長編漫画も読みごたえがあってよいですが、短いストーリーの漫画はいかがですか?今回紹介する漫画は、短いけど読みごたえ十分なおすすめの漫画です。巻数が少ないので時間がない方には、特におすすめです。よい読みごたえ
礼香と庸子はゲーム会社、クラインソフト社員寮のルームメイト。ある日、ふたりは目をさますと別世界にいました。そこは見慣れた部屋のようで、少し異なり、空間がなくなったり増えたりする不思議な迷宮。ふたりはこの世界の謎を解き明かし始めます……。
2
- 著者
- たかみち
- 出版日
- 2015-08-10
『百万畳ラビリンス』はゲームソフトのイラストやキャラデザインを手がけるイラストレーター、たかみちによる漫画作品。彼は『ゆるゆる』や『りとうのうみ』など、ほのぼのとした日常漫画を得意としますが、本作ではファンタジーを本格的に描いています。
世界の危機、表世界と裏世界、空間に何かしらの「バグ」がおこるとその空間ごと食べてしまうパックマンのような存在、キーアイテムを探せというミッション、そのキーアイテムのひとつ、ゲームコントローラーが世界を行き来する鍵になるなど、設定が凝っていて、まさにゲームの中にいるよう!ゲームソフトの開発に長年携わってきた、たかみちならではのゲームのリアリティが詰まった作品です。
この世界にとっては「バグ」と見なされるふたりの存在を、宇宙人のような生物たちが追ってきます。しかし、そのバグ的な行動こそこの世界を救う鍵となるのです。ふたりがこの世界の謎を解く、その新しいやり方を作品でお確かめください。
『百万畳ラビリンス』の作品に関しては<『百万畳ラビリンス』で少女は自由になる。じわじわ売れ続ける名作を考察!>で詳しく説明しています。
ゲームは、面白ければたくさん売れるのではないか、と単純に考えてしまいますが、制作には資金が必要であり、そこに人件費や様々な諸経費が掛かります。また、際限なくお金をかけていけば面白い物ができ、売れるというわけではありません。
2
- 著者
- うめ
- 出版日
- 2007-09-22
『東京トイボックス』は、面白いゲームを作るためなら労力も資金も惜しまない天川太陽と、天川が設立した「スタジオG3」を立て直すためにやってきたOL、月山星乃の、開発や経営を巡る戦いと、恋を描いた作品です。
ゲームの事しか考えておらず、面白い物を作るためならば納期も踏み倒していく天川は、無邪気な子供のようですが、ゲーム制作に対するこだわりの強さは称賛に値するもの。ついていかなければならないスタッフや、立て直しをすることになった月山は大変ですが、自分の好きなことに打ち込む人を見ていると、自然と応援する気持ちがわき上がってきます。
物語の展開が突然だったりする場面もありますが、ゲーム制作の裏側を楽しみながら読むことができます。仕事に対する天川のスタンスは、日々の中で忘れがちな情熱を思い出させてくれるのではないでしょうか。恋愛ものとしても、お仕事ものとしても楽しめる作品です。
『東京トイボックス』の作品に関しては<お仕事漫画『東京トイボックス』がアツい!【ネタバレ注意】>で詳しく説明しています。
老人介護サービス会社で働くナカニシは、仕事もうまくいかず、上司から説教されるばかりの日々に嫌気が差していました。
そんなある日、インターネットで知り合った「エクサム」という人物から、「ダズハント」という謎のゲームを紹介されます。ストレス発散をするにはうってつけだというそのゲームに参加することにしたナカニシですが、それは参加者同士が賞金を奪い合う略奪ゲームで……!?
