【2021最新】瀬尾まいこのおすすめ書籍ランキング13!優しい作風が魅力

更新:2021.12.11

瀬尾まいこの作品は、柔らかく優しい文体が特徴で、その作品は読む人を心から温かい気持ちにしてくれます。その中には映画化された作品も。ここでは、疲れた心をふっと癒してくれるような、瀬尾まいこのおすすめ文庫本をご紹介していきます。

ブックカルテ リンク

作家・瀬尾まいこの経歴を紹介!作家デビュー10年で国語教師を退職

瀬尾まいこの経歴

1974年、大阪府に生まれた瀬尾まいこは、大谷女子大学国文科を卒業したのち、中学校の国語の講師になります。2005年には教員採用試験に合格。2011年に退職するまで、瀬尾まいこは中学校で国語の教師を務める傍ら、作家として数々の作品を執筆してきました。

受賞歴

2001年、『卵の緒』で坊っちゃん文学賞の大賞を受賞し、作家デビューを果たします。2005年には『幸福な食卓』で吉川栄治文学新人賞を受賞。2008年『戸村飯店 青春100連発』では坪田譲次文学賞を受賞と、瀬尾まいこは数々の文学賞を受賞しています。

2019年には『そして、バトンは渡された』が本屋大賞に輝き、深緑色の背景にオレンジのイラストが印象的な表紙が日本各地の書店の店頭を飾りました。

作風

明るい気持ちになれるようなストーリーと、そのストーリーに合う優しい文体が特徴。悩みを抱えている方が読むと、背中をそっと押されているような気持ちになることでしょう。

ここからは、瀬尾まいこの著作の中から9作をランキング形式でおすすめ。2021年7月時点の売上データを参考にしつつ、各賞での評価やライター独自の目線でおすすめしたいランキングを作成しています。

1位:ライターが譲れない瀬尾まいこの傑作青春小説!『戸村飯店 青春100連発』

大阪の下町にある中華料理店「戸村飯店」の2人息子の姿を描いた青春小説です。まったくタイプの違う年子の兄弟の青春期を、ときに面白おかしく、ときに感動的に綴り、坪田譲次文学賞を受賞しました。瀬尾まいこの作品のなかでも、1番におすすめしたい素敵な作品になっています。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2012-01-04

あらすじ

戸村飯店はラーメンやチャーハンが人気の、超庶民派な中華料理店。兄のヘイスケは、大阪生まれの大阪育ちにもかかわらず、いまいち大阪という街に馴染めないでいました。いつしか店に顔を出すこともなくなり、高校卒業と同時に家を出て東京の専門学校に入学します。

一方の弟・コウスケは明るい性格で、店に来る客たちとも仲が良く、積極的に店を手伝っています。ヘイスケが店に寄り付かないこともあり、漠然と自分が店を継ぐのだろうと思っていました。

ここが見所

ヘイスケの東京での生活や、コウスケが進路について悩む姿が交互に描かれ、様々な経験を通して成長していく兄弟の姿が、明るくコミカルに綴られています。

大阪という街の特性を存分に描き、とっても笑えてホロリと泣ける、魅力的な青春ストーリーになっています。

2位:瀬尾まいこの優しい言葉が贈る家族物語『そして、バトンは渡された』

ある少女と血の繋がらない親たちの家族物語。本屋大賞を受賞し、2021年秋に映画化も決定しました。瀬尾まいこの優しい言葉がいっぱい詰まった、愛が感じられる1冊です。

著者
瀬尾まいこ
出版日
2018-02-22

あらすじ

高校生の森宮優子は、幼い頃から親が5回も変わっていました。現在は37歳の父親「森宮さん」と暮らしています。他にも血の繋がっていない親たちが、まるでリレーのようにタスキを繋ぎ、優子を育ててきました。彼女が社会人になり、結婚するまでが描かれています。

ここが見所

血が繋がっていないという壁を乗り越え、お互いを大切に思う家族の形に魅了されます。優子は母親を亡くし父親が再婚しますが、海外赴任を機に離婚。継母との生活がしばらく続いて、再婚を繰り返し、森宮さんに至ります。優子の人生は激しく移り変わっているはずなのに、いつもどこか幸せそうで穏やか。それは親一人ひとりが優子にしっかりと向き合い、育ててきたからだといえます。

