大根仁のおすすめ監督作22選!原作の魅力を知れば映画やドラマがさらに面白くなる!

更新:2021.12.1

テレビや音楽の世界でさまざまな経験を積んだ大根仁。どんな作品でも圧倒的エンターテインメント作品に仕上げてしまうという特徴的な作風で多くのファンを魅了する監督です。 ジャンルを問わず挑戦し続ける大根仁。この記事では、そんな大根仁が監督を手掛けた映画やドラマについて原作とともに紹介します。

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大根仁とは何者なのか?『モテキ』でいきなり日本アカデミー賞!

大根仁(おおねひとし)は、1968年12月28日、東京都生まれ。

テレビドラマ『北の国から』の影響でドラマ作りに興味を持ち、映像系の専門学校へ入学。卒業後、ADとしてキャリアをスタートさせます。深夜ドラマの演出や脚本などを数多く手掛けてきました。2010年、テレビドラマ『モテキ』で大ブレイク。2011年には、劇場版『モテキ』にて映画監督デビューを果たしました。

その後はテレビドラマの演出もしつつ、『バクマン。』『SCOOP!』『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』など次々と映画作品を発表。2018年の『SUNNY 強い気持ち・強い愛』では、三浦春馬が90年代を謳歌する若者を演じ、長髪を披露したことも話題となりました。

大根仁は、自身のインスタグラムツイッターも随時更新。以前発信していたブログでも、作品の告知だけでなく、自身の映像論などを熱く語っています。SNSがきっかけで仕事に繋がることもあるようです。

2019年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では、NHK以外の演出家が参加するという、大河ドラマ初の試みにも挑戦。確かな実績を残しました。2020年秋にスタートした新作はテレビドラマ『共演NG』。中井貴一と鈴木京香という超豪華キャストをダブル主演に迎え、大根監督の作家性を存分に生かした作品だと人気を博しています。

その他、電気グルーヴやスチャダラパーなどの音楽関連のコンテンツも手掛けています。幅広い活躍をみせている監督ですので、そうとは知らずに作品に触れていたという方も多いでしょう。

どんな環境でもいいものを作る!大根仁作品の根底にあるもの

2020年秋よりスタートした新作ドラマ『共演NG』が何かと話題となった大根仁監督。企画・原作を秋元康が務め、監督・脚本を大根仁が担当しています。もともと秋元康の会社に所属したこともあるように、そのキャリアはテレビの世界から始まりました

まずはADとしてスタートし、さまざまな現場を経験していきます。そこで、多くの知識と技術を身につけたおかげで「なんでもできる」という自信が、のちの大根作品へ繋がっていくのです。

深夜ドラマ『モテキ』のブレイク。その劇場版で映画監督としても活動することとなり、低予算ながら爆発的なヒットを生み出すのでした。その後続く、自主製作映画『恋の渦』なども驚くほどの低予算ながら人気を博します。

それらを踏まえ大根仁といえば、どんな過酷な条件であれ、質の高い作品を完成させる監督として認知されてきました。アシスタント時代に培ってきたスキルが存分に生かされている証拠でしょう。

潤沢な予算があろうがなかろうが「きちっとエンターテインメントをみせる」。これが大根監督の最大の魅力です。そして、その作品の根底には、必ず人間同士の熱い物語が存在しています。だからこそ、みな大根作品に魅了されてやまないのでしょう。知恵と工夫と情熱で、見る人の満足度が高い作品作りを続けています。

大根仁をもっと詳しく知りたい人はこちらがおすすめです。

著者
["大根仁", "風間俊介", "岩井俊二", "山本政志", "森山未來", "リリー・フランキー"]
出版日

【ライターおすすめ】大根仁を知りたい人、必見!『バクマン。』

『モテキ』の劇場版で映画監督デビューを果たした大根仁。テレビやMV、CMなどで培ってきた確かな演出力で、映画業界でも大成功を収めています。そんな大根監督の作品の中から、特におすすめしたいのが映画『バクマン。』です。

