漫画家の三田紀房と言えば、代表作の『ドラゴン桜』をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし他にもおすすめしたい、魅力的な作品をいくつも執筆しているのです。そんな三田紀房のおすすめ漫画を6作品ご紹介します。
『ドラゴン桜』を執筆した漫画家の三田紀房は、大学卒業後に西部百貨店へ就職しました。衣料品店を営んでいた父が経営不振の中体調を崩したことで、退職して実家のある岩手に戻り、兄とともに家業を手伝うように。しかしその2年後に父を亡くし、多額の借金の存在も明らかとなったことで、金銭面に大きな悩みを抱えることになりました。
そんな折、マンガ雑誌に新人募集の広告を見つけ、賞金を得るため漫画執筆を決意。自身の義姉が、漫画家の村上もとかの妻と親交があったため、取材で岩手を度々訪れていた村上に評価をしてもらいながら作品を描き上げます。30歳のとき、晴れて講談社のちばてつや賞一般部門に入選し、再び上京して漫画家としてのスタートを切ったのです。
漫画家としては遅いスタートであり、アシスタントの経験もなく、若いころから漫画家に憧れて創作活動をしたというわけでもない、珍しい漫画家といえるでしょう。
デビュー後はスポーツ漫画、主に野球漫画で頭角を現すものの、生活はギリギリの状態だった三田紀房は、アンケート結果を研究し、売れる漫画のパターンを研究するようになります。2003年に執筆した代表作『ドラゴン桜』がブレイクのきっかけとなり、同作はドラマ化され社会現象にもなるほど人気を博しました。
第6位は『クロカン』。野球を監督の立場から見た作品です。
主人公の黒木竜次、通称クロカンは、型破りな戦法でおなじみの監督。口が悪く、賭けに出るかのような采配で試合を進め、後援者や学校関係者たちとも幾度となくぶつかり合う人物です。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
本作の見所は何といっても監督同士の駆け引き。当初の展開は王道の野球漫画らしい展開なのですが、どんどんと監督同士のトリッキーな勝負が増していきます。
監督たちは実際には言葉をほとんど交わさずに相手の意思や作戦を読み取ります。サインはもちろん、部員たちの動きや、試合展開から次の一手を考えるのです。
それは言葉なきコミュニケーションとも言えます。そして会話が無いだけに、より緊迫した試合の雰囲気にシビれるのです。
監督という立場から見る野球もまた面白い!彼らの大局観を追随して見る、新しい試合の楽しみ方がここにあります。
『クロカン』については<『クロカン』が全巻無料!監督が主役の熱い野球漫画の魅力をネタバレ紹介!>で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
第5位は『銀のアンカー』。原作を三田紀房、作画を関達也が担当した作品です。
ヘッドハンティングのプロ、白川義彦が、就職に対して不安を抱いている学生たちに、現代における就職活動のポイントを伝授していくというストーリーです。
- 著者
- 三田 紀房 関 達也
- 出版日
- 2007-03-23
タイトルの『銀のアンカー』とは、就職を船が港でアンカーを下すことに例えた白川の持論からつけられています。若いころから明確な目標やビジョンを持ち偉業を成し遂げた人は「プラチナのアンカー」や「金のアンカー」、特に目標はなくとも社会人になるときに努力して納得できる職業に就いた人は「銀のアンカー」である、というもの。この作品に登場する学生たちは、まさに銀のアンカー。白川のアドバイスで成長する学生たちの物語は、タメになる情報も満載でぐいぐい引き込まれること間違いなしです。
大学受験をテーマにした『ドラゴン桜』に対し、就職活動を描いた『銀のアンカー』。実際、就職活動において大切な、様々ポイントが学べる濃い作品でもあります。就職に対する意識づくりにも適しているので、まずは気軽に読んでみてください。本来あまり楽しいイメージのない就職活動ですが、楽しく漫画で読めるのは魅力的ですね。これから就職する学生はもちろん、社会人の方々にもおすすめです。
第4位は『アルキメデスの大戦』。1933年、前年に満州国樹立宣言した日本と、中国大陸を狙っている欧米列強との溝はより深くなり、対立は激化。
そんな中、次世代の海の戦いを見据えた、新型戦艦建造計画会議が海軍省のもと開かれようとしていました。しかしその会議は、航空主兵主義派、日本海軍伝統を尊重する大鑑巨砲主義派との権力争いの始まりでもあったのです。
この問題に若き数学の天才、櫂直が挑みます。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2016-05-06
