『名探偵コナン』2021年劇場版最新作『緋色の弾丸』を(一部ネタバレ有)でご紹介!映画を見る前に押さえておきたい赤井秀一やその家族など重要ポイントをまとめました!あらすじや見どころをご紹介します。 また後半部分ではネタバレ有でストーリー、事件の全貌とトリック・小ネタを徹底解説!映画を見た後の振り返りにもご活用ください。
毎年大ヒットを飛ばし、ゴールデンウィーク前の恒例にもなっている劇場版名探偵コナン。シリーズ24作目にあたる今回のタイトルは『名探偵コナン 緋色の弾丸』(めいたんていコナン ひいろのだんがん)!!
2021年4月16日に公開されその興行収入はなんと75億円を突破!コロナ禍で公開が1年間延期になったり、都心地の映画館が休業してしまったりと多くの障害の中のこの数字はコナン作品の人気を証明していますね。
脚本は『絶海の探偵』『業火の向日葵』『純黒の悪夢』『ゼロの執行人』の脚本も務めた櫻井武晴、監督は前作『紺青の拳』に引き続き永岡智佳がつとめました。
キャッチコピーは「一家(ファミリー)、集結──」「引き裂かれた運命――― いま〈世界〉が動き出す」「この真相、最高機密(トップシークレット)」。
今回の一番の注目ポイントは何といっても赤井秀一、羽田秀吉、世良真純、そしてメアリーの赤井一家(ファミリー)集結ではないでしょうか。
コナンをよく読まれているかたならピンと来まくりだったかもしれません。この赤井一家、コナン本編でも物語の大きなカギを握っている家族なのです。
そして何より、みんな強い!頭がいい!!主人公のコナンだけでなく多くの登場人物が謎を解く力を持っているのが『名探偵コナン』作品の面白さでもあり恐ろしさでもあります。
そんな誰が主人公になってもおかしくないくらいのポテンシャルをもつコナンキャラたち。その中でもこの赤井一家は物語屈指の推理力、そして強さを兼ね備えた最強集団なのです!
そんな最強キャラが出そろった劇場版名探偵コナン第24作『緋色の弾丸』のあらすじと見どころを本記事では解説していきます!
名探偵コナン本編については<1からわかる超初心者向け『名探偵コナン』本編あらすじ&キャラ解説から意外と知らない見どころまで!【ネタバレ有】>にて解説しています。よろしければそちらもあわせてチェックしてみてください!
4年に一度開催している世界最大のスポーツの祭典が今年は日本で行われることになりました。
記念すべき日本大会の開会式に合わせて、世界初の真空超電導リニアライナーが開通することになりました。このリニアライナーとは、近未来の新幹線のような見た目で最高時速は1000kmにもなります。開会式当日に世界で初めて走るリニアには抽選で当選した人も乗れるとの情報に少年探偵団たちは大興奮です。
そんななか、鈴木財閥の会長が何者かに誘拐されてしまいます。コナンはこの誘拐が15年前にアメリカで起きた事件と関係していることに気が付きます。
アメリカでの事件に関係があるかもしれない……そんな情報をききつけたのはFBI。赤井家長男・赤井秀一とともに事件の調査に動き出していました。
そして他にも事件の裏で暗躍する人物が。それは赤井家の末娘世良真純とその母メアリーでした。彼らはなぜ事件を追っているのでしょうか。そしてリニアの発車地点・名古屋には次男の羽田秀吉の姿も。奇しくも赤井家がそれぞれ動き始めるなか、事件はどう展開していくのでしょうか!?
「日本を貫く弾丸(ジャパニーズブレット)」・真空超電導リニアが起動!名古屋と東京でいったい何がおこるのか!
*名古屋が舞台ということで名古屋弁バージョンの予告編もアップされました!クールなコナンと赤井秀一の名古屋弁、必見です。
堂々たる主人公。見た目は子供、頭脳は大人でおなじみの今作きっての名探偵です。普段は帝丹小学校の1年生・江戸川コナンとして生活していますが、その正体は高校生探偵の工藤新一。黒の組織に薬を飲まされ、体が小さくなってしまいました。
工藤新一が生きていると奴らにばれたらまた命が狙われ、周りの人間にも危害が及んでしまうため「江戸川コナン」と名乗り、幼馴染の毛利蘭の家に居候しています。元の姿に戻るため、黒の組織を追っています。
原作・アニメ・劇場版と数々の事件を解決してきたコナン。その推理力もさることながら、劇場版では持ち前の運動神経を活かしたアクションが楽しめるのも見どころの一つですよね。今作の舞台・リニアではいったいどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。
新一の幼馴染の帝丹高校2年生。先日の修学旅行をきっかけについに新一と恋人同士になりました。父は「眠りの小五郎」の愛称で親しまれる名(?)探偵・毛利小五郎。小五郎が探偵事務所を営んでいたため、黒の組織の情報収集に役立つとしてコナンが居候してきました。毛利家の家事全般を担っており、料理上手で優しいお姉さん。
高校では空手部の主将を務め、都大会や関東大会でも優勝するほどの実力の持ち主です。その強さでコナンや自身のピンチを乗りこえることも多いです。
コナンのクラスに転校してきた怪しげな少女。その正体は黒の組織の元科学者・宮野志保。コードネームはシェリーでした。組織に従うのが嫌になり、コナンが飲まされたものと同じ薬を自ら服用し体が縮んでしまいました。現在は阿笠博士の家に居候しています。同級生の少年探偵団を優しく見守りながらも、コナンを影ながらサポートしてくれます。
灰原哀については〈【灰原哀編】漫画『名探偵コナン』を本気でネタバレ考察!〉にて詳しくご紹介しています。もっと詳しく知りたい方はあわせてご利用ください。
赤井家の長男でアメリカ連邦捜査局・通称FBIに所属する凄腕スナイパー。その実力は黒の組織のボスから、唯一組織を破滅に導く「銀の弾丸(シルバーブレッド)」として恐れられています。700ヤード(約640m)も離れたところから寸分たがわず小さな標的をも狙撃する離れ業の持ち主です。
また、身体能力も高く、截拳道(ジークンドー)を得意としています。以前は「ライ」というコードネームで黒の組織に潜入していました。
『名探偵コナン』本編ではコナンと協力関係にあり、ともに黒の組織を追っています。組織に対抗するため自らの死を偽装し、現在は架空の大学院生・沖矢昴として工藤邸に住んでいます。
