漫画『GIANT KILLING(ジャイアントキリング)』をネタバレ紹介! 「このマンガがすごい!」で2度のランクイン、アニメ化と人気のサッカー漫画『GIANT KILLING(ジャイアントキリング)』、通称「ジャイキリ」。 作品の名前にもなっている「ジャイアントキリング」とは大番狂わせという意味があります。 まさにタイトル通り、弱者が強者に挑んでいく名作サッカー漫画『GIANT KILLING(ジャイアントキリング)』。 今回はそんな本作の魅力をキャラクターと展開から分析していきます!
本作はスポーツ漫画でも青春よりというよりはビターな大人向けかもしれません。
それは「ジャイアントキリング」(大番狂わせ)という設定にあります。
弱いものが強いものを打ち負かすという展開は今までもスポーツ漫画ではよく使われてきましたし、聞くだけでワクワクする設定ですが、弱さは不遇の時代とセットです。その期間を丁寧に描く漫画は意外と少ないのではないでしょうか。主人公が35歳ということもあり、その展開は大人にこそ響くもの。
また、2010年にはNHK系列にてアニメ化したことでも話題の『GIANT KILLING(ジャイアントキリング)』。
スポーツ作品ならではの手に汗握るハラハラ感は、アニメでも格別の面白さがありますよね!
放映は終了していますが、一部動画配信サービスなどで見られるので気になる方は是非チェックしてみてください!(アニメ公式サイトはこちら)
本記事ではそんな心に響く名作サッカー漫画『ジャイアントキリング』の魅力をキャラクターと最新巻の見所からご紹介させていただきます!ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- ツジトモ
- 出版日
- 2007-04-23
イングランドのサッカー界ではある「ジャイアントキリング」が起こっていました。5部のアマチュアクラブ、イーストハムがFAカップ(イングランドで行われる世界で最も歴史のあるサッカーのカップ戦。日本の天皇杯のモデル)でベスト32にランクインしているというのです。そんな下克上を起こしたのは達海という日本人でした。
それとは裏腹に、日本で達海が選手として在籍していたETU(イーストトーキョーユナイテッド)は彼が移籍するとともに人気も戦力も低下。その状況を打破しようと、日本から旧友の後藤と広報の有里が彼を引き戻しにイングランドにやってきました。
当初は取り合わなかったイーストハムの会長ですが、ETUのホームタウンが自分たちの町に似ていること感じ取り、彼を日本に戻すことにします。達海は初めてこの町にきた時、自分の好きな町に似ていると言っていたのです。
そして達海は再び来日。彼の大好きな展開「ジャイアントキリング」によってETUに再び革命を起こすのです!
- 著者
- 出版日
- 2007-07-23
あまり考えを表に出さず、しかし口を開いたかと思うと周囲を慌てさせる発言をするマイペース人間、達海猛。マイペースすぎてやる気がないようにも見え、遅刻したり、記者会見で肘をついたりとやりたい放題。しかしサッカーへの愛情は人一倍ある男です。
出典:『GIANT KILLING』3巻
一部リーグの錚々たる監督たちを背にし、報道陣たちにこう言い放つ達海。めちゃくちゃかっこいいですね。「ジャイアントキリング」というハラハラの展開を魅せてくれるのももちろんですが、普段私たちが言いたくても言えないもやもやを抱える中、思ったことをそのまま口に出す彼の様子は痛快。タイトルにふさわしいでっかいことを成し遂げそうな姿がかっこいい主人公です。
- 著者
- 出版日
- 2007-10-23
ETUに赴任して達海が練習初日に選手たちに指示したこと。それはひたすら30mダッシュ。その本数は決められていません。何十分もダッシュをさせられて疑問に思い始める選手たち。そんなところに達海は朝ごはんを食べながらやってくるのです。マイペースすぎ。
そして簡潔すぎる自己紹介をした後に、30mダッシュのタイムを見て何人かの選手たちの名前を呼びます。世良、清川、椿……。それはサブで若手の名前ばかり。しかし達海は彼らにこう告げるのです。
その中に達海が去った後のETUを長年率いてきたキャプテンの村越は入っていません。驚く選手たちを尻目に彼はこう続けるのです。
「納得できないだろうからこれから納得してもらう
15分後に紅白戦だ」
果たして、達海の真意とは?
