廃墟の魅力! 朽ち果てた建物、隙間に差し込む光、ボロボロの石畳

更新:2021.4.1

朽ち果てた建物、隙間に差し込む光、ボロボロの石畳、水路を流れる透き通った水、そこに生える青々とした苔。美しい!!! これぞまさに芸術!!! いとをかし!!! そーんな廃墟の魅力をぜひ皆さんにも味わって頂きたいと思い、今回ご紹介するに至ったわけでございます!!

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廃墟に魅了された私。

その昔、わちゅ~君という可愛らしい少年がいました(15年前ね)。小6で音楽に目覚めるまで、泣く子も黙る生粋のゲーマーだった彼。夏はタンクトップ姿でアイスを食べながら、冬はファンヒーターの前で鼻水を垂らしながらゲームに明け暮れた日々。

そんな可愛らしいわちゅ~少年は、RPGが大好きでした。当時ハマっていたゲームは、「ファイナルファンタジーⅧ」。そんなある日、いつも通りゲームを進めていると、とあるステージに辿り着きました。そのステージを観たわちゅ~少年は、「なんじゃこの美しいステージはぁあぁあぁああぁあああっ!!!!」と、その場で開脚前転をぶちかますほどの衝撃を受けました。

そう!! そのステージとは、かの有名な「名もなき王の墓」!(大多数の方が知らないと思うのでレッツ検索) 朽ち果てた建物、隙間に差し込む光、ボロボロの石畳、水路を流れる透き通った水、そこに生える青々とした苔。美しい!!! これぞまさに芸術!!! いとをかし!!! 
その当時「ファイナルファンタジーⅧ」は、PlayStation史に残る美麗なムービーと謳われたほどのグラフィックを誇り、世間をあっと言わせました。その美しいグラフィックで観たステージは、まさに芸術。ここから、私の廃墟好きの人生が始まりました。

そーんな廃墟の魅力をぜひ皆さんにも味わって頂きたいと思い、今回ご紹介するに至ったわけでございます!! もちろん、私のように廃墟を愛する人がいる一方で、苦手に思われる方もいらっしゃると思います。ですので今回は、おどろおどろしい雰囲気の本から、優しく親しみやすい本まで幅広く揃えてみました。ぜひとも興味を持って頂ければ幸いでございます。それでは、ひあうぃーごー!!!

あ、ちなみに私の好きな廃墟は、日本国内ですと「麻耶観光ホテル」(通称:マヤカン)。海外ですと、イギリスにある「Hafodunos Hall」あたりが好きです。チェケラッ!!
それともう一つ、私が密かに抱いている夢は、上記のような緑に囲まれた廃墟の中で読書をすることです。むふふ。
 

流転 緑の廃墟

著者
出版日
2015-02-26

廃墟をご紹介するならば、やはりビジュアルは欠かせません!! 朽ちた建物やその景観は、魅力の大黒柱といっても過言ではありません。この本は、その中でも「緑に覆われた廃墟」に焦点を当てた写真集です。かなーり物々しい雰囲気でございます。今回ご紹介する5冊の中でも、一番おどろおどろしい本かもしれません(ちなみに私の愛読書)。もしこの写真集が好きであれば、あなたは廃墟好き決定です。キラッ。

廃墟と一括りに言えど、そのバリエーションは非常に豊富。学校やホテル、工場といった建物に加え、遊園地や線路、鉱山、船など、その種類は多岐にわたります。また、それらは山の中であったり砂漠であったり、はたまた海の中であったりと、様々な場所に存在してします。

私はその中でも特に、植物に浸食された廃墟をこよなく愛しています。元々、廃墟の多くは何かしらの目的を持って作られたもので、いわば人から必要とされる存在。しかし、ある日を境に見捨てられ、ほったらかしにされることによって、廃墟へと成りかわってしまうのです。建物にとって、必要とされなくなり放置されること、それはつまり「死」を意味します。人の手が加えられなくなれば、どんどん風化が進み、朽ち果てていきます。

すると、長い年月をかけて草木が生い茂り、蔦が絡み、朽ちていく建物を植物が侵食していきます。その力は絶大です。植物は生きています。その「生」が、廃墟という「死」する存在を侵食していくのです。神秘的!! 廃墟ファンの間では、このように緑に包まれていく現象を「ラピュタ化」といいます。植物と廃墟の共存、そのコントラストが非常に魅力的なのです。

この写真集には、緑に包まれた廃墟がたっぷりと掲載されています。日本国内の廃墟が多く取り上げられていますが、2か所ほど国外の写真も載っています。ちなみに私のお気に入りは、28ページと68ページ。ぜひご覧になってください!! 
 