1
- 著者
- 筒井 哲也
- 出版日
- 2005-05-25
ナカニシが参加する「ダズハント」は、参加者ひとりひとりに配られる「マーキー」という機械を奪い合うというもの。ゲーム終了時に所持していたマーキーの数にともなって賞金を得ることができます。
しだいにゲームにのめり込んでいったナカニシは、会社も辞め、「ダズハント」で獲得した賞金だけで生活をするようになりました。
しかしこれにはある意図が隠されていたのです。それはナカニシ自身の過去にも関わることであり、物語の根本的なテーマでもあります。
社会派漫画としての面白さももちろんですが、ゲーム自体も見どころのひとつ。「マーキー」を奪い合うという単純なルールですが、参加者たちのプレイスタイルはさまざまで、ただ逃げ回って最低限の賞金獲得を狙うものや、複数人でチームを組むものなど、それぞれの性格が表れます。
スピード感あふれる展開に、最後まで一気に読んでしまう作品です。
『ミスミソウ』は、コミックス全3巻、完全版2巻で完結している作品です。舞台は過疎化が進む、とある田舎町。凄惨ないじめとそれに端を発した復讐劇が描かれます。田舎はのどかというイメージがあるかもしれませんが、同時に閉鎖的な空間であり、陰惨なできごとが起こりやすい場所へと変貌するのです。
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- 著者
- 押切 蓮介
- 出版日
東京から父親の仕事の都合で、大津馬中学校に転校してきた野咲春花。よそ者であるせいか、学校でいじめの対象にされてしまいます。もうすぐ卒業ということもあり、自分が耐えればいい、と我慢していた春花でしたが、ケガをした事で両親のススメもあり、不登校に。しかし、その行動がさらなる悲劇を呼んでしまいます。
家に引きこもった春花を、いじめの主犯格である佐山流美が引きずり出そうとしたことがきっかけで、野咲家は火事に。両親は死亡し、妹は大やけどを負って生死の境をさまよう事態になってしまいます。自分がきっかけで家族が不幸になったことで、春花は自分をいじめていたクラスメイトに復讐を誓うのでした。
最悪の結果から、さらに最悪の事態に至りますが、復讐劇が延々と長引くわけではありません。綺麗な終わり方に、やるせなさと同時にすっきりとした読後感を得るはずです。救いのない復讐劇の行く末を見届けてください。
『ミスミソウ』の作品に関しては<『ミスミソウ』の見所を最終回までネタバレ紹介!傑作ホラー漫画の鬱展開…>で詳しく説明しています。
芽衣子と種田は同棲しているカップル。もやもやとした不満から会社をやめた彼女と、売れないバンドマンの彼は先行きの不安な毎日を送っています。
ある日、おさまったとはいえ、別れ話の後に種田は5日間音沙汰がなくなります。不安になる芽衣子ですが、実は彼は就職先を決めてきたのです。電話で「これからは2人で幸せになろう」と言った種田ですが、帰路で交通事故に遭い……。
2
- 著者
- 浅野 いにお
- 出版日
- 2005-12-05
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』で人気を集めている浅野いにおの作品です。彼は、同じく代表作『おやすみプンプン』や『うみべの女の子』の作風からも分かるように、共感度の高い日常的な鬱展開を描くことを得意としています。
本作でもその作風は健在。だれてしまった男女関係に、先行きの見えない生活などの荒廃したムードがリアルに描かれています。そしてムードだけでなく、展開もなかなかにリアルで痛い。いわゆる「社会的価値」が低いであろうふたりに突きつけられる周囲の対応に、彼らのギスギスした会話、種田の交通事故となかなかのボディーブローを打ってきます。
しかし、浅野いにおいわくこの作品はネガティブ要素少なめ。彼の作品や、鬱漫画に興味のある人は入門編としてもいいかもしれません。ただ、彼の作品はもともとのネガティブ濃度が高いので少なめと言っても結構じわじわきますが、その耐性があるかどうかはぜひ作品でチェックしてみてください。
『ソラニン』の作品に関しては<漫画『ソラニン』の魅力を徹底紹介!大人の入り口に立ったあなたにおすすめ!>で詳しく紹介しています。
主人公の菜穂は高校2年になる始業式の日、不思議な手紙を受け取ります。その差出人は未来の自分でした。当初は信じていなかった菜穂ですが、その手紙に書かれていた通りに転校生の翔がやってくるのです。その後も手紙の通りになる現実。菜穂は未来の自分の後悔、「翔のいない未来」を変えるため、努力するのですが……。
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- 著者
- 高野 苺
- 出版日
高校生で漫画家デビューした高野苺の代表作です。本作は彼女が26歳の時に連載を開始した作品で、その絵柄の可愛さと青春群像劇を見事に描いた手腕に若き才能が感じられます。
本作はSFストーリーとして紹介されていることが多いですが、その設定は割とあっさりめなのでそのような展開が読みたい方にはあまりおすすめできないかもしれません。この作品の魅力は青春の後悔を丁寧に描いているところにあるのではないでしょうか。