自らの死を偽装した赤井秀一が変装した姿です。東都大学院の学生で27歳という設定になっています。変装メイクは工藤新一(コナン)の母・有希子から教わったもの、そして声は阿笠博士の発明したチョーカー型変声機を仕込んでいます。
そのため夏場でもハイネックスタイルが定番になっています。現在は工藤邸に住んでいます。
沖矢昴については〈【沖矢昴編】漫画『名探偵コナン』を本気でネタバレ考察!〉にて詳しくご紹介しています。よろしければぜひチェックしてみてください。
赤井家の長女で兄弟の中では末っ子です。蘭とおなじ帝丹高校の2年生で、海外から転校してきました。ボーイッシュなボクっ娘で、私服だと男の子に間違われてしまうこともしばしば。
母のメアリーとホテル住まいを続けています。次兄の羽田秀吉とは電話で頻繁に連絡を取り合っていますが、長兄の赤井秀一のことは亡くなったと思っています。彼女もまた優秀な推理力を持ち、兄である赤井秀一の影響から截拳道(ジークンドー)をも使いこなす文武両道な人物です。小学1年生のころに新一と蘭に出会ったことがあり、コナンの正体が工藤新一であると疑っています。苗字の世良は母・メアリーの旧姓です。
高校生探偵であるからか、本編でもよく事件の調査を独自で行っているようですが、今作ではメアリーとともに事件を追っているようです。
「領域外の妹」と名乗る謎の美少女。中学生くらいに見えますが、彼女こそが赤井兄弟(赤井秀一・羽田秀吉・世良真純)の母。黒の組織にコナンが飲まされたものと同じ薬を飲まされ今の姿になりました。彼女もまた圧倒的な推理力と武力を持つ人物ですがその正体はイギリスの諜報機関・MI6の捜査官。その強さは『名探偵コナン』作中でもきっての戦闘力を誇る赤井秀一にも引けを取らないかもしれません。
同じくMI6の捜査官であり現在行方不明の夫・赤井務武に代わって父親の役割を果たすため、10年前から男性のような口調で話すように。
普段はなかなか表に姿を現しているようには見えないメアリーですが、今回は事件の捜査をしているようです。
メアリーについては〈【領域外の妹編】漫画『名探偵コナン』を本気でネタバレ考察!〉にて詳しく紹介しています。あわせてチェックしてみてください!
赤井家の次男で太閤名人の愛称を持つ将棋棋士です。かつては七冠王を達成したこともある実力者で現在は六冠王です。苗字が他の兄弟と違うのは羽田家の養子になったから。名前は変わっても兄や母・妹と連絡を取り合っています。
恋人は警視庁の宮本由美婦警。彼女のことが大好きで由美タンと呼んでいます。彼女からはチュウ吉と呼ばれています。いつも由美タンの前ではなんだか気の抜けた冴えない雰囲気の秀吉ですが、いざ将棋の対局や事件といった大事なシーンになると抜群の実力を発揮します。
秀吉の武器は何といっても抜群の推理力と圧倒的な記憶力。一度見たものはすぐに覚えてしまいます。その実力は赤井秀一も一目置くほど。本編ではコナンと事件を解決した秀吉ですが、『緋色の弾丸』ではどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。
今作のゲストキャラクター。声優は女優の浜辺美波が務めます。真空超電導リニアライナーの客室担当を務める女性。リニアの体験試乗者に向けての説明会では日本WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)広報のスタッフ・白鳩舞子と開発エンジニアの井上治とともに当日の流れを説明してくれます。終始明るくリニアスタッフのアイドルと自称する彼女、ちょっぴり口が軽めなのは玉に瑕。
今作のオリジナルキャラクター。声優は平野綾です。日本WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)協会の広報担当を務める女性。真空超電導リニアライナーの体験乗車説明会では当日の予定をてきぱきと説明してくれます。国際WSG会長であるアランとも通訳なしで話すなど、英語が達者な様子。
今作のオリジナルキャラクター。声優は鈴村健一です。真空超電導リニアライナーの開発エンジニアでプログラミングも担当しています。リニアの体験乗車説明会ではその最新技術について、わかりやすく説明してくれます。
今作のオリジナルキャラクター。声優はチャールズ・グラバーです。国際WSG協会の会長を務める人物。今年は日本での開催のため、開会式に合わせて来日しました。アメリカの要人で、時期大統領とのうわさも。以前、FBIの長官も務めていました。
今作のオリジナルキャラクター。声優は楠大典とライアン・ドリースです。日本コードという自動車メーカーのCEO。この日本コードはWSGのスポンサーでもあります。園子の父と親しく、よく仲間たちとゴルフに行くようです。日本語が達者で園子とも面識があるようです。
今作のオリジナルキャラクター。三塚製菓という菓子メーカーの社長を務める女性。三塚製菓はWSGの協賛企業で、少年探偵団が好きな仮面ヤイバ―のチョコレートを製造している会社でもあります。園子の父とはゴルフ仲間でジョン・ボイドとも一緒にゴルフを楽しんだことも。
作中きっての能力を持つ最強集団・赤井一家。それぞれがFBI・MI6といった諜報機関に属し、調査活動を行っているため、家族といえども隠し事が多い複雑な関係です。そんな『緋色の弾丸』の超重要ファミリー・赤井一家が現状お互いをどのように認識しているのか、簡単な相関図にまとめてみました。コナンとの関係も記載してありますので、映画を見る前の復習に是非ご活用ください。
黒の組織への対抗策として、コナンの協力のもと自らを死んだことにした赤井秀一。普段は沖矢昴として活動を続けています。しかし長男が死んだと認識しているのは家族の中では末っ子の真純だけのようです。秀一は次兄の秀吉とは連絡を取り合っていますし、母のメアリーも秀一の生存を認識していると思わせる描写もあります。
メアリーが秀一生存を知っているかどうか、今回の映画で明かされるのでしょうか。
また、真純は秀一の変装である沖矢昴を怪しみ、警戒しています。今回の映画での接触はあるのでしょうか。秀一だと気が付くのか、注目していきたいポイントですね!
