こんなところにスイッチが!?意外性に溢れた作品を生み出す、それが彼女の魅力です。アニメ化された『暁のヨナ』から読み始めた方も、過去作品のあらすじを読んでびっくりしてしまうかもしれません。今回はそんな作品のなかから、おすすめ少女漫画をご紹介します!
ファンタジー漫画『暁のヨナ』は2014年からアニメ化され、次いで2016年には舞台化もされた人気作品です。その作者、草凪みずほは過去にはどういった作品を描いているのでしょう。
2002年に白泉社アテナ新人大賞優秀新人賞を受賞し、その翌年に読み切り『よいこの心得』で漫画家デビューします。この作品が好評を経て連載化したことで、草凪みずほは白泉社アテナ新人大賞デビュー優秀者賞を受賞しました。
『暁のヨナ』の連載開始は2009年から。その間発表された作品は『ゲームxラッシュ』、『NGライフ』に加え、『夢幻スパイラル』、読み切り作品の『黒檻姫と渇きの王』や『僕の小鳥さん』など。いずれも一風変わった筋立てで、恋愛をメインとする少女漫画とは一線を画すものがありました。
草凪みずほの作品は、少女漫画らしく可愛らしいギャグ絵で、特に冒頭は楽しい雰囲気のものが多くあります。しかし話数を重ねるごとにドラマチックになり、クライマックスシーンでの迫力ある画力は、まさに圧巻です。
全2巻と非常にコンパクトで、草凪みずほ作品の入門としてはぴったりです。
大学生・芽護(めもり)は、ボディガード。イケメンでもあり、有能でもある彼は売れっ子として忙しい日々にややお疲れ気味です。そんななか出会った、ボディガード志望のシンという男。軽薄そうな印象に芽護は難色を示しますが、ひとまずお試しでともに案件を持つことになります。そのなかで徐々に明らかになっていく、彼の特異な事情。
しだいに絆を深めていく2人ですが、衝撃的なシンの正体と周囲の状況が、思わぬ結果をもたらしていき……。
- 著者
- 草凪 みずほ
- 出版日
- 2005-08-19
仕事をからめた男同士の絆を描く、”バディもの”である本作。ややハードボイルドでミステリータッチの筋書きということもあり、キラキラした恋愛を描いた少女漫画はちょっと……という男性や硬派な女性にも読みやすいでしょう。
とはいえ、さすがの画力。特に華やかな人物の表情には、思わずページをめくる手を止めて見入ってしまうほど!クールな設定である芽護が、ある場面で見せる柔らかな表情には込み上げるものがあります。
出だしからいかにもワケありなシンの正体には驚天動地ですが、意外にも芽護の背景が非常にヘビー。1巻後半から2巻にかけてはもう、全力疾走でストーリーが進んでいきます。ぜひ2冊を準備してから読み始めていただきたいものです。
作者の作品らしく、脇キャラも最高なこの作品。まずはさくっといかがでしょう?
読み切りデビュー作にして、好評から連載となり2巻まで刊行された漫画です。
廉が会長を務める生徒会執行部”よいこの家”のメンバーは、個性的な面々ばかり。完璧優等生・裕介(副会長)は廉の尻拭いとして活躍し、天然妹キャラ・杏里(書記)を猫っ可愛がりする会計・小雪。裕介との出会いで現在は更生(?)した廉には最凶不良の過去があり…。
賑やかななかにも、青春の苦悩が満ちた草凪みずほのコメディ漫画です。
- 著者
- 草凪 みずほ
- 出版日
- 2004-03-19
この漫画の最大の魅力、それはやはり”主人公は最強である”ということです!過去に不良としてその名を馳せた廉ですが、現在は生徒会長として学校行事(体育祭)を成功させるために奔走したり、生徒の家庭事情に首を突っ込んだりと大忙し。草凪みずほが描く、楽しいドタバタコメディ漫画ですが、時折ふいにキメる主人公の台詞がこちら。
「自分の手に血が滲むまで殴って満足か?」
(中略)
「お前はずっと」「自分が一番傷ついてるのに気づかねぇよ」 (『よいこの心得』1巻より引用)
思わず、どきっとしてしまうこのシーン。突然真面目になるものですから、心臓に悪いです。廉の過去に対する後悔や裕介ら周囲への優しさ、愛情にほんわかとした気分になります。
キャラクターの魅力が遺憾なく発揮された、草凪みずほのデビュー作品です。
スケールの壮大さに『暁のヨナ』にも通じるロマンを感じる、草凪みずほ作品です。腰を据えて読みたい全9巻。
主人公・敬大の前世は、古代都市ポンペイに生きた男、シリクス。敬大は、前世で愛した妻に運よく再会できました。しかしその妻は、なんと今世では男子中学生になっていたのです……!