主人公の菜穂はかなりの引っ込み思案でなかなか現実を変えられません。しかしそんな反応こそ自然ではないでしょうか。未来の自分から手紙をもらったからといって、今の自分の性格はすぐに変えられるものではありません。その後悔も想像のものでしかないのですから。
しかしやはり変えられないと手紙にあった通りに後悔する。未来でも今でも重複する葛藤の心理描写の巧みさこそ、この作品の魅力なのではないでしょうか。ぜひ作品でその青春の後悔の様子、変化を読んでみてください。
『orange』の作品に関しては<漫画『orange』(オレンジ)の見所を全巻ネタバレ紹介!切なくて泣ける>で詳しく紹介しています。
『かくかくしかじか』は、『海月姫』や『東京タラレバ娘』を描いた東村アキコの自伝的漫画です。
主人公の林明子は、自分の事を絵の天才だと思い込みながら、少女漫画家になることを夢見ている女の子。高校3年生の時、日高絵画教室の美大進学コースに入り、そのまま美術大学に進学して、在学中に漫画家としてデビューをするというバラ色の人生計画を立てています。
しかし、待っていたのは日高絵画教室の講師で、画家でもある日高健三によるスパルタ指導。彼女の自分は「絵の天才」という思い込みは無残にも打ち砕かれ、しごかれる日々です。そんな恩師の日高先生と主人公の明子との戻れない青春の物語が描かれています。
5
- 著者
- 東村 アキコ
- 出版日
- 2012-07-25
この漫画は、日高先生のハチャメチャなキャラクターが魅力的!日高先生は指導中ずっと竹刀を持っていて何かあれば年齢も性別も関係なくぶっ叩きます。初めて明子がデッサンを描いて見せた時には、下手くそと言いながら絵を容赦無く叩いたり、明子が仮病を使って絵画教室から逃げる際には猛スピードで追いかけてきて首根っこを掴んだりと迫力満点。
そんな日高先生ですが、明子のスランプを救ったり、明子が心配でわざわざ宮崎から金沢の大学まで来てくれたりとやさしい一面もあります。ギャグパートの中に挟まれる作者のノスタルジックなエピソードにはふいをつかれてつい涙してしまうものもあるでしょう。
このふたりの師弟愛が、面白おかしく、時に切なく、丁寧に描かれています。こんな恩師がいたなら、違う人生を歩んでいただろうなと感じるほど魅力的な日高先生のキャラクターとふたりの関係性。ぜひ読んでみてください。
『かくかくしかじか』の作品に関しては<『かくかくしかじか』の名言全巻ネタバレ紹介!東村アキコと日高先生の絆とは>で詳しく紹介しています。
『青春のアフター』は、全4巻で完結する、青春物語。10代の少年少女が主人公ではなく、10代の時にトラウマとなるような恋を経験した32歳の男性が主人公、というところがポイントです。
4
- 著者
- 緑のルーペ
- 出版日
- 2015-08-10
32歳の鳥羽まことは、ゲーム会社に勤めており、キャラクターデザインなどを担当。凄腕ゲーマーの恋人、上牧みい子と穏やかな生活を送っていました。みい子と同棲を考えていたまことの前に、突然1人の少女が現れます。
突然現れた少女、十和さくらは、かつてまことの不容易な言動で傷つけ、姿を消していたクラスメイトでした。
高校生の頃、さくらに想いを寄せていたまことは、彼女がクラスメイトの倉橋辰巳に告白している現場に遭遇。辰巳が告白を受け入れるその時に乱入し、邪魔をしてしまいました。まことに腹を立てたさくらは、まことが目の前から消えることを望み、自分自身が消えてしまったのです。消えた16歳の姿のまま、32歳のまことの前に現れたさくら、かつて恋心を抱いた相手と、今の恋人との間で複雑に心が揺れ動きます。
絵柄は可愛らしいのですが、描かれているのは、揺れる男心。2人の好意を寄せてくれる女性がいた時、男性がとるリアルな行動が、そのまま描かれており、男女ともに共感するポイントが多いことでしょう。想いは純粋なはずなのに、歪んでいく関係に胸が苦しくなってきます。青春は美しいからこそ手放せない、そんな事を考えさせられる作品です。
『青春のアフター』の作品に関しては<『青春のアフター』を読もう!心をえぐる切なすぎる青春漫画を結末までネタバレ>で詳しく紹介しています。
舞台は、入学をすると卒業まで出られない、完全寮制のちょっと変わった学校。そんな学校を舞台に主人公の平賀信号、3年のリーダー城戸信長が周りを巻き込みながら学食を巡って校内で立ち回るという、型破りな漫画です。
4
- 著者
- 日本橋 ヨヲコ
- 出版日
- 2013-07-23
作中に登場する生徒は、どれも問題児(ヤンキー)。しかも超ヘビー級の問題児達で、アルコール依存症、薬物依存症、万引きの常習犯、売春婦とまるで監獄の囚人のような強烈で個性豊かなキャラばかりです。
この漫画の魅力はなんといってもこの問題児達それぞれのストーリーでしょう。訳ありな問題児達の過去や現在のストーリーでは、人間の弱さ、脆さ、純粋な心が壊れる様がリアルに、丁寧に描かれています。そのどこか懐かしく痛々しい様子は心に刺さる内容です。
また、心に残る名言も魅力の一つです。
「死にたいは生きたいだ」
「嫌だなぁと思うことそのままにしてたら魂が腐るから」
「あきらめるのをあきらめてよ」
(『極東学園天国』より引用)
若さゆえの青くささとまっすぐな力強さがある言葉が溢れています。
この漫画は青春まっただ中の方に特にぴったりな漫画でしょう。青春時代は、何もかもが新しく、刺激的で自分の人生を大きく変える時代。そんな時代に出会いたかった、少年たちのリアルを切り取った漫画です。
