大人におすすめの漫画30選!ちょいエロな恋愛ものに泣ける名作、鬱漫画も!

更新:2021.1.8

漫画は子供が読むもの?いやいや、大人向けの作品も充実しているのです。社会現象を巻き起こした作品もあります。泣けたりお色気だったり、鬱だったりとジャンルも豊富です。今回は大人におすすめの漫画をご紹介いたします。

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【お仕事】きついけど楽しい!? 頑張る大人におくりたい漫画

学生生活を終えたら、大概の人が社会に出ます。なかには高校生ぐらいから、アルバイトに精を出す人もいますが、社会に出てから厳しい現実に直面した人は多いでしょう。働き方について注目される昨今、仕事って何だろう、と悩む人も多いのではないでしょうか。

『働きマン』は、仕事に情熱を燃やすアラサー女子・松方弘子が主人公。週刊誌の女性編集者で、男性の多い職場で働く彼女は、仕事に人生を賭けています。仕事の時は男モードに入り、テキパキと仕事をこなしています。まさに、絵に描いたようなキャリアウーマンです。

しかし、彼女も他の女性と同じように、さまざまな悩みを抱えていました。

著者
安野 モヨコ
出版日
2004-11-22

弘子は「仕事をやり切った」と思いながら人生の最期を迎えたいと考えていました。それほど、仕事に命を捧げている女性です。彼女は、仕事を達成するために、さまざまなことを犠牲にしてきました。

失恋をし、友人の結婚する姿を見送り、仕事以外に犠牲にしてきたことについて、ふと考えてしまう……そんな経験はありませんか?また、些細なきっかけで「自分の生き方は本当にこれでよかったのか」と思い返してしまうことは、誰しもあるでしょう。

本作の主人公も、仕事に打ち込み続けるなかで、同じような悩みを抱えます。その姿に、共感することができるでしょう。

仕事第一の弘子以外にも、働き方の価値観が異なる、いろんなキャラクターが登場します。それぞれの考え方で仕事に向き合う姿から、「生き方は人それぞれ」であると気づかされるのです。

仕事を中心に生きてきた自分自身に悩みながらも、日々こなさなければならない仕事に没頭する弘子は、仕事で打ちのめされ、また仕事で浮上します。誰もが働いているからこそ、自身の働くことについての考えを、知る機会ともなるでしょう。働くことに、人は多くの時間を割いています。働き方が見直されている今だからこそ、心に響く作品です。

『働きマン』については<『働きマン』が無料で読める!名言満載の名作漫画をネタバレ紹介!>で紹介しています。ぜひご覧ください。

【お仕事】中年おじさんだってやればできる!異色の成長物語

病気や事故もなく、順調に年齢を重ねていけば、人が生きる期間は80年ほど。その長い人生のなかでも、何かに打ち込み、成長していく年齢というのは、10代から30代くらいだと認識されていることが多いでしょう。中年期は、それまでの経験を活かし、より円熟した時間を過ごすために費やされます。

肉体的な衰えは徐々に感じるものですが、特に40代はそれを顕著に感じる年齢。働きざかりとはいっても、ふとした瞬間にこれまで過ごしてきた時間と、残された時間を考えてしまうものです。

『最強伝説黒沢』は、18歳から働きはじめ、気づいたら44歳になっていた建設作業員・黒沢の物語です。彼は、金・女性・人望・出世のどれにおいても、負け組と呼ばれるような人生を歩んできました。

著者
福本伸行
出版日
2003-06-30

大柄でガッシリとした体格の黒沢は、建設現場の監督を任されてはいるものの、実情は出世もできず、交通整理の応援を任されるなど、邪険に扱われがち。44歳の誕生日を迎え、自分の人生があまりにも満たされていないことに気がつき、一念発起、自分自身を変えようと奮闘しはじめます。

ある一定年齢を超えると、自分自身を変えるのはより難しくなるもの。少しだけ態度を変えたり、言葉の使い方を改めたりすることだけでも、ずいぶんと勇気のいる行動です。人望がほしいと頑張る黒沢ですが、最初は空回り気味。しかし、徐々に周囲に認められる姿が見られ、ほんの少しの努力でも報われるのかもしれない、と気づくことができます。

誕生日をきっかけに、内面が変化した黒沢は、やがて部下に慕われるようになります。さまざまな事件に巻き込まれ、苦労はしますが、誰かに頼られる時の黒沢は生き生きしているのです。

物語序盤とは、まるで違う人物のよう。生きる活力にあふれ、人生を謳歌しているようにすら思えます。自分を変えた先には何かがある……少しの勇気が人生を変える物語です。自分自身も一歩踏み出す活力をもらえそうです。

『最強伝説黒沢』について紹介した<『最強伝説黒沢』が胸に迫る!名言、見所を最終回まで全巻ネタバレ紹介!>もおすすめです。

【お仕事】夢を追いかけるすべての大人に

幼少期にUFOを見てしまった南波六太(なんばむった)と、3歳違いの弟・日々人(ひびと)。2人はこれをきっかけに、宇宙飛行士を目指すようになります。

19年の時が過ぎ、日々人は夢を実現させて宇宙飛行士になり、日本人初の月面探査クルーに選ばれます。一方の六太は会社をクビになり、欝々とした日々を送っていました。

同じ夢を掲げる2人の対照的な姿が描かれる『宇宙兄弟』は、夢を追いかける兄弟の物語です。

宇宙への夢を実現した弟の日々人。そんな弟の姿を横目に、兄の六太は子どもの頃の夢を半分諦めていました。しかし、ある日JAXAから届いた宇宙飛行士書類審査合格の通知が、六太の運命を変えるのです。

著者
小山 宙哉
出版日
2008-03-21

子どもの頃に夢みる将来は、漠然としたものが多いです。そこに至るまでの労力や、どのくらいの努力が必要なのか、そういった点には目が向かないでしょう。だからこそ、大人になってから夢を実現しようとすると、想像以上につらく、険しい道のりなのです。

一足先に夢を叶えた弟へのコンプレックスを抱えながらも、六太は地道な努力を積み重ねていきます。優れた能力を持っているにも関わらず、自己評価の低い彼をつい応援したくなるほどです。

他者を押しのけることなく、仲間を大切に想う南波兄弟にほっこりしたり、兄弟の絆に胸が熱くなったり……。夢を諦めないというよりも、「いつでも夢を見はじめることはできる」という思いが強く感じられます。

幼い頃に見たあの日ではなくても、何かを目指す気持ちを思い出させてくれるような、エネルギーに溢れる作品です。

『宇宙兄弟』が気になる方は<漫画『宇宙兄弟』最新34巻までの見所を名言でネタバレ紹介!>をご覧ください。

【グルメ】1人でフムフム楽しむ料理も美味しい!渋い大人のグルメ漫画

「食べること」は生きていくうえで、必要不可欠な要素です。だからこそ、人々からの関心度が高いのでしょう。

テレビ番組や雑誌などでも、グルメがテーマに取りあげられていることは多々あります。『孤独のグルメ』もそのひとつ。中年男性が、実在する店でさまざまな料理を食べていくストーリーです。

読者にとって嬉しいのは、あくまで庶民的な店が多く取りあげられている点でしょう。的確な描写で、読者の食べたい欲求を高めてくれます。

ドラマ化で人気を不動のものにした本作は、メシ漫画ブームの火付け役とも言われています。

著者
["久住 昌之", "谷口 ジロー"]
出版日

井之頭五郎は、輸入雑貨の貿易商を営む中年男性。店も持たず、結婚もしておらず、孤独ながら自由な生き方を謳歌していました。そんな彼にとって、日々の食事は楽しみのひとつ。仕事の合間に立ち寄った庶民的な店など、食事風景が丁寧に描かれています。

