妻夫木聡が出演した作品一覧!実写化した映画・ドラマの原作作品の魅力を紹介

更新:2021.11.29

「永遠の少年性」を感じさせる甘いルックスの妻夫木聡。青春作品が代表的な10代から、陰のある人物も板につく30代まで、これまでに様々なテレビドラマや映画に出演しています。 演じる役柄は幅広く、原作つきの作品でも説得力のある演技を披露しました。この記事では、そんな妻夫木聡が演じた役柄と作品について紹介します。

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妻夫木聡はCMもシリーズ化する好青年!映画『悪人』で転機【プロフィール】

妻夫木聡は1980年12月13日、福岡県に生まれました。身長171㎝、O型です。1997年に『ザ・スタアオーディション』というオーディションイベントで300万人の中から第1回グランプリを獲得。ホリプロに所属します。

次の年、テレビドラマ『すばらしい日々』で俳優デビューした彼は、その後も青春をテーマにしたドラマや映画に出演します。初主演した映画『ウォーターボーイズ』での好演が光り、日本アカデミー賞優秀主演男優賞・新人俳優賞をW受賞しました。

2010年に主演した『悪人』では日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞し、彼の俳優生活の節目となりました。映画『怒り』では、恋人役の綾野剛と2週間の同居生活を送ったことも話題に。彼の出演した話題作は、書き出せばキリがないほどです。

2010年から出演するサッポロビールのCM、「大人エレベーター」シリーズは様々な年代の著名人と共演する人気シリーズで、書籍化もされました。ホリプロ所属タレントが勢ぞろいした江崎グリコのCMでは、天然の綾瀬はるかに突っ込む姿も見られます。

著者
[]
出版日

プライベートでは、モデルで女優のマイコと共演を機に4年間の交際を経て結婚。2019年には第1子が誕生しています。

初めて芸能界でできた友達は嵐の櫻井翔。これまでに何度も共演している瑛太とは偶然にも誕生日が同じで、毎年「おめでとう」メールを送りあっているとか。

人あたりが良く真面目な彼は、スタッフや共演者からも評判がよいそうです。近年ではその人懐っこい笑顔に、色気も加わってきた妻夫木聡。どんな役を演じてくれるのか、これからも目が離せません。

「いつまでも青年」を武器とする妻夫木聡の魅力を分析

これほどまでに引っ張りだこの俳優・妻夫木聡が愛される理由とは何なのでしょうか。ここではその魅力を分析します。

10代の頃からまったくといっていいほどに変わらないその少年のようなルックス。可愛らしい笑顔で多くの女性のハートを掴みました。何といっても演技で見せる彼の泣き顔には、母性本能をくすぐられますよね。2020年に40歳になったとは思えない彼は、父親という役どころよりも、純朴な青年のほうがイメージできます。

しかし、2003年に出演した『ジョゼと虎と魚たち』での体当たりのベッドシーン、かと思えば『クワイエットルームにようこそ』でのとことん突き抜けたおバカな演技。ドラマ・映画出演を重ねるたびにその実力は世間の知るところとなります。

実直そうな青年の奥に潜む狂気、または身体からにじみ出るような色気。彼はそれらを自由自在に操っていうかのようです。人間の弱さ、脆さやそこに生じる矛盾などを感じさせる 『悪人』 や『愚行録』などでも、登場人物の奥深くに隠された感情を、わざとらしくなく表現しました。 

そんな彼が2012年、「アクターズファイル」シリーズに登場。読みごたえのある100ページ以上のロングインタビューも。ファンには嬉しい1冊です。

著者
["妻夫木聡", "キネマ旬報社", "川島小鳥"]
出版日

【ライターおすすめ】妻夫木聡が1番輝く『ブラックジャックによろしく』

 【ライターおすすめ】妻夫木聡が1番輝く『ブラックジャックによろしく』
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数多くある出演作の中から、ライターのオススメする作品はテレビドラマ『ブラックジャックによろしく』。医療現場の現実と理想のギャップに苦悩する研修医・斉藤英二郎を演じています。ピュアでひたむきな英二郎がハマり役でした。

特に印象的だったのは第6話からの新生児集中治療室での話。未熟児で生まれた双子への面会を拒否する夫婦を必死に説得する英二郎でしたが……。

当時は、想いが届かず悔し涙を流す彼の姿に感情移入しボロボロ泣きながら見ていました。しかし、私自身が親となり、障がいを持った子を育てる難しさと覚悟の深さが少し理解できる今では、正論を振りかざす彼に共感はするもののどこか複雑な思いが芽生えます。

このドラマでは泣いてばかりの英二郎。彼の成長物語に、妻夫木聡の俳優としての成長も重ねて観てしまう作品です。
 

連載開始から大反響だったこの原作。数々のエピソードに深いテーマが隠されています。続編も合わせてぜひご覧ください。原作についての紹介はこちらから。

ここからは、妻夫木聡の出演作を古いものから順に紹介し、原作とともにおすすめしていきます。原作をふまえて映像を噛みしめる、その作品のメッセージをより深く受け取れることでしょう。

 

【映画原作】妻夫木聡の映画初出演作!『なぞの転校生』(1998年)

 

平凡な女子高生・香川翠のクラスに転校してきた岩瀬真祐未。彼女の不思議な言動に最初は戸惑う翠でしたが、徐々に打ち解けていきます。実は彼女には次元ジャンプできる能力が携わっており、翠も一緒に異次元の世界を頻繁に行き来することになるのですが……。
 

核による世界崩壊、レジスタンスの戦いと、かなりスケールの大きいSFミステリー。巻き込まれていく翠の幼なじみ・岩田広一を演じたのが妻夫木聡です。翠に恋心を抱いており、だんだん変わっていく彼女を心配する青年を初々しく演じました。これが彼にとって映画初主演作となります。

この映画で3回目の実写化となる本作。原作と設定を大きく変えて制作されました。SF作家の眉村卓が中学生向けに執筆した物語ながら、核戦争や環境破壊などかなり深いテーマを取り扱っています。
 

 

著者
["眉村 卓", "れい亜"]
出版日

【映画原作】大人気シリーズに実は出演していた!『GTO』(1999年)

 

反町隆史主演で放送され大ヒットしたテレビドラマの後日談として描かれた映画版です。

元暴走族の破天荒な教師・鬼塚英吉。代用教員として3か月間、北海道の北分苑高校に赴任することになります。町に潜伏しているという強盗犯に間違われたり、問題児や自殺癖のある女子生徒に振り回されながらもバラバラになっていたクラスをまとめていくというストーリー。

鬼塚が受け持ったクラスの生徒・河原崎一朗太役で妻夫木聡が出演しています。まだブレイクする前で脇役での出演でした。ドラマシリーズでも、今をときめく俳優陣の若い頃が拝めると話題になっていましたね。

型破りな教師ながら、その熱い言動で生徒たちの心を掴んでいく鬼塚。そんな彼の名言をまとめた記事がこちらです。

漫画『GTO』名言ランキングベスト10!最終回までの見所ネタバレ

 

著者
藤沢 とおる
出版日
1997-05-14

【映画原作】妻夫木聡が恐怖におびえながらも必死に恋人を守る『富江』(2001年)

 

伊藤潤二によるホラー漫画の映画化第3弾『富江 re-birth』。

その美貌と天真爛漫な魅力であらゆる男性を虜にしていく富江。その分強烈な殺意を抱かせ、殺されてしまいます。しかし何度殺されてもその度に蘇ってくる富江……。やがて周りの人間にまで取り憑き、狂気の渦に落とし入れていきます。

富江に狙われる学生・青山巧を演じたのが妻夫木聡です。友人が富江を殺してしまい、山に埋める手伝いをしたばかりに彼女に取り憑かれてしまいます。恐怖におびえながらも必死に恋人のひとみを守ろうとする演技とそのラストは必見です。

原作の詳細が気になったあなたはこちらの記事をご覧ください。

伊藤潤二『富江』の怖い魅力。何度も殺される美少女の結末は【ネタバレ注意】

 

著者
潤二, 伊藤
出版日

【映画原作】ひたむきに親友を信じ続ける『さぶ』(2002年)

 

舞台は江戸、無実の罪で島送りにされた表具職人の栄二。幼いころからともに育ち親友だったさぶは、彼の無実を信じて必死に探し出します。しかし、すっかり人間不信になっていた栄二は、さぶを拒絶し真犯人への復讐だけを糧に生きていました。

山本周五郎の名作を実写映画化した本作。兄弟のように育った栄二をひたむきに信じ続けるさぶを妻夫木聡が演じました。冷え切ってしまった栄二の心が、さぶのまっすぐな瞳によって溶けてゆくのが伝わってきます。

ラストにわかる意外な事実と真犯人。ぜひ原作を手に取って確かめてみてください。その前にこちらの記事をどうぞ。

小説『さぶ』のあらすじ、見所をネタバレ解説!山本周五郎の名作がドラマ化!
 