また、全体を通して、森宮さんと優子の暮らしは温かいごはんとともにゆったりとした時の流れで描かれています。優子が大学受験前のとき、森宮さんがうどんの夜食を作ってくれました。

「不必要な夜食であっても、ごはんを作ってくれる人がいること。それはとてもありがたいことだ。」
(『そして、バトンは渡された』より引用)

このように優子は語っています。小さなことでも感謝し、親からの愛情を素直に受け取るからこそ、優子の暮らしは幸せなのかもしれません。ちょっとした幸せや愛を感じたい方におすすめです。

永野芽郁田中圭石原さとみらが出演する映画化の情報は公式サイトにてご確認ください。

『そして、バトンは渡された』が本屋大賞に選ばれた2019年の、最終選考にノミネートされた他の作品を見たい方はこちらをご覧ください。

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3位:ネタバレあり!瀬尾まいこが描く人生の再出発『天国はまだ遠く』

もう死ぬしかない、そう決めて旅立った北の地で死にきれなかったとき、主人公が得たものは何だったのでしょうか?『天国はまだ遠く』は瀬尾まいこが贈るハートフルな人生の旅立ちの物語です。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2006-10-30

あらすじ

千鶴は就職活動がうまくいかず、なんとかもぐりこんだ営業職も向いていません。与えられたノルマを達成できず、そのせいで人間関係も思うようにいきませんでした。人生立ち行かなくなり、会社を辞めて自殺することを決意します。千鶴は、決心の鈍らないうちに身の回りを整理し、北の山奥を目指すのです。ようやくたどり着いた山奥の民宿で睡眠薬を飲むのですが、目覚めた時ぐっすり眠った後の爽快感に気づき、死に切れなかったことを悟ります。

偶然お世話になることになった民宿は、田村さんの経営する「民宿田村」でした。田村さんは商売っ気がなく、客としての千鶴への応対もかなり大雑把なものになります。しかし、豊かな大自然とおおらかな村人に囲まれた山奥の民宿生活に、千鶴はこれまでの人生にない充実感を感じるのです。

ここが見所

瀬尾まいこは、実際に中学の先生として丹後地方へ赴任した経験をもとに『天国はまだ遠く』を執筆しました。想像を超える豊かな自然と想像していたほどでもなかった田舎感の間で、いろいろと培った経験がもとになっているのです。そして幸せな経験を積み重ねながらも、どこかここは自分の地ではないという違和感を覚えていました。

千鶴も自分が「自然とともに暮らせる人間ではない」ことに気づきます。そしてまた都会に帰って生活することを決断するのです。千鶴の決断には豊かな自然の中での経験や、田村さんのおおざっぱな愛情が大きく影響しています。人生をリセットすることで、これまでの自分が真の自分だったのかと問いかけ、あらためて新しい自分に辿り着けたのだと思うのです。

しがらみにとらわれてしまっているとき、こんな考え方もあるんじゃない?とそっと視点を変えてくれる瀬尾まいこの物語に癒されてみませんか。

4位:人との関わりで傷を癒やす、成長物語『図書館の神様』

あらすじ

主人公清(キヨ)は高校3年生までバレーボールに打ち込む少女でした。しかし、ある事件で清は心を痛め、バレーボールをやめてしまします。バレーボールを諦めきれない清は、バレーボール部の顧問になろうと高校の講師になります。ところが、赴任先の高校で任されたのは部員1名の文芸部の顧問でした。

文芸にはまったく興味のない清でしたが、唯一の部員垣内と部活動をしていくなかでいろいろなことに気づかされます。なんてことのない日常の中で優しさに触れながら成長する清の暖かい物語です。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2009-07-08

ここが見所

清の周りには優しい人間がいます。

清の弟の拓実は何かと理由をつけて清の部屋を訪れます。直接言葉にはしませんが、傷ついている姉を心配しているのです。拓実はとぼけたところもありますが、人の辛さ、苦しみがわかる優しさを持っている「いい奴」です。