本作の魅力のひとつは「スピード感」です。「不遇の時代を丁寧に描く」と前述しましたが、それらの心理描写は分かりやすく描かれてはいますが、簡潔。じっくり描く方式ではなく、大ゴマやキャラクターの表情によって語らせる、スピーディーな物語方式です。そして次々と嵐のように型破りな言動をする達海。ダレる展開がありません。
達海は初日から彼独自のやり方でETUに革命を起こします。この展開は若手たちには嬉しいものですが、かねてからチームを牽引してきた村越や村越派の選手たちからすれば面白くありません。ETUを見捨てて海外に行った奴がいきなり戻ってきて、自分たちの居場所を壊していく。そんなやり方に見える達海はこのチームに愛が無いのでしょうか?その真相は作品の中で。
- 著者
- 綱本 将也
- 出版日
- 2008-01-23
達海ももちろんその天性のサッカーの感覚とマイペースながらも必ず成果をあげる鬼才ぶりにあこがれはするのですが、やはり、男の惚れる男は村越ではないでしょうか。泥臭く、ひたすら身を呈してチームを支える寡黙な背中は男でも抱いて!と言いたくなるもの。
上記の紅白戦で負けてしまった村越たち元レギュラー陣。ホイッスルが鳴った後、村越は何も言わずにフィールドを離れます。
そしてその後の記者会見で達海は村越をキャプテンから外すと発表。今まで黙っていた村越もこれには怒りを抑えきれず、達海がチームを離れた後の積年の想いをぶつけます。
吉原基貴作画『U-31』で27歳のベテランサッカー選手の苦悩を見事に描いた綱本将也らしい、悲哀が滲み出る渋いキャラクター、村越。『U-31』の主人公は危なっかしい雰囲気を持った男でしたが、村越は実直。才能がありながらも10年という長い時間をチームの再建に捧げてきたのです。
実はそのきっかけは達海でした。しかし村越も徐々にこの街のあたたかいサポーターたちに惚れ込み、達海がいなくなった後もこのチームを、町を支えようと決心したのです。
村越の過去回想は短いですが、見ているだけで泣けてきます。あたたかかった声援も二部に降格してからは怒号に変わり、観客席のサポーターは減る一方。選手も監督も頼りなく、自分が全てを懸けることで4年ぶりに手にした一部への出場権。チーム内に村越派があるというのも納得のリーダーらしい男っぷりです。しかし戻ってきた達海はキャプテンを外すと言います。
村越の心情の吐露を聞いた達海はうん、と全てを受け入れた上でこう言います。
「だからキャプテン外すんだよ」
ここでも達海は含んだ物言いをします。その真相は一体どういうものなのでしょうか?
- 著者
- 出版日
- 2008-04-23
やはりこの作品の魅力は何と言ってもゲーム展開!そこに行き着くまでのスピーディーな展開、キャラの魅力や心理描写に引き込まれているのでその見せ場は胸が熱くなること必至です。
このゴールシーンは村越がキャプテンという肩書きを外され、とにかく勝ち点のためにがむしゃらになって決めた1点。この1点こそ、達海が村越をキャプテンから外したおかげで取ることができた得点。達海は彼にこう語りかけます。
「地鳴りみたいなサポーターの歓声
ガキみたいに駆け寄ってくるチームメイトの顔
お前が長い間見てきた連中の答えが
あの瞬間に詰まってた」
サッカーの本質的なものがゲームに隠されていることを村越に思い出させるのです。そしてその答えは、村越が長年探し続けてきたETUの現状打開の鍵ともなるのですが……。続きは作品でどうぞ。村越の気持ちに共感していただけに答えを見つけた村越の姿に泣きそうになります。
弱小チームから、首位争いを行えるほどのチームにまでに成長したETU。優勝するには、残りの5試合すべてで勝利を納めなければなりません。そして今回当たるのが、2位の強豪・清水。果たして勝負の行方はどうなるのでしょうか?
