久保ミツロウのおすすめ漫画ランキングベスト5!映画化作品『モテキ』の作者

更新:2021.11.23

『モテキ』『アゲイン!!』など、ドラマ化や映画化されるほどの人気作を生み出してきた久保ミツロウ。フィギュア好きとして知られており、趣味がこうじて、2016年にはアニメ「ユーリ!!!on ICE」の原案も担当しました。 そんな久保の代表作といえば、やっぱり『モテキ』。映画化もされ、大きな話題となりました。ただ面白い作品は、『モテキ』だけではありません!今回は個性的なストーリーが光るおすすめの作品を、ランキング形式でご紹介していきます。

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久保ミツロウの魅力は個性的なキャラクター!どんな漫画家?

作者は、長野県出身の漫画家。ペンネームや自画像を見ると男性かと勘違いしてしまいますが、女性です。

小学生の頃から漫画家になりたいという夢を持ち、高校生の時には地元の同人誌即売会にオリジナル漫画作品を出品。学生のうちに少女漫画誌「なかよし」の漫画賞で、シルバー賞を受賞しています。

1996年に、『しあわせ5はん』でデビュー。当時は、久保美津子という本名で活動していました。華麗にデビュー!かと思いきや、掲載雑誌が廃刊。その後少女漫画雑誌に移ったものの、恋愛物のストーリーを練るのに苦労したそうです。

しかし、「週刊少年マガジン」からオファーを受け描いた『3.3.7ビョーシ!!』が、まさかのヒット。ペンネームを久保ミツロウとし、ヒット作品を飛ばし続けています。

久保の作品は人物描写に定評があり、「こういう人、いるいる!」と思わせるような、人間のリアルな面を緻密に描くのが特徴です。また画力が高いことでも有名で、その構成力や画力の高さで、2016年に話題となった人気アニメ「ユーリ!!!on ICE」の原案、キャラクター原案も担当しました。

また、タイトルにビックリマークをつけることが多いことでも知られています。面白さに「ビックリ!」できる作品の数々を、ランキング形式でご紹介していきましょう。
 

5位:幻の初期作品!『久保ミツロウ 初期作品集 しあわせ5はん/くらげ』

 

冒頭で書いたように、まだ少年漫画ではなく少女漫画を描いており、本名で活動していた頃の作品が収録された本作。全6話収録の短編集です。

少女漫画なだけあって、本記事で紹介する作品の中では唯一主人公が女性です。幼少期から料理が得意で、この才能を生かしたすごい大人になりたいと思っていた主人公まどか、24歳。小さい頃からその夢を追い続けていたものの、いつも言われるのは「いいおヨメさんになるね」の一言だけでした。

 

久保ミツロウ 初期作品集 しあわせ5はん/くらげ

2014年07月18日
久保ミツロウ 美春羽里 森浩美
講談社

夢を叶えるために大手食品メーカーに入社し、毎日のように企画書を出すまどか。しかし上司からは「そんなことは求めてない」と一蹴され、お茶汲みやコピーなどの雑用しかさせてもらえません。そんな日々にストレスを抱えているまどかを癒してくれるのは、おいしいご飯が好きな仲良しの女友達4人と集まって騒ぐこと。

幼い頃からの友人で食材調達の達人である聖美、普段は大人しいけれど料理の達人の純江、美人で盛り付けのセンスが抜群な涼子、料理はなにも出来ないけど超繊細な味覚を持つユイ。

ある日、まどかは、この5人でランチのお店を開こうという一大計画を思いつきます。まどかの発言に驚いたり反対したりもしましたが、まどかの熱意に動かされ、様々な問題を乗り越えながらお店をオープンするために頑張る5人の姿が描かれます。

「ひとりだけで なにかを始めるには 中途半端な才能でも このまま 終わらせるには もったいないものを みんな持ってると思う」(『しあわせ5はん』より引用)

というのがまどかの考えです。1人では不可能なことも仲間と一緒なら可能になる、と教えてくれる作品です。

久保ミツロウは少年漫画家として人気を博しているため、少女漫画はどうなんだろう?と思って読んでみると、いい意味で裏切られます。際立ったキャラクター描写とちょくちょく挟まれるコメディー要素は、昔も今も変わらない面白さです。

4位:久保ミツロウが描く情熱の海上保安官『トッキュー!!』

 