文芸部員の垣内は高校3年生にして話し方、考え方が大人びていて落ち着いています。もしかすると清よりも大人なのかもしれません。そんな人たちに囲まれながら清は心癒やされていくのです。

そして、その垣内との部活動を通してさまざまな文学作品が取り上げられています。『夢十夜』、『さぶ』、『こころ』など。それらに関して、討論をかわす清と垣内の掛け合いが絶妙でホッとする部分があります。

垣内は文学の魅力として、文学を通せばさまざまな世界を見られると語っています。読書が好きな人にとってはわかるわかる、と手を打ちたくなるような場面がちりばめられているのではないでしょうか。

物語の随所に描かれる登場人物達のさりげない名言も心を打つものがあるでしょう。ぜひ、この作品を読んで癒やされてみてはいかがでしょうか。

5位:瀬尾まいこが描く強運『強運の持ち主』

あらすじ

主人公の吉田幸子は短大を卒業してOLになったものの、上司との折り合いが悪く3年で会社を辞めてしまいます。1人暮らしを始めたばかりで貯金もなかったことから、アルバイト情報誌にあった「未経験者大歓迎・時給千二百円」と「1人でできる仕事・煩わしい人間関係なし」という文句にひかれジュリエ数術研究所に入門し、「ルイーズ吉田」という名前で占い師を始めるのでした。

客の名前と生年月日を聞いて姓名判断や四柱推命の本に書かれている事を伝えるのが仕事の基本なのですが、面倒くさいことが嫌いなルイーズは相手の容姿や話し方を見て直感で占うようになります。大抵の客の相談は恋愛関係なので、その人に合った方向に背中を押してあげるような気分で占っていました。

ルイーズには同棲する通彦という恋人がいます。彼はもともとルイーズの店に来た女性客の恋人でしたが、通彦の運勢を見たルイーズは彼が滅多にない強運の持ち主で大成功を収める人物だという結果を見て、彼女と別れることを勧め自分との相性の良さをアピールすることで通彦を手に入れたのでした。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2009-05-08

ここが見所

煩わしい人間関係のない占い師という職業に自分の性分に合った気楽さを感じていたルイーズでしたが、時々に持ち込まれる占いでは解決できないような客の相談事に向かい合ううち、彼女の心に変化が起こっていきます。また、恋人の通彦は市役所で働く公務員で、強運の持ち主だという割には目立つ個性や取り柄があるわけでもなく平凡な日々を過ごしてきたのですが、ある事から「強運の持ち主」とはどういう事なのかということにも気付かされることにもなるのです。

主人公は占い師という一風変わった設定ですが、人との関わりの中で成長していく姿は一般社会や学生生活と共通しており、読者の共感と親近感を誘います。

人より少しだけ自分に正直で勇敢なルイーズが、面倒なことは嫌いだと言いつつも人の幸せのために悩んだり奔走したりする姿が微笑ましい、心温まる作品です。

6位:注目を浴びた瀬尾まいこデビュー作品『卵の緒』

坊っちゃん文学賞大賞受賞作である『卵の緒』と、『7’s blood』の2作品が収録された1冊です。どちらの作品も家族関係をテーマに、様々な出来事が愛情深く描かれた瀬尾まいこの作品になっています。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2007-06-28

あらすじ

『卵の緒』の主人公・鈴江育生は小学校5年生。育生の家には父親がおらず、母も掴み所がない性格のため、自分はきっと捨て子なのだと思っています。母との親子関係を確かめるべく、へその緒を見せてくれと母にお願いをしても「母さんは育生を卵で産んだの」と卵の殻が出てくるのです。そんな母には、近頃どうも気になる男性が現れたようで……。

ここが見所

この少し変わった母親との日常が、淡々とながら面白く描かれていて、物語に引きつけられます。母親の恋人と交流を深めていくうち、育生の出生の秘密が明らかになりますが、そこには、母の育生に対する深い愛情が隠されていたのです。