末っ子の真純と母・メアリーは同じホテルで同居しています。高校生探偵としてなにやら調査活動を続けているらしい世良ですが、どうやら、母の指示によって活動しているようです。そのメアリーの所属するのはMI6。イギリスの諜報機関です。彼らの目的とはいったい何なのでしょうか。
また、MI6の調査活動とは別に、コナンの周りを調査する動きを見せる二人。どうやらメアリーの幼児化を解くための糸口として、同じく幼児化したコナンのことを調査しているようです。コナンが協力者として信用に足るかどうか、見極めたい様子。
コナン自身もメアリー側が自分を試していることに気が付いているようですが、それが幼児化に関する目的であるところまで認識しているかは不明です。
家族の中で唯一諜報活動をしている描写がみられない次男・秀吉。彼は秀一とも真純とも連絡を取り合う唯一の人物でもあります。そんな彼ですが、大きな目標があるようです。それは、自身が最も愛する由美タンを家族に紹介するというもの!赤井一家勢揃いの『緋色の弾丸』ですが、秀吉は由美タンを家族に紹介できるのでしょうか。そして、由美タンは秀吉の家族に会えるのでしょうか。
名探偵コナンシリーズ本編でも活躍を見せる赤井一家。それぞれが推理力や武術、記憶力など秀でた能力を持つ彼ら。消息不明の父・務武を除いて4人の家族全員が同じエピソードに一斉に登場するのは漫画・アニメでもありませんでした。やっぱり最強一家の赤井家が出そろったというのは今作の最大の見どころといえるでしょう。
互いにそれぞれの状況を明かしていない、秘密の多い不思議な家族。そんな彼らが事件を通してどのように関わりあっていくのかはドラマのポイントといえますね!
また、次男の秀吉と母のメアリーは劇場版では初登場。ともにキレッキレの頭脳を持つ二人ですが今作ではどのような活躍をするのか注目です!
WSG東京大会を記念して開通する新時代の移動手段、真空超電導リニアライナー。超電導磁石と呼ばれる特殊な磁石を用いて、磁力の力で車体を浮かせることによって空気抵抗を少なくし、従来よりも速い速度を実現する最新技術が用いられています。現実でも開発が進み、日本では2027年に開通する構想もあるともいわれています。
そんな今作のリニアライナーの最高時速はなんと1000km/h、リニアを機に新たに設置された新名古屋駅と芝浦駅(高輪ゲートウェイ駅がモデルと考えられます)をたったの25分で走り抜けてしまうといいます。その圧倒的な速さから劇中では「日本の弾丸(ジャパニーズブレット)」とも呼ばれています。
コナン史上最速の空間で繰り広げられるミステリーから目が離せませんね!
アクションがてんこ盛りのコナン映画。近年では蘭をはじめとした空手などの武術アクションに加え、車でのアクションシーンがみられることも増えてきましたね。主要登場人物同士であったり、場合によっては犯人と激しい攻防を繰り広げることも。
ミステリーだけでなく、劇場の大スクリーンで疾走感とスリルも味わえるのはコナン映画だけかもしれませんね!アクションシーンを彩るカーチェイスは見どころポイントの一つです!
あまりコナンの映画や本編になじみのない方は「え、コナンで車?」と思われるかもしれません。実は『名探偵コナン』には車が結構登場するんです。作者の青山剛昌が車好きなのもあり、一部のキャラクターには愛車が設定されています。
阿笠博士のフォルクスワーゲン・タイプ1、通称ビートルは作中でも見かける機会が多いと思います。黄色いあのかわいらしい車ですね。博士の他にも、こうした愛車を持つキャラクターはほかには、安室透やジョディ先生など。特にエージェント活動をしているキャラクターが多いかもしれません。
もちろん、赤井秀一もその例にもれません。彼の愛車はフォードのシェルビー・マスタングGT500。
劇場版第22作『ゼロの執行人』でも安室透が操るマツダRX-7と激しいカーチェイスを繰り広げていたのは、覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。ど派手なカーアクションが、劇場の大スクリーンで楽しめるのはワクワクするポイントの一つといえるでしょう!
また、沖矢昴としてもこの映画に登場する赤井秀一。沖矢昴の愛車はまた別でスバル360。変装によって車を変えるとは、さすが赤井秀一、抜かりはありません。そんな車の違い・車内の違いからも彼が沖矢昴から赤井秀一に戻る瞬間を感じられるポイントかもしれませんね!
ちなみに、実は赤井秀一の愛車として登場する前に、このマスタングはコナンの劇場版に登場しているんです。それが劇場版第5作『天国へのカウントダウン』。作中ではコナンたちのピンチを乗り越える大きなカギを握っていました。今作ではどんなドラマを見せてくれるのでしょうか!
劇場での公開に先駆けて、テレビアニメにて映画のスピンオフストーリーが放送されました。アニメ第1002話「米花商店街ダストミステリー」ではWSGに絡んだ事件にコナンたちが挑みます。こちらの脚本も『緋色の弾丸』の櫻井武晴が務めました。映画に合わせてアニメも楽しむのもおすすめです!