親友はクラスメイト女子に、妹は母親に、宿敵は父親に。前世の妻にそっくりな謎の美少女も登場し、現在の思いと過去の思いが錯綜するなか、敬大が貫く想いとは?
- 著者
- 草凪 みずほ
- 出版日
- 2006-10-19
はじまりはコメディタッチで、前世に振り回されながらも楽しい主人公達の高校生活が描かれています。しかし、巻を追うごとにシリアスでドラマチックな展開が加速して、もうやめられません。
古代ポンペイといえば火山噴火でその歴史を閉じた、悲劇の文明都市です。
最後の日に最愛の妻を独りにしたシリクスは、強い想いを残して転生しました。なので転生した妻が男とわかっていても、時々揺らがずにはいられません。最初はそこが滑稽で面白いのですが、過去のエピソードが重なるにつれて、なんだか”仕方ないな”と思える不思議な読み心地になります。
さまざまな人物が登場しますが、クライマックスはクラスメイト女子(元親友)と元妻と主人公の三角関係。特に元妻の、クラスメイト女子と主人公に対する複雑な想いが駆け巡り、目が離せなくなる展開に。
あらすじがやや突飛ですが、読んでみれば感情移入間違いなしの、繊細な少女漫画なのです。
2018年現在で26巻まで刊行され、続刊中の作品です。
主人公は、じきに16歳となる一国の姫・ヨナ。何不自由ない幸せな暮らしは、ある日突然終わりを告げます。淡い想いを抱いていた青年スウォンの手ひどい裏切りによって……。穏やかな暮らしから一転、命懸けの旅を始めることになるのです。
幼い頃からの護衛・ハクと彼女の周りに集う、運命の仲間たち。彼らとともに歩む先で、彼女が掴む幸せとは何なのでしょうか。
- 著者
- 草凪 みずほ
- 出版日
- 2010-01-19
身分以外に特別なところのない女の子・ヨナが、神託により偉大な存在の転生者であること、伝説の四龍を従えて世界を変えていく運命にあることを知らされます。苦難から王者として一発逆転を狙い成長していく、王道のファンタジー大河ロマンです。
本作がここまで愛されるのは、各男性陣の格好よさもさることながら、ヨナの魅力とその描き方にあるでしょう。四龍である彼らは、その運命によってヨナに惹かれますが、抗っても従うことに屈するのはやはりヨナの人間性から。
「ずっと強くなりたかった」
「私を生かしてくれた仲間たちに報いるため」
「足よ動け」「少しずつでも一歩ずつでも!!」(『暁のヨナ』6巻より引用)
このシーンではある試練に立ち向かうヨナが、困難に心が折れそうになりながらも前に進むため、仲間を思う気持ちがモノローグとして描かれています。
巻を追うに連れ、ヨナは協力者を経て試練を克服し、成長していきます。その根源には彼女が本来持つ強さと優しさがあり、それこそが少女漫画として愛される最大の魅力でしょう。
草凪みずほが描く世界は非常に華麗で、見開きページは度肝を抜かれます。ぜひ一気読みしてみては?
日常には退屈してしまったというあなた。小品から大作まで、どれも意外性に満ちた草凪みずほの作品、ぜひご一読ください。
『暁のヨナ』について詳しく知りたい方は<漫画『暁のヨナ』の登場人物と名言を24巻までネタバレ考察!無料で読める!>をご覧ください。