文芸

誉田哲也のおすすめ文庫ランキングベスト10!『ストロベリーナイト』原作者

更新:2017.2.22 作成:2017.2.22

女性刑事・姫川玲子を主人公としたテレビドラマ『ストロベリーナイト』の原作者で有名な誉田哲也。今回は、その『ストロベリーナイト』の「姫川玲子」シリーズの他にも有名かつおすすめの小説を紹介したいと思います。

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目次

誉田哲也とは

誉田哲也とは1969年生まれ、東京都出身の小説家です。

小学時代は漫画家に憧れ、中学時代は音楽に目覚めて漫画家を捨てて新たにミュージシャンの夢を追い求めていましたが、30歳目前に当時デビューした椎名林檎の才能を前にしてその夢も断念。その後、誉田哲也は紆余曲折を経て、2002年に『ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖の華』でムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビューを果たします。

また、女性を主人公にした作品が多く、さらにいくつかが映像化されていることで知られており、代表作の『ストロベリーナイト』は竹内結子を主演としてテレビドラマ化、映画化されています。今回は、誉田哲也のおすすめ小説を紹介していきます。

10位:音楽へのあふれる愛を描いた青春バンド小説

中学3年の時の文化祭。ハードロックのコピーバンドがステージの上にいました。ベースを担当するリーダー・航(ワタル)は、明るく、でも少しお調子者で、柔軟な性格の持ち主。ボーカルの礼二(レイジ)は頭が切れ、そして音楽に対し強いこだわりを持った少年です。その2人に加えギターの友哉、ドラムの均がバンドのメンバー。文化祭でのステージは成功に終わり、ワタルはプロのミュージシャンになる夢を抱きます。

著者
誉田 哲也
出版日
2014-03-07

成功をおさめ、これからさらに精力的に活動しようという矢先、音楽性の違いからレイジがバンドを抜けることに。ワタルはレイジへの未練を胸に残しつつも、バンドを続ける決心をします。そしてワタルとレイジはそれぞれ別の道を歩みながら成長し、やがてお互い「音楽の道で食べていくこと」が現実的な目標となっていました。

少年2人の成長を軸に書かれた青春小説で、かつてのバンドブームやホコ天、イカ天などの時代背景が懐かしく、その世代にある読者には堪らない作品になっています。

ライブの描写も臨場感があり、作中で語られるレイジの歌声や、ワタルとレイジの楽曲を実際に聞いてみたくなります。相容れない2人。けれどもそれぞれの音楽への愛は本物です。人生でこれほどまでに夢中になれるものを見つけられた奇跡。青春時代にタイムスリップしながら、またこんな時代に青春を送れた2人を羨ましく思いながら、夢中になって読みたい作品です。

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9位:不思議なカメラを手にした少年の、爽やかな青春小説

主人公は中学3年生の少年・内藤宏伸。クラスの中でも目立たない、少し大人しい写真部所属の少年です。親友の洋輔が転校してしまい、楽しかった宏伸の毎日は、急にどんよりと冴えないものになってしまいました。その上、所属する写真部の部長である同級生の三好奈々から、作品の提出を厳しく求められます。そうは言われても、撮りたいものなんて見つからない……と心が晴れない毎日をおくる宏伸。

そんなある日、宏伸は祖父の経営する古道具店で、一台の奇妙なカメラと出会います。見たことのない形をした、大砲のように大きなカメラ。このカメラはシャッターを押すと、360度撮影ができるという不思議なカメラでした。360度の長い写真。その日から、宏伸の被写体探しの日々が始まりました。

著者
誉田 哲也
出版日
2012-11-13

中学3年生という多感な時期にある少年・宏伸が、不思議なカメラを手にしたことで少しずつ変わり、不器用ながらも成長していく本作では、そんな過程がほほえましく書かれています。宏伸に対し、もっとしっかりしろ!と感じてしまう部分も多々ありますが、いや、中学生男子なんてこんなもんだよね、とかつての自分や同級生を思い起こさせます。

「世界でいちばん長い写真」を撮るために、宏伸と仲間たちが繰り広げるキラキラした青春小説。夢中になれるっていいな、青春っていいな、という爽やかな感動が待っています。

8位:超能力で事件解決!ユーモアエンターテインメント

舞台は「超能力師事務所」。素行調査や浮気調査から殺人事件の犯人捜し、特殊工作まで、依頼された案件をなんと超能力で解決へと導きます。

所長は増山圭太郎。日本超能力師協会認定の一級超能力師でありながら、「面倒くさい」が口癖の一癖ある人物です。所員には、若手の二級超能力師・高原やテレパシーが得意な中井、能力者ではありませんが洞察力に優れた経理事務員・朋江など、個性的な面々が事件解決に奮闘します。