 

 

著者
山本 周五郎
出版日
1965-12-28

【映画原作】学生生活を送った犬⁉「クロ」の実話『職員会議に出た犬・クロ』(2003年)

 

長野県松本市の深志高校に住み着いた黒い犬「クロ」と生徒や職員たちとの交流を描いた実話。

妻夫木聡が演じたのは、主人公・木村亮介です。登校の途中にクロに自分のお弁当を分け与えたことから懐かれるように。東京の大学を卒業してから獣医師となった彼は、帰郷してから立ち寄った母校でクロと再会、異変に気付きます。ウオーターボーイズから徐々に力をつけ始めた彼の演技にも注目です。

12年にもわたり生徒や職員たちと学校生活を送り職員名簿にも名前を連ねたクロ。人々との心の温まる交流に、観るもの全てがやさしい気持ちになれる物語です。

 

著者
藤岡 改造
出版日

【映画原作】妻夫木聡が絶望の中で走り続ける『ドラゴンヘッド』(2003年)

 

新感線の脱線事故によりトンネルの中で取り残された同級生の青木テル、瀬戸アコ、高橋ノブオの3人。奇跡的に生き残った3人でしたが救助がなかなかやってきません。恐怖のなかしだいに狂気に走っていくノブオ……。やっとの思いでトンネルから脱出したテルとアコを待っていたものは、白い灰が降り積もる崩壊した世界でした。

主人公・テルを演じたのは妻夫木聡です。恐怖の中、アコとともに必死に東京に戻ろうと奮闘するテル。絶望しながらも少しの希望を持ちながら走り続ける彼の熱演に注目です。

本当の絶望や恐怖に出会った時人はどういう行動をとるのか、どう向き合うのか、そんな人間の本質にも迫る本作。果たして彼らは生き延びることができるのでしょうか……?結末が気になるあなたはこちらの記事もチェック!

漫画『ドラゴンヘッド』全10巻分の魅力をネタバレ徹底考察!

 

著者
望月 峯太郎
出版日
1995-03-01

【映画原作】妻夫木聡はずるくても憎めない『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)

 

普通の大学生・恒夫は、ある日近所で噂になっている乳母車を引く老婆に出会います。乳母車に乗っていたのは歩けない少女・ジョゼ(くみ子)でした。最初は戸惑う恒夫でしたが、一風変わった彼女に徐々に惹かれていきます。

女性にだらしないが憎めない男、恒夫を演じたのは妻夫木聡です。素朴で実直なイメージだった彼ですがこの映画では大胆なラブシーンにも挑戦しました。ジョゼに対して誠実でいようという気持ちと、心の弱さ、ずるさを併せ持った等身大の大学生役をリアルに演じています。

ピュアなラブストーリーというだけではなく、健常者と障がい者の間の深い背景も感じさせる傑作です。観る者の胸にもチクリと刺さる何かがあるはず。

こちらの記事も一緒にご覧ください。

『ジョゼと虎と魚たち』原作短編集の他作品を知ってます?映画との違いも説明

 

著者
田辺 聖子
出版日
1987-01-01

【映画原作】淡々と1日の出来事を綴るだけ、でも名作『きょうのできごと』(2004年)

 

『世界の中心で、愛をさけぶ』『GO』などの行定勲監督で映画化された、若者たちの日常を切り取った群像劇。

京都の大学院に入るため引っ越しした正道のお祝いに集まった、真紀、中沢、けいとら友人たち。それぞれがいろいろな思いを胸に抱えながら過ごす1日、そしてテレビに映し出されるニュースの世界とも少しずつ関わりがあって……誰もが経験したことのあるようなひとときを淡々と綴っています。

妻夫木聡が演じたのは彼女の真紀と女友達のけいととともにお祝いに駆け付ける中沢役。彼はこういう「どこにでもいそうな大学生」を演じるのが非常にしっくりきます。

ささやかな風景を切り取る作風に定評のある柴崎友香の原作が気になったあなた。『きょうのできごと、十年後』という続編も出版されていますよ。まずはこちらの記事をお読みください。

柴崎友香のおすすめ作品6選!『春の庭』で芥川賞を受賞した作家

 

著者
柴崎友香
出版日

【映画原作】妻夫木聡は村上龍の分身?『69 sixty nine』(2004年)

 

佐世保出身の村上龍が自身の体験を元に小説にした本作。宮藤官九郎脚本・李相日監督で実写映画化されました。

1969年の長崎県佐世保市に暮らす高校生のケンとアダマ。憧れの女子生徒の気を引くためにフェスティバルを開催しようと計画します。しかしどんどん話が大きくなり、しまいには学校のバリケード封鎖や警察にまで介入される事態に。果たして彼らは無事に目的を果たすことができるのでしょうか。

主演は妻夫木聡。村上龍の分身ともいえる矢崎剣介を演じました。とにかく明るく、バカバカしいほど底抜けに明るい映画です。

「こんな楽しい小説を書くことはもうないだろうと思いながら書いた」と作者自身が語る物語。青春を徹底的に楽しめ!とのメッセージが聞こえてきそうです。

 

著者
村上 龍
出版日

【映画原作】壮大なスケールの戦争映画『終戦のローレライ』(2005年)

 

太平洋戦争末期の1945年8月、「太平洋の魔女」と呼ばれ恐れられた特殊兵器の「ローレライ」が搭載された戦利潜水艦・伊507。第3の原爆投下を阻止するべく発進したこの潜水艦の搭乗員たちの運命を迫力たっぷり、ダイナミックに描きました。
 

役所広司とともに主演を務めたのは妻夫木聡。「ローレライ」のカギを握る少女・パウラと出会い、心を通わせ合う折笠征人上等工作兵を熱演しています。

壮大なスケールで描かれたこの原作は、漫画化もされています。特殊任務を受けた絹見少佐、己の目指す終戦の形を実現するべく策略する朝倉大佐など、クセのある登場人物たちがくり広げる人間ドラマ。気になったあなたはぜひ原作を手に取ってみてください。

 

著者
福井 晴敏
出版日
2002-12-10

【映画原作】あの名作ロボットアニメの実写化!『鉄人28号』(2005年)

 

テレビアニメなどで知られるロボット系漫画の元祖『鉄人28号』を、舞台を現代に移し実写映画化した作品です。

小学6年生の金田正太郎の前に、突然現れた巨大ロボット。ブラックオスと名付けられたそれは、すべてを破壊しようと企む宅見零児が送り込んだものでした。正太郎は、亡き祖父と父の研究していたロボット「鉄人28号」を操縦し、ブラックオスに立ち向かうこととなります。

かなりの豪華キャストが出演しているこの映画。妻夫木聡も風鈴売りとして出演しています。かなり贅沢な使われ方ですね。どこのシーンで出てくるのか探すのも楽しみです。

長年愛されているこの原作の作者は横山光輝。他にも様々な代表作を生み出しています。

 

著者
横山 光輝
出版日

【映画原作】妻夫木聡が究極のチョイ役で出演『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005年)

 

ワイルドで男らしい弥次郎兵衛こと弥次さんと、ヤク中の役者喜多八こと喜多さん。熱く愛し合っているふたりは、喜多さんのヤク中を治すため、お伊勢さんを目指すことに。ふたりの行く手に次々と現れる奇天烈な人々……東海道の珍道中をユーモアたっぷりに描きました。

時代劇なのにバイクで走りだしたり、突然ラップをしたりロックを歌い出す奇想天外な演出に目が離せなくなるこの映画。原作のしりあがり寿ワールドと監督のクドカンテイストの融合で最後まで飽きさせません。

偽の弥次さんに扮した妻夫木聡がかなりのチョイ役で出演しているのも驚かされます。何ともくだらないギャグを言って終わるシーン。探してみてください。

 

著者
しりあがり 寿
出版日

【映画原作】雪の中、命をかけて待ち続ける『春の雪』(2005年)