登場するお店は、関東だけではありません。仕事柄、全国に出張しているため、さまざまな地域の美味しいグルメが扱われています。

主人公の五郎は、食事に確固たる信念を抱いています。食べ合わせを気にしたり、異なる食材が使われてそうなものを選んだり、注文の仕方から徹底しているのです。

食べながら、モノローグでその味や食感を実況してくれます。その表現ひとつひとつが分かりやすく、実際に食べてみたくなるのです。

空腹に耐えられなくなってしまうので、本作を夜中に読むのは危険です。お腹の具合と相談してから読むことをおすすめします。

タイトルに「孤独」とあるように、基本的には主人公がひとりで美味しいグルメを楽しんでいる本作。ひとり飯に抵抗がある方は、主人公の姿に影響を受けて、人の目を気にせず食事を楽しめるようになるかもしれません。

『孤独のグルメ』の名言を紹介した<漫画『孤独のグルメ』の名言20選からお一人様の流儀を学ぶ!>の記事もおすすめです。
 

【グルメ】食べれば悲しみは忘れられる?とにかく食べまくるグルメ漫画

自分へのご褒美はちょっとした甘いもの、記念日には家族で外食、力をつけたいときには肉を食べるなど、食事は娯楽としての一面を持ちながら、人々の暮らしに定着しています。

近年は稀にみるグルメ漫画ブーム。多くの作品のなかでも、異彩を放っているのが『忘却のサチコ』です。

文芸誌の編集者をしている佐々木幸子が、忘れるためにご飯を食べまくる、という異色すぎる設定です。ご飯は楽しみのひとつであるはずですが、食べることが「忘却のため」という点につい目が向いてしまいます。ヤケ食い、という言葉もあるので共感はできますが、ページをめくり続けると、忘却という理由をついつい忘れてしまい……単純に美味しそうな料理に引き込まれていくことでしょう。

著者
阿部 潤
出版日
2014-12-26

完璧な人生を歩むため、妥協して結婚しようとした幸子。しかし、新郎が式の当日に失踪してしまい、人生設計を台無しにされてしまいます。

妥協した相手だったのに……と思いのほかショックを受けた彼女は、定食屋でサバの味噌煮定職を注文。そして、あまりの美味しさに、悲しみのすべてを忘れられていることに気づきます。こうして、「忘れるために美味しいものを食べる」ことに専念するのでした。

おいしいもの、と一口に言っても、登場する料理はさまざま。何も考えられなくなるほどお腹いっぱいになりたい、とわんこそばを食べるなど、少々猪突猛進的な彼女の謎の理論により決定されますが、どれも美味しそうでお腹が鳴ってしまうほど。食べ方が豪快なせいもあり、読後は爽快感を味わうことができます。

登場するお店の一部は、実際に営業しています。登場する料理を実際に味わうことができる、というのがグルメ漫画の楽しみのひとつです。食にのめり込む理由は少々悲しいですが、その理由すら食の力で吹き飛ばす主人公。そのパワーに魅了され、とにかくお腹が空いてしまうこと請け合いです。

『忘却のサチコ』について気になる方は<『忘却のサチコ』の見所を全巻ネタバレ紹介!実際に行きたい実在店も紹介!>をご覧ください。

【成長】リアルな生活感が印象的な子育て漫画。大人が共感する

 

祖父の訃報により訪れた先で、30歳の独身サラリーマン・河地大吉(ダイキチ)は、鹿賀りんという少女に出会います。彼女は祖父の隠し子で、他の親族は望まれぬ子である彼女を施設に入れよう、など話をしていたのです。それに反発したダイキチは、りんを引き取り、自分が育てると言い放ちます。こうして結婚経験もない30歳の男が、6歳の少女と一緒に生活することになるのです。

『うさぎドロップ』では、女っ気がほぼない主人公がシングルファザーとなり、育児に奮闘する姿が描かれます。試行錯誤しながら、少女との絆を深めていく姿は、読者の感動を誘うことでしょう。

 

著者
宇仁田 ゆみ
出版日
2014-10-08

本作品で描かれているテーマのひとつに、「子育てに対する価値観」があります。ダイキチが、りんと生活を始めると、彼の人生は一変します。独身ならある程度自由にできたことも、りんの世話があり、時間に縛られるような生活に変わっていくのです。

子育てと自分の時間に、どう折り合いをつけたらよいか。これは、子どもを育てる親にとって、悩ましい問題でもあるのではないでしょうか。
 

ダイキチは、この問題に対する答えを見出していくのです。たしかに子育ては、自分の自由な時間を割くことになります。しかしそうやって得た、りんとの時間も、自分にとっての幸せな時間なのだと彼は語るのです。

最初6歳だったりんは、作中で年を重ねていき、高校生に成長する過程が描かれています。これだけの年月、彼女の成長を見守れるという点でも読みごたえ抜群です。30歳の独身男だったダイキチも当然年を取りますので、彼の内面がどう変化するのかというポイントにも注目してみてください。

リアルな生活感が描かれる本作を読んでいると、不思議と自分も親になったような気分になる瞬間がありるでしょう。それは、経験の有無にかかわらず、ダイキチがいたって等身大で描かれているからでしょう。彼は何の特徴もない普通の男ですから、その分感情移入しやすいのかもしれませんね。

これから子育てを経験する方も、すでに子育てを経験している方も、共感できる部分がたくさんある作品です。

『うさぎドロップ』については<『うさぎドロップ』結末が賛否両論?ラストはなぜああなったのか考察【無料】>の記事で詳しく紹介しています。気になった方はぜひご覧ください!

【成長】15歳のプロ棋士と三姉妹がつむぐ人間ドラマに大人も感動する

『3月のライオン』は、将棋をテーマにした作品です。幼いころ家族を亡くしてしまった少年が、父の友人だった棋士に引き取られ15歳でプロ棋士となります。そんな若き棋士である主人公を中心に起こる人間ドラマが描かれています。

交通事故によって家族を失ってしまうという過去を持つ高校生棋士の桐山零。プロとして将棋の対局を続けるなか、不調が続き思い悩んでいました。

そんな時、先輩棋士に無理やり付き合わされた先で酔いつぶれてしまいます。たまたま川本家の長女に介抱され、その後、3姉妹との交流がはじまります。この出会いをきっかけに、零は大きく成長していくことになるのです。

著者
羽海野 チカ
出版日
2008-02-22

本作品では、実際の棋士が監修についているため、将棋の専門用語や対局シーンなどが数多く登場します。将棋の世界を十分に味わうことができる作品ですが、それ以上に登場人物それぞれの葛藤や成長していく姿が見どころといえるでしょう。 

零が棋士として伸び悩むなか、いじめ問題に巻き込まれてしまった川本家の次女ひなたのことを特別な存在だと感じていくあたりのエピソードは感動的。彼の人間としての成長を感じられる素晴らしいエピソードです。

将棋をテーマにしているとはいえ、専門的な知識がなくても楽しめる内容となっています。少年少女たちの成長していく姿に、心を動かされることでしょう。

『3月のライオン』について紹介した<漫画『3月のライオン』14巻までの見所を全巻ネタバレ紹介!>もおすすめです。

【成長】ある日突然4姉妹に!鎌倉を舞台とした成長物語

 

ある日突然、あなたにもうひとり兄弟がいると知らされたら……。

両親が健在で同居していれば、その事実に動揺し、兄弟が増える原因となった行動や行為を嫌悪することになるでしょう。また、すでに婚姻関係を解消し、法律上は夫婦ではなくなっていても、複雑な気分は拭えず、どことなく気まずい空気が漂います。