著者
誉田 哲也
出版日
2016-05-10

この作品は所員一人一人が主人公となるオムニバスです。その中の一作「初仕事はゴムの味」は、二級超能力師の認定試験に合格した所員の高原篤志が主人公。高原は超能力者でありながら、実家で家族とともに暮らすごく普通の青年です。超能力者であるがゆえの、思春期時代に感じたほろ苦い悩み。それを乗り越え、念願の資格者になった高原の、事務所に正式採用となった一日のお話です。

超能力が国家資格であるという設定がおもしろく、でも超能力とはいえ、依頼される案件は人間同士のトラブルなど探偵事務所と同じで、なんともユーモラス。そして所長・増山の抱える過去の傷と償いの思い。時にホロリとさせ、そして抜群にユーモラスで楽しい作品です。

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7位:誉田哲也が描くグロテスクとインテリジェンス!

主人公は27歳にして警部補に昇進、捜査一課殺人犯捜査係の主任を務める姫川玲子。

事件は、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見されたことからはじまります。玲子は早々に、事件が単独の殺人事件では終わらず、第2・第3の事件が起きることを見抜きます。捜査を進めると、「ストロベリーナイト」という謎の言葉が浮上。この言葉が意味するものは何なのか?

著者
誉田 哲也
出版日
2008-09-09

この作品は、冒頭からグロテスクな描写のシーンで始まり、作中の事件も惨殺といってよい、凄惨な殺人ですが、どこか品のようなものが感じられます。これは主人公・姫川玲子のキャラクターによるものが大きく、そのため、凄惨な殺人事件のストーリーでグロテスクな表現も多く登場するのに、女性ファンも多いといった事実があります。

この作品の魅力は、何といっても玲子をはじめとする個性的な登場人物たちで、玲子に想いを寄せる部下の菊田、菊田と同じく玲子のもとでチームを組む「姫川班」の面々、何かと玲子と対立し、違法すれすれの捜査方法で自分流を貫く、ガンテツこと勝俣警部補など、警察内部の組織図をリアルに描いています。

玲子は「天才型」の刑事であり、反面「犯罪者に近い思考回路」を持つという、なんとも脆い面も持ち合わせており、美しい外見と相まって、強いのにはかないという魅力を醸し出しています。

玲子をはじめ、登場人物のファンになる読者が多いので、お気に入りの人物を見つけながら読むのもまた楽しみの一つになるのではないでしょうか。

6位:幸せって何だろう

トバされた先は、長野のド田舎でした。

役立たずのOLに突如降りかかった、試練と苦難と奮起を描いた物語。それが誉田哲也著作『幸せの条件』です。

主人公の瀬野梢恵は、中小企業片山製作所に勤めるしがないOL。伝票整理と在庫管理に明け暮れ、覇気もやる気もない日々を過ごしてばかりのへっぽこ社員です。

そんな彼女に、ある日社長から特命が下されます。長野に行って新燃料バイオエタノール用の米を作る農家を探してこい、しかも1人で。

無謀甚だしい命令ですが、何といっても社長直々の命令。渋々現地まで赴いた梢恵ですが、待っていたのは行く先々で門前払いの繰り返し。

果たして梢恵は社命を全うすることができるのか? 波乱万丈な日々が、幕を開けることに……。

著者
誉田 哲也
出版日
2015-08-22

本作における最大の魅力、それはやはり主人公である瀬野梢恵です。恋も仕事も中途半端で、うだつの上がらないダメ女。言い方は悪いですが、物語前半の梢恵はまさにこの通りの人物です。

長野に来てからもそれは変わらず、慣れない営業と農業に四苦八苦してばかりの毎日。どこか他人事とは思えないそんな姿は、コミカルな文体と相まって不出来な子供を見守る親のような、何とも言えない気持ちにさせられます。

そんな彼女も、後半では見違えるように成長します。長野で出会った人々との交流もありますが、それ以上に作中で起こる「ある出来事」が決定打となるからです。

今を生きる日本人であれば誰もが知っているであろう大災害―――東日本大震災。「それ」に直面した時、梢恵が何を思い、何を決断するのか。その過程は、本作における山場であると言えるでしょう。

また、梢恵を取り巻く人々も見逃せない存在です。破天荒で奔放であっても、根は社員想いな片山製作所の社長。ぶっきらぼうだが、面倒見がよく農業法人をしっかり取りまとめる安岡茂樹。その茂樹を支え、余所者の梢恵に対しても偏見無く接してくれた妻の君江と、娘の朝子。