三島由紀夫による「豊饒の海」4部作の第1部を行定勲監督で初めて実写化した本作。日本アカデミー賞各賞にノミネートされたことでも話題を呼びました。

大正時代初期、侯爵家の一人息子・松枝清顕と伯爵家の一人娘・綾倉聡子は幼なじみですが実はお互いに想い合っていました。そんな時聡子に訪れた縁談話。互いへの想いを諦めきれないふたりは、密会を繰り返すように。両親にばれてしまった彼らは引き離されてしまいます。

聡子を一途に愛する清顕を演じたのは妻夫木聡。彼女を諦めきれずに雪の中待ち続ける清顕……ラストの鬼気迫る彼の演技は目を見張るものがあります。

現在でも熱心なファンの多い三島由紀夫。この豊饒の海第4巻を書き終えた彼は自らの命を絶っています。本作はそのなかでも晩年の彼を感じることのできる作品です。

著者
三島 由紀夫
出版日

【映画原作】全てを失った女の痛々しさ『イッツ・オンリー・トーク』(2006年)

 

35歳、独身の橘優子は一流大学を卒業しキャリアウーマンの道を歩んでいました。しかし、両親と親友の死をきっかけにドロップアウトしてしまいます。蒲田に引っ越してきた彼女と、4人の男たちがくり広げる『やわらかい生活』。映画化のタイトルにもあるように、マイペースに生きる優子の独特さと少しの痛々しさがリアルで印象的な作品です。

気の弱いヤクザという役で妻夫木聡が出演しています。このユニークな役を好演していました。

後半は原作と違うオリジナルな展開を見せるこの作品。原作を読んでその違いを確かめてみてはいかがでしょうか。

 

著者
糸山 秋子
出版日

【映画原作】妻夫木聡・柴咲コウのW主演『どろろ』(2007年)

 

舞台は賢帝歴3048年、東の果てにある国では数十年にも及ぶ戦が続いていました。醍醐景光は天下を治める力を得るため我が子百鬼丸の身体の48か所を魔物に与えます。

成長した百鬼丸は、失われた身体を取り戻すため旅をしていました。やがて、つきまとってくるコソ泥のどろろと旅をともにすることに。総製作費20億円がかけられた壮大なファンタジーアクションとなっています。

主人公・百鬼丸を演じたのが妻夫木聡。登場シーンから強烈な存在感で圧倒されるでしょう。この映画では激しいアクションもこなしています。

数多くの名作漫画を世に送り出してきた手塚治虫でしたが、妖怪ものというジャンルやその暗い生い立ちなどから、読者に受け入れられるまでに時間のかかった原作。映画では細かい変更点が見受けられます。原作との違いが気になったあなたはまずこちらの記事をご覧ください。

『どろろ』原作、映画、ゲームの結末や見所ネタバレ考察!50年ぶりアニメ化

 

著者
手塚 治虫
出版日
2009-11-11

【映画原作】3人の神様に振り回される妻夫木聡『憑神』(2007年)

 

貧乏神・疫病神・死神の3人の災いの神様に取り憑かれてしまった下級武士の別所彦四郎。運に見放されながらも懸命に生きようともがく彼の運命は?
 

妻夫木聡が演じたのが主人公・彦四郎です。3人の神様に振り回されながらも、武士としていかに生きるべきかに気付いていく彦四郎ははまり役でした。

コミカルでありながらホロっと泣けるストーリーは浅田次郎の真骨頂といえます。笑っていながら気づくと泣かされている、実はユーモアの陰に隠れた重いテーマにハッとさせられます。ぜひ原作でも味わってみてください。

 

著者
次郎, 浅田
出版日

【映画原作】妻夫木聡の弾けた演技に驚き『クワイエットルームにようこそ』(2007年)

 

このところ悪いこと続きのフリーライター・佐倉明日香。ある日目覚めるとベッドに拘束されていました。実はそこは精神科の閉鎖病棟。様々な事情を抱えた患者たちと出会いともに暮らす中、明日香は自分の人生を見つめなおしていきます。

明日香の夫・焼畑鉄雄の舎弟であるコモノを演じたのが妻夫木聡です。圧倒的なバカという設定と、眉毛の繋がっているビジュアル。彼の弾けた演技、振り幅の広さに 驚かされます。

劇団「大人計画」を旗揚げし、演出や俳優もこなす著者・松尾スズキ。この作品では多彩な彼自身が脚本・監督を務めました。
 

 

著者
松尾 スズキ
出版日

【映画原作】幼児の人身売買を描いた衝撃作『闇の子供たち』(2008年)

 

新聞記者の南部は、バンコクで行われているという幼児の人身販売の取材を始めました。同じころ、NGO団体に加入した音羽恵子も、少女が父親によって売春宿に売り飛ばされていることを知ります。金のために売り買いされる子供たち……目を背けたくなるようなショッキングな内容です。

妻夫木聡が演じるのは、南部に付き合い調査に同行するフリーカメラマンの与田博明。南部とともに人身売買の実態を追いかけますが、ラストにやってくる衝撃の事実……。

小説でありながらドキュメンタリーのような原作。そのリアリティに、胸をえぐられるような思いになるであろう1冊です。

 

著者
梁 石日
出版日

【映画原作】世間を騒がせた実話『豚のPちゃんと32人の小学生 命の授業900日』(2008年)

 

大阪の小学校で実際に行われた命の授業。それは、1年後に食べるという約束で飼われた豚の飼育でした。Pちゃんと名付け、世話をするうちに生徒たちに複雑な感情が芽生え始めます。
 

果たして、卒業式で生徒たちはどういう結論を出したのでしょうか。映画の中でPちゃんをどうするか議論する子供たちには台本がなかったといいます。

新任教師として赴任してきた星先生を演じたのは妻夫木聡。賛否両論を巻き起こしたこの原作の作者自身の役です。命の授業という重い課題……子供たちに自分自身で触れ、感じてほしいとの熱意が感じられました。

「命の長さは、誰が決めるの?」可愛らしい題名からは想像もつかない重いテーマの本作。一読する価値ありです。

 

著者
黒田 恭史
出版日

【映画原作】モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞受賞『ヴィヨンの妻』(2009年)

 

戦後の混乱期の日本。酒飲みで多額の借金を背負う大谷の妻・佐知は、夫が踏み倒した借金を返すため椿屋という飲み屋で働き始めます。その美しさや気立ての良さが評判になり、どんどんあか抜けていく佐知。そんな妻に嫉妬を覚える大谷は、愛人と心中未遂事件を起こしてしまいます。

妻夫木聡は、佐知に想いを寄せる愚直な青年・岡田役で出演しています。岡田の気持ちを知ったことをきっかけに、大谷は心中未遂を計ってしまうのです。

著者の太宰治が、まるで本人を投影したかのようなこの作品。戦後の作品ながら読みやすく、現在にもつながる夫婦のひとつの形が繊細に描かれています。

 

著者
太宰 治
出版日
1950-12-22

【映画原作】妻夫木聡の俳優としての転機になった『悪人』(2010年)

 

吉田修一のベストセラー小説を映画化し、数々の賞を受賞して話題となった本作。殺人犯を愛してしまった孤独な女・馬込光代。自首するという男を一緒に逃げようと引き留めます。光の見えないふたりの逃避行は……そして本当の「悪人」とは一体誰なのか?