鎌倉に住む香田家3姉妹は、15年前に両親が離婚したことで父親と音信不通になり、その後は母方の実家で育ちました。自分の恋を追いかけて再婚をした母の都とは、うまく折り合いがついていません。

長女の幸は看護師、次女の佳乃は信用金庫で働くOL、三女の千佳は美容師。それぞれの日常を生きていた3姉妹に、突然15年間会っていなかった父親の訃報が届けられます。

複雑な気持ちを抱えながらも父親の葬儀に参列した姉妹は、そこで自分たちの異母妹にあたる中学生の少女、浅野すずと出会うのです。年齢よりも大人びた彼女の姿にかつての自分たちを重ねた姉妹は、複雑な気持ちを抱えながらも彼女を引き取り、4人姉妹として生活をはじめました。

『海街diary』は、突然家族となった4人姉妹の日常と、主人公であるすずの成長を中心に描かれます。彼女たちの関係や恋は対比されており、それぞれが抱えている問題が見えやすい構図になっているのです。

 

著者
吉田 秋生
出版日
2007-04-26

 

両親の不倫によって苦労したはずの長女・幸子が自身も不倫関係に陥ってしまうのは、読者としても複雑なところでしょう。不毛な恋を続ける姉たちに、すずという新しい妹の存在が小さな変化をもたらしていきます。

3姉妹の大人な恋はもちろん、10代のすずらしい年相応の恋模様もあり、ときめくシーンが随所で描かれます。また、舞台である鎌倉の情景があますことなく表現されているのも、本作の魅力のひとつとなっているのです。

3姉妹から4姉妹へ、穏やかに緩やかに変化するそれぞれの関係と成長を、いつまでも見守っていたくなる作品です。

 

【恋愛】依存系女子がのめり込む、報われない恋愛劇が鬱

恋愛は、好きあった者同士の想いが通じ合い、初めて報われるもの。ただ、人によって恋愛の形はさまざまで、個々の性格によっても愛情表現は異なります。あまり相手に干渉をしない人もいれば、一挙一動に振り回されてしまう人もいるでしょう。

 

『きみが心に棲みついた』は、奇妙で報われない恋をする男女の依存関係を描いた物語です。下着メーカーに勤める小川今日子は、通称「キョドコ」という不名誉なあだ名で呼ばれるアラサー女子。自分に自信が持てず、緊張し、パニックになるとどもって挙動不審になる癖があるため、さらに自信を失くすという悪循環に陥っていました。

 

著者
天堂 きりん
出版日
2012-01-13

大学時代、彼女にトラウマを植え付けた相手の名が星名漣。彼の言いなりになった結果、今日子は心も身体も傷つけられていました。しかし、自分を一番理解してくれている、という思いも捨てきれずにいます。

昔の恋を忘れようと、吉崎に告白しますが振られてしまいます。それでも少しずつ前に進む決意をした今日子。しかし、星名が同じ会社に転職してきて、悪夢の再会を果たしてしまうのです。今日子の心はまたもや星名にとらわれてしまい……。

星名は要領がよく、人当たりのよい好青年に見えます。しかし、実際は暗い過去から脱却できない心を抱えていました。

そんな彼の過去を知っても、今日子に対する冷たい仕打ちは、読者から「地獄に落としたい」と言わしめるほど。救いのない関係にのめり込む今日子を止めたくても止められない、ジレンマを抱えてしまいます。

今日子を傷つけることを楽しむ最低男・星名との関係は平行線で、誰かが断ち切ってくれるまで、どちらかが諦めるということはありません。両方とも救いを求めているわけではない以上、どうか幸せになってくれ……と読者は新しい救いの手を期待するしかありません。

鬱展開だと分かっていても、気になって続きを読んでしまう、そんな中毒性の高い作品です。

『きみが心に棲みついた』については<漫画『きみが心に棲みついた』を読もう!全巻の魅力をネタバレ紹介!>で紹介しています。ぜひご覧ください。

【恋愛】少女漫画の金字塔!イケメン男子と根性女子の恋

『花より男子』は、少女漫画らしからぬドタバタコメディが満載。長編にもかかわらず、飽きさせないストーリー展開は、男女問わず人気を集めています。
 

とある金持ち学校を舞台とした作品です。漫画のよいところは、現実ではありえない出来事がくり広げられるということ。誰もが憧れるお金持ちのイケメンたちとの恋が描かれていますが、ただのラブロマンスではありません。ヒーローとヒロインは、お互いにマイナスイメージを持つところから始まり、徐々に恋を育んでいきます。

著者
神尾 葉子
出版日

玉の輿を狙う母親たっての希望により、英徳学園高校に入学した庶民の牧野つくし。この学園では「F4」と呼ばれる、お金持ちの男子4人組が教師でさえ逆らえないほどの権力を握っていました。

 

 

つくしは、そんな彼らの存在に違和感を覚えながら、平凡な生活を送っています。しかしあるとき、いじめられていた友人をかばったことで、F4に目をつけられ……その日から、学園中を敵に回してしまいます。

普通の女の子なら、陰湿ないじめに傷つき、学園を去ってしまうことでしょう。しかし、つくしは不屈の雑草根性と持ち前の正義感で、理不尽ないじめに立ち向かいます。

やがてそんな彼女の姿にF4のリーダー格で俺様タイプの道明寺司や、クールでマイペースな花沢類が惹かれていき、複雑な恋愛模様が描かれるように。三角関係にさらにライバルも登場するなど、終始ハラハラさせられる展開を迎えます。

序盤は、本当にラブストーリー?と驚くほど、コメディタッチで描かれる本作。

つくしの頑張りを応援するうちにどんどん物語へと引きずり込まれていきます。恋の展開も気になりますが、個性的なイケメン男子が多数登場するのも、本作の魅力。現実ではありえないような舞台設定や、物語の展開を楽しめる、良質の恋愛少女漫画です。

 

 

【恋愛】契約結婚から始まる夫婦はうまくいくのか?不器用な大人たち

一般的に、結婚は恋愛をして好き合った同士の男女、もしくはお見合いなどでお互いに気があい、結婚に同意をした男女がするものです。結婚とは一種の契約ではありますが、男女が共同生活を送るもの。あまり好意を抱いていない、もしくは会ったばかりの男女が結婚をする、というイメージはないでしょう。

『逃げるは恥だが役に立つ』は、結婚生活を描いた作品です。しかし、結婚といっても普通ではありませんでした。なんと、それは契約結婚だったのです。

互いの利害が一致したため、夫婦という形で生活を送っていくことになる2人。そうはいっても、一緒に暮らしているのは生身の人間です。「雇用主と従業員」という形態をとっていましたが、金銭のやり取りだけで何事もうまくいくわけではありませんでした。

著者
海野 つなみ
出版日
2013-06-13

森山みくりは大学院まで進学するものの、就職活動で全滅。派遣切りにあい、就職浪人中でした。

見かねた父親が探してきたのが、元部下である津崎平匡の家事代行業。週1という契約で家事を代行することになりました。みくりは、平匡とも適度な距離で、良好な関係を築いていきます。

そんなある日、みくりの両親が定年を機に、田舎に引っ越すと言いだしたことで、事態は一変。現状維持の生活を求める彼女は、平匡に就職としての結婚、要するに「契約結婚」を持ちかけるのです。

彼らの契約結婚にはさまざまなルールがあり、給料や休暇も細かく設定されています。仮の夫婦として外で活動する際は、時間外手当がつくなど、かなり本格的な雇用規定を作成するのです。

