堤幸彦の映画・テレビドラマ30選をランキングで紹介!原作も読めば2倍楽しめる

更新:2021.12.13

テレビドラマや映画の世界で独自のスタイルを確立してきた堤幸彦監督。この記事では、堤幸彦が監督を手掛けたおすすめの映画やテレビドラマをランキング形式で原作とともに紹介します。 代表作には『金田一少年の事件簿』や「SPEC」シリーズなど。40年以上第一線で活躍し続ける堤監督は、今なお多くのファンを魅了しています。

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堤幸彦の経歴・プロフィール!『金田一少年の事件簿』で一躍有名に!

堤幸彦(つつみゆきひこ)は、1955年11月3日、愛知県生まれ。

大学進学のため上京するも中退し、映像系の専門学校へと進みます。卒業後は、そのまま映像業界へ。テレビのディレクターとしてキャリアをスタートさせると、システムに迎合することなく独自のスタイルを獲得していきます。

1988年、オムニバス映画『バカヤロー!私、怒ってます』で映画監督デビュー。1995年に演出を務めたテレビドラマ『金田一少年の事件簿』が高い評価を受け、一躍その名が知られるようになりました。その後も、テレビドラマ、映画、舞台、MVと多岐にわたり多くの作品を手掛けていきます。

特にテレビドラマ「ケイゾク」「トリック」「SPEC」などのシリーズは堤幸彦の代表作とも言うべき人気シリーズへ。2006年の映画『明日の記憶』は、日本アカデミー賞にて主要5部門にノミネートされ映画監督としてもその地位を確立していくのでした。

堤真一主演の新作映画『望み』が2020年10月に公開されると、興行収入でも好成績を収めます。2021年に公開を予定している北川景子主演の最新作『ファーストラヴ』も大きな話題に。40年近く映像業界の第一線で活躍してきた堤幸彦監督。これからも、その活躍が期待されています。

堤幸彦の作風に迫る!その作品作りとは?

堤幸彦監督というと、その独特な作風に多くのファンが魅了されてきました。それは、テレビディレクターとして多くのバラエティ番組などを手掛けてきたことに起因しているのかもしれません。

堤監督がデビューした1980年代といえば、バブル絶頂期。予算も潤沢にある中、チャレンジングな企画も実現できた時代でした。バラエティ番組からテレビドラマへ移行。1985年にはオムニバス映画で映画監督してのデビューも飾りました。

テレビドラマでは、『金田一少年の事件簿』など自由な発想で独自な演出を施していきます。そんな中で、「トリック」や「SPEC」シリーズなどの作品も生み出されていきました。意図的に謎を残したり、観客の感情を引っ掻き回したり、エンターテインメント性を追求。あくまで職業監督として貫いていきます。

映画監督としては、テレビシリーズの実写版など手掛ける一方、シリアスな作品も生み出すことに。それには、堤監督がこれまで考えてきた社会や経済、政治のことなどが色濃く反映しているようです。近年は自分がやりたいテーマも発信していこうと、「人間とは」という難しいテーマに挑み続けています

堤監督の全身全霊をかけて作品に向き合うその姿勢が結果として、作品の面白さや豊かさに繋がっているのでしょう。

堤幸彦についてもっと詳しく知りたい方には、こちらも読んでいただきたい1冊。宮藤官九郎や、「池袋ウエストゲートパーク」シリーズで関りのあった窪塚洋介との対談も掲載されています。

著者
堤 幸彦
出版日

【おすすめ作品ランキング第1位】荻原浩が描く夫婦愛!堤幸彦が完全映画化!『明日の記憶』(2006年)

『明日の記憶』は、山本周五郎賞を受賞した荻原浩の小説です。2006年には、ハリウッドでも活躍する渡辺謙主演で実写映画化もされています。監督は堤幸彦です。

広告代理店に勤務する佐伯雅行は、営業部長として働き盛りでした。そんなある日、50歳にして若年性アルツハイマーと診断されます。大事な仕事を抱え、1人娘は結婚を間近に控える中での告知でした。しだいに病が佐伯の体を侵食し記憶が失われていきますが、妻・枝実子の献身的に支える姿がありました。

今や多くに人たちに知られる「若年性アルツハイマー病」を真っ向から描いた作品。そこに寄り添う夫婦の愛に涙が止まりません。家族を多く描いてきた荻原浩の傑作です。

渡辺謙が自らエグゼクティブプロデューサーとして堤幸彦に白羽の矢を立てました。枝実子役に樋口可南子を迎え、凛とした妻を演じています。もし自分だったら……。考えずにはいられないテーマに監督、俳優一同共に挑んだ意欲作です。

作者の荻原浩について気になった方は、<荻原浩のおすすめ文庫本ランキングベスト7!ついに直木賞受賞!>の記事もおすすめです。

著者
荻原 浩
出版日
2007-11-08

【おすすめ作品ランキング第2位】篠原涼子と西島秀俊の夫婦役は必見!子を持つ母の狂気の愛!『人魚の眠る家』(2018年)