サッカーをこよなく愛する中学生の主人公、恩田希。彼女は男子サッカー部に混じって、日々練習に励みますが、女の子という理由だけで公式戦にだしてもらえません。そんなある日、小学校4年生の時に転校していった幼馴染の男の子、谷(通称ナメック)と偶然再会します。
ナメックとの出会いをきっかけに希は、次の新人戦に固執し、なんとか新人戦の1回戦に出場するためにいろいろな策を練るのですが……。
2
- 著者
- 新川 直司
- 出版日
- 2014-10-17
女子はサッカーというスポーツとどう付き合っていけるのか、というのがこの作品のテーマでしょう。
この漫画は、とにかく主人公の恩田希が魅力的!男子に負けまいと努力する姿からは、悔しい思いやサッカーへのひたむきさを感じます。
さらに人物や背景、そして表現の仕方が細密。躍動感がありながらもしっかりと描かれたシーンには、希のサッカーの才能がしっかりと表現されています。
タイトルからもわかるとおり、この漫画はサッカー漫画ですが、特にサッカーに詳しくない方、そして女性の方におすすめ。サッカーをまったく知らなくても十分楽しめるほど読みやすい漫画になっています。まったく
大都市大阪。かつて商人の町であったこの場所には、多くの人が住んでいます。本作の主人公、渡辺直美もその1人。大阪の長屋に住み、愛する家族のために奮闘する彼女の活躍を描いたのが『オバハンSOUL』です。コミックスは全4巻。ほぼ1話完結の連作で、日常の描写が中心ですが、直美のパワフルなキャラクターに、すぐに物語へと引き込まれていきます。
4
- 著者
- もりやま つる
- 出版日
- 2010-12-27
直美は、アニマルプリントのシャツにパンチパーマという、よくある大阪のオバハンを具現化したような姿。借金を背負いながら、腰を痛めている旦那の代わりにトラックを駆り、運送屋として忙しく働いています。息子は反抗期で難しい年ごろですが、その余りある熱い愛で包みこんでいました。
情熱を持ち、とにかくパワフルな直美。息子が不良に絡まれていた時は、必殺武器である布団たたきを持ってピンチに颯爽と登場。不良たちを叩きのめし、更生にまで乗り出してしまいます。かと思えば、夫の愛情を気にする乙女な部分も見せるなど、表情はとても豊か。女性を捨てていないところも、なんだかお茶目に可愛らしく映ります。
基本的には「大阪のオバハン」のイメージを具現化した直美は、表情や言動がとにかく突き抜けており、常識で測ることはできません。だからこそ、力強い魅力にあふれており、つい直美に頼りたくなってきてしまいます。オバハンが主人公だからなのか、下ネタは少々多めですが、人情ものの話も多く、ほろりとしてしまう場面も。大阪のオバハンがくり広げるパワフルな日常物語、爽快な気分になること間違いありません。
『オバハンSOUL』の作品に関しては<『オバハンSOUL』でおかん大活躍!やばさを最終回までネタバレ紹介!>で詳しく紹介しています。
くり広げる
『レベルE』 は『HUNTER×HUNTER』や『幽☆遊☆白書』を手掛けた富樫義博が、アシスタント無しでひとりで描いた漫画です。
暇を持て余した宇宙人、ドグラ星のバカ王子が地球にやってきて、様々な事件を起こし周囲を巻き込みながら展開していくオムニバス形式の漫画です。
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- 著者
- 冨樫 義博
- 出版日
- 2010-09-17
本作の魅力は何と言ってもところどころで挟まれる富樫義博流のシュールなギャグ。基本的には、このバカ王子が登場し、巻き込まれた人たちが翻弄されながら事件を解決していくというストーリーです。単純明快ですが、各話どれも先がわからないストーリーで、オチが毎回予想できません。
そしてそんなギャグが見所ではあるのですが、SF設定が意外と細かく設定されていたり、その設定が語られるシーンではシリアスな雰囲気が漂ったりとストーリーに絶妙に緩急がつけられています。だからこそギャグが引き立つのです。
読者を翻弄するというエンターテイメント性に富んだ本作。富樫義博の奇抜な感性や天才的な発想がにじみ出ている、ファンの間では有名な名作です。
『ピース オブ ケイク』は、恋に振り回されている大人たちを描いた作品。コミックスは全5巻ですが、映像化に際し番外編が雑誌に掲載されています。本作に登場する恋愛は、純愛ではありません。主人公、梅宮志乃の気持ちはふらふらと定まらず、誰とでもすぐに恋人関係になってしまうような危うさを持っています。そんな地に足のつかない定まらなさが、リアルに感じられます。
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- 著者
- ジョージ朝倉
- 出版日
- 2004-05-08
束縛が強く、自分本位な性格の正樹と付き合っている志乃。彼女に不満をぶつけながらも、愛しているという正樹の存在にうんざりし、言い寄られるがままに浮気をしていました。浮気が発覚した後、ますます執着がひどくなりますが、突然正樹にフラれ、自由の身に。複雑な感情を抱えたまま、叔父の経営するアパートへ引っ越します。
新しいアルバイト先のビデオ店の店長、菅原京志郎に片想いをした志乃でしたが、彼には同棲しているあかりという恋人の存在がありました。告白し、拒絶されたものの、片想いの気持ちを温めていた志乃。しかし、突然あかりが京志郎の前から姿を消したことで、事態は一変。寂しさのあまり、志乃の部屋へ上がり込み、2人は付き合い始めることになります。