4年に一度のスポーツの祭典・WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)が日本で開かれることになりました。東京大会を記念して、WSG開会式会場のスタジアムに隣接した芝浜ビューホテルでWSG東京のスポンサーたちが参加するパーティが開かれていました。
そこでは開会式当日に新名古屋駅と芝浜駅を結ぶ真空超電導リニアの開通が発表されます。スポンサーや各国のWSG関係者がそのリニアに乗車し式典を盛り上げることになっていました。また、抽選で選ばれた一般客も体験乗車ができることに。
リニアの発表で盛り上がる中、突然パーティ会場が停電に。ほどなくして明かりがつきますが、鈴木財閥の会長であり園子の父である鈴木史郎の姿がありません。先ほどまで史郎と会談していた自動車メーカーのCEOジョン・ボイドに史郎の行方を尋ねると、ジョン社長は突然血相を変えて会場から飛び出してしまいます。
事件のにおいを嗅ぎつけた少年探偵団たちが史郎の捜査を開始しました。目暮警部たちも駆けつけ、気絶されていた史郎を発見します。特に目立った外傷はなく、史郎は突然のことで何も覚えていないと証言。
警察はその手口や状況から先週起きた三塚製菓社長の拉致事件と関連性があると考えました。この三塚製菓の社長、史郎とジョンのゴルフ仲間でもありました。そしてその三塚製菓もまた、鈴木財閥と同じくWSGのスポンサー企業だったのです。
WSGスポンサー連続拉致事件。実は15年前のアメリカでも同様の事件が起こっていました。その時拉致されたのは、1人目は財閥系企業のトップ、2人目は日系製菓メーカーのトップ、そして3人目は自動車メーカーのトップでした。1人目と2人目の社長は拉致された後無事に解放されていました。当時、犯人の動機は商業化してしまったWSGに対する抗議としてのテロ行為だったとされました。
犯人として逮捕されたのは日本人でしたが、容疑を否認していたといいます。その4年後、つまり今から11年前にも同様の事件が勃発。模倣犯の犯行とされましたが、この事件は無事解決されました。15年前、11年前の模倣犯の事件、どちらも捜査を担当したのはFBIでした。そして当時の事件を担当した時のFBI長官を務めていたのが今回の東京大会にてWSG協会の会長を務めているアラン・マッケンジーでした。
東京での事件はこの15年前の事件と何か関係があるのでしょうか。東京大会に合わせたアラン会長の来日も関係があるのでしょうか。そしてこの15年前の事件になぞらえて今回の連続拉致事件が起こっているとすれば、次に狙われるのは自動車メーカーのトップであるジョン社長なのでしょうか。
15年前にFBIが担当した事件との関連性を重要視したFBIもまた、コナンと同様に東京での事件の調査を開始します。一方、メアリーと世良もまた、とある目的のためにリニアのチケットを入手、名古屋にきているようです。さらに羽田秀吉も、偶然にも仕事で名古屋に恋人の宮本由美とともに来ていました。名古屋に集結した赤井一家。次なる事件は名古屋で起こるのでしょうか。
キーポイント:15年前と11年前にFBIがかかわった事件と、今回の東京での事件は関連性があるようです。さらに当時のFBI長官のアランも今回東京に来日しています。そして、次に拉致されるのは、15年前の事件になぞらえると自動車メーカーのCEOであるジョン社長の可能性が高い……?
WSG開会式当日、つまりリニア体験乗車当日。名古屋国際空港にてリニアに乗車する人全員が空港内での病院で健康診断を受けていました。コナンが健康診断の順番待ちをしていると沖矢昴の変装をした赤井秀一から連絡が入ります。
なんでも、15年前の事件の容疑者である日本人は刑務所に収監されたものの、無実を訴えたまま死亡していたことが調査で判明したとか。その容疑者の遺族は生きているようで、今回の東京での事件への関連性が疑われました。
しかし、リニアの乗車名簿には遺族の名前はありません。赤井はその遺族が承認保護プログラムによって名前を変えている可能性を指摘しました。一方、独自に事件の調査を続けるメアリーと世良。世良は名古屋国際空港の病院を見張っていました。
FBI元長官であり現WSG協会会長のアランの健康診断が始まった時、突然病院内に異変が起こります。診療室内のエアコンや排気口からいきなり白煙が充満。蘭やコナン、灰原をはじめ健康診断会場にいた体験乗車客全員が次々に意識を失ってしまいます。
これはクエンチという現象でした。病院内にあるMRIの機械には、リニアと同じ超電導を利用した磁石が使われています。この磁力を保つためにはMRIの温度を低く保つ必要があり、そのために液体ヘリウムが使われています。このヘリウムが何らかの原因で高い温度になってしまうと急激に気体に変化してしまいます。これがクエンチです。
液体ヘリウムが急激に気化することでその体積が爆発的に増え、気化したヘリウムが流入した空気中の酸素濃度を著しく低下させてしまいます。酸素濃度の急激な低下によってヘリウムが流入した室内にいる人たちは酸欠状態になります。これが数分続くと命にかかわる事態になります。
あわや多くの人間が命を落とす大事故になるかと思いきや、気化したヘリウムはほどなくして外に排出、体験乗車客たちは意識を数分失っただけで命に別状は見られませんでした。
通常であれば、万が一MRI機械の不具合でクエンチが起こってしまったとしても、すぐに建物外に気化したヘリウムは排出され室内に充満しないようなシステムが作動しているはずでした。しかしながら、事故が起こった時は体験乗車客のいる部屋にのみ、数分間だけヘリウムが充満するようシステムに細工がされていました。犯人の目的は殺人ではないようです。