こうした個性豊かな人々に囲まれ、梢恵がどのように変わっていくのか。また、彼らは梢恵と出会って何を見るのか。こうしたやり取りも、本作の大きな見所です。

幸せとは何か? 充実した人生とは何なのか? 農業を通じて見える、『幸せの条件』。その答えは、本作を読み終えた先にこそあるでしょう。

5位:真実へ向かって走る音楽少女

19歳のギタリストの天才少女が、先輩の死の真相を求めて奔走する物語を描いた誉田哲也の小説『疾風ガール』。

主人公の柏木夏美は、ロックバンド「ペルソナ・パラノイア」に所属するギタリストです。しかしある日、敬愛する先輩でボーカルの城戸薫が自殺する悲劇に見舞われます。さらに彼の死体には不審な傷があり、名前も偽名だったという事実に愕然としますが、その真実を確かめるべく、自殺のショックを振り切って立ち上がります。

誉田哲也の本作の見所は、題名にもある通り、「疾風」の如きストーリーの展開の早さにあります。その展開の中心にいる主人公の夏美は魅力的な容貌と天才的なギターの腕、さらに他のメンバーを従えるほどのカリスマ性の持ち主ですが、その性格は考えるよりも先に行動に出る、直感的かつ破天荒なものです。
著者
誉田 哲也
出版日
2009-04-09
前半は「ペルソナ・パラノイア」としてのバンド活動、後半は薫の死の真相を追うというストーリー展開が分かれています。どちらにおいてもその題名の通り、どんな障害にぶつかっても挫けることなく、前へ向かって走り続ける。まさに「疾風」を思わせる夏美の姿がよく描かれています。

そんな「疾風」の如き生き様を貫き続ける夏美が、最後に辿り着いたその真相とは、果たしてどのようなものなのでしょうか。皆さんも気になりましたら、夏美と共に「疾風」の物語を駆け抜けてみませんか?音楽好きにもおすすめしたい、誉田哲也の小説です。
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4位:組織の力と闇に翻弄された刑事たち

警視庁捜査一課の刑事が、難解な事件と組織の圧力に巻き込まれながらも真実を求めて立ち向かう警察小説『ハング』。誉田哲也の作品史上もっともハードな警察小説とされました。

主人公の津原英太は、警視庁捜査一課において、主に迷宮入りとなった未解決事件を担当するチームに所属する刑事です。しかし、とある未解決事件の捜査をしている最中、上層部から急な班の解散を言い渡され、さらに全員が所轄などへの移動も通達されたことで、仲間たちと離れ離れになってしまいます。

誉田哲也が描くこの作品の見所は、小説やドラマを問わず刑事モノにもよくある、警察組織の圧力と主人公たちとのせめぎ合いにあります。いかに事件の謎を解く真相であろうとも、それが自分たちにとって都合の悪いものと判断すれば、捜査の打ち切りや異動といった手を使ってでも揉み消しにかかります。
著者
誉田 哲也
出版日
2012-09-21
さらに、こちらも刑事モノ小説によくあるように、組織から押さえつけられても、主人公は真実へ向けての歩みを止めないものです。離散させられてもなお、津原と堀田班の仲間たちは真実を追い続けますが、さらなる組織の力を前に屈し、ついには命を落としていきます。そんな登場人物の死にも彩られた真実を追う物語は、決して私たちの目を離そうとはしないでしょう。

ラストではただひとり、事件の真実に辿り着いた津原を、最悪の結末が待ち受けています。誉田哲也の作品の中で最もハードと言われている小説『ハング』。その津原が辿り着いた真実と結末が気になりましたら、是非ともこのストーリーに挑戦してみてください。

3位:二人の女性と犯罪組織の熾烈な戦い

『ストロベリーナイト』と同じ女性モノの警察小説で、二人の女性主人公と巨大な犯罪組織の戦いを描いた誉田哲也の作品『ジウ』。

主人公である二人の女性警察官のうち、一人は心優しい性格で涙脆く、泣きの演技では右に出るものはいないことから「カンヌ」の呼び名をつけられた門倉美咲。もう片方は、男勝りで好戦的、トレーニングを趣味とする筋肉マニアだが、美咲のような弱いものを嫌い、強いことにこだわる実力主義者としての一面を持つ伊崎基子。