強くたくましい救助隊。陸、山、海などで生命の危機に立ったとき、助けに来てくれるヒーローですよね。本作では、そんなヒーロー達の戦いが「海」を舞台に描かれます。タイトル名は海上保安庁創設時の隊名である特殊救難隊(特急隊)に由来しています。

主人公は新米潜水士の海上保安官、神林兵悟。彼の父親は漁師でしたが、ある日漁に出てから戻ってこなくなってしまいました。そのときにずっと悲しい気持ちで海を眺めていた経験があり、この仕事を選んだのです。

そして、潜水士になったばかりの頃に自身の力ではどうしようもない海難事故に遭遇。それを助けた「トッキュー」所属の真田甚に憧れ、その姿を目指すようになっていきます。

 

トッキュー!!

2004年05月12日
久保ミツロウ、小森陽一
講談社

 

海上保安庁の中でもなるのが難しい潜水士。さらにその中でも海難救助のスペシャリストだけで構成される「トッキュー」に入りたい兵悟。その道は平坦ではありませんでした。

同期兼ライバルと一緒に訓練に励みますが、厳しい訓練はもちろん、途中で仲間が除隊されたり、意見の違いから喧嘩をしたり……。しかし人一倍情熱を持っている兵悟は見事トッキュー隊員になり、より困難となった海難救助活動に立ち向かっていくのです。

兵悟は自身の経験から「人を助けたい」という気持ちが強く、熱血漢。どんな場でも一直線に突っ込んでいきます。上司の命令も無視、2次災害の可能性も無視、と無鉄砲ではありますが、その情熱には胸が熱くなることでしょう。

原作は映画化されたことでも有名な『海猿』の作者。『トッキュー!!』でも訓練や海難事故の様子が綿密に描かれます。そしてそれを盛り上げているのが久保の画力。綿密に練られたストーリーと迫力のある絵に、ページをめくる手が止まりません!

 

3位:久保ミツロウの少年誌デビュー作!応援団×ホストの異色コラボ?『3.3.7ビョーシ!!』

 

生きていれば、辛いことや疲れることもありますよね。そんなとき、誰かに「がんばれ!」と言ってもらえるだけで背筋が伸びることはありませんか? 本作品ではそんな応援にスポットが当てられます。

主人公は、高校3年生の福田新一。作中ではフクと呼ばれます。彼は一年生のときに見た学校の応援団、特に団長に憧れ自身も応援団となりました。

3年間応援団の活動に従事し、最後の応援をやりきったフクに次に待ち受けるのは受験。予備校に通うために上京したフクと友人でしたが、ひょんなことからボッタクリバーに入ってしまい、追われる身に。それを助けてくれたのは、憧れていた元応援団団長ウメでした。

助けられたお返しにウメの仕事を手伝いたいと言うと、連れて行かれたのはなんとホストクラブで……。

 

3.3.7ビョーシ!!

2001年11月14日
久保ミツロウ
講談社

 

見た目も平凡で特に取り得もないフクですが、唯一、応援だけは頑張れると自信を持っています。昼間は予備校、夜はホストという特異な生活を送りますが、素直な性格ゆえに様々なトラブルに巻き込まれることに…。しかし純粋に人を思いやる気持ちと持ち前のガッツで、そんな生活を駆け抜けていくのです。

ホストクラブやキャバクラが立ち並ぶ、いわゆる夜の街が舞台なだけあって、煌びやかな場面と暗い場面の差が激しく、社会の闇が描かれているように見えます。そんな街では人の悩みも多くいもの。さまざまなキャラクターが登場しますが、フクは悩みを抱える人々をひたすら応援し続け、応援された人々は頑張って立ち直っていきます。

本作で面白いのは、やはり登場人物。見た目や中身が個性的なキャラクターが続々登場します。自分のことをイケメンと思っている不細工なホストが、お客さんの前では表情がガラッと変わったり、超絶美人なホステスが家ではスッピンにメガネでめちゃくちゃ地味だったり……。「現実にもこういう人居そう!」とも思いつつ、なかなか出会えないような人物が多いため、興味が湧いてくることでしょう。

久保ミツロウの少年誌デビュー作である本作品は、ストーリーの面白さから未だに根強い人気を誇っています。読むと「いい人にも何か欠点はあり、悪い人にも美点はある」と実感できることでしょう。またどんな人であろうと背中を押してくれる主人公を見れば、ちょっと嫌なことがあっても頑張れる気がします。仕事に、家庭に、恋愛に……。何かに疲れたときに読んで欲しい作品です。