ちょうど同じころ、空港の敷地内から急発進する車が。それに気づいた赤井がその車を追跡しますが、同じく病院を見張っていた世良のバイクもまた追跡を開始。赤井は沖矢の姿、そして世良とメアリーはヘルメットをかぶっていたため互いに何者か認識しないまま赤井と世良&メアリーのチェイスが勃発します。
お互いに目的と正体を隠して警戒しあう両サイド。倉庫での激しい戦闘になりますが、コナンの介入により決着はお預けになりました。
というのも、会場からはWSGスポンサーのジョン社長の姿が消えていることが判明。クエンチ騒ぎで意識を失っている間に拉致されたと判断したコナンは、ジョン社長につけていた発信機の情報を頼りにスケボーで追跡を開始していたのでした。
発信機の行きついた先というのが赤井と世良&メアリーが戦っていたコンビナートだったのです。自身の正体がばれることを恐れた赤井とメアリーは一時撤退。世良はコナンとともに追跡を再開しました。
目的地にはやはりジョン社長の姿が。犯人と車の姿はありませんでしたが無事社長を救出することができました。
世良は満足そうにメアリーに任務完了の報告をします。メアリーの目的はイギリスの要人であるジョン社長を守ることだったようです。
しかしながらアラン会長も行方不明になっていることが発覚!そんな事態にもかかわらず超電導リニアの走行とWSG開会式は予定通り行われるというのです。
コナンは、15年前の事件では3人目が駅で殺害されたということから、犯人はアラン会長を真空超電導リニアで殺害しようとしていると推理。撤退した赤井に連絡し、クエンチ騒ぎで警備が手薄になっている新名古屋駅に世良と一緒に向かいました。
キーポイント:犯人は15年前の事件の容疑者に関係している人物の可能性が高いです。また真のターゲットはジョン社長ではなくアラン会長でした。クエンチの目的はジョン社長とアラン会長を誘拐することと、また、名古屋空港に警察の注意を向けることで本当の目的であるリニアの発車駅・新名古屋から目をそらすことでした。
クエンチの騒動を受け、開会式でのリニア体験乗車は中止になりました。しかしながらWSG開会式と、それに合わせた超電導リニアの走行は中止にならないというのです。リニアは無人のまま新名古屋駅から芝浜駅に向かうことになりました。
その無人走行のリニアにこそ、アラン会長が拉致されていると推理したコナン。世良ととも警備をかいくぐりリニアに乗り込みます。そんな二人の様子は、リニアに体験乗車するはずだった人たちが乗る新幹線にリアルタイムで中継されていました。動揺する蘭達乗客を尻目にコナンと世良はアラン会長をリニアの中で見つけ出します。
そしてそこにはWSG広報担当の白鳩舞子の姿もありました。そう、彼女こそがアラン会長殺害を企てる犯人でした。動機は15年前のWSGスポンサー殺害事件。彼女はその事件で無実を訴えながらも逮捕された容疑者の娘でした。
15年前の2人目誘拐の際、自分と一緒にいたために父にはアリバイがあったと主張した白鳩。しかしFBIに聞き入れられず白鳩の父は無念の投獄。白鳩はFBIと当時の長官であったアラン会長を恨み今回の事件を企てたのでした。
しかしながら、やはり15年前の犯人は白鳩の父。彼には共犯者がいたためにアリバイがあるかのように見えていたのでした。
その事実を受け入れられない白鳩は拳銃を取り出します。危険を感じたコナンと世良が白鳩を取り押さえようとしたちょうどその時、無人のリニアが急減速!どうやら誰かがリニアを遠隔操作しているようです。速度の変化と車体の揺れで体勢を崩した二人は、白鳩を取り押さえることができませんでした。拳銃を会長に向ける白鳩と間に入るコナンと世良とで硬直した状態が続きます。
するとアラン会長が、自分を打つならもっと拳銃を上げろと言い出します。コナンもアラン会長はライフル射撃の元メダリストであり、指示に従った方がいいといい始めます。というのも、リニアは速く走るために超軽量素材でできています。拳銃の弾が簡単に貫通してしまうというのです。そのため、角度をつけて打つと被害が少ないというアラン会長とコナン。
誘拐した社長たちを無傷のまま返したり、クエンチも命に係わる時間ではなかったりと、白鳩はアラン会長以外を殺害する気はないようでした。
半信半疑のまま指示に従い射線を調整する白鳩。一歩後ろに下がったその時、白鳩は足元に落ちていたボールペンに気づかず体勢を崩してしまいます。崩れる白鳩を隠すようにコナンが脇にあったカーテンを引くと、どこからともなく銃弾が!白鳩の肩を打ち抜いていました。
一瞬のことで中継を見ていた人たちも、その場にいた世良さえもどこから撃たれたのかわからずじまい。しかしながら白鳩を取り押さえることに成功しました。
実はこれは赤井秀一の仕業。超電導リニアライナーが走る真空トンネルを利用した超長距離かつ時間差のスーパーショットだったのでした。犯人を着弾ポイントに誘導したのはコナンでした。犯人と世良の目を盗んでアラン会長にメールで連絡、白鳩の位置を誘導するのに協力を仰いでいたのでした。
コナンと赤井秀一の二人はリニア車内で犯人とかち合うこの状況を予想して事前に策を立てていたのです。
ちなみに赤井秀一は犯人の急所を打ち抜いて殺害するつもりでした。しかしコナンはそれをよしとしなかったために最後にボールペンを用いて白鳩の体制を崩させることで急所を外していました。