そんな正反対の性格で、相性も良くない二人は、特殊犯捜査係に所属していましたが、都内で発生した人質籠城事件を機に、美咲は所轄署へ飛ばされ、基子は女性初のSAT隊員に任命されます。そして、後に起きた連続児童誘拐事件の裏で暗躍する巨大犯罪組織「新世界秩序」と、その主導者と思しき「ジウ」と名乗る謎の少年と、二人は対決していくことになるのです。
著者
誉田 哲也
出版日
誉田哲也が描く本作の大きな特徴にして見所は、その主人公である二人の女性警察官にあります。心優しい性格で、犯人を傷つけることを嫌い、説得で心を通わせるやり方を貫く美咲。鍛え抜いた己の体を武器として、屈強かつ凶悪な犯人たちを薙ぎ倒す獅子奮迅の戦働きを見せる基子。

性格だけでなく、戦い方も正反対のふたりですが、それでも自分たちの前に立ち塞がる敵や障害を恐れることも逃げることもなく、まっすぐに立ち向かっていく。そんな二人の戦う女性としての勇ましさと美しさに、読者は夢中になること間違いないでしょう。

しかし、二人の前に立ち塞がる「新世界秩序」とジウも侮れる相手ではありません。児童連続誘拐事件は勿論、その後のストーリーの中でも様々な罠や策略を仕掛けては警察を翻弄し、美咲と基子を幾度となく苦しめてきます。

巨大な犯罪組織という敵との戦いで、誉田哲也の『ハング』とは違う形で息を呑む展開続きとなる『ジウ』。ページを捲り、読み進めていくたびに目が離せなくなりますが、そのストーリーと、ふたりの戦う女性主人公の美しさでしっかりと楽しませてくれる小説です。

2位:謎の女性が潜む数々の殺人事件

次々に起こる殺人事件と謎の女性を巡る誉田哲也の連作短編推理小説集『ヒトリシズカ』。夏帆が主演でドラマ化もされました。

この小説の特徴は、伊東静加というひとりの女性とその人生を中心とした時系列に沿ったストーリーにあります。最初の物語である「闇一重」では、住宅街のアパートで男が射殺される事件が発生します。その後、犯人は逮捕されましたが、現場近くの交番巡査・木崎は、事件の裏にひとりの少女がいるということを感じ取ります。なんとその13歳の少女こそが、伊東静加だったのです。
著者
誉田 哲也
出版日
2012-04-12

その後、31歳まで歳を重ねながら、次々と起きる殺人事件の裏で暗躍する静加は、警察の追及をすり抜けては再び姿を潜めます。静加の目的とは一体何なのか? そして、静加という女性は一体何者なのか……。

6つの物語の中で次々と起きる殺人事件の裏に見え隠れする謎の女性の影。その彼女の姿が見えそうで見えず、彼女の真実に手が届きそうで届かないという、先の展開が全く予想できない緊張感ともどかしさに満ち溢れたストーリー。そんな誉田哲也の『ヒトリシズカ』が気になりましたら、ぜひ手にとってみて下さい。


夏帆が出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。

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1位:剣道に青春と情熱をかけた少女たち

剣道の道を行くふたりの対照的な女子高生を描いた誉田哲也の小説『武士道シックスティーン』。「月刊アフタヌーン」と「デラックスマーガレット」で漫画化、成美璃子と北乃きいを主演とし映画化もされています。

この小説の特徴で見所といえば、先に紹介した『ジウ』と同じく二人の主人公にあります。ひとりは日本舞踊から剣道に転向した、温厚でマイペースな西荻早苗。もうひとりは宮本武蔵を師として敬愛し、勝つことが全てと信じる攻撃的で高飛車な剣道エリートの磯山香織で、どちらも対照的な性格の持ち主であることが特徴となっています。

中学時代の終わり頃、早苗と香織は横浜の区民大会個人戦で戦うことになるも、香織はなぜか早苗に負けてしまうという驚きの結果に終わります。その後、さらに驚いたことに、二人は同じ高校の剣道部で再会を果たしたところから、この物語は始まっていきます。
著者
誉田 哲也
出版日
2010-02-10
それからは事あるごとに衝突し、反発し合うほどの正反対の性質でありながらも、剣道にかける思いは人一倍である所は早苗と香織も同じです。剣道の試合の中での様々な相手との対決や、お互いに体を張り、竹刀を手にしてぶつかり合うことで認め合い、自分たちが知らなかった世界を知り、成長していくのです。

そんな剣道に青春と情熱をかけた二人が、汗と涙を流しながら竹刀を手に自分の道を進み続ける『武士道シックスティーン』。剣道を主題とした小説なだけあって、ルールなどの詳細も織り込まれていますので、剣道を知らない人でも十分に楽しめる誉田哲也の作品です。

いかがでしたでしょうか。『ストロベリーナイト』の「姫川玲子」シリーズの他にも、誉田哲也の作品にはこのように有名な作品もあります。興味が湧きましたら、ぜひとも書店や図書館で探してみてください。