原作は、大人気漫画『DEATH NOTE』を生み出した大場つぐみ・小畑健コンビによる同名漫画。高い画力を持つ真城最高と文才があり物語を構築する力を持つ高木秋人の学生漫画家コンビが、「週刊少年ジャンプ」への連載という夢に向かって邁進する青春ストーリーです。

この内容から幅広い世代に受け入れられ、原作同様大ヒットを記録した名作映画となりました。漫画を生み出す少年たちを実写化する。ともすれば2時間の映像として表現するには地味な原作ともとれる物語です。しかしながら、大根流の演出で見事に映画としてのエンターテインメントに振り切りました。その才能に多くのファンが魅了されています。

ここから先は、大根仁が監督した作品の中から原作とともにその魅力を紹介します。

【映画原作】大根仁と久保ミツロウのタッグが光る!『モテキ』(2011年)

2010年、深夜ドラマとしてスタートした『モテキ』は、久保ミツロウの同名漫画を原作としています。「イブニング」にて連載された人気漫画です。

主人公の藤本幸世は恋にほとんど縁のない29歳。このまま30歳を迎えるのかと思った矢先、突然のモテ期が訪れます。異なる4人の女性に囲まれ、成長していく幸世を描いた物語です。そのあまりに痛々しくて切ないリアルな男女の恋愛物語は、多くの読者の共感を誘いました。

そんな原作をドラマ化したのが大根仁監督。見事な手腕でその年のドラマ賞を総なめにしました。主演には実力派の森山未來を起用。大根&森山の作り出す世界観は原作そのものでした。

2011年には大根自身による劇場版が公開されました。映画版は、作者が自ら映画のために書き下ろした漫画の1年後という完全オリジナルストーリーです。新たな女性に振り回される幸世を描いています。

そのヒロインには、長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子と豪華美女ぞろい。また劇場版でもドラマ版同様に、多用されるJ-POPも作品の魅力のひとつ。久保と大根のコラボレーションが生み出した新しい非モテ男子の感動ラブストーリーです。

原作の詳細が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。

漫画『モテキ』の魅力をネタバレ紹介!映画、ドラマだけで終わらないで!

著者
久保 ミツロウ
出版日
2017-11-21

【映画原作】三浦大輔が描く若者の嘘と本音!『恋の渦』(2013年)

劇団ポツドールの主宰・三浦大輔の戯曲『恋の渦』。2005年に上演した岸田國士戯曲賞受賞作『愛の渦』から始まる「渦」シリーズの第2弾で2006年に同劇団で上演されました。この戯曲を原作に、兼ねてから三浦と親交のある大根仁監督が実写映画化。

合コンを兼ねたホームパーティーに参加した男女9人。その後彼らが過ごす4つの部屋を舞台にくり広げられる嘘と本音の入り混じった恋の行方を追った物語です。リアルな若者の内面を見事に描いた作品と高い評価を受けました。

山本政志監督が主催する実践映画塾「シネマ☆インパクト」で製作され、自主配給ながら大きな反響を呼び、拡大公開されていった本作。この企画のため集められた若手の俳優たちの演技も高い評価を受けています。人間の内面を描くことに定評のある大根監督が独自の演出法で、彼らの本音をえぐっていきます。

【映画原作】佐藤健×神木隆之介の漫画家コンビを熱く描く!『バクマン。』(2015年)

大人気コンビ大場つぐみと小畑健の『バクマン。』は、「週刊少年ジャンプ」に連載され爆発的な人気を誇る漫画作品です。高校生漫画家コンビの真城最高と高木秋人が漫画家を目指し、「週刊少年ジャンプ」への連載に向かってひたむきに突き進む物語。これを原作に、もともと漫画好きな大根仁が同名実写映画の監督を務めました。

原作には、実在する編集者などが登場し、ジャンプ編集部の裏側が見えることや漫画家同士の友情、最高の純愛など興味深い要素が盛りだくさんです。映画版では、真城最高に佐藤健、高木秋人に神木隆之介とプライベートでも親交のある2人が原作同様タッグを組んでいます。漫画家仲間に、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、最高と秋人を支えるジャンプ編集部・服部哲には山田孝之と豪華キャストが集結。