キーポイント:犯人はWSGスタッフの白鳩舞子。15年前のアメリカでの事件で逮捕された男の娘でした。FBIと当時の長官に恨みを持つ彼女はリニアにアラン会長を拉致していました。彼女にはアラン会長以外を殺害するつもりはなかったようです。赤井秀一とコナンによるリニア車外からの超長距離射撃によって、白鳩は無力化。無事取り押さえることができました。
一連の事件は白鳩舞子の犯行であったことがコナンと世良、そしてFBIによって明かされました。しかし、リニアの車内で世良とコナンに追い詰められた時もまるで彼女を助けるようにリニアが急減速するなど、彼女の犯行は少しうまくいきすぎている点も。
そう、実は彼女の他にもう一人、アラン会長を恨んでいる人物がいました。その人物こそリニアの開発エンジニア、井上治でした。リニア車内での彼女の状況を見て、リアルタイムにリニアを減速させて助けることができるのは、リニア車内を中継で見ているエンジニアだけ。井上は自身の端末からリニアをプログラム制御していたのでした。
追い詰められた井上は途中駅の新港浜で強引に下車、車で逃亡を開始します。その情報を得たFBIが井上の追跡を開始。しかし地理を熟知しているのかなかなか井上を追い詰められません。そんな劣勢を聞きつけた赤井秀一、彼の車には途中で合流した弟・羽田秀吉の姿が。ジョディたちと電話で状況を確認した赤井は秀吉の指示通り動いてほしいと提案。
なんと秀吉が犯人の行動パターンを推測し追い詰めるというのです。しかもこれは変則型の詰将棋、5手あれば足りると豪語します。一見回り道をしているような秀吉の指示通りに行動すると、犯人と遭遇!FBIはキャメルとジョディの二手に分かれて犯人の逃げ場をなくしていきます。
ついに、井上を追い詰めたジョディ。井上の犯行の動機もまた、15年前の事件に関係したものでした。
実は井上は15年前の事件で拉致されたスポンサー企業の社長の息子だったのです。事件をうけ、井上の父の会社はWSGスポンサーを辞退。そのことによってアメリカ中から非難され、井上の家族はアメリカにいられなくなってしまいました。
また、15年前の事件のとき、井上は犯人の一人の顔を目撃しており、そのことをFBIに証言。しかしFBIはその証言を拾わず、井上が目撃した男のことは公表されませんでした。そして無罪を主張していた白鳩の父を逮捕したために、井上はFBIと当時のFBI長官だったアランに強い恨みを抱いていました。
しかし実際には白鳩の父が犯人であり、井上が目撃した男はその共犯者でした。共犯者の男は11年前の模倣犯として捕まっており、11年前の事件の真相を話す代わりに15年前の事件については不問とするという司法取引を交わしたために、井上の証言がまるで反映されていないかのようになってしまったのでした。そんな真相を知らなかった井上は、薄汚い司法取引だとののしります。
そんな彼にジョディは尋ねます。なぜアメリカ中で非難されてしまった井上が、制約なくこんな大事件を企てるまでに平和に暮らしてこられたのか。それは承認保護プログラムのおかげでした。承認保護プログラムとは、FBIなどの国家機関が、犯罪にかかわった関係者がそれからの人生をその犯罪に縛られずに暮らしていけるよう、名前や国籍などを変え、別人として生活できるよう支援するというもの。そんな承認保護プログラムだって薄汚い司法取引のひとつなのだとジョディがさとします。
「薄汚い司法取引」をつかってFBIを恨み続け、あろうことか自分の父を誘拐した犯人の娘を手助けしてしまったことに気が付いた井上は泣き崩れるのでした。
キーポイント:白鳩だけではなく、リニアエンジニアの井上もアラン会長に恨みを持つ人物。15年前のアメリカでの事件の被害者家族でした。自身の犯行が暴かれた井上は、新幹線を途中下車し車で逃亡を図ります。しかし、FBIの追跡力と日本随一の将棋棋士・羽田秀吉の作戦力によって取り押さえられました。
白鳩舞子を取り押さえたコナンたち。一件落着かと思われましたがリニアは止まるどころか加速していきます。日本の弾丸(ジャパニーズ・ブレット)と呼ばれる真空超電導リニアを使ってアラン会長を殺害しようとする井上の最後の抵抗でした。彼が開発したプログラムによってリニアの操縦室からも、管理しているセンターでも制御が不可能な状態に。
このままではWSG開会式を控える芝浜のスタジアムを貫いてしまいます。何としてもそれを止めたいコナンたち。迫るタイムリミットの中、なんとかならないかと新幹線の中から様子を見守る蘭と灰原。そんな二人に少年探偵団から電話が。これが思わぬヒントになり、灰原と蘭はパラシュートをリニアの車体後方につけ、空気抵抗による減速を思いつきます。
通常パラシュートなど積んでいないリニアでしたが、それに代わるものが車内にはありました。WSGの開会式に合わせて掲げるはずだった万国旗です。
コナンの合図で世良が万国旗パラシュートを展開します。それと同時にコナンはリニアの一番前をキック力増強シューズによるシュートで粉砕!開けたところからどこでもボール射出ベルトによってアドバルーン大のボールを展開します。芝浜駅目前で巨大サッカーボールが障害となりリニアの車体が大きく空中へ投げ出されます。着陸先は観客の避難が終了したスタジアム。
コナンと世良、車内にいたアラン会長と白鳩は無事救出。白鳩・井上が逮捕されたことにより、時速1000kmの大事件は幕を下ろしました。
黒の組織のボスでさえ恐れる凄腕スナイパー、赤井秀一が今作で放ったのはたった1発。たった1発のその弾丸で犯人を打ち抜くのですが今回はそのスナイプにギミックが!