契約結婚が周囲にバレることを回避するため、実際に恋人になってみたり、ハグの日を作ってみたり……。それらしく見えるように奮闘する姿が、なんだか新鮮でつい笑ってしまいます。

しかし、一緒に生活できるということは、それなりに好意を持っているということ。2人は関わるうちに恋心を抱いていくのですが、お互いに不器用すぎる姿がもどかしいのです。大人の恋なのに、中高生の恋愛を見ているような、甘酸っぱさを感じられるでしょう。

いきなり結婚からスタートする、一風変わった恋物語をお楽しみください。

【恋愛】美少女とのちょっとエッチな王道恋愛漫画!全男子のバイブル

漫画はストレス解消や、個人の趣味として楽しむものですが、時に教本となる場合もあります。専門書で実用的な知識を得ることが多いですが、なかには恋愛の何たるかを学んだという方もいるでしょう。気恥ずかしさのあまり、周囲と恋や性の話ができない……そんなときに恋愛漫画は、悩める大人のバイブルとして役立つこともあります。

美麗な絵とSF要素の入った設定を活かした、切ない物語展開で人気を博す漫画家・桂正和。そんな彼が、普通の高校生の恋愛をテーマに描いたのが『I''s(アイズ)』です。

美少女同級生との三角関係という美味しいシチュエーションはもちろん、少年漫画らしいお色気シーンも満載。少女たちの美しさに、女性の読者でもドキッとしてしまうでしょう。

著者
桂 正和
出版日
2005-12-19

優柔不断で、将来に夢を持てない平凡な高校生・瀬戸一貴。彼は入学した時からクラスメートの葦月伊織に片想いしていました。しかし、気持ちが態度に出やすく、暴走しやすいせいか、過去に苦い経験をしています。一生片想いでいいと考えてしまうほどでした。

そんな時、伊織と新入生歓迎パーティーの実行委員をしたことから、急接近。2人は徐々に打ち解けていきます。

同時期に、一貴の前にボーイッシュな少女が現れます。彼女の名前は秋葉いつきで、1歳年下の幼馴染でした。アメリカから4年ぶりに帰国しましたが、幼馴染以上恋人未満という一貴とは、微妙な関係です。

片想い中の伊織と、自分に少し好意のある素ぶりを見せるいつき。2人の少女の間で、一貴の心は揺れ動きます。

物語が進むうちに、名前の頭文字に「I」の付く女性たちが次々に登場。ハーレム状態になるので、読者としては羨ましい限りです。主人公は優柔不断なところがあるので、終始モヤモヤさせられるでしょう。

はたして、どの少女との恋を成就させるのか……。甘酸っぱい恋模様をお楽しみください。

『I''s』については<『I’'s』(アイズ)ヒロインの可愛さネタバレ紹介!ドラマ化の名作漫画>で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

【恋愛】共感必至!大人女性がダメ男をぶった切る爽快感がクセになる漫画

世に生きる人々すべてが恋人の意見を尊重し、互いに助けあいながらお付き合いをしているわけではないでしょう。恋人以外の人にうつつを抜かしたり、お金にルーズだったりと、ハタ迷惑な人も存在します。
 

女性の視点から、ちょっとダメな男性たちの姿を描いたのが『深夜のダメ恋図鑑』。本作にはダメな男、いわゆる「ダメンズ」たちの生態が、あますことなく記されています。

男性にとっては、反面教師的な教本になること間違いなし。ただ、「これは自分のことだ……」と胸をえぐられるシーンも多々あるので要注意。心が健康なときに読むことをおすすめします。

著者
尾崎 衣良
出版日
2015-04-10

深夜に開催されている女子会で、自分が遭遇してしまった「ダメンズ」にまつわる話をするというストーリー設定です。ほぼ1話完結のオムニバス形式で進んでいきます。

空いた時間でも少しずつ読み進めることができるのは嬉しいところ。登場するダメンズエピソードと、ばっさり切り捨てる女子という構図の面白さに、ページをめくる手を止めることはできないでしょう。

本作に登場するのは、体重や年齢など、女性が気にしているポイントをやたらと指摘してくる男や、恋人を母親代わりにするマザコン男、浮気を肯定する最低な男から、ひたすら上から目線で話すうざい男……など、さまざま。

「いるいる!」と共感できること間違いなしです。登場する女性は毒舌混じりで鮮やかに返答するため、同じ悩みを抱えていた人は、モヤモヤが解消されて、胸がスッと軽くなるでしょう。

女子会という空間だからなのか、女性たちの言葉はかなり辛辣。男性が女性のことを知ろうと思って手に取ると、接し方のヒントを得る代わりに、思わぬ大ダメージを受けるため注意が必要です。一方、女性が読めば自分も参加しているような気分を味わうことができます。

疲れた時、イライラした時におすすめです。口にできない本音を代弁してくれる、笑える精神安定剤のような一冊、ぜひ手にとってみてください。

『深夜のダメ恋図鑑』が気になる方は<『深夜のダメ恋図鑑』の魅力を全巻ネタバレ紹介!登場人物も名言も濃すぎる!>をご覧ください。

【恋愛】面倒だけど抜けられない!ダメな大人の恋物語

恋というのは元来厄介なもの。相手と自分の置かれた立場などを考慮せずに、勝手に気持ちが動いてしまうこともあるでしょう。そのため、恋をした相手とのあいだに何らかの障害があった場合、悩み苦しむことになるのです。しかし、恋は人を成長させるという言葉があるように、人を愛した経験によって人間としての深みが増していきます。

『バツコイ』は、恋愛のときめきや肉体上の快楽という、上澄みだけ摂取したいと考えている肉食系女子、美留町カホリが主人公。弁護士として活躍するキャリアウーマンで、仕事が大好きで結婚願望が薄く、特定の男性とは付き合わない恋をモットーとしていました。

しかし、ある男性と出会ったことをきっかけに、彼女の信念は揺らいでしまいます。

著者
月子
出版日
2015-09-07

カホリが出会ったのは、高校教師の砂後谷。友達との食事の約束をキャンセルされたことで、たまたま出会いましたが、会ったその日にホテルへ。肉食系女子であるカホリらしい行動でしたが、その行動力が裏目に出てしまい……。

砂後谷はぼんやりとした素朴な容姿をした眼鏡男子。女性とは縁遠い奥手な人物かと思いきや、実は妻子持ちであることが判明します。

一夜限りの関係と割り切っていたカホリ。不倫関係が奥さんにバレてしまったことから関係を絶とうとしますが、どうしても離婚したい砂後谷から逆にグイグイと迫られてしまいます。

恋をしないはずだったカホリでしたが、犬のように懐いてくる砂後谷を邪険にすることができず、その魅力にずるずるとハマっていくのです。

肉食かつサバサバ系の女子がダメンズにハマり込んでいく過程が、手にとるようにわかる本作。砂後谷にハマるカホリの心理に共感してしまう人も多いのではないでしょうか。彼はどうしようもない男ですが、母性本能をくすぐるのが上手いため、迫られた女性は、そんな彼を許してあげたくなってしまうのです。

カホリの友人や、砂後谷の妻や同僚など、さまざまな人が絡みながらも物語はライトな空気で進んでいきます。彼女の恋はどんな展開を迎えるのでしょうか?突然始まってしまった不倫劇の行方、最後までお楽しみください。

【青春】夏といえばこれ!大人が読み返したい名作野球漫画

夏と言えば、高校野球。甲子園を目指し、野球に打ち込む高校生たちを描いた作品は数多ありますが、鉄板の作品といえば『タッチ』でしょう。

夏になると読みたくなる漫画とは、まさに本作のこと。そう断言してもいいほど、真夏の青春が詰まっています。もはやタイトルを知らない人はいないのではないでしょうか?国民的人気を誇る、高校野球漫画です。