キャストのファンだけなく、「週刊少年ジャンプ」のファンである幅広い世代に受け入れられ、映画も大ヒットを記録しています。VFXを駆使し、漫画を描く少年たちの動きをどのように躍動的に見せているか、ぜひ確かめてみてください。

原作は少年ジャンプのテーマである「友情」「努力」「勝利」がギュッとつまった王道作品です。

原作の詳細が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。

漫画『バクマン。』の魅力を徹底考察!【ネタバレ注意】

著者
小畑 健
出版日
2009-01-05

【映画原作】福山雅治主演!大根仁がスクープの裏側を暴く!『THE MOVIE SCOOP!』(2016年)

1985年に公開された原田眞人のオリジナル映画『盗写 1/250秒』。この映画のリメイクに挑んだのが大根仁監督でタイトルは『SCOOP!』。主演に福山雅治を迎えました。30年以上前の作品をどうアレンジしているのか大根仁の監督としての力量が試される作品です。

数々の伝説的スクープを扱ってきたカメラマンの都城静は、スキャンダル専門のパパラッチに成り下がってしまいました。そんな静でしたが、写真週刊誌『SCOOP!』の新人記者・行川野火とコンビを組むことになったことで転機が訪れるのでしたが……。

カメラマンたちがスクープの瞬間をどんな風に捉えているのか興味深く見ることができる作品。野火を二階堂ふみが熱演。福山との息のあった演技をみせています。

公開に伴い、脚本も手掛けた大根監督自らが加筆したシナリオノベル『THE MOVIE SCOOP!』が刊行されました。大根仁と原田眞人の対談、題材やテーマについての紹介、劇中のスクープ写真などを掲載。シナリオノベルがあれば、映画もさらに面白くなること間違いありません。

著者
大根 仁
出版日

【映画原作】岩井俊二の名作に大根仁が脚本で参加!原作小説も!『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(2017年)

1993年にテレビドラマとして放送された岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は1995年には劇場公開もされた人気作品です。

20年という歳月を経て、アニメーション映画として新たに誕生しました。総監督に新房昭之、脚本には大根仁が参加。岩井俊二もアイデアを寄せています。主人公たちを小学生から中学生に変更しました。

とある海辺の町を舞台に、夏休みの花火大会を間近に控えたある日、「打ち上げ花火は横から見たら丸いのか、平べったいのか?」という話題で盛り上がる中学生たち。そんな中、母の再婚のため転校することになったなずなと彼女に思いを寄せる典道の不思議な体験を描いた物語です。声の出演に、広瀬すずと菅田将暉が挑戦しました。

本作の脚本を担当した大根仁による小説版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も公開に合わせて刊行。思春期の少年少女の揺れ動く心情を巧みに表現した珠玉の物語です。映画版の主題歌となったDAOKOと米津玄師の『打上花火』は大ヒットを記録。劇中でも印象的に響いています。

著者
["岩井 俊二", "大根 仁", "永地"]
出版日

【映画原作】妻夫木聡と水原希子のキュートなラブストーリー!『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017年)

漫画家でコラムニストの渋谷直角が描く『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』。奥田民生のように自然体でカッコいい大人になりたい雑誌編集者のコーロキが主人公の物語です。

彼が出会ったあるブランドのプレスの美女・天海あかり。彼女に一目惚れしたコーロキが振り回され、もがき苦しむさまを面白おかしく描いています。渋谷の描くゆるいキャラクターと編集業界の内情までわかる細かい描写、そこに恋に苦悩するコーロキのひたむきさが相まって病みつきになります。

この原作を実写映画化したのが、大根仁監督。主演のコーロキには妻夫木聡を迎え、あかりを水原希子が演じました。映画版には、新井浩文、安藤サクラ、江口のりこ、天海祐希、リリー・フランキー、松尾スズキと豪華キャストが集結。癖のある登場人物たちを魅力的に演じています。原作同様、大根が描くコーロキをいつの間にか応援したくなるそんな人間味ある作品に仕上がっています。

著者
渋谷 直角
出版日

【ドラマ原作】山下智久のセーラー服姿に注目!『っポイ!』(1999年)

やまざき貴子の『っポイ!』は、1991年に「LaLa」から「MELODY」に連載されていた漫画作品です。この原作をもとに、山下智久主演で同名のテレビドラマが放送されました。演出の1人を大根仁監督が担当しています。

