科学者が説明できない銀河系からの信号

更新:2021.11.28

2007年に確認された信号は、30億光年離れた銀河系から来たものと特定されました。

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2007年に初めて確認された信号は、遠い銀河から来たものと断定されました。

2007年以来、18の高速電波バースト(FRB)が確認されており、これらがどこから来たのかという問題はいまだに科学者たちを悩ませています。これらのFRBは強く短い電波で、1ミリ秒以上は続きません。

こうしたバーストの1つでFRB121102と名づけられたものは、1度ならず観測されています。FRB121102は、宇宙のどこかから、他のもっと弱い電波と共に発せられているようです。

地球は1890年代から電波信号を送り続けており、他の生命体が同じようなことをしている可能性があります。

コーネル大学の研究者たちは、この電波の出どころは地球から30億光年離れた銀河系から来たものと特定しました。プエルトリコのアレシボ天文台では、コーネル大学の研究グループが50時間以上かけて、以前FRB121102が現れたあたりの空を観察しました。

同グループの研究結果は『ネイチャー』誌に掲載されています。この研究論文の第一著者であるシャミ・チャタジーは、FRBは地球で見えるくらいなので「とてつもなく強力」であるとしています。正確な出どころは、五角形をした「ぎょしゃ座」の内部です。

「この信号が来るのは空の一定の場所で、視直径60分の1度の空です。空のその部分には、たくさんの星や銀河など、FRBの出どころとなり得るものが何百と存在します」

ぎょしゃ座の銀河系内でFRBの原因となり得るものとして、チャタジーは次のような例を挙げています。

「中性子星――超新星の残骸やパルサー星雲の中の巨大な磁場の中に新しく生まれたニュートロン星――が、何らかの原因でこれら一連の驚くべき波動を作り出しているではないかと考えられます。……あるいは、矮小銀河の活動銀河核かもしれません。もしそうであれば、新しい発見です。あるいは、これら2つの原因が組み合わさった結果かもしれません。それならば、何故この現象が珍しいのか説明がつきます」

この研究はテキサス州グレープヴァインで開かれたアメリカ天文学会の年次大会で発表されました。驚くべきなのは、一連の信号が2つの銀河系を越えて、果てしなく遠い地球まで到達したということです。

イギリスのSF作家、ダグラス・アダムはかつてこう言っています。

「宇宙は大きい。信じられないほどに広大で、巨大で、あきれるほどに大きいのです。家から薬局まで行くのが遠くても、宇宙の大きさと比較したら、その距離は豆粒ほどしかないのです」


Photo:(C)WENN / Zeta Image
Text:(C)The Independent / Zeta Image

銀河系とは何か知るための本

著者
マイケル ベンソン
出版日
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出版日
2015-01-27
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