双子の兄弟と幼馴染の少女の恋模様と、高校野球にかける熱い青春物語が描かれています。夏の高校野球大会「甲子園」を目指す主人公たちをメインに、物語が進んでいきます。

著者
あだち 充
出版日

上杉達也は、マイペースで何事もいい加減な性格。一卵性双生児の弟である上杉和也は、兄とは逆に努力家で、勉強も運動もできる優等生タイプでした。

彼らは中学生のころから、異性として意識し始めた幼馴染の浅倉南と、微妙な三角関係が続いていました。そんな彼らの関係に衝撃を与える出来事が起こります。

高校生になり、野球部のエースとして活躍しはじめた和也でしたが、甲子園出場をかけた試合の当日、不慮の事故で亡くなってしまうのです。

達也は弟の事故をきっかけに、「南を甲子園に連れていく」という弟の夢を継ぎ、野球部に入部します。最初はチームメイトともギクシャクしていましたが、徐々に力をつけ、野球部のエースとして成長していくのです。

南はそんな達也を見守っていましたが、ピンチヒッターで参加した新体操の大会で注目を浴び、一躍有名人に。多くの男性に想いを寄せられるなど、恋心も複雑な展開を見せます。

野球に加え、達也と南の恋が物語の中心になりますが、和也の死など、重い展開も描かれる本作。ギャグとシリアスの配分が絶妙で、力を抜きながら物語を追っていくことができます。もちろん、あだち充名物のパンチラシーンなど、お約束な部分も作品を楽しむ要素のひとつです。

『タッチ』については<漫画『タッチ』の12の事実!あらすじ、声優、結末、その後などを紹介>で紹介しています。ぜひご覧ください。

【青春】文科系スポーツ・競技かるたにかける青春が熱い!大人も楽しめる漫画

『ちはやふる』は、競技かるたを題材とした作品です。本作が注目を集めたことがきっかけとなり、競技かるた人口は年々増加しています。

競技かるたとは、藤原定家が選んだとされる百人一首を使用した競技。31文字の歌は上の句、下の句の、読み札と取札に分かれており、100枚あるうちの50枚を使用します。25枚ずつを手持ちの札として取り合い、空札50枚分を含めた100首読み上げるうちに勝敗を決めるのです。

知力、体力ともに必要とされる競技に魅せられた高校生を中心に、競技かるたに打ち込む人々の姿を描いた漫画です。

著者
末次 由紀
出版日
2008-05-13

綾瀬千早は、姉がモデルとして日本一になることが自分の夢だと感じ、一生懸命応援している小学6年生。

ある日、福井からの転校生、綿谷新と出会ったことで競技かるたを知り、その魅力に取りつかれてしまいます。いつしか彼女は、「かるたで世界一に輝くこと」という自分の夢を掲げるようになったのです。すぐに転校してしまった新と再会を誓った千早は、高校生になり、競技かるた部を設立しようと奮闘していました。

幼馴染の真島太一の協力を得て、部員集めに奔走する千早。瑞沢高校競技かるた部として、団体戦全国大会出場を目指しながら、ゆくゆくは日本一になることを目指しています。

敵なしといわれる、同学年の現役クイーン・若宮詩暢や名人・周防久志など、個性的なキャラクターが次々と登場。学生だけでなく、千早の師である原田秀雄など、さまざまな年代の人々が競技かるたに情熱を注ぎます。

ひとつのことに打ち込む登場人物の姿には、熱気のようなものが渦巻いています。真剣に打ち込むからこそ経験する挫折や、彼らが目標を達成したときの喜びを肌で感じられるでしょう。まっすぐな言葉に胸を撃ち抜かれ、時に涙を誘われることもあります。

どんな時でも、一生懸命に取り組む姿は熱くてカッコいい。自然とそう感じさせられる作品です。

『ちはやふる』について紹介した<漫画『ちはやふる』の名言から最新34巻までネタバレ紹介!>もおすすめです。

【生き方】「こんな生き方がしたい」と思うこと間違いなし。人間関係に悩む大人向け

元風俗嬢という経歴をもつ女性が、ひょんなことから海辺の弁当屋で働きはじめます。『ちひろさん』は、そんな彼女と弁当屋のお客や地域の方との交流が描かれる、オムニバス形式の漫画です。

はじめは元風俗嬢ということ以外、素性がまったく分からないちひろさん。ただひとつだけ分かるのは、彼女が誰に対しても、分け隔てなく接しているということです。そんな彼女の人柄に、街の人々は魅せられ、彼女の周りには常に人が集まっています。

何か辛いことがあったり、息苦しくなった時に会いたくなる人……。まさにちひろさんは、これに当てはまるような包容力、深みのある人物なのです。
 

著者
安田 弘之
出版日

元風俗嬢や母親と共依存関係の箱入り娘。何不自由なく育ったはずなのに、妙な息苦しさを覚えている女性や仕事に疲れた教師など、さまざまな人がふらりと弁当屋に立ち寄り、ちひろさんと言葉を交わします。

彼女はあっけらかんとして、飄々とした女性。時に毒舌ともとれるユーモア溢れる言葉に、思わず引き込まれていきます。

また、彼女は揺るがない価値観をしっかりと持っています。それを他者に押しつけるわけではなく、他者や世間の価値観を尊重しているのです。

しかし、他人の考えに染まるわけではなく、一定の理解を示しながら着地させる話術は見事。強い意志を持つちひろさんの凛とした姿に羨望を覚え、こんな弁当屋に行けたら、とつい夢想するでしょう。

【生き方】どこにでもいる少年の波乱に満ちた人生。黒歴史を思い出す、大人向け鬱漫画

生きているすべての人間には人格があり、それぞれ考えていることは違うもの。何か特別な能力を持っていたり、技術を習得していたりする人は、非凡と呼ばれます。しかし、多くの人間は平凡であり、それぞれの日常を懸命に生きているのです。

『おやすみプンプン』の主人公・小野寺プンプンは、どこにでもあるような地方都市に住む、平凡な少年。読者には、顔が落書きのひよこや単なる図形のように見えます。

プンプンは、ヒステリックな母と、優しいけれどリストラされてしまった父とともに生活していました。しかし、両親が突然離婚してしまいます。母に引き取られた彼は、そこで運命の相手と出会うのです。

著者
浅野 いにお
出版日

現代を舞台にした、寓話的ともいえる作品です。主人公と彼の家族たちの顔が記号や動物になっているせいか、どこかリアリティに欠け、現実ではない世界に誘われている気分になります。さらに、主人公のプンプンはモノローグでしか言葉を発しません。読者には、彼が実際にどんな発言をしたのか分からない状態。どこか目隠しをされたような狭い世界に惹きこまれてしまうでしょう。

少年だったプンプンが成長し、大人になる姿まで描かれています。その過程で起こる出来事は、寓話的な雰囲気とはかけ離れた、非常に重く辛いもの。過去の初恋、彼女と交わした約束にとらわれ、幸せな今を享受できない彼が進む方向には破滅しかないように思えます。読者は息ができなくなるほどの胸の痛みを覚えながらも、彼を見守るしかないのです。

