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オノ・ナツメのおすすめ漫画ランキングベスト5!『ふたがしら』以外も名作

更新:2020.12.2 作成:2017.2.11

独特な画風で印象的な漫画家、オノ・ナツメ。「お菓子を食べて生きている」といわれる独特なキャラクターの彼女が生み出すのは、どこか映画を思わせる漫画たちです。今回は時代劇、SF、海外を舞台とした、オノ・ナツメの完結おすすめ漫画作品をご紹介!

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知れば知るほど面白い漫画家!オノ・ナツメとは?

オノ・ナツメは1977年7月9日に生まれました。高等学校卒業後、小野夏芽名義で同人活動を始めます。2001年イタリア留学を経験した後、2003年ウェブコミック雑誌「COMIC SEED!」において『LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ)~5番目の部屋~』でデビューします。

2000年に行われた主要国首脳会議のテレビ中継を見ていて元イタリア首相ジュリアーノ・アマート氏の老眼鏡姿に一目惚れ。オノ・ナツメの作品に白髪・眼鏡の初老の男性が多く登場するのはアマート氏の影響と思われます。

オノ・ナツメ名義とは別に、bassoという名前でボーイズラブ作品『クマとインテリ』『amato amaro』『Gad Sfortunato』『アルとネーリとその周辺』『ナカさんのながれ』などを発表しています。

漫画はコンテ(ネーム)をまずソファーに座って膝にボードを立てて描き、キッチンカウンターでコンテにそのままペン入れをするそう。流しに置いた原稿を水びたしにしてしまうこともあるというこの生活に密着した描き方は、なかなか他では耳にすることはありません。

毎朝4時にラジオ体操をし、三食キチンと「玄米とお味噌汁とお魚ってかんじ」で食べ、ベジタリアンではないけれどお肉は食べないというオノ・ナツメ。

一瞬で「あ、オノ・ナツメだ!」とわかる独自のタッチ、誰にもマネのできない静かな群像劇、まるで映画のような緊迫感溢れる画面は読者を惹きこみ、その作品は多くがドラマ化、アニメ化などメディアミックスされ、ファンを増やし続けています。

特にオノ・ナツメの描く初老の男性は、ボーイズラブ界に空前のおじさんブームを巻き起こしました。

5位:留学先で起こるドラマ。オノ・ナツメのデビュー作!『LA QUINTA CAMERA 5番目の部屋』

とあるアパートの「5番目の部屋」にまつわる人々を描いたこの作品がオノ・ナツメのデビュー作になります。「5番目の部屋」とは留学生に貸し出されるアパートの1室のこと。イタリアに語学留学にやってきたシャルロットは学校の手違いで中年男4人が同居するアパートを下宿先として紹介され、「5番目の部屋」に住み始めます。
著者
オノ・ナツメ
出版日
2006-07-28

賑やかな漫画家チェレ、気ままな街角演奏家ルーカ、働きづめのトラック運転手アル、バールを経営する大家マッシモの4人が「5番目の部屋」にやってくる留学生たちと共に軽やかに生きる楽しい毎日がページをめくるごとに繰り広げられます。

ほとんどモノローグのない漫画ですが、登場人物の内心を知ることができないことが逆に登場人物と同じ視点に読者を置いてくれます。私たちは他人の心を知ることができませんが、それでも目の前にいる人を愛し、共に生活してゆくことができる。ふだん意識することのない、そんな人との関わりを素敵に描いた漫画です。

「……おかしいね。チェレのこと迷惑迷惑って云いながらこんなに彼の事考えてる チェレって愛されてるんだな」(『LA QUINTA CAMERA~5番目の部屋~』より引用)

留学生・アキオのセリフにハッとさせられる部分があります。人を愛し共に生きる上で、迷惑などなんてことはない、ということに改めて気づかされます。

また本作で魅力的なのが作中で描かれるのは、ナターレ(クリスマス)、誕生日、妊娠、結婚など身近なイベントの数々。イベントを前に盛り上がったり落ち込んだりする登場人物たちの姿がリアルで、自分が「5番目の部屋」に住んでいるような親しみさえ感じます。イタリアに住んだ気分になりたいならば文句なしにこの1冊です。

4位:オノ・ナツメが描く眼鏡の老紳士はいかが?『リストランテ・パラディーゾ』

「どうしても結婚したい人がいるけどでもその人バツイチ嫌だって!」(『リストランテ・パラディーゾ』より引用)

15年前、そんな言葉を吐いた母に捨てられたニコレッタは、母の再婚相手に「この女はバツイチです」とバラすためローマへ。そんな彼女を老眼鏡の紳士しかいないリストランテ「カゼッタ・デッロルソ」が迎えます。
著者
オノ・ナツメ
出版日
2006-05-18

あらゆる老紳士を取り揃えました、よりどりみどりでどうぞ、と言わんばかりに老紳士が詰め込まれた枯れ専にはたまらない作品。「カゼッタ・デッロルソ」の従業員が老眼鏡の紳士しかいないのは、ニコレッタの母であるオルガの好みだからだそうで、オルガ、いいシュミしてます。

ニコレッタの復讐劇がメインかと思いきや、ニコレッタは老紳士クラウディオに惚れ、恋愛を話のタネにオルガと「女同士ならではの」良い関係を築いてゆくようになります。

クラウディオの元妻・ガブリエッラに直談判するニコレッタに対して、その場に居合わせたオルガがこう言います。

「さっきガブリエッラに向かっていったあなた カッコ良かったわよ さすが私の娘だわ」(『リストランテ・パラディーゾ』より引用)