- 著者
- ツジトモ
- 出版日
- 2018-01-23
まずは、日本代表の選抜メンバーの発表が行われます。代表監督のブランは、得意のユーモアを混じえながら、ワクワクして誰もが応援したくなるような23人を選んだと語りました。
まずはゴールキーパー、ディフェンスの発表。そしてETUとしては、椿が選ばれるかに期待がかかるミッドフィルダーの発表へと続きます。
そこで名前が呼ばれたのは、まさかの、持田。会場は騒然となりますが、ブランは彼は怪我で負傷しているため、呼べなかったと続け、彼の代わりはいないが、数で補うことはできるかもしれない、と説明し、窪田と椿を選出することを発表したのでした。
そんな46巻の見所は、やはり椿の成長でしょうか。彼は初出はTHE頼りない選手という雰囲気でしたが、今回は代表入りを発表されても落ち着いており、周囲からのプレッシャーも、今後自分が背負っていかなければならない重要なものだと受け入れることができていました。
そんな彼が清水との試合で、あることをきっかけに、静かな怒りをプレイで爆発させる様は超かっこいいです。どんどん人間としても強くなっていく彼から目が離せません。
また、強豪・清水との試合でキーとなった控えの選手たちの活躍も熱い。達海が全体感を把握し、選手層の厚さを強化したことが試合の流れを後押しした様子は、彼の監督としての力を実感させられます。
また、読み応えがあるのはもちろんですが、1巻で試合内容が完結するのも本作の長所のひとつでしょう。
ブランが監督を務めるアジアリーグの代表、国のトップメンバーとして選ばれた椿。緊張しそうなところですが、達海からの力強い言葉、リラックスできるようにと配慮された見送り、他代表選手の仲の良い雰囲気に、どうにかいつもどおりいることができました。
しかも椿と同じように主要メンバーである持田の欠場を埋めるために選出された親友の窪田もいるということで、リラックスして現地入り。
さらにブランからの初めてのミーティングでは、軽い触りから始まり、徐々にチームの結束力を強める流れのスピーチがなされ、気合も十分です!重要なポジションだった持田の代わりを果たすことができるのか、というプレッシャーもありますが、椿と窪田は、それ以上にこの特別なステージにワクワクしていました。
- 著者
- ["ツジトモ", "綱本 将也"]
- 出版日
- 2018-04-23
と、このように順調な滑り出しに思われた椿ですが、このあと、どうしても抜けきれないスランプにはまってしまいます。ブランだけではなく、チームメイトからも、取材記者からも、そしておそらく国民からも持田の代わりとして大々的に発表されたことで、期待されているのです。無理もありません。
しかもブランが言うチームの方針も理解仕切れず、他代表選手との力の違いを見せつけられ、ただでさえコンディションが良くないのに、さらにドツボにはまっていきます。しかもその間にある選手にトラブルが起きてしまい……。
47巻では、若さゆえにうまくいかない椿の様子に引き込まれます。才能があるからこその期待ではありますが、それを力に昇華できるだけの器がなくてはいけません。彼はこの成長の機会をどうものにするのでしょうか?
また、47巻終盤では、ついに第1戦がスタートするということで、スタメンが発表されるシーンが描かれます。初戦は外せない試合なので、長年現場を追っている記者たちからは、安定のメンバーが出場するだろうという推測がされていますが、椿はどうなるのでしょうか?