どこかに救いを見出したくなるほど、重く苦しく、切ない物語。平凡であることの難しさを痛感させられるでしょう。

『おやすみプンプン』を詳しく知りたい方は<『おやすみプンプン』5分でわかるあらすじと魅力!鬱すぎるプンプンの人生【13巻完結、ネタバレあり】>をご覧ください。

【短編】大人向け、4姉妹の恋と日常を描いたオムニバス漫画

兄弟というのは不思議なもので、同じ親から生まれ、ほぼ同じ環境で育ちながらも、産まれた順番が違うというだけでその性格は大きく違ってきます。長男、長女はしっかり者で、どんなに兄弟がいても末っ子はマイペースで甘え上手というイメージです。しかし、血のつながりを感じさせる部分は確かにあり、だからこそ兄弟というのはどこか特別に感じられるのです。

『堀居姉妹の五月』は、女ばかりの堀居4姉妹を主人公としたオムニバス作品。4人という数字は微妙で、多いけれども、大家族というには少なすぎるという曖昧さがあります。4人だからこそ、同じ環境で育ったのに違う生き方をしているという比較が成り立つのでしょう。それだけ、彼女たちは互いに性格がまったく異なります。

著者
御徒町 鳩
出版日

既婚者ではあるものの帰省中の長女・春子、教職を辞めてお見合い12連敗中の次女・桜子、元実業団のバレーボール選手だった三女・菜実子、アイドルとして活動していた過去がありながら、現在は無職で四女の香奈子。順風満帆だったはずなのに、どこかズレたまま修正できない状態に陥りながらも、彼女たちは日々を生きています。

姉妹それぞれにスポットが当たり、徐々にそれぞれが抱えている問題が浮き彫りにされていきます。次女の桜子は再会した元生徒との恋に悩み、菜実子は恋人とのセクシャル問題で悩みを抱えているのです。

悩み自体が読者の身近であるものではありませんが、問題を抱えながらも日々を生きる彼女たちの姿はとてもリアル。立ち止まりそうになりながらも進んでいく姿に共感できるはずです。

また物語の冒頭で親戚の通夜に出席した際、春子が「親戚外交」と称したように、根掘り葉掘りさまざまなことを聞いてくる親戚というのはどこにでもいるもの。春子と桜子の会話も、何度もうなずいてしまうでしょう。姉妹だからこそ、個性が光る作品です。

【短編】主人公の数だけ生きる道がある!珠玉の感動短編漫画

戸田誠ニの『スキエンティア』は、SFヒューマンドラマを描いた作品集です。1話完結の短編で構成されています。

「ボディレンタル」「媚薬」「クローン」「ドラッグ」「抗鬱機」など、インパクトのあるタイトルには、目を引くものがあります。

著者
戸田 誠二
出版日
2010-01-29

「禁断の科学」にすがる人々の日常を描いた物語が収録されている本作。タイトルの「スキエンティア」とは「知識と科学の女神」を掲げた高層タワーのことです。本作の短編に共通するシンボルとなっています。

全身麻痺の老婆は自殺を考える女性から身体を借り、ある男は惚れ薬で愛を得ようとします。また、子を失った母は亡くした娘のクローンを育てはじめ……。その他にも愛が見えるクスリ、才能を開花させる覚醒機、社会復帰を望むうつ病患者と抗鬱機など、人々が「禁断の科学」を求め、自分が進むべき道を見つけていきます。

あやしい技術が登場する恐ろしい話が多いのかと思われるかもしれませんが、儚くも心温まるストーリーばかりです。

何かに行き詰った日、人生に悩んだ時、心が弱っていると感じた瞬間。そんな時に本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。「頑張って生きる」ということの素晴らしさを感じる、優しくも力強い短編集です。

【短編】幸福感に癒される!結婚がテーマのオムニバス

「結婚は人生の墓場」という言葉があるように、まったく違った環境で育った男女が一緒に生活するというのは、双方に途方もない労力と気遣いを要求するものです。相手を気遣い、空気を読むことが強要されているような現代社会では、「結婚」による精神的デメリットを考え、未婚を選択する人も数多く存在します。

結婚をすれば苦労をしないというのは、紛れもなく嘘でしょう。大なり小なり、それぞれの夫婦によって何かしらの問題があるものです。そう考えるとやはり独身でいいやとなりがちですが、そんな未婚女子に待ったをかけるのが『ウェディング戦記』です。結婚をテーマにしたオムニバス作品集になっています。

著者
室 たた
出版日

愛しあった男女が一緒に家庭を築いていくためにする契約が結婚ですが、みんながみんな幸せいっぱいで新婚生活を始めるわけではありません。表題作である「ウェディング戦記」は、長い間付き合ったカップルが結婚するというシチュエーションで、結婚準備あるあるネタが数多く描かれています。

仕事をしながらの準備は本当に大変らしく、結婚式経験者は共感するポイントのひとつでしょう。喧嘩のシーンはハラハラさせられますが、しっかりと和解して、夫婦の形、幸せの形を作っていく姿にほっこりと気持ちが暖かくなります。

その他にも、年上男性との職場恋愛を描いた作品や、高校生の少女が母親の死をきっかけに結婚する物語など、全4作品を収録。結婚がテーマということもあってか、全体的に温かく幸せな雰囲気に満ちています。

彼らの幸福は日常の延長線上にあり、温かな関係が築いていけるならば結婚もよいものだと思える作品集です。

【歴史】身分の壁をぶち破れ!中国を舞台にした激熱歴史漫画は大人がハマる

主人公が出世していく姿を描いた成長物語は、読んでいて爽快感を得られるでしょう。場所は会社でも、特殊な設定の場所でも関係はありませんが、とにかく上を目指して邁進していく登場人物の姿を見るのは、楽しいもの。それが最底辺からのし上がっていく少年であれば、なおさら成長する姿を見守りたくなります。

一大ブームを巻き起こした『キングダム』は、中国の春秋戦国時代を舞台にした歴史漫画です。後に秦の始皇帝となる王と、最下層の身分である下僕から将軍を目指す少年の成長と戦いが描かれています。

史実では、春秋戦国時代は紀元前770年から紀元前221年ごろ。日本ではちょうど弥生時代ごろ。その頃から現在の中国にあたる地では互いの国の領地を求め、戦いをくり広げていたという事実に、まず驚かされるでしょう。

著者
原 泰久
出版日
2006-05-19

信は友人の漂とともに、天下の大将軍を夢見る下僕の少年。ある日、漂が大臣に剣術を見いだされ、村を出ましたが、しばらくしてから深手を負って戻ってきます。実は秦国の31代目国王、政と瓜二つだった漂は、王の身代わりとなったのでした。政と出会った信は、親友と見た夢を胸に、戦いに身を投じていきます。

基本的には秦国を中心とした戦の様子と、天下の大将軍を目指す、信の成長と出世の物語が描かれます。そのなかで、信に強い影響を与えるのが、王騎や麃公(ひょうこう)、李牧や廉頗(れんぱ)といった敵武将たち。彼らとの戦いを経て、信は肉体だけではなく精神的にも成長していくのです。

多くの将軍の心に触れ、その想いを受け継いでいく信の姿を見ているだけで、胸が熱くなります。また、政や仲間となる河了貂(かりょうてん)や羌瘣(きょうかい)、信の部隊である飛信隊の面々との絆が描かれるシーンは、心に響くものがあるでしょう。

『キングダム』については<漫画『キングダム』の魅力を全巻ネタバレ紹介!実写映画化!!【最新53巻】>で紹介しています。
 

【歴史】こうだったかもしれない?衝撃の男女逆転劇!