殺人犯として追われる男・清水祐一を演じたのが妻夫木聡。爽やかで清潔なイメージの彼が、陰気で冴えない田舎の男を見事に演じています。

登場人物の細やかな心理描写が素晴らしいこの作品。重いテーマながら一気に読めてしまうのは、さすが吉田修一といえます。虚しさと胸苦しさの残るこの物語の結末を、ぜひ原作で確かめてみてください。

 

著者
吉田 修一
出版日
2018-07-06

【映画原作】記者時代の著者本人の役『マイ・バック・ページ』(2011年)

元ジャーナリスト・川本三郎のノンフィクション小説を、妻夫木聡と松山ケンイチのダブル主演で映画化した作品。
 

1969年、週刊誌の編集部で働く沢田雅巳は、理想に燃えて仕事をしていました。そんな中、彼に近づいてきた梅山と名乗る男。少しの疑念を持ちながらも、梅山に妙な親近感を覚える彼でしたが……。

沢田を演じたのが妻夫木聡です。葛藤を抱えながらも梅山に傾倒していく彼の演技、特にラストシーンに注目です。

一時絶版となってしまったこの原作ですが、映画化を機に再版されました。

 


松山ケンイチが出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。

 

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著者
川本 三郎
出版日

【映画原作】拷問シーンに目を背けたくなる『スマグラー』(2011年)

 

砧涼介は役者を目指しながらフリーターをしている25歳。怠惰な日々を送る彼は、背負ってしまった借金を返すために「運び屋(スマグラー)」と呼ばれる仕事をすることになります。なんとそれは裏社会のヤバい仕事でした。

主人公の涼介を演じるのは妻夫木聡。彼の受ける痛々しい拷問シーンに、ファンは目を背けてしまいそうになるのではないでしょうか。しかし、ヘタレだった彼が最後に少しだけ成長するその表現力はさすがです。

原作は『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平。実はこの作品のほうが先に発表されており、待望の実写化となりました。ウシジマくんの原点ともいえます。

 

著者
真鍋 昌平
出版日

【映画原作】妻夫木聡がクールに歌い踊る『愛と誠』(2012年)

1970年代の大ヒット漫画『愛と誠』を三池崇史監督、妻夫木聡と武井咲主演で映画化。不良の太賀誠と財閥のお嬢様の早乙女愛の究極の純愛を描いた物語です。

過去にもテレビドラマ、映画など様々な映像化がありました。しかし本作は、昭和のヒット歌謡曲満載のミュージカル仕立てになっており、これまでに見たことのない作品に仕上がっています。

それは主演の妻夫木聡にも同じことが言えます。パロディでもありミュージカルでもある作中で常にクールで皮肉屋、でも歌い踊っている誠。新しい妻夫木聡が発見できるでしょう。

原作の梶原一騎は『あしたのジョー』でも知られ、スポーツや格闘漫画にも定評のある原作者です。

三池崇史が実写化した作品を知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

三池崇史の監督した作品一覧!実写化した38作品の原作と映像の見所を紹介!

著者
ながやす 巧
出版日
2001-05-11

【映画原作】ハードボイルドな妻夫木聡が見られる『黄金を抱いて翔べ』(2012年)

 

同級生の北川浩二からある計画を持ち掛けられた幸田弘之。その計画とは、大阪の都市銀行から240億円相当の金塊の強奪するというものでした。4人のメンバーを加え6人で計画に挑みますが、彼らの過去や裏切りが複雑に絡みだし……。
 

妻夫木聡が演じたのは主人公・幸田弘之です。死んだ目をした彼の存在感と元スパイのモモとの絡みが話題となりました。

また、スピンオフドラマ『私が黄金を追う理由』が映画の公開に合わせてBeeTVで放送されました。

タウン誌の編集部に勤める坂下ルカは、かつての金塊強奪事件に興味を持ち、調べ始めます。やがて編集部全体を巻き込んで「捜査」もどきを続けるルカ。そんなルカの前に、映画の主要メンバーたちが入れ替わり立ち代わり現れ、警告するのでした。

原作は日本推理サスペンス大賞を受賞した高村薫の同名小説です。社会派サスペンス作家として名を挙げることになる作者の衝撃のデビュー作として絶賛されました。現実の世界と妄想の世界が混同する不思議な作品です。

 

著者
高村 薫
出版日
1994-01-28

【映画原作】突き抜けたおバカな信長の次男役『清須会議』(2013年)

 

本能寺の変で死去した織田信長の跡継ぎを決めるため、柴田勝家や羽柴秀吉などを筆頭に集まった面々。後を継ぐのは、後見人はどちらが?

「これは会議という名の戦い……」日本で初めて話し合いにより歴史が動いたといわれる『清須会議』が題材。三谷幸喜自ら執筆した原作を元に映画化されました。

妻夫木聡が演じたのは大うつけ者といわれる信長の次男・信雄。かなり突き抜けたおバカキャラです。信雄役を振り切って演じた彼には監督の三谷も「こんなに面白い俳優さんだと思わなかった」と絶賛しています。

現代語で書かれているのに違和感を感じさせず、ユーモアも交えて一気に読めてしまう原作。さらに理解を深めたいあなたはこちらの記事もご覧ください。

5分でわかる清須会議!開催の理由や参加者の思惑、その後をわかりやすく解説

 

著者
三谷 幸喜
出版日
2013-07-26

【映画原作】祖母の自叙伝から秘密を知る『小さいおうち』(2014年)

 

直木賞を受賞した中島京子のベストセラー小説が、山田洋次監督により映画化されました。

昭和初期の東京。赤い屋根の小さな家・平井家で女中として働き始めた布宮タキ。しかし慕っていた若奥様の時子は、夫の部下の板倉正治に惹かれ始めます。ふたりの恋の行方を見守り続けたタキ。60数年後、彼女の残した自叙伝を読んだ親類の荒井健史は、思いもよらない真実を知ることになります。

現代のタキの親類・健史を演じたのは妻夫木聡。タキの元を度々訪れてはその時代の話を聞き出します。

戦前から戦後までの日本が、どこかのんびりと、しかしリアルに描かれたこの作品。原作を読めば、この『小さいおうち』の秘密をもっと深く知ることができます。まずこちらの記事をご覧ください。
 

小説『小さいおうち』と、その時代を生きた女性が創作したもの

 

著者
中島 京子
出版日
2012-12-04

【映画原作】家族を再生させるためにもがき続ける妻夫木聡『ぼくたちの家族』(2014年)

 

作家の早見和真が、自身の体験を元に綴った小説を実写映画化した作品です。
 

若菜家はごく普通の4人家族。ある日母に見つかった脳腫瘍……なんと余命1週間と診断されます。父・長男・次男の男3人はどうすることもできない中、玲子は徐々に認知症のような症状になり、今まで溜めていた本音を吐き出すように。そして家族の抱える秘密や問題が明るみになっていきます。

若菜家の長男・主人公の浩介を演じたのが妻夫木聡。責任感が強いが小心者の長男役でした。家族の危機に自分を奮い立たせ、空回りしながらも悪あがきを続ける姿に心が温かくなります。

2011年に発表された『砂上のファンファーレ』を映画化に合わせて改題しています。このバラバラの家族がいかに再生していくのか、原作でも確かめてみてください。

 

著者
早見 和真
出版日

【映画原作】とことん悪い妻夫木聡『果てしなき渇き』(2014年)

 

ろくでなしの元刑事・藤島昭和は、元妻から娘の加奈子が失踪したと告げられます。行方を追うことになった彼ですが、成績優秀で人気者だった娘の知らなかった人格が次々と明らかになっていきます。果たして彼女は天使なのか悪魔なのか?彼が思い描く「幸せな家族」を手に入れることができるのでしょうか。

この映画『渇き』で妻夫木聡は藤島の元後輩刑事・浅井役で出演しています。軽薄で常にヘラヘラ笑顔を浮かべている彼の悪役ぶりが見もの。悪い彼が見たい人にはおすすめの映画となっています。

「このミステリーがすごい!」大賞に選ばれたこの作品。謎が謎を呼ぶスリリングな展開に引き込まれること間違いなしです。

 

著者
深町 秋生
出版日

【映画原作】「のび太くんそのもの」と監督が絶賛『ドラえもん』(2014年)

 

藤子・F・不二雄の生誕80周年を記念して史上初3DCGで制作された『STAND BY ME ドラえもん』。原作から厳選し選ばれたエピソードを元に、ドラえもんとのび太の出会いから別れを描いています。

妻夫木聡は成長したのび太青年の声を演じました。車のコラボレーションCMでものび太を好演している彼。本当に自分でいいのかと戸惑いもあったそうですが、制作陣からの熱心なオファーもあり実現したそう。監督からは「本当に声変わりしたのび太くんそのもの」と絶賛を受けています。

この機会にまた原作を読み返してみてはいかがでしょうか。こちらの記事もご覧ください。

ドラえもんに関する11の事実!『ドラえもん』の体には、秘密がいっぱい!