ブランの大胆な戦略に困惑しながら試合を迎えることになった選手たち。海外組なやキャプテンの城西など、主要戦力が先発ではないのです。
序盤はよいように見えたものの、格下のクウェート相手に日本は得点を決めることができません。
そして前半戦はどんどん終了に近づいていきます。メンバーは焦りを見せ始めるのですが……。
- 著者
- ["ツジトモ", "綱本 将也"]
- 出版日
その後、どうにか前半戦ギリギリに決めた1点から、流れが大きく変わってくる、この試合。
その様子をテレビで見ていた永田があることに気づきます。そのポイントこそ、48巻の見所。のらりくらりと、穏やかそうに見えて、実はかなりのスパルタなブランの性格が垣間見える戦略のポイントなのです。
しかも順調に見える流れから、最後に彼が切り札として出したのが、意外すぎる人物。大方の予想であったエースの花森ではなく、実は……。
まだ全容が見えないブランの大胆な戦略の面白さが際立つ内容です。花森、椿など、それぞれの選手の苦悩や成長がしっかりと描かれているところにも引き込まれます。
また、その後はヨルダンとの試合もスタート。初戦敗北したということで、日本との試合は引き分け狙いでやってきます。果たしてどういう試合展開になるのでしょうか?
花森の圧倒的な才能によって、ヨルダン相手に1得点を奪うことに成功した日本チーム。
しかし調子を取り戻したように見える花森は浮かない顔をしています。
また、前半のかなり早い段階で得点したということで、相手も攻めの様子を見せてきて……。
- 著者
- ["ツジトモ", "綱本 将也"]
- 出版日
49巻は中国戦が特に見所。それぞれのチームの内情、変化していく様子に引き込まれます。
相手から攻められてあわやという場面もあったため、雰囲気の悪くなるチーム。そこを城西がキャプテンとしてしっかりおさめます。
しかし、彼もブランが世代交代を考えていること、花森のように突き抜けられなかったことに悩んでもいたのでした……
そんなヨルダン戦を終え、最後の相手は中国。潤沢なお金をもらい、それをうまく生かして選手育成をしているものの、それに見合う選手がいないことを嘆いていました。
しかしまったくその効果が出ていないという訳ではなく……。
一方、日本チームは椿と窪田の活躍は、花森の心を動かし……。
それぞれがこの試合を機に、大きな成長をしていることを感じさせます。
アジアカップグループリーグ最終戦にて、みごと中国を下し首位通過を果たした日本!
しかし、決勝トーナメント初戦の相手は、UAE!開催国でもあるUAEを相手に、アウェーでの戦いを強いられた日本代表は、この局面をどう乗り切るのでしょうか……⁉
- 著者
- ["ツジトモ", "綱本 将也"]
- 出版日
中国を相手に4対0と、グループリーグ最終戦は非常に良い形で幕を閉じることができました。
しかし、本番はむしろここからです。いよいよ決勝トーナメントの幕が上がります。
初戦の相手は、開催国UAE!UAEカラーである真っ白に染まった観客席に、日本選手は慣れない蒸し暑い気候……何もかもがアウェーの厳しい環境下で、決勝トーナメント初戦が始まります。
グループリーグ時とは打って変わって本気のゲームメイクを始めるブランでしたが、日本対策を徹底的にたたき込んできたUAEの厳しい守備によって、日本代表は思うような攻撃ができません。
さらにはUAEは、奇襲的な古谷のボランチ起用にもすぐに対応してきました。
厳しい展開が続くUAE戦!この窮地を、日本代表はどう切り抜けるのでしょうか……!必見です!
- 著者
- ツジトモ
- 出版日
- 2007-04-23
2008年、2009年の「このマンガがすごい!」にランクインした『ジャイアントキリング』。息をもつかせぬ展開と魅力的なキャラクターに引き込まれる本作は一気に読みたくなること必至!
今回はネタバレを含んでおすすめさせていただきましたが、この熱量が作品でしか味わえないもの。ぜひ作品でこの面白さをお確かめください。
また、ジャイアントキリングを無料で読む方法についてはこちらの記事で検証していますので気になる方はぜひチェックしてみてください!
おすすめのサッカー漫画を紹介した<外れなしのおすすめサッカー漫画7選!>もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。