この言葉から伝わってくる彼女たちのガッツ溢れる恋愛と生きざまは小気味よいほどです。

女も男も複雑な事情を抱えていますが、その重さや暗さをそれほど感じさせない気軽なタッチで話は展開します。多くの人の記憶にあるであろう、おじいちゃんの皺の刻まれた乾いた手。それにほのかなぬくもりのある登場人物、そしてストーリーが相まり、じんわりと優しい1冊となっています。

番外編作品に『GENTE』もあるのでそちらもぜひ。

3位:ニューヨークを守る奴らの日常。オノ・ナツメの映画的漫画!『COPPERS』

ニューヨーク市警51分署を舞台に警官たちの日常を描きます。物語は51分署の署長の入院からはじまります。「新しい職務や任地に赴いた初日には、必ず何か騒ぎが起きる」というジンクスを持つカッツェル副署長。彼が署長代理を務める初日に籠城事件が起きて……。
著者
オノ・ナツメ
出版日
2008-11-21

目次を超えて2ページ目、めくった瞬間に、見開きで描かれた籠城した犯人がいる建物を囲い、追い詰めた警官たちと、歩道に立ち尽くす男の絵。切り取られた瞬間によって音もなく語るオノ・ナツメの真骨頂があります。

その場所や人々がまるで本当に存在しているようなさりげなさを描くのが上手いオノ・ナツメですが、その力量が存分に発揮されている作品です。51分署に持ち込まれる騒ぎに対応する警官たちの姿が軽快に描かれています。

警官の家族も描かれます。恋人にプロポーズされたモーリーンがキース刑事の妻であるメリッサに会いに行くシーンがあります。

「警官には家族がいるべきなのよ 別世界があるべきなの」(『COPPERS』より引用)

メリッサの発言に、人生の大部分をかける仕事について理解を示す人のいる有難さを感じます。

映画『ザ・ウォーク』『英国王のスピーチ』『フランク』などの雰囲気が好きな方には問答無用でオススメの雰囲気で語る良作漫画です。

2位:国を見守る男たちの生きざまをオノ・ナツメが描く『ACCA13区監察課』

自治区から成るドーワー王国。その国内で警察、消防、医療などをまとめる独自の民間組織「ACCA(アッカ)」の業務を監視しているのがACCA13区監察課です。もともと自治区を信用できないという理由で100年前に組織されたACCA13区監察課ですが、現代の平和な時代に必要性が疑問視され、廃止を望まれています。
著者
オノ・ナツメ
出版日
2013-11-25

そんなACCA13区監察課で副課長を務める、通称「もらいタバコのジーン」がこの漫画の主人公です。ひょうひょうとした、という形容詞が似合う男、ジーンは自分のあずかり知らぬところで国の跡継ぎを巡る陰謀に巻き込まれていきます。

ACCA5長官であるグロッシュラーの発言やリーリウムの狙い、ジーンの親友であるニーノは一体何者なのか、クーデターにジーンがどう関係しているのか。緊迫感を伴う伏線がどんどん張られてゆくにも関わらず、作品の空気は淡々として静かなのが印象的です。

この作品の魅力は登場人物が「ストーリーを進めるための発言」をしないことにあります。どの登場人物も、必要性とは関係なく好き勝手に発言しているように思われるのですが、関係ないような趣味嗜好やこだわりがきちんとストーリーを構成する1要素になっていくさまは読んでいく上での嬉しい驚きです。

特に視察によって各自治区の個性的な特徴が見られるのが面白いところ。それぞれの地区の特性が全く異なり、架空の土地ではありますがまるで世界旅行をしているようです。世界のことを検索したりニュースを読んだり家にいながら世界を見るのが好きな方はぜひこの作品で、ドーワー王国を旅してみてください。
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1位:過去と今に翻弄される裏稼業。和のオノ・ナツメもどうぞ『さらい屋五葉』

性格の内気さから藩にお暇を出された気弱な浪人の秋津政之助が主人公。剣の腕は達者ですが、雇われの用心棒もクビになってばかりです。たまたま目のあったやくざな伊達男、弥一の希望で彼の専属用心棒になる政之助でしたが、じつは弥一は誘拐を生業にする「さらい屋五葉」の頭目で……。
著者
オノ・ナツメ
出版日
2006-07-28

こちらは打って変わって時代劇。和の雰囲気はオノナツメに合わないかと思いきや、そんなことはありません。海外を舞台にした作品では鮮やかな色彩が浮かぶ画面ですが、この作品は色をつけるなら黒、白、赤。上品で渋い色彩の中に、江戸に生きる人間たちの風情が浮かびます。

五葉のメンバーは弥一を筆頭に元女郎のおたけ、居酒屋店主の梅蔵、飾り職人の松吉、用心棒の政之助の5名。

政が指南役として働く道場に道場破りが押し掛けた際、看板を持っていかれることを心配する主に、政がこう言います。

「看板などまた書けば良いではござらんか」(『さらい屋五葉』より引用)

皆、生きている中で己という看板を背負う。しかしそれは替えの効くものである、それを端的に示すこのセリフはさりげないものですが、印象に残る場面です。

過去は関係ない。今を楽しめ。どんなに辛い過去があろうと、今を懸命に楽しく生きる登場人物の姿は、過去に囚われがちな私たちをそんな風に励ましてくれるよう。幼いころ誘拐され、身内に捨てられた経験のある弥一を見守るたくさんの人たちの心が暖かく、しんと心に沁み入ります。

オノナツメは一度触れると忘れられない、濃い世界観でいつも魅了してくれる漫画家です。それぞれの作品で絵柄がすこしずつ違うのも魅力的で飽きさせません。あたたかいけれどベタベタしない、オノナツメ漫画の登場人物たちと、彼らの集う場所に、この機会にぜひ飛び込んでみてください!