大鑑巨砲主義派が提案する戦艦大和の建造を阻止したい航空主兵主義派。突破するポイントは大鑑巨砲主義派の捏造したあまりに安すぎる建造予算。そこで、主人公で数学の天才、櫂直が部下とともに活躍するのです。史実を織り交ぜたフィクション作品。派手な起伏はなくとも、ついつい先を読まずにいられない展開を辿ります。
直接の物理的な戦いでなく、予算を計算する、それだけで緊張感とスリリングさを楽しめる面白い作品でもあるので、ぜひ読んでみてください。
第3位は『砂の栄冠』。樫野高校野球部は、夏の県大会決勝まで勝ち進むものの惜しくも逆転負けをし、甲子園出場を逃します。
そんな折、古くから樫野高校野球部ファンであるという老人トクさんから、これを使って甲子園へ行けと、主人公の七嶋に1000万を託します。彼はそのお金を使い、チームを強化しながら仲間とともにもう一度甲子園を目指すことになります。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2010-12-06
『砂の栄冠』のテーマは、高校野球とお金。そのため一般的に見られる野球漫画やスポ根ものと比較すると、ブラックな要素も織り交ぜられているのが特徴です。
また、高校野球は単なる青春や学生スポーツではなく、「興行」であることを強調し、野球部員たちは「さわやかな高校球児」を演じることで、より試合を有利に進めていきます。野球漫画は好きだけど、普通の青春ものやスポ根は飽きた!という方にもおすすめです。
部員たちの細かい心理描写や、高校野球のキラキラとした美しい青春、汗と涙、そんなイメージを覆すかのような、きれいごとだけでは勝つことができないという現実的なストーリー。リアルを感じる作風も魅力です。
使えない監督の代わりに、貰ったお金でチームを指揮していくと決めた七嶋の表情がかなりブラックです。高校球児にこれだけドス黒い表情をさせる野球漫画はそうそうないでしょう。少し変わり種の野球漫画が読みたい方、ぜひお手にとってみてください。
第2位は『ドラゴン桜』。元暴走族で駆け出しの弁護士、桜木健二は経営破綻状態の落ちこぼれ高校の運営問題を請け負うことに。経営状態を回復させるためには進学実績を上げることが手っ取り早い方法と考えた桜木は、5年後に東大合格者100人を出す計画を立案します。
個性あふれる受験指導で実績のある教師を集め、特別進学クラスを開設。桜木は様々な受験のテクニックや勉強法を落ちこぼれ生徒たちに伝授していきます。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2003-10-22
ドラマ化され、社会現象も起こした大人気作品『ドラゴン桜』。三田紀房自身は明治大学出身ですが、担当編集が東大を卒業しており、「東大は簡単にはいれますよ」と言ったことが作品の誕生につながったそうです。
連載中も担当編集や、担当編集の東大同級生のつてを辿って勉強方法を聞き出し、作品に織り交ぜて描いています。そのため、かなりリアルな受験テクニックや勉強法が描かれているのが魅力です。
テーマは受験ですが、人生において大切なことがたくさん描かれているのもポイント。お金について、社会のルールについて、生き方について、幅広く網羅した人生の学習漫画でもあるのです。
人生を諦めた落ちこぼれ生徒たちが東大を目指す物語、楽しく勉強や人生を学びながら読んでみてください。
『ドラゴン桜』については<『ドラゴン桜』あらすじ、勉強法をまとめてみた。名言にも学びがある【無料】>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
第1位は『インベスターZ』。北海道の私立道塾学園は、全国屈指の好成績を誇る中高一貫の男子高で、創設者の方針により、生徒やその家族には金銭負担をかけないことが決まりでした。
入試に満点で合格した財前孝史は、校内の地下室でマージャンをしている生徒たちが学校の運営資金を稼いでいるという投資部だと知り、疑念は抱きつつも、マージャンで遊べるならという理由で活動に参加することを決めます。
- 著者
- 三田 紀房
- 出版日
- 2013-09-20
創設者の一族によって学費も運営費も全て賄われていると思われていた学校の資産を、実際に運用していたのは優秀な学生たちだった、という斬新な設定。まだ子供である学生たちが億単位のお金を動かし、天才同士で難しい投資の話をしているという、これまでに類を見ない作品です。
投資の初心者である主人公の成長とともに、読者も投資を学び、気づきを得られるという面白さがあります。
お金や、お金をもうけたいと聞くと、どこかマイナスイメージを持たれることが多いですよね。作者の三田紀房は自身のお金にひどく苦労した経験から、単に卑しい汚いものではなく、もっとお金について積極的で肯定的な考えが増えてほしいと語っています。『インベスターZ』は、そういったお金に関する思いも込められた作品でもあるのです。
三田紀房のおすすめ漫画ランキング、いかがでしたでしょうか?この記事が、新しい作品との素敵な出会いに役立てば幸いです。