大人の赤裸々恋愛事情、という言葉が似合う本作、綺麗であるという印象はなく、前の恋人に想いを残しながら、今の恋人と付き合う、といったような、ドロドロした部分が随所に登場します。嫌味にならないのは、キャラクターたちの言葉が、言い訳がましくなく、率直であるため。スタイリッシュでおしゃれな空気の漂う、大人だからこその恋物語をお楽しみください。
『ピースオブケイク』の作品に関しては<漫画『ピースオブケイク』の魅力を結末まで全巻ネタバレ紹介!面白い!>で詳しく紹介しています。
『路地恋花』は、京都の街はずれにある長屋を舞台に職人や芸術家、個性的な住人達の苦悩や葛藤を描きながら、恋愛をしていく内容です。
オムニバス形式で長屋の住人、ひとりひとりにスポットを当てて描かれています。なので、ほとんどが1話完結で、とてもわかりやすく、読みやすい漫画になっております。
ある回で主人公だったキャラクターが、違う回の話にサブキャラとして登場するという構成になっており、そのキャラがその後どうなったのか、などの後日譚がはさまれるところも面白いです。
4
- 著者
- 麻生 みこと
- 出版日
- 2010-02-05
本作は長屋の住人のその職業ならではの恋愛が見所。今回は1巻2話に登場する銀細工職人の恋の物語をご紹介します。
長屋で銀細工のアクセサリーを手作りして売っている光生。彼の常連のひとりが男運のない常連の女性、風化です。彼女は新しい彼氏ができる度にその相手とのペアリングを注文しにくるのですが、たいていすぐに破局していまい、買った指輪を見たくもないと突っ返してくるのです。
光生はその度にそれを新しいアクセサリーとして蘇らせ、彼女にプレゼントしていました。そのアクセサリーに自分の思いも溶かして。
そんな風花でしたが、今回はついに結婚指輪を依頼してきます。どうせいつも通りすぐ破断になるだろうと思っていた光生でしたが、なんとするすると話が進んでいくのです。焦った光生は今まで秘めていた思いをやっと彼女に打ち明けるのですが……。
ものづくりをする人々が、自分の思いも丁寧に紡いでいく様子に胸が疼く話ばかりです。人と人の繋がりや出会いと別れが美しく光る作品になっております。
『1ポンドの福音』は、『うる星やつら』『めぞん一刻』『犬夜叉』の高橋留美子が1987年から不定期に連載し、2007年に完結。約20年の歳月を費やして描いた漫画です。KAT-TUNの亀梨和也が主演でドラマ化もされました。
駆け出しのプロボクサー畑中耕作と見習いシスター麻利絵がおりなすラブコメ×ボクシング漫画です。本作は何と言ってもふたりのキャラクターが魅力的。
4
- 著者
- 高橋 留美子
- 出版日
主人公の耕作は、試合前の減量中にも関わらず湧き上がる食欲に負けて毎回減量に失敗する、意志の弱いヘタレボクサー。一見ダメダメな彼ですが、実はハードパンチャーで試合後の対戦相手に認められるほどの実力者なのです。
そんな耕作は、食欲に負けた時、懺悔をしに行く修道院にいるシスターアンジェラ(麻利絵)に恋心を抱いています。彼女の性格は真面目で温厚。神に仕えるシスターとして日々を過ごしています。しかし可憐なヒロインかと思いきや、麻利絵は酒が入るとたちまち気性が荒くなる、酒癖の悪いシスターだったのです。
おのおのにギャップがあり、作品を飽きさせない魅力的なキャラクターです。
また、物語は試合ごとに区切られていて、試合が終了するまでがひとつのストーリーです。1ストーリーごとにテーマが決まっていて、毎回違うのでこちらも読者を飽きさせない秘訣でしょう。
『うる星やつら』のようなドタバタラブコメ要素もある高橋留美子らしいボクシング漫画です。男女関係なく楽しめるのでぜひ読んでみてください。
亀梨和也が出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。
亀梨和也の実写化はリアルかつ亀梨流!出演映画、テレビドラマを原作と比較して紹介
付き合って9年、同棲5年の浅尾温子と岩城晃平。仲良しだけど、踏み切れない、踏み切らない。三十路を迎える直前の2人の、ゆらゆらと揺らぐ最後の思春期を描いた作品です。
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- 著者
- 渡辺 ペコ
- 出版日
- 2010-01-22
20歳頃から交際をスタートし、同棲してすでに5年。仲良しでうまくいっているものの、結婚にも踏み切らず、そんな現状に不満もない温子ことあっちゃんは、周囲のアラサー女子からは「冷めてる」と言われることに違和感がありながらも、平和な毎日を送っています。なんとなく共感できてしまう、という女性読者は多いのではないでしょうか。
仲良しな2人、ずっとその平和が続く……わけではなく。大きな壁が立ちふさがるのですが、あっちゃんの心境はとても等身大で、読んでいて胸が締めつけられるよう。あんなに分かり合っていたはずなのに、徐々にかみ合わなくなる2人の思い。彼氏の晃平ことコーヘーの心情もまた面白いほどリアルです。
どうにもならない感情と、言葉にできないもどかしさが溢れています。それはまるで、懐かしい思春期の頃のようです。