廃墟建築士

著者
三崎 亜記
出版日
2012-09-20

独創的、かつ奇想天外な世界観で知られる三崎亜記さんの小説。短編集となっており、全4作が収録されています。今回ご紹介する5冊の中で、個人的に最もおすすめしたい作品です。

三崎亜記さんの発想力は尋常じゃありません。まず、設定が非常にシュール。飛躍しています。シュールすぎる設定のため、はじめのうちは「へっ!?」と驚かされますが、一度入り込めれば気に入って頂けること間違いなし! とはいえ、かなり飛躍しているが故に、好き嫌いがはっきり分かれてしまう作風でもあります。

一言で形容するならば、現実と非現実の織り交ざったファンタジー。理屈を捨て、この世界観のまま楽しむことが重要です。

この小説に一貫して存在しているテーマは、何かを「守る」ということ。4話とも、各タイトルに出てくる「七階」「廃墟」「図書館」「蔵」に対し、信念を抱く人々が登場します。何かを守ることに命をかけた人々の物語は、グッとくるものがあります。どのお話も起承転結が明確で読みやすい! 設定のシュールさに関しては、自然と慣れてきます。……恐らく。

私の好きな収録作は、もちろん「廃墟建築士」。その魅力は二つ。一つ目は、廃墟を作ることを目的とする専門家「廃墟建築士」が存在していること。二つ目は、「連鎖廃墟」なる建物が存在すること。なんといっても、この連鎖廃墟が素晴らしすぎるのです!! まず、細長い平屋の建物が、同じ構造のままえんえん作り続けられます。すると時間の経過と共に、端の方から朽ちて廃墟と化していきます。

このように、一続きの建物に新築と廃墟が連続して存在しているのが「連鎖廃墟」なのです。ブラボー!! なんと革命的な発想ですこと!!! 端から歩けていけば、徐々に廃墟化していく様が見られるなんて、夢のような建物じゃありませんか!! 時間の経過をその眼で味わうことが出来ちゃうんです。まるで時空の中を歩いているかのよう!! 神秘的やーん。まさに秘境やーん。誰か、私と共に連鎖廃墟の素晴らしさについて語り合いましょう。

そんなこんなで、廃墟の素晴らしさを代弁してくれる一冊。表題作の「廃墟建築士」のみならず、他の3作も非常に味わい深いストーリーです。本書は「ありそうな話だが事実でない小説」ではなく、「ありえない話だが事実そうに思える小説」なのです。ぜひ皆さまにも読んで頂きたい!!
 

廃墟に乞う

著者
佐々木 譲
出版日
2012-01-04

佐々木譲さんの直木賞受賞作。連作短編集となっており、全6作が収録されています。この作品、とっっっっっても渋いです。

主人公は、仙道という休職中の刑事。ある事件がキッカケでPTSDとなってしまい、療養生活を送る日々。そんな彼のもとに様々な事件が持ち込まれ、次々に解決していくというお話です。

警察ものの小説はよく目にしますが、今作のような休職中の刑事が主人公という設定は珍しい!! そしてこの作品、上で申し上げました通り、とっっっっっても渋いです。トレンチコートを着た後ろ姿が似合いそうな、哀愁漂う本です。全体を通して派手さはありませんが、人間味の溢れる妙に切ないストーリーになっており、読み応え十分。安定感があります。

この作品の良さは、結末の締め方にあると思います。読者に想像させる味のある締め方は、これまた非常に哀愁を感じさせます。事件の内容自体は、衝撃的というよりかは、人間特有のドロドロしたものが多い印象。決してグロテスクではありませんが、人としてショッキングな内容が多いため、影響を受けやすい方はご注意を。

表題作「廃墟に乞う」は、生まれ育った環境の影響力を痛感させられる内容になっています。他の5作には廃墟こそ登場しませんが、全作に共通する暗くて静かな空気感は「廃墟に乞う」というタイトルそのものを表現している気がします。

作品ごとの舞台は違えど、あたかも廃墟と相対しているかのような感覚を味わうことが出来ます。じっくり読みたい方におすすめの一冊!
 