天野平は中学3年生の男の子。背が低く、女の子のような見た目であることがコンプレックスではありますが、性格は負けず嫌いです。平と幼馴染で何でもできる日下万里。この2人を中心に、思春期ならではの友人関係、勉強、家庭、恋愛をテーマに彼らの悩みや葛藤を描いた青春ストーリー。読者は、特にこの平の前向きさや不屈の精神に励まされることでしょう。

ドラマでは、平を山下智久、万里を相葉雅紀が演じています。そのほか、吹石一恵や前田亜季など当時注目の若手がそろいました。山下がセーラー服姿になったことも話題に。同世代の子どもたちはもちろん、大人でも十分楽しめる物語です。

著者
やまざき 貴子
出版日

【ドラマ原作】大根仁流ホラーストーリー!「新耳袋 現代百物語」シリーズ(1999年)

1999年、ジャニーズJr.が出演する『怖い日曜日』というテレビドラマが放送されました。原作は、木原浩勝と中山市朗共著の怪談実話の大ベストセラー「新耳袋 現代百物語」シリーズです。

木原と中山が集めた怪奇話の数々を昔からある「百物語」の形にまとめたもの。人気シリーズとなり第10弾まで刊行されています。実話を謳っているだけあり、リアルな怖さにくぎ付けです。

テレビドラマでは、架空の「怪談百物語の会主宰」が番組を進行することに。番組の主要メンバーは当時まだジャニーズJr.だった横山裕、亀梨和也、佐藤崇、長谷部隼です。投稿された視聴者の心霊体験をドラマ化というスタイルをとっていました。

1話完結の物語をそれぞれのジャニーズJr.が演じています。大根仁監督が演出を担当。このシリーズが好評を博し、『怖い日曜日―新章―』『怖い日曜日―2000―』へと続きました。2020年現在も活躍しているジャニーズメンバーの初々しい演技が新鮮です。

著者
["木原 浩勝", "中山 市朗"]
出版日

【ドラマ原作】松岡昌宏主演!新感覚ドラマに大根仁も参戦!『サイコメトラーEIJI』(1999年)

『金田一少年の事件簿』の原作者・天樹征丸が安童夕馬名義で原作を務めた漫画が『サイコメトラーEIJI』です。作画は朝基まさしが担当し「週刊少年マガジン」に連載されました。

1997年に同名のテレビドラマ第1期が放送され一躍話題に。1999年には第2期『サイコメトラーEIJI2』が放送され、その8話の演出を担当したのが大根仁監督です。

物や人に触れるとその記憶を読み取るサイコメトリーの能力を持つ少年・明日真映児と警視庁の美人刑事・志摩亮子がコンビを組み、次々に怪事件を解決していく物語。事件の謎を一緒に解くというよりも、映児や志摩が事件を華麗に解決していくさまを楽しむような作りになっています。

最初のドラマシリーズ同様に映児は松岡昌宏、志摩は大塚寧々から工藤静香へバトンタッチしています。原作を巧みに再現しつつドラマとしてのオリジナルの見せ方は見ごたえたっぷり。

ドラマは第1期と第2期が繋がっており、原作のエピソードをうまく融合させながら、スペシャルドラマでラストへと向かうという構成になっています。原作を読みながら、ドラマを制覇するとより深く作品を楽しむことができます。

著者
["朝基 まさし", "安童 夕馬"]
出版日

【ドラマ原作】大根仁が描く熱いライフセーバーの物語!『早乙女タイフーン』(2001年)

『早乙女タイフーン』は、くじらいいく子原作の漫画作品。「ビッグコミックスピリッツ」に連載されていた人気漫画を2001年に加藤晴彦主演、大根仁演出で同名のテレビドラマが放送されました。

主人公の早乙女太風は、スーパーライフセーバー。薄給ではありますが、海水浴場にやって来るお客の安全を守っています。そんな太風とライフセーバー仲間が巻き起こす恋や友情の青春コメディです。