『7’s blood』では、高校3年生の主人公・七子が、父と愛人との間に生まれた子供・七生と突然2人で暮らすことになります。

どちらのストーリーにも、複雑な事情を抱えた家族が登場しますが、重苦しくなるわけではなく、明るく優しい希望溢れる物語になっています。

7位:家族の絆を描く物語『幸福な食卓』

主人公の少女の家族の日常を描くとともに、少女が中学生から高校生へと成長していく姿を描いた瀬尾まいこの長編小説です。吉川栄治文学新人賞に輝き、2006年にコミック化、2007年には北乃きい主演で映画化もされたヒット作になっています。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2007-06-15

あらすじ

中原家の習慣は、毎朝必ず家族が一緒の食卓につくということ。ある朝の食卓で、主人公・佐和子の父である弘が、「父さんは今日で父さんをやめようと思う」と言い出します。父は中学校の教師をしていましたが、それも退職するとのこと。佐和子の母は、あることがきっかけで家を出て1人暮らし中です。成績優秀でスポーツ万能な兄・直は、真剣であることを放棄し、大学へ行かず突然無農薬野菜を栽培し始めました。

そんな家族に囲まれる佐和子は、あるトラウマを抱えていて、梅雨時になると決まって体調を崩してしまうのですが、戸惑いながらも毎日を元気に一生懸命過ごしています。こんなにもいろいろと問題を抱えている家族なのにもかかわらず、この家族の毎日はとっても明るくコミカルなのです。

ここが見所

どんなにつらい出来事があっても、朝はまた必ずやってきて、そしてまた家族みんなで食卓につく。様々な出来事を通して、家族の絆や佐和子の成長が描かれていて、全編通して柔らかく温かい、瀬尾まいこらしい雰囲気が漂っています。

8位:音楽好きにおすすめの1冊!爽やかな読後感が魅力の『その扉をたたく音』

老人たちとの出会いで人生を再スタートさせる男性の青春小説です。2021年の最新作で、爽やかな読後感が魅力の1冊ですよ。

著者
瀬尾 まいこ
出版日

あらすじ

主人公の宮路は、無職でミュージシャンの夢を捨てきれずにいました。ある日、老人ホーム「そよかぜ荘」に演奏に訪れた際、職員の渡部が奏でるサックスの音に聞き惚れてしまいます。彼の演奏を聞くために、毎週老人ホームに通う宮路。しだいに入居者たちと仲良くなり、彼らを喜ばせるために渡部と演奏会を開くことに。

ここが見所

「出会い」を中心に物語が展開されています。神のようなサックスの演奏をする渡部、お使いを頼んでくるおばあちゃん、ウクレレを一緒に練習することになったおじいちゃん。宮路はこれらの出会いを通じて、活力を取り戻し、前に進んでいきます。老人たちとの出会いがきっかけで、学生時代に出会った音楽にも区切りをつけ、新たな人生をスタートさせられたのでした。

「そよかぜ荘」の老人たちと、渡部と音楽で心を通わせていく場面は感動できるでしょう。音楽の道を諦めきれずにぼんやりと生活していた宮路。人生が終わりに近づき、楽しいことがほとんどない老人たち。宮路と彼らはどことなく似ていて、刺激を求めていました。音楽を奏でることで、それぞれイキイキとしていく姿が鮮明に描かれています。音楽が好きな方にはピッタリの小説です。

9位:瀬尾まいこの言葉で元気になる小説『夜明けのすべて』

PMSを患う女性とパニック障害で悩む男性の日常を描いた、心が元気になる小説です。決して後ろ向きなことばかりではなく、登場人物たちが病気になったからこそ得た気づきが言葉になって散りばめられています。

著者
まいこ, 瀬尾
出版日

あらすじ

PMS(月経前症候群)で苦しむ主人公の美紗。職場の山添君につい当たってしまい、後悔していたところ、彼もパニック障害を抱えていることが判明。そして徐々に、周囲には簡単に言えない悩みや辛さもお互いに打ち明けられるようになります。

ここが見所

ふとしたときに側にいて、理解を示してくれる存在に有難さを感じられる作品です。主人公の美紗はPMSでイライラが抑えられなかったり、涙が溢れてしまうことがあり、ずっと悩んでいました。