The Art of The Last of Us

著者
Various
出版日
2013-06-18

PlayStation 3向けゲームソフト『The Last of Us』(ラスト・オブ・アス)のアートブックでございます。なんだゲームか。。。と思った皆さん、ちょっと待ったぁあぁあぁああっ!!!!!!! 甘く見ちゃいけませんわよ!!! なんといってもこのゲーム、グラフィックが物凄く美しいのよ!!!

まるで映画のような、いや、むしろ映画を超すほどの映像美なのです。この作品において、グラフィックを無下にすることはナンセンス!! 細部までこだわり抜かれた舞台は、圧巻の一言。建物やら植物やら、何から何まで非常にリアルなのです!!

実はこのゲーム、全世界累計販売本数が、発売からたった3週間で340万本を突破しました。あーん。めっちゃ売れてるやーん。グラフィックの美しさに加え、心にグッとくるストーリーの良さも相まって、とんでもない作品に仕上がっています。これがまた切なくて泣けるストーリーなんですよ。出たしのプロローグ的なところから、すでに号泣できます。やったことないけど(!?)。

で、なぜこのアートブックを紹介したかといいますと、実はこのゲームの舞台がほぼ廃墟なのでございます。マニアにとってはヨダレもの!! 舞台は、人に見捨てられ、20年という歳月により朽ち果てた都市。荒廃した建物や道には緑が生い茂り、破壊のあとの再生が物々しく表現されています。

んんんんんんんんんもうっ!!!!! 美しすぎる!!! こりゃもう廃墟好きにはたまらない!!! 鳥肌もんですよ!!! まったくもう!!!

そんな魅力的な世界観が、ゲームをやらずとも楽しめちゃうわけです!! なんと素晴らしい!! こちらのアートブックには、そんなリアリティ溢れるグラフィックが惜しみなく掲載されています。『The Last of Us』が好きな方は勿論のこと、ゲームをやったことがない方でも見応えのある内容になっています。

ただ、あくまでゲームのアートブックですので、背景以外にも登場キャラクター等のデザイン画も載っています。一つ注意点なのですが、このゲームにはグロテスクな描写が出てきますので、この本にも「ぎょえっ !!!」と唸ってしまうそうな画も掲載されています。苦手な方はご用心!
 

ICO -霧の城-

著者
宮部 みゆき
出版日
2008-06-20

PlayStation 2向けゲームソフト「ICO」のノベライズ作品。「ICO」は、PlayStation史上屈指の名作と謳われ、国外からもすこぶる高い評価を受けています。この本の著者は、私の敬愛する作家、宮部みゆきさん。前回の記事「○○○が主人公!? 人間以外の視点で書かれた小説」でも、その素晴らしさを熱弁させて頂きました。うふ。

物語の主人公は、角の生えた少年イコ。村のしきたりにより、生贄として霧の城へ連れていかれます。そこで、檻に閉じ込められていた少女ヨルダと出会い、二人で城からの脱出を目指すというお話。

繊細で心温まるストーリーなんですよこれが。ゲーム好きだった私は、「泣けるゲーム」として「ICO」の噂はちょこちょこ耳にしておりました。いつかやりたいなぁと常々思っていましたが、なんせ私、ゲームをすると肩こり&頭痛に襲われる体質になってしまったため、いまだ出来ずじまい。うぅ。

そんなある日、本屋でたまたま小説を発見!!! これは読まねば!!と衝動買いをし、見事に熱中。当時まだ読書に目覚めたばかりだった私は、この小説がキッカケとなり、宮部みゆきさんにハマったのでした。

この作品の何が廃墟かといいますと、物語に登場する舞台「霧の城」。これがもう廃墟同然!(私の偏見)。長年、人が住んでいない状態で放置され、魔女の手によって支配された城は、至るところが朽ち果てて風化が進んでいます。う、う、美しいやないか…。

私個人的には、勝手にこの城を「アイリーン・ドナン城」や「ダノター城」のような建物だと想像しながら読んでいます(知らない方はレッツ検索!)。

この「ICO -霧の城-」は、読後の余韻がとても気持ち良い作品です。今回ご紹介する5冊の中でも、最も親しみやすい本だと思います。物々しさを感じることなく、廃墟の空気感を味わえるので非常におすすめ!