死刑囚の主人公、田嶋良平はある日突然、独房から出され椎名という研究者から実験に参加してほしいと持ちかけられます。それは死刑囚の脳内にチップを埋め込み、24時間体制での監視の元、社会奉仕させるというもの。
そのチップは、興奮状態になり相手に殺意を抱いた時に脳が発する周波数を感知すると、爆発します。死刑囚を死刑にするかわりにそのチップを埋め込み、死刑制度に代わる新しい制度をつくるためのこの実験。田嶋はそれに参加しながら、様々な出会いや体験をして成長していきます。
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- 著者
- 小手川 ゆあ
- 出版日
命の重さ、尊さや、そもそもの生や死とは、などメッセージ性の強い内容ですが、この作品の最大の魅力はヒューマンドラマ。盲目の少女ゆめや、目が見えないゆめのためにボランティアをするあやのなど、田嶋が様々な人と出会い成長していく様は、温かく心に沁みる内容です。
しかし彼は死刑囚。チップが埋め込まれ、研究員にカウンセリングされるなど、罪から逃れることはできません。
そんな日常と非日常の間という対局の環境で、ふたつに通じる人の感情というものがしっかりと描かれています。
また、それだけだと重い作品かと思われる方も多いかもしれませんが、本作はコメディ要素もあります。シリアスな設定ではありますが、人の心のあたたかさとクスリと笑えるギャグ部分で最後まで肩に力を入れずに読み進められます。骨太なテーマを無理なく考えられる、ヒューマンドラマを描いた作品です。
主人公のペコとスマイルは幼馴染の親友。ふたりは幼い頃から卓球をしており、性格も戦法も真逆。ペコは自分を天才型と自負し、とにかく挑発的で速攻の選手。対するペコは冷静で実直、カットマンという独特の戦法を使います。華やかなペコに隠れていますが彼も才能を持った人物です。
5
- 著者
- 松本 大洋
- 出版日
窪塚洋介、ARATA主演での実写映画化でも話題になった本作。卓球を通して青春の痛みと友情を描いています。
スマイルは幼い頃にいじめっ子から助けてくれたペコをヒーローと心の中で慕っていますが、ペコは徐々に卓球をおろそかにするようになり、スマイルはその間に着実に力をつけていきます。そしてスマイルは徐々にペコを上回る実力を見せるようになるのです。
ヒーローだと慕っていた相手を自分が上回る。ヒーローと慕ってくれていた相手が自分を上回る。そのどちらから見てもその関係性の変化は痛々しく、直接的にモノローグなどで悲しい、などと描かれていない分じわじわと感情移入してしまいます。しかもペコはその悲しさから目を背けるようにますます卓球をおろそかにするようになるのです。堕ちてしまったヒーローのストーリーはどんなものなのか。作品でお確かめください。
窪塚洋介が出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。
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2070年代、宇宙開発が進み、人々と宇宙は身近な存在になっていました。しかしその研究が進んだ分、宇宙空間にその研究の名残のゴミ「スペースデブリ」が浮遊しています。主人公のハチマキの仕事は「デブリ」の清掃員。自家用宇宙船を買うことを目標にしながらも、このまま現実に飲み込まれていくことを不安に思っています……。
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- 著者
- 幸村 誠
- 出版日
本作は『ヴィンランド・サガ』で人気の幸村誠の作品。同作はヨーロッパの海賊たちを描いた時代漫画ですが、本作は宇宙が舞台。『プラネテス』はその代表作からも感じられる作者の魅力、人物の心理描写が光った作品です。
生き物の息吹きが感じられない宇宙空間。食べるものも生活様式もまったく異なります。しかし、そこで変わらないのは人々の気持ち。主人公の若さゆえの葛藤、そして彼を取り巻く人々それぞれの事情が丁寧に描かれています。巻を追うごとにその心理描写は深まっていき、ハチマキは「もうひとりの自分」などに影響されて、自分の進むべき道に悩みます。広大な場所で、まるで「デブリ」のように浮遊する、ちっぽけな人間の潜めた思い。
宇宙空間でくり広げられる、群像劇、そして若者の葛藤が見事に描かれた本作。ぜひそのじんわりとひろがる不思議な読後感を味わってみてください。
『プラネテス』の作品に関しては<『プラネテス』を真面目に語る。評価の高い名作漫画はタイトルから深かった!>で詳しく紹介しています。
まったくくり広げ
一息でどこまで深く潜れるかを競うスポーツ「フリーダイビング」。そのフリーダイビングの元世界チャンピオンであるクロードは、沖合で身を投げようとした時、海を非常に美しく泳ぎ、潜る少年、シセに出会います。シセのその美しさに圧倒されたクロードは、彼のコーチとして、シセとともに再びフリーダイビングの世界に潜っていくことになります。
4
- 著者
- たなか 亜希夫
- 出版日
『軍鶏』の作者、たなか亜希夫のもう1つの代表作と言っても過言ではないでしょう。一歩間違えれば死がすぐ隣にたたずむスポーツである「フリーダイビング」に、神に愛された天才少年シセが挑んでいくお話で、そんな危険なスポーツだからこそ、技術ではなく、生き方等の精神性が重視されて描かれていきます。