 

著者
藤子・F・ 不二雄
出版日
2008-02-15

【映画原作】江戸時代の実話!『無私の日本人』(2016年)

 

江戸時代中頃。貧乏な仙台藩から重税を課せられ困窮した町民の行く末を案じ、商人の穀田屋十三郎がひねり出した計画。それは、藩に金を貸し付け、その利息を巻き上げるという奇想天外なものでした。現在にして3億円もの大金を集めるため、奔走する十三郎たち。前代未聞のこの計画は、成功するのでしょうか。

『殿、利息でござる!』という題名で実写化された本作。浅野屋の当主・浅野屋甚内を演じたのが妻夫木聡です。主人公の十三郎の弟でもある彼は、この計画に協力することになります。

実話でもあるこの物語。無名の庶民たちが立ち上がり、一家離散も破産も覚悟の上で結託したのは今から250年以上も前です。その事実を知ってからもう一度原作を読み、当時の人々の「無私の心」を感じるのもいいかもしれません。

 

無私の日本人

2015年06月10日
磯田道史
文藝春秋

【映画原作】愛した男は殺人鬼なのか?『怒り』(2016年)

 

『悪人』から6年。原作・吉田修一、監督・李相日が再びタッグを組んで制作された『怒り』は、日本アカデミー賞最多12部門ノミネートなど大変な注目を集めました。

ある日現れた正体不明の3人の男。それぞれの場所で彼らと心を通わせていく人々。しかし彼らは、今も捕まっていない連続殺人犯にどことなく似ているのでした。湧き上がる疑念に苦しむ人々が下す決断とは?

綾野剛演じる疑惑の男・直人と愛し合うようになった同性愛者の優馬を演じた妻夫木聡。泣きながら街を歩くシーンは胸に迫るものがありました。この作品でアカデミー賞最優秀助演男優賞を手にします。

人を信じることの難しさ……この大きなテーマをいつも投げかけてくる吉田作品。自分だったらどうするか、考えながら読んでみてはいかがでしょうか。

 

著者
吉田 修一
出版日
2016-01-21

【映画原作】妻夫木聡がスキンヘッドの殺人鬼に『ミュージアム』(2016年)

雨の日だけ現れる猟奇殺人犯。自らを「殺人アーティスト」と称して私刑を執行していく通称・カエル男。事件を追う刑事・沢村久志ですが、カエル男の魔の手は彼の妻・遥にまでおよび……。

沢村を追い詰めていくカエル男を演じたのは妻夫木聡です。カエルのマスクをかぶり、マスクの下にも特殊メイクを施したビジュアルに「これが妻夫木聡?」と信じられなかった人も多かったのでは。好青年の印象の強い彼が、この過激でグロい殺人犯を演じることは驚きでした。この年は彼にとって転機の年になったのではないでしょうか。

日常の中突如現れる恐怖、絶望。極限状態の沢村はどうなってしまうのか。映画と原作ではラストに違いがあるようです。見比べてみてはいかがでしょうか。

漫画『ミュージアム』のエグすぎる全3巻を最終回までネタバレ考察!

著者
巴 亮介
出版日

【映画原作】秘密を抱えた主人公に『愚行録』(2017年)

始まりは、一家惨殺事件。週刊誌記者の田中武志は、未解決のまま1年経ったその事件を取材し始めます。関係者たちにインタビューをしていくなかで徐々に浮かび上がる真相。殺害された夫婦の真実の姿……。彼らはなぜ殺されたのか?

主人公の田中を妻夫木聡が演じました。事件の取材を続ける彼もまた、妹が逮捕されるという問題、そして秘密を抱えています。原作にはない冒頭の登場シーンも印象的でした。

原作は関係者たちへのインタビュー形式で構成されています。読んでいるうちにどことなく感じる違和感。まるで自分もその場にいるような臨場感とともに、「イヤミス」の読後感を味わえます。
 

著者
貫井 徳郎
出版日
2009-04-05

【映画原作】妻夫木聡のダメっぷりが笑える『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017年)

奥田民生のように自然体で生きたいと願う雑誌編集者のコーロキ。おしゃれなライフスタイル雑誌に異動になった彼は、そこで出会ったあかりに一目ぼれします。なんと彼女と付き合えることになったコーロキは、振り回されながらも嫌われないよう必死に頑張りますが全て空回り。コーロキとあかりに未来はあるのでしょうか。

主人公・コーロキを演じるのは妻夫木聡。あかりを繋ぎとめるため取り憑かれたように駆け回ります。彼のダメっぷりがとにかくリアル。冒頭から流れる心の声が徐々に変化していくのも感服です。

原作は渋谷直角の同名コミック。ゆるい感じの絵柄ですが、おしゃれすぎる編集部の面々をチクリと皮肉っていたりと登場人物の闇をさりげなく描くのに定評があります。果たしてコーロキの死に物狂いの努力は報われるのか……ぜひ原作で確かめてください。

著者
渋谷 直角
出版日

【映画原作】勇気をもらえる棋士の自伝『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年)

1人のサラリーマンが将棋界の歴史を変えた奇跡の実話。棋士の瀬川晶司五段の自伝小説を元に実写化されました。

「しょったん」こと瀬川晶司は将棋一筋で生きてきました。しかし「26歳までに四段昇格」という既定のプレッシャーに勝てなくなり新進棋士奨励会を退会してしまいます。挫折感に苛まれる晶司でしたが、仲間や家族に支えられ、再びプロ棋士を目指すことに。

妻夫木聡は奨励会員の冬野渡役で出演しています。脇役ながら印象的な演技で、この映画に深みを与えています。

何かを目指して努力している人なら必ず胸に刺さる、勇気をもらえる作品です。何度も読み返したくなるのではないでしょうか。

著者
瀬川 晶司
出版日

【映画原作】リア充アピールのイクメン役『ぼぎわんが、来る』(2018年)

ある家族の周りに次々と起こる怪事件。相談を受けたオカルトライターの野崎和浩はその調査を始めます。しかし、その家族に取り憑いている正体不明の「あれ」は、野崎の想像をはるかに超えたものでした……

澤村伊智原作のホラー小説を、『告白』『渇き』の中島哲也監督が『来る』として実写映画化。見事なエンタテイメントに仕上げました。

怪奇現象に悩まされる田原秀樹を演じたのは妻夫木聡。自称イクメンの彼ですが、実は行動が伴っていません。彼は役作りで、その田原の薄っぺらさを表現しようとしたと語っています。

本作で日本ホラー小説大賞の大賞に輝きデビューした澤村伊智。彼女による新たなホラーブームが期待されています。

著者
澤村伊智
出版日
2018-02-24

【映画原作】ドタバタ時代劇コメディー『「忠臣蔵」の決算書』(2019年)

 

藩主・浅野内匠頭を亡くした赤穂藩士たちの、敵討ちに至るまでの奮闘を描いた時代劇コメディー。討ち入りに膨大なお金が必要だと知り、何とか予算内で治めようとする缶家老・大石内蔵助と勘定方の矢頭長介とのドタバタが笑いを誘います。

討ち入りの作戦を立てる軍師・参謀の菅谷半之丞を演じるのは妻夫木聡です。『殿、利息でござる』から2作目の中村義洋監督・脚本作品。「決算!忠臣蔵」という題名で映画化されました。豪華出演者陣の中、主要キャストを演じています。

決算書というまったく新しい視点から考察された赤穂事件。まずはこの記事をご覧ください。

『「忠臣蔵」の決算書』の面白さが分かる4つの解説!映画化の原作をネタバレ

 

著者
山本博文
出版日
2012-11-01

【映画原作】妻夫木聡が大人の色気を魅せる『Red』(2020年)

 

その衝撃的な表現で話題をさらった島本理生の同名小説の実写化。

何不自由ない生活を送っていた主婦の村主塔子は、10年ぶりに昔の男・鞍田秋彦に再会します。恵まれた生活ながら、行き場のない想いを抱えていた塔子の気持ちをじわじわとほぐしていく鞍田。しかし彼には秘密がありました。2人がたどり着く決断とは……。

塔子と禁断の愛に堕ちていく鞍田を演じた妻夫木聡。官能的な原作にもとづき、かなり濃密なラブシーンを演じています。彼女への押さえられない想いがその瞳から伝わってくるようです。

女性ならば誰しも持っているであろう心の機微を表現する島本理生。原作と合わせて、こちらの記事もご一読ください。

島本理生『Red』妻、母、自分…。「女」を描いた恋愛小説【ネタバレ注意】

 

著者
島本 理生
出版日
2017-09-22

【映画原作】二宮和也と兄弟役『浅田家』『アルバムのチカラ』(写真集)(2020年)

 

映画『浅田家!』は2冊の写真集が原案となった珍しい映像化作品です。

1冊目は、写真家・浅田政志の家族を被写体とした写真集『浅田家』。それは、「家族でやってみたいこと」をテーマにいろいろなシチュエーションで家族でコスプレして撮影された写真集です。そして『アルバムノチカラ』は東日本大震災の津波により泥だらけになったアルバムを洗浄し、持ち主の元へ返す人々の姿を取材したものです。