一方、山添君も突然発作が起こり、電車にさえも乗られなくなって以前のような生活には戻れない状態です。初めて美紗のPMSを知ったとき、自分のパニック障害よりは大したことないはずだと思っていました。わざわざ家を訪ねてきて心配する彼女に励まされ、薬に頼って自由が利かない毎日でしたが、自然と自分の意思で動けるように。

「完全な孤独など、この世の中には存在しないはずだ。」
(『夜明けのすべて』より引用)

美紗の気遣い、職場の理解、遠くからでも気にかけてくれる前の職場の上司の存在を知った山添君は、このように語ります。

何か辛いことがあるとき、中々人に言えない悩みがあるときにぜひ読んでみてください。美紗と山添君が前を向く姿に励まされるはずです。

10位:ほっこりするデートがいっぱい!『おしまいのデート』

さまざまな形のデートエピソードが詰まった短編集です。家族、友人、恋人やちょっとした顔見知りまで、人との繋がりの大切さに気づくことができます。

著者
瀬尾 まいこ
出版日

あらすじ

祖父と孫の最後の「おしまいのデート」。毎月決まった日に恩師と生徒があつあつの丼ぶりを頬張った日々の「ランクアップ丼」。クラスメイト2人の最初で最後のお出かけ「ファーストラブ」。捨て犬をきっかけに会うようになったある女性と男性の癒しの時間「ドッグシェア」。保育士とある園児のほっこりエピソード「デートまでの道のり」。さまざまなデートをきっかけに仲を深め、絆が生まれていきます。

ここが見所

デートは男女のお出かけを想像しがちですが、この作品は「大切な人と過ごす時間」として捉えています。たとえば、犬の世話を通して、お互いを知っていき親密な関係を築き上げていく「ドッグシェア」。男性は学生で、女性はOLと年の差がありますが、何気ない会話で距離を縮めていき、これからの恋を予感させます。

一方、「ランクアップ丼」では、教師と生徒が決まってごはんを食べに行くことで、生徒が心を開き、立派な社会人へと成長していきます。その見守っていた教師も年老いていき、やがては別れがやってくるという切ない物語も。誰にでもある出会いと別れを、デートを通して温かく描いています。

ほっこりした物語が好きな方におすすめの1冊です。

11位:瀬尾まいこが描く爽やかな青春小説!『あと少し、もう少し』

最後の駅伝大会にのぞむ、中学生たちの熱い日々を描く青春小説です。寄せ集めのメンバーたちと、スポーツにうとい頼りない顧問が、心を1つに県大会を目指します。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2015-03-28

あらすじ

舞台となるのは、市野中学校陸上部。昨年までは熱心で厳しい顧問のもと、毎年のように県大会への出場を果たしていました。ところがそんな顧問が異動になってしまい、新しい顧問としてやってきたのは、運動が苦手で美術が専門の女教師・上原先生。しかも陸上部だけではメンバーが足りず、駅伝に参加できないという状況です。部長である桝井は、それでもあきらめることなく駅伝メンバーを募り、寄せ集めの駅伝メンバーが完成したのです。

ここが見所

物語は駅伝大会当日、1区から6区までそれぞれの区間を走る選手たちが、駅伝大会までの自身の日々を回想する形で描かれています。襷とともに、それぞれが抱えていた問題や、駅伝への想いなど、メンバー1人1人のドラマが綴られ積み重なっていきます。そして最後の章、誰よりもこの駅伝に熱い思いで頑張ってきた最終ランナー・桝井に襷が繋がるのです。

中学生たちが、ただひたすらに努力し成長していく姿はとても眩しく輝いていて、大人が読めば目頭が熱くなる、瀬尾まいこの感動作品になっています。

12位:瀬尾まいこの教師生活を綴るエッセイ集『ありがとう、さようなら』

あらすじ

瀬尾まいこが、赴任先の中学校で先生として奮闘する日々を綴った、心温まるエッセイ集です。中学生たちの青春を謳歌する姿が微笑ましく、ありのままの教師生活を垣間見ることができる、素敵な作品になっています。

