ピューリッツァー賞受賞の古典的名作『アラバマ物語』が、人種差別用語が使われているとして、米バージニア州の学校で禁止図書に。攻撃的な言葉を使ってもいいと子供に思わせてしまうからだと、ある保護者は力説します。
ピューリッツァー賞受賞の古典的名作『アラバマ物語』が、人種差別用語が使われているとして、米バージニア州の学校で禁止図書になりました。攻撃的な言葉を使ってもいいと子供に思わせてしまうからだと、ある保護者は力説します。
ハーパー・リーの1960年作『アラバマ物語』は、古くから学校推薦図書の定番です。人種差別主義やレイプといった、難しいが重要なテーマについて生徒たちに深く考えさせる小説なのですが、Nワード(ニガー/nigger)がくり返し出てくる点が有害だという親の苦情を受けて、バージニア州のある学校の講義要綱から外されることになりました。
「昔から、これは古典的名作だとくり返し聞かされてきました」と、その母親は11月15の教育委員会臨時会で訴えています。「これが文学の名作だというのは理解しています。ですが、ある時ふと、子供たちはきっと、いえ絶対に、その名作の部分――つまり文学の部分は理解できないと思いまして。いえ、もちろん、文学の部分に異議を唱えているわけじゃありません」 「名作であることは確かです。ですが、ここには人種差別用語や攻撃的な言葉遣いが、あまりにもたくさん出てきますから、そこは無視できないと思ったのです」
- 著者
- ハーパー・リー 菊池 重三郎 Harper Lee
- 出版日
『アラバマ物語』と、同じく古典的名著であるマーク・トウェイン作『ハックリベリー・フィンの冒険』も現在、一時的に読書禁止とされており、委員会の判断を待っています。さまざまな文化的背景を有する親や教師を集めて会を結成し、全生徒が読むにふさわしい図書リストを作るべきだと、その母親は提言しました。
彼女の息子は『ハックリベリー・フィンの冒険』のあるページにNワードが7回も出てきたせいで、それ以上読み進められなかったといいます。
「いいですか、子供たちに何を教えているのか、という話です。こうした本を読ませるのは、そういう言葉を使ってもいいと言っているのと同じです、絶対に使っていいはずのない言葉を、ですよ」。使っていい言葉といけない言葉の区別を生徒に教える教師の役割を忘れているのだろうか、と母親は熱弁をふるっています。「学校が使える文学は他にもあるじゃないですか」
Photo:(C)WENN / Zeta Image
Text:(C)The Independent / Zeta Image
Translation:Takatsugu Arai
- 著者
- マーク・トウェイン
- 出版日
- 1997-10-25