突如現れて、囲碁という新しい世界を示し導いてくれた佐為。同じように子供の頃のあなたにも、同じ目線で物事を教え導いてくれた存在はいませんでしたか?
大人になったあなたの隣に、もうその存在はないかもしれません。それでも、その人から教わったこと、一緒に過ごした楽しい時間は消えることはありません。
そんな大切な経験を『ヒカルの碁』は思い出させてくれます。成長した大人のあなただからこそ、そんな絆の儚さが心にしみてきて、ラストに近付くにつれ涙が止まらなくなる名作です。
『ヒカルの碁』については<漫画『ヒカルの碁』の面白さを今もう一度、徹底考察!【ネタバレ注意】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
主人公の清磨は、かなりの天才でマサチューセッツ工科大学の論文さえもたやすく理解する中学2年生。その類まれな頭脳から周囲となじめず、鬱屈した日々を送っていました。
そんなある日、彼の前に謎の少年ガッシュ・ベルが現れます。彼は人間ではなく、魔物たちの「王」を決める戦いに参加する100人の魔物の子のうちの1人でした。
ガッシュの能力は彼の持っている赤い本に書かれた呪文を唱えると、電撃が放てること。難しい言語で書かれた呪文も、清磨なら読み解けるかもしれないとパートナーとなった2人は、攻撃してくる魔界の子供たちを倒していきます。そしてただ強いものがのしあがるというこの戦いに疑問を持ち、「やさしい王」への道を切り開いていきます。
- 著者
- 雷句 誠
- 出版日
清磨は物語の冒頭から、人と関係を結ぶことがとても苦手でした。ガッシュに対しても「フザケルナ」と発言したりと、かなり人を信頼できていない様子がうかがえます。(実はこれが最初の呪文です)
そんな2人の関係が変わったのは、ガッシュが清磨の悪口をいう相手に、「これ以上私の友達を侮辱するな!」と熱く言い放つシーン。全力で清磨をかばうガッシュに、清磨の態度も変わっていきます。
ともに生活し、ともに戦いを続けるうちに、二人は硬い友情で結ばれていきます。どちらかが傷つけば同じように心を痛め、同じように苦しみ、喜びは同じように分かち合う「親友」という存在です。唯一無二の存在だからこそ、たとえ自分がボロボロになっても相手を失いたくない、という心からの叫びがセリフの一つ一つに込められています。
駆け引きやビジネス上の付き合いも多くなる大人の人間関係。こんなにも真剣に、相手を信頼できる関係を築を築いたことはあるでしょうか。
私たちが大切な人のために言いたくても飲み込んでしまった言葉を、『金色のガッシュ』の登場人物たちは率直に、時には涙しながら叫び続けます。
敵キャラやギャグキャラも同じように大切なもののために戦い、諦めることがありません。その姿に頭がいいようで実は卑屈で臆病だった主人公も心を動かされていきます。その素直さに、真剣さに打ちのめされる傑作です。
人間と人ならざるものがともに生きていた古の時代。リオネス王国では聖騎士たちによるクーデターが勃発し、国の存亡が危ぶまれていました。
第3王女エリザベスは、かつて「七つの大罪」と呼ばれる世紀の大罪人から組織された伝説の騎士団のリーダー・メリオダスと出会い、国を救う旅に出かけます。この「七つの大罪」とは、7人の大罪人のこと。それぞれが一つの国を亡ぼせるほどの力を持っており、過去にその力が理由で大きな罪を犯しています。
- 著者
- 鈴木 央
- 出版日
- 2013-02-15
自らが王であった妖精の国を滅ぼしてしまった怠惰の罪「グリズリー・シン」キング。命の泉を枯らしてしまった強欲の罪「フォックス・シン」バン。そして主人公である憤怒の罪「ドラゴン・シン」メリオダスは、憤怒のままに一つの王国を壊滅状態にしてしまったと罪状に書かれています。
彼らが旅を続けるうち、それぞれの過去と対峙しなければならない時が訪れます。辛い過去をきっかけにその大きすぎる力で罪を犯した彼らはどんな選択をするのか……。
忘れたくても忘れられない、大きな過失。失敗は、起こった時が終わりではありません。1度でなく、2度、3度と形を変えて、時には大きくなって私たちに襲いかかります。そんな時に忘れたふりをしたり、見ないふりをしてやり過ごすこともできるのですが、『七つの大罪』の登場人物たちはその罪から逃げようとしません。何度も、何度も立ち向かっていきます。