日本の現行の法律では、重婚は犯罪であり、一夫一婦制と定められています。

遠い昔には、国を治める支配者は、血を残すことが最優先事項とされていました。その結果、多くの子を残すため、また政治のために、複数の妻をめとることが珍しくない時代があったのです。

徳川家康が関ヶ原の戦いに勝利し、江戸幕府を開いて以来、徳川家が長い期間日本を治めていました。徳川は15代、子ができなかったために直系ではなく親戚筋の子どもが将軍になることはありましたが、史実ではすべて男性が務めてきた役職です。妻たる女性たちは、男子禁制の江戸城奥に住まい、将軍の長を競い、日々を過ごしていました。

しかし、この将軍と妻たちの住む大奥のシステムを、逆転させてしまうとどうなるでしょう。誰も考えたことのない、男女逆転劇を描いた作品が『大奥』です。

著者
よしなが ふみ
出版日
2005-09-29

徳川3代将軍、家光の時代に、突如大流行した奇病によって若い男性は次々に死亡。ついに人口の4分の1にまで減少してしまいました。死亡者の中には将軍もおり、困った重臣たちは、落胤(らくいん)である少女を新しく家光と偽ることを思いつきます。

女性将軍が誕生したように、女性が労働力となって機能しはじめた世界は、読者にとって奇妙なもの。ただ、男女平等というわけではなく、男子は守り育てられ、子を次世代につなぐための道具でした。種馬として生きるというあり方が、もの悲しく感じられることもあります。

しかし、実際の大奥同様、道具で終わることはありません。権謀術数渦巻く大奥の様子は、手に汗握るほど、さまざまな思惑が飛び交います。

将軍が女性であるがゆえに、独自のシステムが作られた大奥。だからこそ、さまざまな人間ドラマが生まれ、単純な男女逆転劇ではない、深みを生み出します。

それぞれの代の将軍の恋と、色んな出来事がリンクしているところは見事。作り込まれたストーリーに、のめり込んでしまいます。歴史がこうなっていたら、今の日本はどうなっていただろう……と考えてしまう、異色の歴史漫画です。

『大奥』について気になる方は<よしながふみ作の漫画『大奥』を最新16巻まで徹底考察!時代別の魅力とは?>をご覧ください。

【ファンタジー】大人になった今だからこそ、読みたい名作

 

片田舎の平和な村で育った兄弟、エドワード・エルリック(エド)とアルフォンス・エルリック(アル)。彼らは幼いころに亡くした母にもう一度会いたいという想いから、禁忌の錬金術「人体錬成」をおこないます。

しかし、結果は失敗。実験の代償として、兄は左足、弟は全身を「持って行かれて」しまいます。

兄のエドはとっさの判断で魂のみを鋼の鎧に定着させ、アルの一命を取り留めます。しかし、アルの魂を連れ戻すための「等価交換」として、エドは右腕を失ってしまうのです。その後、エドは鋼の義手と義足を自身に装着します。

禁忌に触れた兄弟が、元の身体を取り戻すため旅に出る物語が始まります。『鋼の錬金術師』は、錬金術をテーマにした、言わずと知れたファンタジー漫画の金字塔です。

 

著者
荒川 弘
出版日

 

背の小さい兄と巨大な鋼の鎧姿の弟という凸凹な兄弟の掛け合いはテンポがよく、非常にコミカルに描かれています。しかし、扱う題材は錬金術による「等価交換」や「ホムンクルス」など、綿密に設定されており、シリアスな場面もたびたび登場するのです。

スチームパンク風の世界観や、一見魔法のように見えるけれど、さまざまな制約を抱えた「錬金術」という技術。それらが作中の空想世界に、リアリティを生み出します。また戦争や人体実験など、不条理な現実が兄弟たちに突き付けられます。

「オレ達は悪魔でもましてや神でもない 人間なんだよ
たった一人の女の子さえ助けてやれない ちっぽけな人間なんだ……!!」(『鋼の錬金術師』2巻より引用)

主人公が「錬金術師」である自分たちの無力さを噛み締める台詞です。彼らが旅の途中で絶望しながらも、自分の足で歩きたいと奮起する姿は、読者に訴えかけてくるものがあります。漫画史に名を残す、不朽の名作です。

『鋼の錬金術師』の裏話を紹介した<漫画『鋼の錬金術師』の知られざる13の裏話!登場人物たちの隠れた設定も!>もおすすめです。

【ファンタジー】無実の罪を背負う英雄たちが戦う、感動ファンタジー漫画!

舞台はブリタニア随一の大国であるリオネス王国。10年前、無実の罪を着せられた指名手配騎士団『七つの大罪』のひとりがメリオダスです。彼の営む酒場に、自国の危機を察し助力を求める王女のエリザベスが現れます。

著者
鈴木 央
出版日
2013-02-15

冤罪を着せられた英雄たちが集い、再び立ち上がる物語。個性的な騎士団「七つの大罪」の面々の持つ、特異な能力を生かしたバトルシーンは本作の魅力のひとつです。主人公の営む移動酒場での、コミカルなやり取りも必見。

さまざまな過去を背負った「七つの大罪」の仲間たち。作中、自分を助けるために命を落とした聖女を生き返らせたいと望む者や、想いを寄せた相手の記憶を消し自らの贖罪とする者など、多くのキャラクターが登場します。葛藤を抱える彼らの姿は、胸に迫るものがあるのです。

バトルあり、笑いあり、感動ありの本作。ぜひ本編を読んで、彼らの求める真実を一緒に探してみてください。

『七つの大罪』については<漫画『七つの大罪』の魅力を全巻ネタバレ紹介!アニメ2期前に復習!>で紹介しています。

【ファンタジー】独特の世界観に引き込まれる!個性派感動ファンタジー漫画!

世界の終焉という計画のもと、悲劇によって生み出された兵器「AKUMA」。唯一、この凶悪な機械を破壊できる力「イノセンス」を持つのが、エクソシストでした。

『D.Gray-man』は、世界の終焉を防ぐため、エクソシストが戦うダークファンタジー漫画です。

著者
星野 桂
出版日

主人公のアレン・ウォーカーは生まれつき左腕がイノセンスに寄生されていたせいで両親に捨てられ、サーカス団に売られてしまいます。そこで知り合ったピエロの「マナ」と打ち解け、彼の養子として育てられました。しかし、旅を続けるなかで、突然訪れたのがマナと死別。アレンは、深い悲しみに包まれます。

そこに突然現れたのが、千年伯爵。彼には、残された人の悲しみを利用し、死者の魂を兵器「AKUMA」として呼び戻す能力がありました。

育ての親を凶悪な兵器として蘇らせ、さらにそれを自らのイノセンスで破壊してしまうアレン。その事実に、深い心の傷を負います。しかし、その後エクソシストのマリアン元帥に拾われたことをきっかけに、自らもエクソシストとなるため彼に師事するのです。

人の悲しみによって生まれる「AKUMA」と魂を利用される人々、自らの特殊な力に戸惑い、時に暴走するエクソシストたちの葛藤が胸を打つ作品です。主人公のアレンと養父であるマナのエピソードがストーリーの始まりであり、マナの存在は常にアレンの心に残り続けています。

『ディーグレイマン』について気になる方は<漫画「ディーグレイマン」の魅力を登場人物から徹底紹介!【ネタバレ】>をご覧ください。
 

【ファンタジー】人間と悪魔の血を引く祓魔師の苦悩を描く、おすすめ感動漫画!

