森本梢子のおすすめ漫画4作品!『ごくせん』でおなじみのヒットメーカー!

更新:2021.11.28

森本梢子の作品はどれも彼女独特の世界観と設定が光ったものばかり。映像化作品も多いですが、ぜひ原作でそのカラーを味わってみてください!

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エンタメ漫画のヒットメーカー、森本梢子

森本梢子は熊本県出身の漫画家です。1985年、『抱き寄せてプロポーズ』でデビューしました。主に「YOU」で連載をしています。 彼女は斬新な設定とシュールなギャグ、絵柄が人気のヒットメーカーです。言わずと知れた『ごくせん』や『研修医なな子』、『デカワンコ』のドラマ化や、『高台家の人々』の映画化など映像化でひっぱりだこなんです。 

映像化のオリジナルストーリーや好きな俳優が活躍する姿などは見ていて楽しめるものですが、やはり世界観が独特で力量のある作者のものは原作で読んでもらいたいもの。特に森本梢子の平坦な絵の書き方なのに厚みを感じる内容と、考えつかないようなギャグは彼女ならではのものです。

走れ恋するアホ!『アシガール』

速川唯は遅刻、忘れ物、居眠りの常習犯で勉強もやる気なし。前髪は自分で適当に切り、弁当は現場のおっさんのような重量感で、おしゃれや恋にも興味がない。しかし、唯一の特技は足が速いこと!友達にも教師にも「足だけは速いよね」と言われる始末。だからと言って部活に燃えている訳でもなく、本当にやる気のない女子高生なのです。

 

著者
森本 梢子
出版日
2012-07-25


ある日、特に科学の分野で天才的な頭脳を持っている弟・尊が開発したタイムマシーンで戦国時代にタイムスリップしてしまいます。そしてそこで出会った若君様に一目惚れ。その後現代に戻り、若君様が10ヶ月以内に死んでしまうということを知り足軽として若君様を守るため再び戦国時代へ駆けていきます。戦に赴くというのに脳天気な唯は果たして歴史を変えることができるのか!? 

若君様が好きというだけで時代を超え、戦で走りまくり、足軽として大活躍します。食べ物も娯楽も快適な環境も何もない戦国時代、でも若君様がいれば万事オッケー!!な唯のお気楽ぶりがクセになる漫画です。 

森本梢子は、もともとタイムスリップものが好きとのこと。しかしたいていの結末は切ない別れの運命か、現代に戻って生まれ変わりの人と出会うというものです。ハッピーエンドにするのも矛盾が生じる……。そこで森本梢子はふと彼女なりの結末を思いつきました。それがこの『アシガール』誕生のきっかけです。 

果たして彼女なりのタイムスリップものの結末とは?唯と一緒に若君様にキュンキュンしながら時空の旅に出てみましょう♪

小さな世界で広がる妄想の話『高台家の人々』

斎藤工、綾瀬はるか、水原希子などの豪華キャストで2016年夏に映画化された恋愛コメディの原作漫画です。 

平凡の平に野グソの野で平野木絵。彼女は地味で、生まれてから現在まで人生の片隅歴29年のOLです。口下手な彼女は妄想の中では雄弁。いつもくだらない妄想をして辛いことや現実からふんわりと逃れています。 

しかしそんな彼女がなぜかニューヨーク支社から来た黒髪碧眼の王子様、高台光正と親しくなります。実は彼は人の考えていることが分かるテレパスで……。

 

著者
森本 梢子
出版日
2013-09-25


テレパスの光正が人の心が分かるという苦悩を抱えながらも、おおらかで優しい木絵にほぐされていくという恋物語です。ところどころそんな悩みがシリアスな展開でもあるのですが木絵のキャラクターと妄想がコミカルでおとぎ話のような雰囲気になっています。 

やはり何と言っても彼女の妄想が秀逸です。木絵は優しい女の子ですが、好きになれない人などには妄想で少しだけ仕返し。特に脇田課長の扱いはひどい。悪の組織にぐるぐる巻きにされた課長を見捨てて自分は光正様とヘリで脱出したり、ガラパゴスリクイグアナの女子社員が幅をきかせるガラパゴス支社に飛ばしてみたり……。 

その他にも木絵の妄想の中のキャラクターは、顔や設定が森本梢子のギャグセンスが光るシュールでひねりのあるものになっています。どのキャラクターも全部面白い。おすすめはダッフンヌ神父、一度見たら忘れられない顔とにやにや笑いをしています。 ぜひ原作でキャラクターたちの表情と設定をお楽しみください。かなり危険な漫画なので立ち読みや電車の中では読まないようにしましょう。