自分の過ちと真っ向から向き合い、戦った時だけ、本当に「乗り越えた」と言える。苦悩した経験が多い人ほど、読むたびに勇気をもらい、感動して泣けてしまう作品です。
母子家庭で育ち、小学生からいじめられ続けていた幕内一歩。高校生となっても不良グループから殴る、蹴るを繰り返されていましたが、ある日母親のことまで貶され、それに何も言えなかった自分にショックを受けます。
そんな時彼はプロボクサー鷹森と出会い、その強さに惹かれました。自分の不甲斐なさ、情けなさに苦しんでいた一歩は、ボクサーになりたいと鷹森に頼み込みますが、一蹴されてしまいます。
- 著者
- 森川 ジョージ
- 出版日
- 1990-02-09
涙ながらに「強いって、どんな気持ちですか」と訴えかけた一歩。その想いが鷹森を動かし、プロボクサー、そして世界チャンピオンへの長い道のりが始まったのでした。
ひたむき練習に打ち込み、個性的なライバルたちと戦うごとにプロボクサーとしても人間としても成長していく一歩の姿を、森川先生が1989年から週刊少年マガジンで描きました。一歩は育ててくれた母のため、応援してくれた人、関わってくれた人のため、絶対に負けられないと勝負に挑みます。
『はじめの一歩』では、主人公だけでなくライバルにあたるボクサーたちの背景に関しても徹底的に描かれています。ライバルたちも同じように、強い想いを抱いてリングに立っています。その想いの強さに差はありません。
誰にも譲れない美学があるからこそ、最後まで負けられないボクシングの世界。本物の勝負をかけて戦う彼らに、読者は圧倒されます。
子供の時のように、良い・悪いでは判断できないことも多い大人の世界。お互いの背負ったものを本気で見せ合い、ぶつけ合ったことがあるでしょうか。戦いでは勝つことも負けることもありますが、自分の信念を貫く彼らの拳には人生をかけた重みがあります。1試合ごとにぶつかり合う拳と拳に共鳴し、ボクサーたちとともに漢泣きできる作品です。
千葉に住むアニメオタク高校生・小野田坂道は、アニメの聖地秋葉原まで45kmの道のりを自転車で往復する日々を送っていました。
高校に入学し、選んだ部活は漫画研究会……ではなく、スカウトされた自転車部。ただのオタクの僕には無理、運動神経悪いし……坂道はそう考えていました。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2008-07-08
自転車競技は、駅伝のようにチームでたすきをつなぎながらゴールを目指す競技。平坦な道もあれば山道もあり、メンバーは長所を生かしてそれぞれのポイントで全力を尽くします。山道を得意とするのは「クライマー」。重力に逆らって坂道を上るため、体の軽さと最後まで諦めないメンタルの強さが必要とされます。
坂道は先輩の巻島の指導や、自転車競技と真剣に向き合う仲間からの刺激を受け、クライマーとしての才能を開花させていきます。自分の力を尽くしてペダルをこぎ続け、チームのメンバーにたすきを繋げること。自信のなかった坂道は、自分の得意なこと、自分にできることの存在に気づきます。
仕事やチームで何かに取り組んだ時、自分だけできなかったり、1人になってしまって孤独に感じたことはないでしょうか。自信をなくして、自分には何もできないと思う時もあるかもしれません。けれど、そんなことはありません。
『弱虫ペダル』の坂道のように、自分でも予期しなかったことがチームには欠かせない武器になっていたり、誰かの励みになっていることがあるのです。自転車競技の疾走感とともに、背中を押してくれる仲間の存在をはっと思い出させてくれます。落ち込んだ時に読んで、頬に伝う涙を拭いたら、また明日から頑張ろう!と思わせてくれる熱い作品です。
いかがでしたか?まずは大きなタオルかボックスティッシュを丸一つ用意して一気読みの準備を始めてください!時間を忘れて熱くなれる少年漫画。読み終われば大人のあなたが抱えている胸のモヤモヤも、涙とともに流れてしまっているはずです。