二宮和也主演で映画化され、妻夫木聡が演じるのは、二宮演じる政志の兄・幸宏。初共演となる2人ですが、実在する兄弟をどのように演じているのか楽しみは尽きません。

ユニークでどこか懐かしくホッとする、愛に溢れた写真集。写真の力を思い出させてくれます。

 

著者
浅田政志
出版日

さてここからは、テレビドラマの出演作のなかから原作があるものを紹介していきます。

【テレビドラマ原作】デビューして1年の妻夫木聡がボーイ役『お水の花道』(1999年)

 

六本木の高級クラブ「CLUB PARADAISE」元No.1で、今や30歳崖っぷちのホステス・明菜の身の周りに起こる出来事が軽快に描かれています。お水版のスポ根ものという珍しいストーリーで人気が出ました。

クラブの黒服・中田役でまだ若い妻夫木聡が出演しています。見過ごしてしまいそうになりますが、可愛らしい顔立ちは変わっていません。

コミックスでは28歳の設定の明菜。作品が連載されていた2000年前後には、28歳でもこんなに厳しい扱いを受けていたのかとびっくりします。しかし、常に明るくカッコいい彼女に、きっと元気をもらえるはずです。

 

著者
["理花", "静, 城戸口"]
出版日

【テレビドラマ原作】復讐する女のマネージャーに『恋の奇跡』(1999年)

 

肥満体型で自分の顔にもコンプレックスを抱く塚本妙子。そんな妙子の前に現れたのは、父親の遠縁の娘・雪乃でした。容姿も心も美しいと思われた雪乃でしたが、実は欲しいものを手に入れないと気の済まない、冷血な女で……。

妻夫木聡は、ダイエットして芸能界入りした妙子のマネージャー役で出演しています。テレビドラマオリジナルの役ですが、原作では岩国という女性マネージャーが登場しているので、それに該当する役だと思われます。

雪乃の悪女っぷりが強烈な本作。全てを奪われ復讐を誓った妙子が迎える結末とは?ぜひ原作を手に取って確かめてみてください。

 

著者
もりた ゆうこ
出版日

【テレビドラマ原作】不思議な会社の奇妙なスタッフ『不思議の国のアリス』(1999年)

 

現代風にアレンジした童話を、4話完結で6作放送した深夜ドラマ『コワイ童話』の中の1作。

普通のサラリーマン・有栖川司は、「ワンダランド」という支店に出向することになりました。そこには奇妙な従業員たちが奇妙なゲームに興じていました。それから有栖川の身の周りにに次々に不可解な事件が……。

「ワンダランド」のスタッフのひとり、松沢という役で妻夫木聡が出演。デビュー2年目の初々しい演技を見ることが出来ます。

児童文学の傑作、『不思議の国のアリス』この機会に読み返してみては?

5分でわかる『不思議の国のアリス』!あらすじ、映画との違いなどを紹介

 

著者
["ルイス・キャロル", "Lewis Carroll", "高橋 宏"]
出版日

【テレビドラマ原作】元いじめられっ子のヤクザ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)

 

高校を卒業してからプータローとなった真島誠(マコト)。彼は「池袋のトラブルシューター」として、池袋で発生する様々なトラブルや揉め事の処理を依頼されていました。

池袋西口公園、通称池袋ウエストゲートパークに集まるマコトと仲間たち。池袋に生きるハグレ者たちの生活が生き生きと描かれ、現在でもカルト的人気を誇る作品です。

妻夫木聡が演じた斉藤富二夫(サル)はマコトの中学時代の同級生。高校までいじめられっ子だった彼は、その反動もありヤクザになります。

このドラマをきっかけに人気に火が付いた若手俳優は多数。伝説のドラマとなりましたが、原作からキャラクター設定や物語がかなり変更されています。こちらの記事でその相違点を見つけてみてはいかがでしょうか。

「池袋ウエストゲートパーク」アニメ化で抑えるべきポイントを原作から解説!

 

著者
["石田 衣良", "有藤 せな"]
出版日

【テレビドラマ原作】妻夫木聡が最悪な誘拐犯に『リミット』(2000年)

 

刑事の有働公子は、連続幼児誘拐事件の捜査をしていました。しかしなんと、自身の息子も誘拐されてしまいます。息子を取り戻すため、公子はやがて警察をも敵に回して壮絶な戦いをくり広げることに。母性や親子の愛情を描いた作品です。

テレビドラマ『リミット もしも、わが子が…』で犯人グループの1人、篤志を演じたのは妻夫木聡です。笑いながら楽しそうに子供を襲う最悪な誘拐犯。幼児の臓器売買など過激な描写があり、20年経った今では観ることは難しそうです。

衝撃的な展開の多い野沢作品。スピード感があり、ハラハラしながら読み進められてしまいます。
 

 

著者
野沢 尚
出版日
2001-06-15

【テレビドラマ原作】可愛い年下男子を好演した妻夫木聡『カバチタレ!』(2001年)

 

ひょんなことから出会った田村希美と栄田千春。希美は、千春の勤務する法律事務所で働き始めます。何もかもが真逆なふたり。反発しあいながらも様々な法律上の事件を解決していきます。

第5、10、11話に出演している妻夫木聡。コンビニ店員の町田和哉を演じました。希美といい感じの仲になる年下男子を可愛らしく演じています。

主人公の2人は原作では男性の設定です。その他、細かい変更がされています。タイトルの「カバチタレ」とは、「文句や屁理屈を言う人」という意味の広島弁。法律を知ることで、泣き寝入りせず様々な手段を用いて戦えることが出来る……そういうことも学べる漫画です。

 

著者
["東風 孝広", "青木 雄二", "田島 隆"]
出版日

【テレビドラマ原作】同時期に『ウォーターボーイズ』で大ブレイク!『プラトニック・セックス』(2001年)

 

中学生の14歳の頃から学校へ行かず、シンナーの使用や家出を繰り返す少女・須川加奈。やがて遠藤愛という源氏名で水商売を始め、アダルトビデオへの出演もすることに。セクシー女優からテレビタレントへ転身した飯島愛の壮絶な半生を綴った自叙伝です。

2回に渡って放送されたこのドラマ。1日目の「17歳の青春編」で、ゲイに身体を売る少年・辻本峻役で出演した妻夫木聡。キャバクラで働く愛と付き合い始めますが、それは愛を利用するためのものでした。

36歳で突然この世を去った飯島愛。大変な反響を呼んだこの作品は、ベストセラーになりました。原作を読んで彼女の言葉を直に受け取ってみてください。

 

著者
飯島 愛
出版日

【テレビドラマ原作】先生との果たせない約束が切ない『漂流教室』(2002年)

 

突然の大地震により校舎ごと未来へタイムスリップした高校生たち。校舎の外側は砂漠のような荒廃した世界でした。彼らはこの世界で生き残れるのか?そして現代へ帰ることはできるのでしょうか……。

教師の浅見暁生と、ヒロインの元教師・三崎結花の恋模様も描きながら、今を生きるとはどういうことか、そんなメッセージの込められた作品です。

妻夫木聡は、結花の元教え子の不良生徒・藤沢隆太役。まだ粗削りながら、重要な役どころを印象深く演じています。

原作では舞台は小学校。ドラマよりも過激な描写が目立ちますが、本質は同じです。ドラマと見比べてみるのも楽しいですね。

 

著者
楳図 かずお
出版日

【テレビドラマ原作】妻夫木聡がカメラマンに『SWEETデリバリー』(2002年)

 

結婚式の最中に花嫁に逃げられた大森トオル。1年後、ウエディングプランナーの会社「スウィートブライダル」に出向を命じられます。心機一転頑張ろうとするトオルでしたが、採算重視のやり方に女性スタッフが反発し空回りばかり……オリジナルウエディングの会社でくり広げられるラブコメディです。

妻夫木聡が演じるのは、トオルの後輩でカメラマンの鳴海柊平。トオルとともに「スウィートブライダル」社で働きます。3、4回では彼に焦点を当てたお話も放送されています。

結婚式を作る側の人間たちにもそれぞれに恋愛や仕事の悩みがあり、それでも目の前のカップルのために奔走するウエディングプランナーたち。くすっと笑えて温かい気持ちになれる物語です。

 

著者
鴨居 まさね
出版日

【テレビドラマ原作】同窓会のようなスペシャルにファンも歓喜『池袋ウエストゲートパーク』(2003年)

 