ライフセーバーの現実もわかる上に、太風の圧倒的なセーバーとしての技術などに驚かされます。くじらいのコメディタッチの絵柄が相まって非常に楽しめるエンターテインメント作品です。

明るく元気な太風を加藤晴彦、ライバル嵐士を吉沢亮が演じています。ドラマでは、事故多発で閉鎖寸前の海水浴場に早乙女太風が帰ってくるという設定に。命がけのライフセーバーの熱気が伝わる作品です。

著者
くじらい いく子
出版日

【ドラマ原作】大根仁が少年隊と描く人間模様!『ジプシー』(2001年)

2001年に放送されたバラエティ番組『少年タイヤ』。当時活躍してアイドル少年隊がメインを務めていました。その中のコーナー「セレクトドラマ」で放送されたひとつが『ジプシー』。扉座の横内謙介の戯曲を原作としています。

都会のある一夜。自分たちの買った家の完成を待ちきれず、若い夫婦が工事中のマンション現場へとこっそり忍び込みます。すると、そこに棲みつこうとするジプシーの家族と出くわしてしまうのでした。

現実世界ではなかなか遭遇しないであろう人々ではありますが、もし自分がその立場だったら……。家族とは生きるとは。そんな壮大なテーマを投げかける横内の傑作です。

ドラマでは主役の夫に東山紀之、妻を小西真奈美が演じています。そのほか、植草克秀や六角精児、相葉雅紀などが出演。大根仁はこの1本を担当していますが、このドラマがのちに、『演技者。』や『劇団演技者。』へと発展してくのでした。大根監督にとっても貴重な経験のドラマだったのではないでしょうか。

著者
横内 謙介
出版日

【ドラマ原作】一筋縄ではいかない!松尾スズキと大根仁のコラボ作品『マシーン日記』(2003年)

劇団の戯曲を原作にテレビドラマを放送する企画が、2002年より始まりました。番組名は『演技者。』。主演もジャニーズJr.メンバーから選出するというもの。

その総合演出を担当したのが大根仁です。この中で、第12弾として制作された劇団大人計画・松尾スズキの戯曲『マシーン日記』は大根仁監督が演出も務めています。

電気修理士のミチオは、ツジヨシ兄弟家業の経営者である兄のアキトシに右足を鎖でつながれ監禁されていました。そんな状況下でもミチオはアキトシの妻・サチコと不倫関係にあります。そんなある日、工場にパートとしてサチコの中学時代の教師・ケイコがやってくるのでした。

町工場を舞台にくり広げられる4人の男女の愛憎劇は松尾スズキの代表作ともいうべく傑作です。最低な人々だと感じつつ、ついのめり込んでしまう迫力があります。

ドラマでは、主演のミチオをV6の森田剛が演じました。ダークな世界観に狂気じみた人々。大根マジックで見事なエンターテインメント作品に仕上げています。

著者
松尾 スズキ
出版日

【ドラマ原作】大根仁が描くヴァンパイアミステリー!『夜型愛人専門店-ブラッドハウンド-』(2004年)

『天使禁猟区』などで知られる由貴香織里の漫画『夜型愛人専門店-ブラッドハウンド-』。2003年から「別冊花とゆめ」に不定期連載されているシリーズです。2004年には、『ヴァンパイアホスト〜夜型愛人専門店〜』というタイトルでテレビドラマ化され、メインで演出を務めたのが大根仁監督でした。

親友の志穂子が行方不明になってしまった女子高生の狩野莉音。志穂子が残した手掛かりの名刺を頼りに、ホストクラブ「クランケンハウス」に単身乗り込む莉音でしたが、そこは店員全員が吸血鬼の格好をしているのでした。

由貴香織里の美しい絵柄で描かれたホストクラブやイケメンホストは目の保養に。実際のヴァンパイアが事件を解いていくさまは魅力的です。

ドラマでは、当時グラビアで活躍していた小向美奈子や特撮ヒーロー出身の松田悟志が出演。設定やストーリーはオリジナルで展開していきます。エンディングでホストたちがおススメのカクテルを紹介するのが見所となっていました。

著者
由貴 香織里
出版日

【ドラマ原作】石田衣良の傑作に大根仁が挑戦!『アキハバラ@DEEP』(2006年)