なんと赤井秀一はリニアライナーの中の犯人を打ち抜いたのです!犯人が被弾した時、犯人が乗るリニアライナーは山梨の手前あたり。当の赤井秀一は名古屋付近、しかも車で移動中だったのです。700ヤードなんて目じゃない。圧倒的距離と時間差を超えた、まさに神スナイプ。そんなまさに「緋色の弾丸」を本項では解説していきます。
コナンの連絡を受け、狙撃した赤井秀一。新名古屋駅付近のリニアの線路上ですが赤井が狙撃した時にははるか先でリニアが真空トンネルに入った後でした。そのリニアはトンネル内では時速1000km。車体と狙撃地点では距離もかなり開いていたために、とても通常の狙撃では空気抵抗を受け失速してしまい追いつけません。そもそも距離が空きすぎています。
しかしながら、リニアの入っていった真空トンネル。これこそが今回の神スナイプ成功のミソだったのです。
真空超電導リニアライナーが劇中での最高時速1000kmに到達する場所こそ、この真空トンネル内です。真空状態のトンネル内では空気抵抗が減らされているため、最高時速に到達できるという設定なのです。そのトンネルめがけて赤井秀一は弾丸を放ちます。
しかしながら、超電導リニアはそもそも磁力を利用して走ります。磁石とコイルの吸引力によって車体を浮かせることで摩擦を極限まで減らしているのです。リニアの走るレールには磁力が通っており、なおかつ真空トンネル内には側壁にも磁石が埋め込まれています。そのため通常の弾丸ではそちらに吸い寄せられてしまいます。
そこで赤井秀一が用意したのが「銀の弾丸」。磁力の影響を受けない銀製の弾ならば電磁誘導の原理で浮き上がり、トンネル内でもまっすぐ進むことができるのです。しかも真空空間であれば放った弾丸の速度は空気抵抗の影響を受けなくなるため、速度は保存されたまま。それどころかトンネル内の側壁に埋め込まれた磁石の影響で弾丸も1000km/hに達します。リニアが減速さえすれば速度の保たれた弾丸がリニアの装甲を貫く、というわけでした。犯人を取り押さえるために世良が速度減速していましたね(彼女は狙撃のことは知らされてはいなかったようですが)。こうして数十キロ先のターゲットにさえ弾を届けることができたのです。
時間と空間を超越したまさに神スナイプ!寸分たがわぬ正確な射撃のできる赤井秀一にしかできない離れ業ですね。
弾丸が遠く離れた場所かつ、時間差で届くトリックはわかりました。しかしながら、届いた場所にターゲットがいるとは限りませんよね?止まっているものを打つわけではなく、人間を狙撃するわけですから動きが予測できません。
ここで必要になってくるのがもう一人の狙撃手、つまり協力者です。リニアの速度と弾丸の速度、そしてそこから着弾ポイントに弾が到達する時間を割り出します。あとはリニアの車内にいる協力者がその瞬間にターゲットを着弾ポイントに誘導するのです。
その協力者こそが、誰であろう江戸川コナン!犯人との緊迫するやり取りの中、巧みに犯人の位置を調整・誘導していました。銀の弾丸を届けたのは赤井秀一と、そして江戸川コナンだったのです。
黒の組織の幹部・ベルモットが「銀の弾丸(シルバーブレット)」と呼んで恐れる二人が協力した今回の狙撃。これこそがはるか遠くまで届く「緋色の弾丸」の真相です!……しびれますね。
ちなみにコナンは狙撃の瞬間をカーテンで隠し、かつ急所を外すことまでやってのけています。赤井秀一は犯人を殺すつもりで急所の位置に狙撃をしていました。コナンはそれを分かっていてわざと急所から外れるように誘導していました。思わず「ここまでとはな」と舌を巻いてしまいまう計算っぷりです。さすが、主人公。
毎年様々なビッグアーティストが主題歌を手掛けてきた劇場版名探偵コナン。今年はなんと8年ぶりに活動を再開した東京事変が担当しています。コナンと東京事変という今までになかったタッグ。コナンにも新しい風が流れているのを感じます。
そして東京事変といえば注目なのはその歌詞ではないでしょうか。しかもこの歌詞、映画を見た後に聴くとめちゃくちゃ映画のシーンがフラッシュバックするんです! たとえば「弾(たま)が」「緋く(あかく)通ずる」など、なんだか誰かのスーパーショットが頭をよぎりますよね。
しかも!すごいのが、ただ映画のワンシーンが思い起こされるだけにとどまらないところ。コナン本編を知っている人ほどよりぐっとくる、深すぎる歌詞になっているんです!
例を挙げるとすると「仮初め(かりそめ)の人生」「愛し合うのも啀み(いがみ)合うのも」「各自選ぶ相棒次第」の部分。映画を見た後にこの部分を聴くと、承認保護プログラムを受け「仮初めの人生」となった井上治が、共犯者つまり相棒としてあろうことか自分の父を殺した犯人の娘である白鳩舞子を選んでしまった、というようにも聴こえます。でもこの「仮初めの人生」、つまり承認保護プログラムを受けているのは彼らだけではありません。
そう、FBIのジョディ・スターリング捜査官もその一人。逃亡し続けた井上を追い詰め、彼とジョディが会話するシーンは印象深かったと思います。犯人との司法取引で事件の情報の一部を公開しなかったFBIに対して、それは薄汚い司法取引だとののしる井上。
そんな彼にジョディはさとします。彼自身がこんな大事件を企てられてしまうほど制約なく暮らしてこられたのは承認保護プログラムのおかげであり、その承認保護プログラムも「薄汚い司法取引」の一つなのだと。これを言っているジョディ本人もその当事者であることがこのシーンの妙でもありますよね。
また井上は自分の父親を貶めた犯人の娘に手を貸してしまいます。「各自選ぶ相棒次第」、「どうして間違えるのか」なんて歌詞もありますね。「各自選ぶ相棒次第」というのはこの井上と白鳩だけをさしている言葉ではなさそうです。
ジョディと仲間である秀一たちFBIや、コナンと灰原、コナンと赤井といった協力関係にある「愛し合う」ものたち。同じ家族だけど、それぞれが抱える事情により「啀み(いがみ)合う」赤井と世良&メアリー。そして、今作には登場しませんでしたがコナン本編には目的を同じくしながらもすれ違い「啀み(いがみ)合う」赤井と安室たちなど。
この一文で様々なキャラクターたちの姿が浮かんでくる、そんなコナン通をうならせる超深い歌詞が映画の最後に流れるわけですからたまりません。
そんな登場人物たちの葛藤や関係がぎゅっと詰まった歌詞にも思える東京事変「永遠の不在証明」。映画を楽しんだ後、ぜひエンディングロールの隅々まで味わってみてください。まだまだたくさんの発見がありますよ!