多くの作品が映像化される人気作家・東野圭吾原作の『人魚の眠る家』。東野圭吾デビュー30周年記念作品としても注目を集めた本作は、堤幸彦監督により同名で実写映画化されました。

2人の子供に恵まれた播磨和昌と薫子夫妻。夫婦仲は冷え切っていましたが、娘・瑞穂の小学校受験のため、これまで通りの生活を送っていました。受験が終わったら離婚する約束になっている二人のともに、突然の悲報が届きます。瑞穂がプールで溺れ脳死状態に。そんななか、夫婦が下した結論とは……。

過酷な運命、受け入れがたい事実を前に、母の愛はやがて狂気へと変貌していきます。特に子を持つ親は身につまされる想いでいっぱいです。そんな東野圭吾渾身の力作。

この重いテーマに挑んだ堤幸彦監督。主演の夫婦役に篠原涼子と西島秀俊を迎え、重厚なヒューマンミステリーを作り出しました。衝撃のクライマックスが待っていますので、やはり小説も映画もコンプリートしてほしい作品です。

原作について詳しくは<東野圭吾『人魚の眠る家』を8つの事実から読む!あらすじ、結末ネタバレ解説>もおすすめです。

著者
東野 圭吾
出版日
2018-05-30

【おすすめ作品ランキング第3位】戸田恵梨香と加瀬亮の新境地!堤幸彦の大傑作!『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010年)

『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』は、2010年から放送が始まったオリジナルのテレビドラマです。1999年に放送された『ケイゾク』の続編的作品。堤幸彦監督と脚本の西荻弓絵が本作も担当しています。主演は戸田恵梨香と加瀬亮。2人ともこれまでのイメージを覆すような役柄に挑戦しました。

「SPEC」と呼ばれる特殊な能力を持った犯罪者たちを追う刑事たち。1人は、IQ201の天才女刑事・当麻紗綾、もう1人は元警視庁特殊部隊 (SIT) 出身の肉体派・瀬文焚流。正反対の2人ですが、時に協力しながら事件を追っていく姿を描いていく物語です。連続ドラマ終了後、スペシャルドラマ1本、劇場版3本が公開され大人気シリーズとなりました。

謎が謎を呼ぶ驚きの展開に、毎回ハラハラドキドキさせられっぱなしの作品です。堤監督お得意の独特なコメディセンス、当麻や瀬文の特異なキャラクターはこれまで見たこともないような不思議な世界観を作り出しています。堤幸彦を語る上で外せない代表作です。

2018年からは新シリーズ『SPECサーガ完結篇 SICK'S恕乃抄 ~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~』が始まりました。

【おすすめ作品ランキング第4位】雫井脩介が描く問題作に堤幸彦が挑戦!『望み』(2020年)

人気作家・雫井脩介の最新作『望み』が、実写映画化されました。監督は堤幸彦。自分の息子が「事件の加害者か被害者か」葛藤する夫婦の心理を描いた問題作です。主演に堤真一、共演に石田ゆり子と豪華キャストを迎えています。

東京のベッドタウンにマイホームを持つ建築デザイナーの石川一登。妻・喜代美はフリーの校正者です。高1の息子・規士と中3の娘・雅の親子4人で仲良く暮らしていました。規士が怪我でサッカーを辞めると無断外泊するようになります。2日も家を明ける中、規士の友人が殺害されたニュースが飛び込んでくるのでした。

息子は加害者なのか被害者なのか。家族はそれぞれの想いを巡らせるのですが……。特に子どもを持つ人は深く感情移入してしまうことでしょう。先が気になり一気読みする人も多いのでは。

映画では堤と石田はもちろんのこと、規士を演じた岡田健史と雅を演じた清原果耶の演技力が絶賛されています。出演者たちの熱演が見るものを熱くする物語です。その衝撃な結末にタイトルの『望み』がせつなく響きます。雫井脩介の傑作原作に応えるような素晴らしい映画作品となっています。

雫井脩介について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

雫井脩介のおすすめ作品6選!読む人の心をとらえて放さない

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『犯人に告ぐ』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『火の粉』、と映像化作品も多い、魅力にあふれた雫井脩介の作品を6選、ご紹介します。

著者
雫井 脩介
出版日

【おすすめ作品ランキング第5位】最強コンビ仲間由紀恵&阿部寛!堤幸彦が描くミステリー!『トリック』(2000年)

『トリック』は、2000年に深夜枠でスタートした堤幸彦監督が手掛けたミステリードラマです。謎解きが本格的にも関わらず、コミカルテイスト満載でまさに堤幸彦の真骨頂とも言うべき作品は、たちまち人気を博しました。連続ドラマ3本、スペシャルドラマ3本、劇場版4本も制作されています。

都心から離れた山奥の寒村が舞台。自称売れっ子マジシャンの山田奈緒子と騙されやすい物理学者・上田次郎が、超常現象や奇妙な事件に巻き込まれてしまいます。それぞれが得意とする手品や物理学でその謎を暴いていくという物語です。

山田奈緒子を仲間由紀恵、上田次郎を阿部寛が演じ、彼らの代表作となった作品。そのほか、生瀬勝久や野際陽子などが演じる強烈なキャラクターに多くのファンが魅了されました。