石田衣良の長編小説『アキハバラ@DEEP』は、裏秋葉原を舞台に活躍する若者たちを描いた物語です。2006年には、この小説を原作とした同名のテレビドラマや映画が作られました。テレビドラマの演出を担当したのが大根仁監督です。

社会に居場所が見出せずドロップアウトした5人の青年とメイド喫茶のコスプレアイドル。裏秋葉原で出会った彼らがeビジネスを始めるとネット業界が驚く画期的なシステムを開発します。そんな彼らに目をつけた組織から狙われることになるのですが……。若者のリアルな日常を描くことに定評のある石田が、今度は秋葉原を舞台に名作を生み出しました。

ドラマでは5人の青年のうち1人を女性にし、風間俊介、生田斗真星野源、松嶋初音、日村勇紀、アイドルを小阪由佳が演じています。オタクな青年たちがひとたび見つけた成功に向かって突き進む物語を大根流に熱く描いた物語です。キャスティングがよくできているので、原作と比べながらドラマを見ると、また面白さが増すことでしょう。

著者
石田 衣良
出版日

【ドラマ原作】星野源主演!脱力系ゆるドラマは大根仁にお任せ!『去年ルノアールで』(2007年)

『去年ルノアールで』は放送作家のせきしろが発表したコラム。雑誌「リラックス」で連載されていたものが書籍化されました。このコラムをもとにテレビドラマ化され、脚本に作者のせきしろも参加し、演出を大根仁が務めました。

タイトルの「ルノアール」とは、銀座ルノアールが東京と神奈川を中心に展開している老舗喫茶店チェーンのこと。そんな喫茶店ルノアールを舞台にした妄想炸裂なエッセイ集です。せきしろこと「私」が、ルノアールに客として滞在している間、ほかの客や店員の様子から想像力を働かせ異次元に突入していくというもの。気楽に読み進められる脱力系文学です。

ドラマでは原作の要素をもとに物語を展開。私を演じる星野源を中心に、キャラクターの濃い店員たちとそこに集う客との1話完結のストーリーです。店員役の西村雅彦、山里亮太、日村勇紀、スチャダラパーのANI、浜野謙太と毎回豪華で愉快なゲストが出演しているところが非常に魅力的な物語となっています。

原作の詳細が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。

せきしろのおすすめ本5選!俳句やラノベ、小説となんでもできる天才作家> 

著者
せきしろ
出版日

【ドラマ原作】真木よう子主演!リリー・フランキー原作を大根仁が映像化!『ねぎぼうず』(2008年)

毎回異なる演出家・脚本家で、全ての作品の主演を真木よう子が演じるというテレビドラマが放送されました。タイトルは『週刊真木よう子』。

記念すべき第1回を飾ったのが、リリー・フランキー原作の『ねぎぼうず』です。このお話は、短編集『ボロボロになった人へ』に収録されています。このドラマの演出を大根仁、脚本を三浦大輔が務めました。

仕事帰りに立ち寄ったスーパーからの帰り道、興信所の男から声を掛けられる主人公。その男は、みだらな姿の主人公の写真を取り出します。その写真の主である昔知り合った男が自分を探しているというのでした。

小説は「人は運命に出会ったとしても、その時に生まれた訳ではない。それよりも、ずっと昔から何かをしながら暮らしている」というマルキス・ユバンの引用から始まります。短編ながら、いろいろ考えさせられる物語です。

ドラマでは、この主人公を主婦のよう子と設定し、原作と同じ展開で進んでいきます。リリー・フランキーと大根、三浦コンビは非常に相性がよく、そこに真木よう子の妖艶さが加わり傑作となりました。

著者
リリーフランキー
出版日

【ドラマ原作】エキセントリックな真木よう子を大根仁が演出!『スノウブラインド』(2008年)

『ディアスポリス 異邦警察』などで知られるすぎむらしんいちの短編漫画『スノウブラインド』。この漫画を原作にテレビドラマが作られました。2008年に放送された『週刊真木よう子』の第2話『スノウブラインド』です。監督・脚本を大根仁が務めました。