『池袋ウエストゲートパーク スペシャル スープの回』として放送されたドラマスペシャル。連続ドラマから3年後を描きます。

トラックで果物の移動販売をしているマコトの元に、ホームレス襲撃事件を解決してほしいと依頼が来ます。今はもうそれぞれの生活を送っている彼らの同窓会のようなスペシャル。小ネタも満載でスペシャルゆえの豪華ゲストも話題になりました。

妻夫木聡演じるサルも出世して舎弟が出来ました。子供を育てながらヤクザとして池袋西口を仕切っています。

池袋ウエストゲートパークの3作目となる『骨音』が原作。スピード感ある描写が飽きさせません。シリーズは続いており、安定の面白さです。

 

著者
石田 衣良
出版日
2004-09-03

【テレビドラマ原作】理想に燃える研修医役『ブラックジャックによろしく』(2003年)

 

研修医・斉藤英二郎は、大学卒業まで順風満帆な人生を送ってきました。しかし、給料が足らずアルバイトとして働き始めた夜間救急の当直医。そこで彼は、理想だけではどうにもならない医療現場の現実に直面するのでした。

主人公の斉藤を演じたのが妻夫木聡です。フレッシュな研修生という役柄と、様々なテレビドラマ・映画に出演し力をつけてきた彼の成長が重なり、リアリティを感じさせます。悩み、泣きながらまっすぐに患者を想い続ける彼の演技に胸を掴まれるのではないでしょうか。

原作に忠実なドラマですが、原作ではもっと過酷な現場の描写もあります。医療の理想と現実との矛盾を知ることができます。
 

 

著者
[]
出版日

【テレビドラマ原作】妻夫木聡が演じると悪役も爽やか『砦なき者』(2004年)

 

長坂文雄はニュース番組「ナイス・トゥ・テン」のニュースキャスター。少女売春の元締である古谷めい子を特集した翌日、めい子は突然自殺してしまいます。そして、彼女の恋人だという男が名乗り出て、ライバル局に独占インタビューを受けるのですが……。

必死に彼女をかばう姿が視聴者の涙を誘い、一躍時の人となる八尋樹一郎を演じたのが妻夫木聡です。一見爽やかなルックスの彼の裏に隠された悪意。好青年タイプの彼が演じるからこそ、悪役も魅力的に感じてしまいます。

野沢尚自ら脚本を書いた最後のドラマとなった本作。原作では4章に分かれていて、ドラマの前振りにあたる部分が1章、2章と続きます。読み進めるたびに、マスメディアとは、ジャーナリズムとは何なのかという問いかけが心に迫ってきます。詳細が気になったあなたはぜひ原作もご覧ください。

 

著者
野沢 尚
出版日

【テレビドラマ原作】妻夫木聡大河ドラマ初出演にして主役!『天地人』(2009年)

 

妻夫木聡主演で火坂雅志の『天地人』を大河ドラマ化した作品。幼少時より越後上杉家に仕えた家老・直江兼続の生涯を描きます。

豊臣秀吉が自らの家臣に欲しがり、徳川家康も恐れた智将・直江兼続。初の大河ドラマ出演にして主演を担うことになった妻夫木聡はプレッシャーを跳ね飛ばし、凄みのある演技で兼続の生涯を生きました。

愛や義より「利」を重んじる戦国時代は、どこか現代とも繋がるものを感じます。その中での兼続の言葉に現代の我々も心を動かされる何かがあるはずです。

 

著者
火坂 雅志
出版日
2010-04-09

【テレビドラマ原作】妻夫木聡が妻・マイコと出逢った『犯人のいない殺人の夜』『怪しい人びと』『あの頃の誰か』(2012年)

 

フジテレビで放送された『東野圭吾ミステリーズ』人気作家・東野圭吾の短編小説『犯人のいない殺人の夜』『怪しい人びと』『あの頃の誰か』を元に主演、ストーリーも週替わりで11話放送されました。

第6話『シャレードがいっぱい』は、遺産相続争いに巻き込まれた青山弥生のストーリー。弥生の元カレ・北沢孝典役で妻夫木聡が出演しています。なかなか顔が映らないので、今や主演級の彼が演じていたことに驚きます。そして、妻のマイコと交際するきっかけとなった作品です。

東野ファンならきっと満足するこの短編集。ライトに読めるこの作品は、もちろん東野圭吾初心者にもオススメです。

 

著者
東野 圭吾
出版日

【テレビドラマ原作】妻夫木聡がラジオドラマに初挑戦!『世界から猫が消えたなら』(2013年)

 

NHKラジオドラマとして放送された本作。主人公の「僕」をラジオドラマ初挑戦の妻夫木聡が演じました。物語は、突然余命宣告を受けた「僕」が自分とまったく同じ姿をした悪魔に出会い、ある取引を持ち掛けられるというお話。

その「取引」とは、世界から何かを1つ消していくたびに寿命が延びるというものでした。1つずつ消えていくたびに、大切だったものを思い出していく主人公。そして、「僕」の心境にもある変化が訪れます。

同年の本屋大賞に選ばれた本作。猫や悪魔との不思議な共同生活に笑っていると、最後に想いも描けない感動が襲ってきます。涙なしには読めない1冊です。

 

著者
川村 元気
出版日
2014-09-18

【テレビドラマ原作】意外にも初めての父親役『キッドナップ・ツアー』(2016年)

 

夏休みの1日目、私は「ユウカイ」された……。

小学5年生のハル。誘拐犯は、別居中の父親・タカシでした。ハルを人質に取り母親と何かの取引をするタカシ。しかし、退屈な夏休みに憂鬱な気分だった彼女は「ユウカイ」に心躍らせるのでした……。

自由でだらしなく、しかしどこまでも明るい父親・タカシを演じるのは妻夫木聡。自身初の父親役でした。まるで本当の親子に見えてくるふたりのやり取りに注目です。ラストのタカシのセリフにはジンとさせられます。

角田光代が描く児童文学作品。不器用な父親の愛情を、少しクールな娘の視点から描いています。大人も共感してしまう、ちょっと不思議な、心温まる傑作です。

 

著者
角田 光代
出版日
2003-06-01

【テレビドラマ原作】妻夫木聡自ら映像化を企画した『イノセント・デイズ』(2016年)

 

妻夫木聡が映像化を自ら企画したドラマ『イノセント・デイズ』は早見和真の同名小説。日本推理作家協会賞を受賞した名作長編ミステリーです。
 

妻夫木演じる弁護士の佐々木慎一は、死刑判決を受けた幼なじみの田中雪乃の無実を信じ、それを証明するため奔走します。しかしその先々で思い知らされる雪乃の壮絶な過去。彼がたどり着く意外な真実とは?

ひたすらまっすぐに雪乃を信じ続ける慎一を熱演した妻夫木聡。その熱意が、豪華で個性的なキャスト陣を集めたのでしょう。

生々しく重い作品ですが、著者からの強いメッセージを感じるこの原作。妻夫木聡自身が読んで作者に直接掛け合ったという本作をぜひ手に取ってみることをおすすめします。

 

著者
和真, 早見
出版日

【テレビドラマ原作】小さな悪の連鎖に苦しむ父親『乱反射』(2018年)

 

公園の木が倒れてきたことで最愛の息子・翔太を亡くした加山聡と妻・光恵。新聞記者でもある聡は、息子の死の真相を突き止めようとします。誰もが少しずつの罪を抱え、そして責任転嫁をする社会。翔太の死は、そんな罪の連鎖が生み出した悲劇でした。

主人公の加山を演じたのは妻夫木聡です。息子を失った悲しみを、やがて自分自身に向けていく加山。翔太が亡くなった原因の一端が自分にもあったのではないか、と最後に気付いた彼の表情に心を打たれます。

読み進めるたびに、もしかすると自分にも当てはまるかもしれないと感じてくるこの原作。誰にでも当てはまる「まあいいか」という些細な出来事たちにスポットライトを当て、真実を削りだしています。最後まで見届けてほしい作品です。詳しい内容が知りたい方はこちらからどうぞ。

小説『乱反射』誰もが犯罪者になり得る恐怖。あらすじ、内容などネタバレ紹介

 

著者
貫井徳郎
出版日
2011-11-04

【テレビドラマ原作】吉高由里子との初共演『危険なビーナス』(2020年)

ある時突然、異父弟が失踪してしまうところから物語は始まります。そこへ「弟の妻」だと名乗る女性・矢神楓が登場し、夫を一緒に捜して欲しいと言われます。謎に迫っていくと、30億の遺産があることが発覚。しだいに、楓の魅力にも惹かれていきます。