主人公や主人公をサポートする登場人物たちは、過去にいろいろな事件を抱えていて、それが登場人物たちにキャラクター性を持たせているので、純粋なスポ根ものというよりはヒューマンドラマを読むような心持で挑んだ方がいいかもしれません。
最後にはきちんと、数々のライバルたちを打ち破っていく王道展開もあるので、そこはご安心を。全4巻と短いながらも非常に濃密な、漫画の世界ですらなかなか見ない題材を取り扱った、一見の価値は大いにある作品です。
しのぶという少女は幼い頃に「師匠」と出会い、彼によって見初められて天狗の世界に足を踏み入れます。泥人形というものに彼女のふりをさせることにした師匠ですが、実際にしのぶの代わりをしていたのは彼女の「おじ様」が作った泥人形でした。
おじ様に脅された師匠は天狗の威厳を取り戻すために「大日本天狗党」を結成し……。
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- 著者
- 黒田 硫黄
- 出版日
天狗というとどんなイメージをお持ちでしょうか?空を自由に飛んだり、別のものに化けたり、持っているうちわで風をおこしたり、と、妖怪のなかでも有名で力のあるイメージではないでしょうか。
この作品では現代に隠れて生きる天狗たちを描いています。彼らはゴミをあさって食料を探したり、コンビニでバイトをしていたりします。かつての威厳はどこへやら、みじめな暮らしをしているのです。
その新しい天狗像を作者・黒田硫黄が独特の世界観の中で描き上げます。読んだ感触は決してハラハラドキドキの起承転結があるというわけではないのですが、どこか引き込まれるもの。気づくとページをめくる手が止まらなくなっているという不思議な作品です。
クセの強い画風ですがそれで読まないのはもったいない!徐々にその味がたまらなく感じられるようになり、はまっていくこと間違いなしの作品です。
なかでも
『口入屋兇次』の口入屋というのは、江戸の職業紹介所の事。いわばハローワークのようなものです。
口入屋を経営する兇次のところに、職を求め様々な事情を抱えた人がやってきます。そんな彼らに職業を紹介しながら、同時に彼ら抱える問題も解決していくという内容になっております。
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- 著者
- 岡田屋 鉄蔵
- 出版日
この漫画のすごいところは、あちこちに張り巡らされた伏線が読み進んでいくうちに、どんどんと繋がっていき、いつの間にか漫画の世界に引き込まれてしまう点。伏線がとにかく細密に張り巡らされた漫画です。
また、物語の終盤では法で裁けない悪人を裁く必殺仕事人のようなシーンがあり、スカッとします。その場面は兇次に相談しに来た人の事情や思いが明らかになる時でもあり、涙してしまうほど切ないシーンもあります。時代劇が好きな方はもちろん、あまり興味がない方も間違いなく楽しめる漫画になっているので、ぜひ読んでみてください。
日本の歴史上最大の一揆と言われている島原の乱。きっかけは幕府の圧政、重税などでしたが、キリシタンたちから絶大な支持を集めている天草四郎をリーダーとし、徐々にキリスト教が拠り所となっていきます。
最終的には幕府の勝利となるこの一揆ですが、本作ではキリシタン側からの視点で物語が進められます。
主人公は早くに両親を亡くしたサチという少女。彼女の前に銃を所有しているイスパニア人、益田フランシスコ四郎という青年が現れ、物語は動いていきます……。
3
- 著者
- 円城寺 真己
- 出版日
本作は3巻という短いストーリーの中で島原の乱を本格的に描いた作品です。画力の高さで紡ぎ出されたシーンは激動の歴史の人々の様子や大きな潮流を感じさせるもので、視覚的に読者を引き込んでいきます。
また、歴史漫画で特に気になる時代考証もしっかりとなされているようで、大きな見所のシーンから細かい小道具まで丁寧に描かれています。
そして最大の見所は正しさと正しさがぶつかり合うという構図を描いていること。わかりやすい善悪があるわけではなく、どちらにも相応の言い分があり、双方に共感してしまいます。
しっかりとした時代考証、深い人間観を高い画力で完成させた『サンチャゴ』。3巻でまとめあげた作者の力量に唸らされる作品です。
『ナナのリテラシー』 は、主人公の女子高生、許斐七海が職場体験を通じて、天才ITコンサルタントの山田仁五郎の元で、ITビジネスとは何かを学ぶ物語です。
1巻では、作者がモデルである鈴木みそ吉という売れない漫画家をどのようにコンサルするかが描かれています。表現の仕方や描き方が丁寧でわかりやすく、IT系が苦手な方でも読みやすいでしょう。
また、作者の鈴木みそが自分の実体験を元に描いているので、現実味があります。ただ知識を盛り込んだだけの漫画ではありません。
3
- 著者
- 鈴木みそ
- 出版日
- 2014-01-25
ではなぜ、主人公が女子高生の七海なのでしょうか。天才ITコンサルタントの山田だけで十分なのではないかという疑問を持つかもしれません。
しかし、この七海も物語で重要な役割を果たしているのです。旧来の常識にとらわれない女子高生の七海が、漫画家の今現在の課題点や今後の方向性を指摘、それを天才ITコンサルタントの山田が仕上げる、そして作者が実行しトラブルに個別対処、という3者それぞれが必要な役回りを持ってストーリーを進めていきます。