雪の中、毛皮を着た女性が、通りかかった小学生に声を掛けます。「白くてビニール袋に入っているもの」を一緒に探してほしいと少年にお願いする女性。そのすぐ近くでは銃に撃たれた死体が転がっていました。その中から動き出す男が……。短編ですが構成が非常にうまく、長編を読むような充実感があります。

この短編を含む『ALL NUDE』は文化庁メディア芸術祭マンガ部門において優秀賞を受賞し高い評価を受けました。ドラマでは、この女性・ヨーコを真木よう子が演じています。雪原の中、場違いなヒールに毛皮の女性。すぎむらの描くエキセントリックな世界観を真木よう子と大根コンビで見事に再現しています。

著者
すぎむら しんいち
出版日

【ドラマ原作】バナナマン&おぎやはぎ出演ドラマ!大根マジック炸裂!『おしゃべりデリ坊、東京ド真ん中配達中』(2008年)

スチャダラパーなどミュージシャンのジャケットやユージェイティ氏との共著『マンガBOYEEE』などで知られるシャシャミン書き下ろしのエッセイ集『おしゃべりデリ坊、東京ド真ん中配達中』を原案としたテレビドラマが放送されました。

タイトルを『デリパンダ〜おしゃべりデリ坊、東京ド真ん中配達中〜』とし、脚本を放送作家のオークラ、演出を大根仁が務めました。出演も日村勇紀、設楽統、小木博明、矢作兼、荒川良々といった個性的なメンバーが集結しています。

シャシャミンが専業漫画家を目指しながら、弁当やピザなどのデリバリーのアルバイトを続けた10年間の集大成である本作。その仕事の中で出会った変わった客たちを観察し描いています。思っている以上に、世の中には面白いキャラクターがいるのだと感心してしまいます。

ドラマでは、パンダマークの弁当配達人こと「デリパンダ」の5人のバイトたちの楽しいおしゃべりと配達先で出会った変わった人々を鋭く描いています。面白く濃いキャラクターを大根の演出マジックでさらに愉快に楽しいドラマにしています。

著者
シャシャミン
出版日

【ドラマ原作】遠藤憲一初主演ドラマ!大根仁の人情ドラマはこれだ!『湯けむりスナイパー』(2009年)

「漫画サンデー」にて連載されていた『湯けむりスナイパー』は、原作をひじかた憂峰、作画を松森正が務めた漫画作品です。人気シリーズとなり、『湯けむりスナイパー』、『湯けむりスナイパー2 花鳥風月編』、『湯けむりスナイパー PART III』と単行本が発売されています。この作品を原作に、同名のテレビドラマで演出・脚本を務めたのが大根仁監督です。

かつて一流の殺し屋だった主人公。源さんという名で秘境にある温泉宿・椿屋で働くことになります。自身の正体を隠し、堅気になった源さんと椿屋で働く人々の日常を描いた人間ドラマです。源さんのひたむきさや自分を貫く強さなどに共感する読者が続出。ただ者ではないことはわかっていても椿屋で懸命に働く姿に惹かれます。

ドラマで源さんを演じるのは、連ドラ初主演の遠藤憲一。オリジナルビデオで多くのヤクザなど演じてきた彼だからこそ出せるその雰囲気は源さんそのものです。放送を重ねるたびにその人気に火が付き、『湯けむりスナイパー お正月スペシャル』、『湯けむりスナイパー お正月スペシャル2012』までも放送されました。静かにジンとくる感動作です。

著者
["松森 正", "ひじかた 憂峰"]
出版日

【ドラマ原作】瑛太と松田龍平コンビ復活!大根仁が念願の演出!『まほろ駅前番外地』『まほろ駅前多田便利軒』(2013年)

三浦しをん原作の大人気シリーズから『まほろ駅前番外地』『まほろ駅前多田便利軒』を原作としたテレビドラマが2013年放送されました。2011年にはすでに映画版の『まほろ駅前多田便利軒』が公開されており、その続編的な位置づけとなります。ドラマでは、『まほろ駅前番外地』というタイトルで、キャストも瑛太松田龍平が続投。監督・脚本を大根仁が務めました。