決して上手に学校生活を送れた子供ではなかった、という瀬尾まいこ。それでもずっと教師になりたいと思っていたそう。10年近くかかって遂に教員採用試験に合格。瀬尾まいこは、それまで非常勤講師として勤めていた、全校生徒30名ほどの小さな学校から、全校生徒200名以上の学校に職場を変えることになります。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2010-10-25

ここが見所

教師という仕事を心から楽しいと感じ、どんなに大変で、やめたい!と思ったことがあったとしても、生徒たちの顔を見れば不思議とテンションが上がってしまう。そんな「瀬尾先生」の日常と、可愛い生徒たちとの交流が綴られています。

教師という仕事はすばらしい!という瀬尾まいこの、素敵な先生っぷりや人柄の良さが伝わってくる、明るく楽しいおすすめのエッセイ集です。

13位:瀬尾まいこが描く、心がぽかぽかする日常『優しい音楽』

あらすじ

なぜか彼氏を実家に招きたがらない彼女と彼氏の物語「優しい音楽」、不倫相手の子供を預かる女性の物語「タイムラグ」、同棲している自宅に彼女がホームレスを連れて帰ってくる「がらくた効果」の3作品で構成されている短編小説です。

何の変哲もない日常を書いただけの小説に感じるかと思いますが、瀬尾まいこの魅力は山も谷もない一直線のように表現できるような物語の中に隠されています。登場人物が何気なく会話をする、その言葉でさえも読み進めると一言、一言に魂が宿っていて、いきいきしていることを実感できるかと思います。

著者
瀬尾 まいこ
出版日
2008-04-10

ここが見所

全て日常では頻繁に起こり得ることではない題材になっていますが、文章自体はするすると入ってくるような読みやすい短編小説です。読後にはなぜか心がぽかぽかと温まるような気持ちになり、そこが小説の最大の魅力となっているので、いつのまにか瀬尾まいこのとりこになってしまう読者も多いでしょう。

起伏が激しいミステリーや恋愛小説を読むのも楽しいですが、著者のような優しく読み終えた後に幸福感に包まれるような小説を楽しむのも日々行っている読書に刺激を与え、これも悪くないと思ってもらえるかと思います。みなさんもぜひ、読書で癒されてみてはいかがでしょうか。

14位:瀬尾まいこが中学校の学級崩壊を描いた『温室デイズ』

中学校の学級崩壊を機に、平和な学校生活を取り戻そうとする少女たちの青春小説です。いじめや不登校など少し重い内容ですが、それに負けずに立ち上がろうとする姿に見守りたくなります。

著者
瀬尾 まいこ
出版日

あらすじ

主人公のみちるが通う宮前中学校は、学級崩壊が進んでいました。悲惨な状況におかしいと思っていたみちるは、クラスメイトの前で素直に意見を述べます。しかし、みんなは気に食わず、彼女に対するいじめが始まってしまいました。親友の優子も、これをきっかけに教室に行きづらくなってしまいます。卒業まで残り半年の中学校生活は一体どうなるのでしょうか?

ここが見所

みちるをはじめ、親友の優子、幼馴染の伊佐君の心情が繊細に描かれています。不良たちがガラスを割ったり、先生に歯向かうだけではなく、教室内でのいじめや家庭の問題など、学校に行きづらくなる理由はそれぞれです。

みちるは酷いいじめで学校を休んだことがあります。優子は家庭環境やみちるのいじめにより、相談室やカウンセリングに通うことに。不良の伊佐君は親の離婚が原因でますます荒れ果ててしまいます。あるきっかけで学校に行けなくなる3人ですが、誰かの支えや行動をきっかけにそのもどかしい日々を抜け出そうとするのです。

彼らの心の葛藤であったり、些細なもつれ、寂しさ、怒り、不安などは、きっと読者も一度は感じたことがあるはず。キラキラした青春ではなく、ちょっと思い出したくない記憶も含めて中学生時代を懐かしむことのできる作品です。荒れた学校で、みちるや優子が行動を起こそうとする姿にも勇気をもらえますよ。


瀬尾まいこのおすすめ作品をご紹介しました。どの作品に登場する子供たちもとてもリアルに描かれていて、長い間教育現場で、子供たちと密に接してきた瀬尾だからこそ書ける温かい作品ばかりになっています。

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