このような協力体制が明確に構成されているので、ビジネスの流れやポイントがとても分かりやすいのです。まるで講習を受けているかのような内容です。難解なビジネスの本を読んで学ぶよりも、この漫画を読んで学んだ方がポイントをおさえるのには向いているでしょう。
『100万円の女たち』 は、『俺はまだ本気出してないだけ』などで有名な作者、青野春秋の作品です。
主人公の道間慎は売れない小説家。売れないのになぜかお金には困っていません。なぜなら、同居している5人の女たちの世話と「女たちには質問をしてはいけない」「夕食は6人で食べる」というルールを守るだけで、5人から毎月100万円をもらえるからです。
4
- 著者
- 青野 春秋
- 出版日
- 2016-03-30
本作の魅力は非日常のミステリー要素と青野春秋らしいダウナーな日常感のある作風です。
この暮らしはどのように始まったのか、なぜ女たちは毎月100万円もの大金を払えるのか、なぜ道間と暮らしているのか。4巻完結ですが、序盤はほとんどその謎に触れることはなく、後半に畳み掛けるように謎が明かされ、新たな事件が起こっていきます。そのスピード感ある展開は見事なものです。
また、そんな非日常の設定なのに作品に入り込める理由は、主人公のキャラクターにあります。いつもオドオドしていて頼りない道間ですが、何があっても案外すんなりと受け入れているように見え、謎や事件までをも日常にしてしまいます。
壮大な謎に読者をするりと誘い込む本作。その謎解きの中で人生の勝ち負けの定義とは何なのかを考えさせる不思議な力があります。
太り気味、にきび面のメガネという冴えない見た目の30歳のアキは映画監督。しかし彼はデビューを目の前にしてライバルにその座を奪われてしまいます。何もかも嫌になった彼がカメラを捨てようとした時に出会ったのが、彼のファンだという美少女・ミカ。
彼女を騙して映画を撮っていたアキですが、ひょんなことからミカにバレてしまいます。彼女はそれを知った後、本来の監督で撮られる作品のヒロイン・ヒナを誤って殺害。アキはそんなミカを連れてふたりの逃亡劇を映画にしようと持ちかけ……。
4
- 著者
- ジョージ朝倉
- 出版日
『溺れるナイフ』で人気を博したジョージ朝倉の作品で、映画化もされた作品。本作はとにかく癖の強いです。ミカと映画に異常な執着を示すニキビだらけのデブと、貧乳に過大なコンプレックスを持った美少女の逃亡劇、というだけでもインパクト十分なのですが、その他にも様々な読者を驚かせる展開や設定が続々と出てきます。
全員もれなくでかい「巨乳の里」の者たちが登場したり、ミカがレイプされそうになったり、死んだはずのヒナが登場したりと、とにかく無軌道。夢なのか現実なのか分からないような独特の世界観があります。
そして賛否両論の結末まで飽きさせることなく一気に読者を連れて行くのです。果たしてこのハチャメチャな逃避行はどうなるのか、ぜひ作品で見届けてみてください。
大学生の南丸洋二は幼い頃から物に小さな穴を開けられるという超能力を持っていました。ある時教授の丸神も自分と同じような能力を持っていると知り、それがどうやら家系に由来するものだということで両家のルーツである山奥の村を訪ねます。
そこでひょんなことから洋二の苗字が「南丸」だと知った村人は一気にうやうやしく接してくるようになり、何やらこの超能力の秘密を知っているようで……。
4
- 著者
- 岩明 均
- 出版日
『寄生獣』で知られる岩明均の伝奇ミステリー漫画です。山奥の村で展開されていく謎の数々に怖いもの見たさのような興味を持たせられ、引き込まれていきます。
当初の洋二の能力は何の役にも立たなそうなものという印象。本気で力んだ割にはものすごく小さな穴しか開かないので本人も周囲もその力に期待していませんでした。
しかしその能力は過去に一晩で兵士たちを皆殺しにしたほどのもので、使い方を知っていると恐ろしいほどの威力を発揮するものだったのです。
この力の謎はどこにあるのか、なぜこの村だけに隠されているのか、南丸家の由緒はどんなものなのか。民俗学的な謎が岩明均独特の絵とマッチしてより奥深い世界を構成しているおすすめの名作ミステリー漫画です。
人口過密に悩まされる未来の日本。そんな時代に女性を魅了する遺伝子を持つ「メガプレイボーイ」を受け継いだ子孫が100人以上いることが発覚します。
未来の政府はその大元を調べ、それが63年前に高校生だった純太という少年だと割り出しました。そこで彼の遺伝子を書き換えるためにかりんという少女を過去に派遣して……。
5
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
可愛いヒロインを描くことでも人気の桂正和の恋愛漫画です。本作の魅力はやはり何といってもかりんの可愛さ。
当初は未来の服を着ているので目元しか見えない怪しい見た目ですが、ヘルメットらしきものをとるとなんと美少女なのです。ところどころ夢見がちだったりドジなだったりと憎めない魅力もあります。
そしてかりんにより引き込まれるのは彼女の過去。実は彼女は複雑な過去を抱えており、それを知るとより彼女が可愛く、いじらしく見えてくるのです。
かりんだけではなくアクションシーンや切ないラストなども魅力の本作。ぜひ本編でその良さを味わってみてください。