まほろ市で便利屋を営む多田と行天。掃除からお見舞い、遺品整理に子守や料理と何でもござれの2人のもとには街の人から多くの依頼が寄せられるのでした。そんな2人と周囲の人たちの人間ドラマを描いた作品です。

変わらずのバデイ感に胸躍ります。今回は脇役たちを主人公としたエピソードなどが盛り込まれた物語も描かれて充実の内容です。

ドラマでは、原作や映画版とも違う作品に。多田や行天の持つ独特な空気感は保ちつつ、ドラマならではのテンポ感が楽しめます。基本は1話完結の物語ですが、連ドラならでなの多田や行天のバッググラウンドなども描かれていくことに。原作小説や映画版とともに味わえること間違いありません。

原作の詳細が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。

三浦しをんのおすすめ文庫本ランキングベスト9!

著者
三浦 しをん
出版日
2012-10-10
著者
三浦 しをん
出版日
2009-01-09

【ドラマ原作】オダギリジョーが探偵に!大根仁が描く大人のドラマ!『リバースエッジ 大川端探偵社』(2014年)

浅草を舞台にした探偵の物語『リバースエッジ 大川端探偵社』は、『湯けむりスナイパー』のひじかた憂峰原作、『かぶく者』のたなか亜希夫作画というベテランコンビが生み出す人気シリーズです。2018年にひじかたは亡くなりましたが、多くの原稿を遺していたため、今なお不定期で連載は続いています。同名タイトルにて、テレビドラマ化され大根仁が監督・脚本を務めています。

東京・浅草にある隅田川沿いの雑居ビル。そこに大川探偵社がありました。調査員の村木、所長、受付嬢のメグミの3人で、依頼人からの調査に明け暮れる毎日。そこを訪れる依頼人はそれぞれの深い悩みを抱えているのでした。

毎回の依頼はどこか神秘的な内容も多いのですが、リアルなタッチで描かれていくので物語につい引き込まれてしまいます。さすがのベテランコンビの作品は読みごたえ十分です。

ドラマでは原作のこれはというエピソードをピックアップし映像化。オダギリジョー演じる村木を中心に物語が展開し、大根監督の描く大人の人間ドラマとなっています。

原作の詳細が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。

名作探偵漫画「リバースエッジ」が泣ける!【ネタバレ注意】> 

著者
ひじかた 憂峰
出版日
2009-10-19

【ドラマ原作】瑛太主演!大根仁の探偵ドラマ決定版!『ハロー張りネズミ』(2017年)

多くの人気漫画を世に送り出し続けている弘兼憲史が、1980年代に連載していた探偵漫画が『ハロー張りネズミ』です。これまで日本のみならず、実写映画、テレビドラマ、オリジナルビデオなど数々の映像作品にもなってきました。2017年連続ドラマ『ハロー張りネズミ』として、瑛太を主演に大根仁が脚本・演出を務めました。

東京の板橋にある「あかつか探偵事務所」が舞台。そこに所属する「ハリネズミ」と呼ばれる探偵・七瀬五郎が、仲間たちとともにさまざまな事件を解決していく物語です。漫画では、日常的な人情モノから国際犯罪まで扱う五郎たちの活躍が描かれていきます。ホッとする部分とサスペンス的な部分の両方が楽しめます。

ドラマでは、五郎を演じる瑛太を中心に、一風変わった事件をも扱う探偵所を描きました。謎の女や所長を深田恭子、山口智子といった美女が演じ、相棒役の森田剛など豪華メンバーが集結。これまで数々の探偵ドラマを演出してきた大根仁の手腕が光る作品となりました。

原作の詳細が気になった方は、こちらの記事もご覧ください。

『ハロー張りネズミ』ドラマ化のほのぼの探偵漫画に癒される!【ネタバレ注意】

著者
弘兼 憲史
出版日

【監督・脚本・演出作品一覧】大根仁は映画にドラマに多忙な人気監督!


まとめ

小説からエッセイと幅広い原作で多くのエンターテインメント作品を世に送り出してきた大根仁監督。彼の映画やドラマを見ると自然と原作にも手を伸ばしたくなる、大根作品にはそんな力があります。ぜひ原作とともに大根作品も堪能してみてください。

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