作中きってのアクションシーンといえば沖矢昴(赤井秀一)vs世良真純の兄弟ジークンドー対決!腕に自信がある世良ちゃんでもしり込みしてしまうほどの威圧感を放つ沖矢。それもそのはず、世良がジークンドーを始めるきっかけとなったのはほかでもない実の兄・秀一の影響です。
しかし世良は秀一のことを死んだと思っているため、まさか目の前の男が兄だとは考えていないようです。なんとも歯がゆい闘い!!
一方兄の秀一の方はもちろん実の妹であるということは気が付いています。何とか大きなけがなく済ませようと手加減をした闘いに見えますが、世良も腕が立つためどうしても押されてしまいます。世良の隙をついて一撃、赤井が放った拳は右手でした。そう、秀一の利き腕は左手。追い込まれても妹を想う気持ちが表れているワンシーンでしたね。
今回の登場人物たちは終始私服でしたね。注目なのが、今回もまたコナンのサポートをしてくれる頼れる相棒・灰原。そんな彼女が持っているカバンです!コナン本編をよく読んでいる方なら気づいたかもしれません。そう、あの「フサエブランド」なんです!
「フサエブランド」とは、イチョウがトレードマークになっている、コナンの世界で有名なハイブランドです。この「フサエブランド」、実は阿笠博士にかかわりのあるものだったんです。
というのも、時はさかのぼること40年前。博士がまだ小学生だったころの初恋の少女こそがこの「フサエブランド」の創始者なのです。そんなカバンを使ってる灰原。もちろんそのブランドが好き、という可能性もあるでしょう。
でも、直接は言わない灰原の博士への想いを感じられる素敵な演出にも見えますよね。
そんな博士と初恋の彼女との淡い恋物語はぜひ「博士の初恋」(漫画:第40巻FILE7~9 アニメ:421、422話「イチョウ色の初恋」) にて!
- 著者
- 青山 剛昌
- 出版日
いかがでしたか?
今作もミステリーあり、アクションありのコナン映画でしたね。近年では、コナンとコナン以外のキャラクターにスポットライトがあたることが多かった劇場版。そんななかでも一家(ファミリー)にフォーカスしたというのは、例年とは一味違ったコナン映画のドラマを見せてくれたのではないでしょうか。
赤井一家は正真正銘の家族でありながらも各々が違う組織に属していたり、正体を隠さなきゃいけなかったりとなんだか複雑です。それでも深いところではつながっている、そんな赤井家なりの絆が垣間見えた劇場版なのではないでしょうか。
劇場版名探偵コナン『緋色の弾丸』はまだまだ大ヒット公開中です。これを機に初めて見に行かれるもいいですし、すでに見たという方も細かいところに注目してみるとまた違った発見があるかもしれません。
そして、
本編が終わった後も気が抜けないのが劇場版名探偵コナン。シリーズを何度か映画館で見たことがある方なら、お分かりかもしれません。
そう、次回作の予告です!
劇場版シリーズの定番になっていますね。注目の2022年の予告は、桜吹雪の中で警視庁の建物が浮かび上がり、「おまえら! 出番だぞ!」という声、そして複数の男たちの「おう!」という掛け声が流れるというものでした。
つまり来年の舞台は警視庁!しかも「おい、おまえら、出番だぞ!」という声はおそらく声優の神奈延年。つまり警視庁の松田陣平刑事の声だと考えられます。なんだか『警察学校編』の登場人物たちが出てきそうな予感がしますね!!!
この『警察学校編』は作画こそ別の方ですが原案は作者・青山剛昌。本編色の非常に強いスピンオフになっています。本編で登場したキャラクターや存在が言及されている人物、そしておなじみの佐藤警部補など。警視庁の刑事たちの違った一面がみられる作品になっています。
もう来年の予習がしたい!という方はぜひ読んでみることをおすすめします。
- 著者
- ["青山 剛昌", "新井 隆広"]
- 出版日
- 著者
- ["青山 剛昌", "新井 隆広"]
- 出版日
そして松田刑事は漫画:36巻FILE8~37巻FILE1(アニメ:304話「揺れる警視庁 1200万人の人質」)にて佐藤警部補の回想にて登場します。刑事部捜査一課強行犯三係の刑事で爆弾処理を得意とします。クールで人と群れたがらない孤高の存在ですが、仲間への思いを秘めた情に厚い人物です。本編でもあまり出番の多い人物ではありませんが、そのかっこよさから無類の人気を誇るキャラクターでもあります。
- 著者
- 青山 剛昌
- 出版日
- 著者
- 青山 剛昌
- 出版日
そんな松田刑事はもちろん、来年の映画では彼の学生時代の同期たち、そして警視庁の刑事たちがおそらく物語の中心になってくるであろうと思われます。いままで、事件にかかわるため登場こそしたものの、物語の主軸となって扱われたことがなかった警察関係のキャラクターたち。
いったいどんなドラマを見せてくれるのでしょうか。今から楽しみでたまりません!!
毎年ワクワクを届けてくれる劇場版名探偵コナン。まだまだ目が離せません!
- 著者
- ["水稀 しま", "青山 剛昌"]
- 出版日
2022年の劇場版作品のカギとなる人気スピンオフ『名探偵コナン 警察学校編 Wild Police Story』については〈【アニメ化】コナン『警察学校編』の魅力を徹底解説!2022年の映画にもつながる!【ネタバレ注意】〉にて詳しくご紹介しています。ぜひチェックしてみてください!