テレビドラマ『危険なビーナス』で妻夫木聡が演じるのは、正義感が強い反面美女には弱い一面も持つ獣医の手島伯朗。ミステリアスな楓を演じる吉高由里子にどのように翻弄されるのか、ご注目です。

スケールの大きな謎と、人々の果てない欲望が本作の見所。妻夫木聡演じる主人公とともに、本当に正しいものはなんなのか考えながらお楽しみください。

原作やその他のキャストについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

小説『危険なビーナス』がドラマ化!相関図アリであらすじや見所を結末まで紹介

著者
東野 圭吾
出版日
2016-08-26

【出演作品一覧】妻夫木聡は映画やテレビドラマの幅を常に広げていく俳優

主役から脇役まで、実に数多くのドラマや映画に出演している妻夫木聡。彼の出演作を振り返ってみましょう。

【映画】

『なぞの転校生』(1998年) 原作『なぞの転校生』

『GTO』(1999年) 原作 『GTO』

『富江 re-birth』(2001年) 原作 『富江』

『ウォーターボーイズ』(2001年)

『SABU 〜さぶ〜』(2002年) 原作 『さぶ』

『Jam Films 「JUSTICE」』(2002年)

『さよなら、クロ』(2003年) 原作 『職員会議に出た犬・クロ』

『ドラゴンヘッド』(2003年) 原作 『ドラゴンヘッド』

『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)原作  『ジョゼと虎と魚たち』

『きょうのできごと a day on the planet』(2004年) 原作 『きょうのできごと』

『69 sixty nine』(2004年) 原作 『69 sixty nine』

『約三十の嘘』(2004年)

『ローレライ』(2005年) 原作 『終戦のローレライ』

『鉄人28号』(2005年) 原作 『鉄人28号』

『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005年) 原作 『真夜中の弥次さん喜多さん』

『春の雪』(2005年) 『春の雪』

『やわらかい生活』(2006年) 原作 『イッツ・オンリー・トーク』

『涙そうそう』(2006年)

『どろろ DORORO』(2007年) 原作 『どろろ』

『歌謡曲だよ、人生は』 第9話 「逢いたくて逢いたくて」 (2007年)

『憑神』(2007年) 原作『憑神』

『クワイエットルームにようこそ』(2007年) 原作 『クワイエットルームにようこそ』

『ザ・マジックアワー』(2008年)

『闇の子供たち』(2008年) 原作 『闇の子供たち』

『TOKYO! 「インテリア・デザイン」』(2008年)

『パコと魔法の絵本』(2008年)

『ブタがいた教室』(2008年) 原作 『豚のPちゃんと32人の小学生 命の授業900日』

『感染列島』(2009年)

『ノーボーイズ、ノークライ』(2009年)

『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』(2009年) 原作『ヴィヨンの妻』

『悪人』(2010年) 原作 『悪人』

『シュアリー・サムデイ』(2010年)

『マイ・バック・ページ』(2011年) 原作 『マイ・バック・ページ』

『スマグラー おまえの未来を運べ』(2011年) 原作 『スマグラー』

『愛と誠』(2012年) 原作 『愛と誠』

『黄金を抱いて翔べ』(2012年) 原作 『黄金を抱いて翔べ』

『東京家族』(2013年)

『清須会議』(2013年) 原作 『清須会議』

『ジャッジ!』(2014年)

『小さいおうち』(2014年) 原作 『小さいおうち』

『ぼくたちの家族』(2014年) 原作 『ぼくたちの家族』

『渇き。』(2014年) 原作 『果てしなき渇き』

『STAND BY ME ドラえもん』(2014年) 原作 『ドラえもん』

『舞妓はレディ』(2014年)

『バンクーバーの朝日』(2014年)

『家族はつらいよ』(2016年)

『家族はつらいよ2』(2017年)

『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(2018年)

『殿、利息でござる!』(2016年) 原作 『無私の日本人』

『怒り』(2016年) 原作 『怒り』

『ミュージアム』(2016年) 原作 『ミュージアム』

『愚行録』(2017年) 原作 『愚行録』

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017年) 原作 『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』

『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年) 原作 『泣き虫しょったんの奇跡』

『来る』(2018年) 原作 『ぽぎわんが、来る』

『パラダイス・ネクスト』(2019年)

『決算! 忠臣蔵』(2019年) 原作 『「忠臣蔵」の決算書』

『Red』(2020年)原作  『Red』

『一度死んでみた』(2020年)

『一度も撃ってません』(2020年)

『浅田家』(2020年) 原作 『浅田家』(写真集)


 

【海外映画】

『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT The Fast and the Furious: Tokyo Drift』(2006年)

『黒衣の刺客 刺客 聶隱娘』(2015年) 原作『聶隱娘』(日本語訳無し)

『僕はチャイナタウンの名探偵2 唐人街探案2』(2018年)

『パラダイス・ネクスト 亡命之途』(2019年)

『僕はチャイナタウンの名探偵3 唐人街探案3』(2020年)


 

【テレビドラマ】

『すばらしい日々』(1998年)

『美少女H2』 第10話(1999年)

『Over Time-オーバー・タイム』第2話(1999年)

『お水の花道』(1999年) 原作 『お水の花道』

『恋の奇跡』(1999年) 原作 『恋の奇跡』

『コワイ童話 「不思議の国のアリス」 』(1999年) 原作『不思議の国のアリス』(ドラマはの舞台を現代に)

『悪いオンナ 「占っちゃうぞ」 』(2000年)

『SNOW DANCE -ドリカムワンダーランド1999 5万人コンサート爆破予告‼』(2000年)

『池袋ウエストゲートパーク』(2000年) 原作 『池袋ウエストゲートパーク』

『リミット もしも、わが子が…』(2000年) 原作 『リミット』

『別れさせ屋』第3話(2001年)

『カバチタレ!』第5、10、11話(2001年) 原作 『カバチタレ!』

『学校の怪談 春の物の怪スペシャル 「俺たちの文化祭」』(2001年)

『天国に一番近い男 「教師編」』(2001年)

『できちゃった結婚』(2001年)

『プラトニック・セックス -娘の叫び! 親の涙…そして親子の闘いが始まる- 第1部 「17歳の青春編」』(2001年) 原作 『プラトニック・セックス』

『忠臣蔵1/47』(2001年)

『ロング・ラブレター〜漂流教室〜』(2002年) 原作 『漂流教室」

『東京ぬけ道ガール』(2002年)

『木更津キャッツアイ』 第9話(2002年)

『ウエディングプランナー SWEETデリバリー』(2002年) 原作 『SWEETデリバリー』

『SABU 〜さぶ〜』(2002年) 

『ランチの女王』(2002年)

『池袋ウエストゲートパーク スペシャル スープの回』(2003年) 原作 『池袋ウエストゲートパーク』

『ブラックジャックによろしく』(2003年) 原作 『ブラックジャックによろしく』

『ブラックジャックによろしく スペシャル 〜涙のがん病棟編〜』(2004年)

『砦なき者』(2004年) 原作 『砦なき者』

『オレンジデイズ』(2004年)

『世にも奇妙な物語2005 春の特別編 「美女缶」』(2005年)

『幸せを運ぶ眼鏡』(2015年)

『スローダンス』(2005年)

『天国と地獄』(2007年)

『大河ドラマ 天地人』(2009年) 原作 『天地人』

『東野圭吾ミステリーズ』第6話(2012年) 原作 『犯人のいない殺人の夜』『怪しい人びと』『あの頃の誰か』

『私が黄金を追う理由〜映画「黄金を抱いて翔べ」スペシャルドラマ〜』(2012年) 原作 『黄金を抱いて翔べ』

『世界から猫が消えたなら』(2013年) 原作 『世界から猫が消えたなら』

『若者たち2014』(2014年)

『キッドナップ・ツアー』(2016年) 原作 『キッドナップ・ツアー』

『イノセント・デイズ』(2018年) 原作 『イノセント・デイズ』

『乱反射』(2018年) 原作 『乱反射』

『危険なビーナス』(2020年) 原作『危険なビーナス』

いかかだったでしょうか。爽やかでまっすぐな好青年というイメージの妻夫木聡ですが、意外と悪役もこなしていることが分かりました。骨太な作品にも数多く出演しています。原作を読んでからもう一度映像をご覧いただくと、その作品のメッセージをより深く受け取れることでしょう。

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