『青の祓魔師(エクソシスト)』の主人公、奥村燐(りん)と双子の弟である雪男(ゆきお)は孤児として、修道院の神父の藤本獅郎に育てられました。

そんな境遇のなか、進路が決まらず一人焦りを感じていた燐の元に魔神、青焔魔(サタン)が現れます。彼は自らを燐の父だと名乗り、悪魔達の住む虚無界(ゲヘナ)へと連れ去ろうとします。

著者
加藤 和恵
出版日
2009-08-04

高名な祓魔師であった養父の獅郎によりその場は難を逃れますが、獅郎は燐を守るため命を落としてしまいます。自分の無力さで養父を死なせたことで燐は、自らも祓魔師になるため、名門私立「正十字学園」に入学。祓魔師養成機関ですでに祓魔師として活動していた弟、雪男の指導のもと祓魔師(エクソシスト)と目指していくことになります。

人間と悪魔の血を色濃く引く主人公の燐。兄を守るため幼少時から祓魔師としての鍛錬を積んできた弟の雪男。そんなふたりを心から愛した養父、獅郎の想いには、血の繋がりだけではない「家族」の絆を感じるのではないでしょうか。

「兄さん、僕たちは本当にこの世に生まれてきてよかったのかな」(『青の祓魔師』より引用)

母の墓前で弟に問いかけられた言葉です。その言葉に兄・燐が返した答えとは……。

数奇な運命を背負った主人公とその家族の愛を感じる物語。王道ダークファンタジーとしておすすめの名作です。

『青の祓魔師』については<漫画『青の祓魔師』の魅力をキャラから徹底紹介!【最新21巻ネタバレ注意】>で紹介しています。ぜひご覧ください。

【音楽】紙面上で表現される音とは?大人向けの音楽漫画

ハロルド作石による若者のバンド活動を描く作品『BECK』。映画化もされたヒット作です。天性の才能を持つ若きボーカリストと天才ギタリストのふたりを中心としたバンドBECKの活躍を描くサクセスストーリーが楽しめます。

天性のボーカルの才能を持つ田中幸雄(通称コユキ)は、平凡な高校生活を送っていました。彼はニューヨーク帰りの帰国子女、南竜介との出会いをきっかけに、音楽の世界へのめり込んでいきます。

天才ギタリストである竜介は、元いたバンドを辞め、BECKというバンドを結成。溢れる才能を感じさせるコユキなどの若いメンバーも加えてバンド活動をおこなっていきます。

彼らは次々と成功を収め、ライブハウス活動やCDデビューを果たしていくのです。そんななか、彼らの元に国内最大のロックフェス「グレイトフル・サウンド」への出演の依頼が舞い込みます。

人を瞬時に魅了させるほどの声を持つコユキ、そしてバンドメンバーの竜介たち。はたして彼らはビッグチャンスを掴むことができるのでしょうか……。

著者
ハロルド 作石
出版日
2000-02-15

音のない漫画で「音」を感じさせる表現力に長けた作品です。歌声はもちろん、熱狂的な歓声や罵声など、実際に聴こえてくるような臨場感があります。音楽シーンに欠かせない音を表現する力がずば抜けているのです。

天性のボーカルの才能を持つコユキがステージで歌い出した時、観客が一瞬驚きの表情を見せる場面があります。観客の表情とコユキの表情、そして彼らの顔に流れる汗などを巧みに描くことで、素晴らしい歌声を発している、ということが紙面上でも十分に伝わってくるのです。そして実際のライブ映像のような構図で描かれるその場面は、観客の熱狂に包まれた空気を感じ取れるほど、リアリティがあります。

なかなか認知されないところからスタートし、失敗と成功をくり返していく青年たち。サクセスストーリーとして楽しむこともできますが、漫画の世界で、極限まで音を表現するという違った視点で楽しむことができる作品です。

『BECK』の魅力を紹介した<漫画『BECK』6の魅力!あらすじ、最終回、名言をネタバレ紹介!【無料】>もおすすめです。

【音楽】2人の絆を深めてくれたのは、音楽だった

『四月は君の嘘』は、ピアニストとヴァイオリニストの2人が中心人物。彼らが互いの才能に惹かれあい、次第に恋に落ちていく物語が描かれていきます。

母親から厳しい指導を受け、神童とまで呼ばれ、数々のコンクールで優勝するほどの実力をもつピアニスト・有馬公生。彼は、突然迎えた母の死をきっかけに、ピアノの音が聞こえなくなってしまいます。

音楽から離れて3年の月日が経ったころ、幼なじみの澤部椿を通じて、公生は彼と同じ14歳のヴァイオリニスト宮園かをりと出会います。彼女の奏でる明るく自由な演奏を聞き感動したことで、音楽から離れ色褪せてしまっていた彼の世界は、徐々に色づきはじめるのです。

著者
新川 直司
出版日
2011-09-16

かをりにはちょっとした秘密がありました。それは、公生のことを「友人A」と呼んでひどい扱いをしておきながら、なぜか自分の伴奏相手に彼を指名するなど、まるで彼を音楽の世界に連れ戻そうとしているようなところがあるのです。なぜ彼女は公生を音楽の世界に引き戻そうとするのでしょう……。
 

この彼女の奇妙な行動に、実は物語の重要な秘密が隠されているのです。最後に明らかにされる、かをりの行動の真意は、後に大きな感動を呼ぶこととなります。

余談ですが、アニメ版では結末までのエピソードが原作と異なります。最終的な結末自体は同じなのですが、そこに至るまでの表現やニュアンスが変えてあるため、漫画版とは違った感動が味わえるようになっているのです。アニメ版も見れば、本作品を2度楽しめるでしょう。
 

【音楽】少年少女が織りなす恋愛模様。大人も楽しめる青春漫画

『坂道のアポロン』は、転校初日の主人公が同じクラスのバンカラな男と出会い、それをきっかけにジャズにハマっていく物語です。彼らの友情と、それをとりまく男女の複雑な恋模様が描き出されます。「バンカラ」とは、西洋風などを意味するハイカラをもじった言葉。言動が荒々しい人や、あえてそう振る舞う人たちのことを指します。

1966年の夏、高校生の主人公、西尾薫は父親の仕事の都合で転校。初日に同じクラスのバンカラな男、川渕千太郎と出会います。彼の演奏をきっかけに、ジャズ音楽にハマっていくのです。彼らはジャズを通じて友情を深めながら、それぞれ恋をして、青春を謳歌していくのです。

2人は、複雑な家庭の事情に悩みを抱えている者同士でした。さらには想いを寄せる相手ともすれ違い続き。そういった、青春期の悩みを支え合う彼らの姿が美しく描かれています。

著者
小玉 ユキ
出版日
2008-04-25

主人公の西見薫は、川渕千太郎の幼なじみ、迎律子を好きになります。しかし、律子は幼なじみである千太郎に好意を寄せています。千太郎はというと、上級生の深堀百合香に一目惚れ。ただ、百合香は千太郎の兄貴分である桂木淳一のことを好きになってしまうのです。

このように、なかなか複雑な恋模様が描かれます。物語が進むにつれ、彼らの心境にも変化が起こり、関係性にも少しずつ変化が見られていくのです。誰と誰がカップリングするのか、着地点が気になる展開を迎えていきます。

恋愛はとにかく、薫と千太郎の友情が美しく描かれた作品です。2人の仲がよすぎて、BL展開を妄想する読者もいるのだとか。楽しみ方は千差万別、人それぞれあってよいでしょう。

舞台が1960年代ということもあって、どこかノスタルジックな雰囲気が漂うこの物語は、下手に誇張表現をしていない、少年少女たちの等身大の青春模様が描かれています。甘くもあり切なくもあり、甘くもあり切なくもあり、甘酸っぱいという表現がぴったりな作品です。

『坂道のアポロン』については<『坂道のアポロン』は古くて新しい青春漫画だった!【ネタバレ注意】>で紹介しています。ぜひご覧ください。

テーマや作品傾向はさまざまですが、いろいろな世界や関係性を見ることができるのも、漫画の魅力のひとつ。大人が読んでも十分楽しめる、名作ばかり、長編作品が多いので、ぜひ物語に没頭して、その世界観を味わってください。

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