こんな刑事でいいのか!?『デカワンコ』

警視庁捜査一課・教皇搬送さ第6班は検挙率ナンバーワンだけどトラブルも多いチームです。そんな班に配属になったのはフリフリのワンピースを着た花森一子、通常ワンコ。男だらけの6班で異彩を放ちます。 

しかしなぜこの班に配属されたのか、彼女はどう見ても使えない子供のような子です。定番のとりあえずカツ丼を頼んだり、ブラインドカーテンの間から外をチラリとのぞいたりと、見学に来た学生と変わらないミーハーさを発揮します。特に強くも賢くもなく、警察官としての意識も足りない……。 

 

著者
森本 梢子
出版日
2008-10-17


そんなワンコはつい手が出がちでヤンキーのような桐島、通常キリとコンビを組んで捜査をすることになります。そこでとりたてて良いところがなかったはずのワンコが大活躍!実は彼女は犬並みに嗅覚の聞く特異体質を持っていたのです。 

こちらもドラマ化が話題になった漫画です。ワンコがその特異な武器を生かして難事件を解決していく、刑事ドラマを題材とした漫画です。ドラマでは多部未華子、沢村一樹、手越裕也などのイケメン、美女役者たちに加え、渡辺直美、石塚英彦などのコミカルな役者が原作の雰囲気を再現しています。 

しかし何と言っても原作でしか味わえないシュールで笑える世界観がこの作品の魅力です。森本梢子のフラットな絵柄で登場人物たちがぼけたり、突っ込んだりする様はまさに彼女独特の世界観。フラットなのに表情が豊かに感じられる登場人物たちはにやにやと笑えてしまいます。 

もちろん主人公のワンコも表情が最高!かわいいもの大好きな彼女がフリフリのスカートをひるがえしながら、鼻の穴を両方極限まで開いて道路や被害者の靴を嗅ぎまわります。残念な子です……。 

どんくさくてところどころイラつくようなワンコが、周囲の人物たちとドタバタ劇を繰り広げる様子はどこか牧歌的で和むものとなっています。刑事ドラマがこんなに肩の力が抜けてていいのか!?そんな風に突っ込まずにはいられないですが、それが面白い!森本梢子流のデカ物語が描かれています。

『デカワンコ』については<漫画『デカワンコ』あらすじネタバレ!登場人物の魅力とドラマ版出演者も紹介>で紹介しています。ぜひご覧ください。

森本梢子の代表作!『ごくせん』

言わずと知れた大ヒットドラマ、映画の原作漫画です。ドラマは第3シリーズまで続き、仲間由紀恵、松本潤、小栗旬、成宮寛貴、亀梨和也赤西仁、三浦翔平、 速水もこみち、小池徹平、小出恵介、三浦春馬など、当時はまだ若手で、今では考えられないほどの豪華キャストで人気を博しました。 

私立白金学院高等学校は吹きだまりと言われる男子高校。絶滅寸前の「つっぱり高校生」がのし歩き、かなり荒れています。その中でも不良ばかりの3年D組の担任になった山口久美子、通称・ヤンクミ。熱血教師のヤンクミはおさげに眼鏡、ジャージのさえない見た目です。しかし彼女は実はヤクザの大江戸一家の孫娘、「お嬢」だったのです。彼女はそのことを隠しながら教師生活を続けますが……。

 

著者
森本 梢子
出版日


森本梢子のギャグセンスとキャラクターも魅力的ですが、何と言ってもヤンクミがかっこいい極道漫画です。見た目がださいヤンクミが時折放つ鋭い眼光や肝っ玉の座り具合、アクションシーンは王道のヤクザもの。しかし森本梢子の書く絵柄からか、生々しかったりくどかったり感じるような内容ではなく、男女ともに読めるものとなっています。内容の濃さと、余白や背景、人物の表情がフラットなので所感は軽いものとなっており、そのバランスが森本梢子の力量を感じます。 

ドラマでは仲間由紀恵のヤンクミのキャラと、若手俳優にスポットをあてた青春ドラマ仕立てでしたが、原作は極道感が強いものとなっています。人情や義理を通すヤンクミに少しずつ感化されて成長していく生徒たち、アツい彼らの気持ちが胸にぐっときます。 

ヤクザの教師という新しい設定と王道の極道エッセンス、男子高校生の青春と言われてみればヒットしない訳がない要素を森本梢子の力量でまとめあげた名作です。

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