 

2位:青春時代を、やり直す?『アゲイン!!』

 

「あの時に戻りたい」そう思ったことはありませんか?生きていれば後悔していることのひとつやふたつありますよね。「もっとああすればよかった」「今の自分だったらこうするのに」そんな願望を叶えてくれるのがタイムスリップです。

加保須南高校の卒業式。主人公は高校3年間、特に友達も出来ず青春の思い出もないまま、この日を迎えた今村金一郎です。

周りが楽しかったことや後悔したことを話しているのに参加すらできませんが、彼にも1つだけ後悔していることがありました。応援団団長である宇佐美良子から応援団に勧誘されたものの、入部しなかったこと。

あのときに入部していたら自分の高校生活はどうなっていたんだろう、そんなことを考えて旧校舎にある応援部の部室を訪れますが、ひょんなことから同級生の藤枝暁と供に階段から落ちてしまいます。そして目が覚めたら、そこは3年前の世界で……。

 

著者
久保 ミツロウ
出版日
2011-09-16

少年漫画にはスポーツものや部活ものは溢れかえっていますが、応援団というテーマはあまり見ないですよね。部活もので他作品と違う点は「応援には勝ち負けがない」ということです。たとえば、応援している野球部が負けても、それが相手校の応援団に負けたということにはなりませんよね。

では、スポーツモノのように熱くなったり感動したりはしないのか? そんなことはありません。たとえば、応援に行っている野球部が大量得点リードされ、周りが諦めムードになっている中で宇佐美が言った

「応援は理屈じゃない 勝ち負けを先に決めるのが応援か?違うだろ!!勝つことを最後まで信じるのが応援だ!!」(『アゲイン!!』より引用)

という一言には、つい胸が熱くなってしまいませんか?

金一郎が行動を起こしたことで変わっていく未来。読んでいると「今からでもなにか頑張ってみようかな」という気持ちになることでしょう。さらに個性的なキャラも次々と出てきて、その掛け合いも面白くなっています。SF、青春、恋愛、コメディ要素が詰め込まれた秀逸な本作をぜひお楽しみください!

1位:久保ミツロウの代表作!『モテキ』

 

「人生3回モテ期がある」という言葉を聞いたことはありませんか? これが本当かどうかはともかく、そんな「モテ期」をテーマにした久保ミツロウの人気作『モテキ』をご紹介します。
 

本作の主人公藤本幸世は、アラサーの独身男性。九州出身ですが東京で派遣社員をしています。今までモテたことがなく、恋愛経験値は底辺……。そんな彼にもモテ期が訪れました。

ある日、急に鳴り出した携帯をきっかけに、一気に女性との関わりが増えていきます。前の職場の同僚である27歳、趣味仲間の22歳、幸世が人生で一番好きだったという29歳、そして中学の同級生など……。

ついにモテ期が来た!と恋愛に乗り出していきますが、そこは恋愛偏差値の低い男。幸世なりに奮闘するものの簡単にはうまくいかず、更に優柔不断なため色んな女性の間で揺れ動き続け……。

 

著者
久保 ミツロウ
出版日
2009-03-23

単なるハーレム漫画ではありません。男女の駆け引きがものすごくリアルに描かれており、「男ってめんどくさい……」「女って怖い……」「恋愛って難しい……」と思いながら、翻弄されるアラサー男性の姿を面白おかしく読める作品です。

全4巻で完結していますが(※作者インタビューなどが掲載された4.5巻も刊行)、人気絶頂のときの連載終了だったため、未だに続編を期待する声も多い本作品。ただし久保ミツロウ自身が本作で描きたいことは描ききったと発言しているため、物語は終了したと思っていいでしょう。

終了が惜しまれるほどの濃い内容に加えて、描きたいことを詰め込んだと作者もお墨付きの作品。幸世は結局誰との恋愛を成就させるのか?そもそも成就できるのか?ぜひ本作でその結末を確かめてみてください!


モテキについて紹介した<漫画『モテキ』の魅力をネタバレ紹介!映画、ドラマだけで終わらないで!  >の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

ご紹介したストーリーの面白さはもちろん、文面ではあまりご表現できないのが残念に感じるくらいのすばらしい画力。絵柄も作風もイチオシの久保ミツロウ作品。ぜひ一度手に取ってみてください!

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