謎を解明したところで発せられる奈緒子の決め台詞「お前のやったことは全てお見通しだ!」が痛快です。一見悪ふざけばかりにみえますが、その実ミステリーとしての要素がしっかりしている部分が魅力的な作品です。一度見たらハマってしまうことでしょう。

【おすすめ作品ランキング第6位】貫地谷しほり好演!堤幸彦が描く親子愛に涙は必至!『くちづけ』(2013年)

2012年惜しまれつつ解散した人気劇団の「東京セレソンデラックス」。その代表作であり、主宰の宅間孝行の戯曲が『くちづけ』です。宅間孝行の人気作品を集めた『純愛戯曲集』に収録されています。この戯曲をもとに、同名タイトルの実写映画が作られました。

監督を務めたのが堤幸彦。映画の脚本も宅間孝行が担当しました。主演は映画初主演の貫地谷しほり。竹中直人や宅間孝行などのベテラン陣が脇を固めます。

かつて大ヒット作品を生み出した漫画家の愛情いっぽんは、知的障害を持つ娘のマコと二人暮らし。そんんな二人が、グループホーム「ひまわり」に移ることになります。そこに暮らす朗らかなメンバーに徐々に心を開くマコ。そこでマコは初めての恋をするのでした。そんな折、いっぽんの余命が少ないことがわかるのですが......。

実話から生まれた物語は、何よりも代えがたい深い親子愛が描かれています。舞台でも非常に人気のあった作品に新たに堤監督の演出が加わり、さらに温かい物語へと昇華。本作でマコを熱演した貫地谷の演技にも深く感動させられる珠玉の作品です。

著者
宅間 孝行
出版日

【おすすめ作品ランキング第7位】堤幸彦の演出が光る!ミステリーなラブストーリー!?第7位『イニシエーション・ラブ』(2015年)

ミステリー作家・乾くるみの『イニシエーション・ラブ』は、タロットカードをモチーフにしたシリーズの1つで、カードの6番である恋人を題材とした小説です。その内容は恋愛小説の体をなしていますが、どんでん返しが仕掛けられていることによりミステリー作品ともいわれています。この原作が堤幸彦監督により同名の実写映画となりました。

1980年代を舞台に、カセットテープになぞらえてSide-AとSide-Bの2部構成に。鈴木は学生時代、合コンの代打で出会った女性・マユと付き合うことになります。しかし、就職し転勤で上京した先で知り合う女性・美弥子にも惹かれてしまうのでした。普通の恋愛小説家と思いきや、最後の最後に驚きの仕掛けが。再読したくなる面白さです。

映像化は不可能ではと言われていた小説の映画化を堤監督は見事に実現。出演にも、松田翔太、前田敦子、木村文乃と若手注目の俳優陣がそろいました。この作品こそ、まずは小説で驚きを実感し、映像化はどのようにしたのか確認する面白さがあります。ぜひどちらも楽しんでください。

この作品が好きな方は、<『イニシエーション・ラブ』の次に読むべき乾くるみのおすすめ文庫作品6選>の記事もおすすめです。

著者
乾 くるみ
出版日
2015-03-20

【おすすめ作品ランキング第8位】堤幸彦と初タッグの竹内結子が熱演!『はやぶさ/HAYABUSA』(2011年)

『はやぶさ/HAYABUSA』は、日本で開発された小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトをもとに実写映画化された作品です。『はやぶさ君の冒険日誌』という子どもにもわかるように書かれた書籍を参考に、映画として脚色されました。監督を堤幸彦が務め、主演には竹内結子を迎えています。JAXA全面協力のもと、制作されました。

アルバイトをしながら宇宙研究を続けている水沢恵は、宇宙科学研究所(現・JAXA 宇宙航空研究開発機構)の的場泰弘から、研究所に来ないかと誘いを受けます。後に「はやぶさ」と名付けられる小惑星探査機の開発に加わるためでした。通信が途絶え、エンジン停止などさまざまな危機を乗り越え、小惑星イトカワの微粒子を採取し帰還する「はやぶさ」。その成功までのプロジェクトチームの道のりを描いた物語です。

水沢役の竹内結子ほか、西田敏行、佐野史郎、高嶋政宏、山本耕史、鶴見辰吾などベテラン俳優陣が集結しました。自らの人生も見つめ直していく主人公を演じた竹内結子の熱演もみどころのひとつ。また実際に、はやぶさも映し出したであろう神秘的な宇宙を最新鋭のVFXで再現しているところもその目で確認してみてください。

著者
小野瀬 直美
出版日

【おすすめ作品ランキング第9位】堂本剛&堤幸彦が作る新感覚ドラマの誕生!『金田一少年の事件簿』(1995年)

1992年「週刊少年マガジン」に連載され大人気を博した漫画『金田一少年の事件簿』。1995年には、堂本剛主演で同名のテレビドラマが放送され、こちらも大ヒットを記録しました。この演出を担当したのが堤幸彦監督です。

名探偵・金田一耕助の孫である一。普段は気だるい感じの高校生ですが、IQ180という天才的な頭脳の持ち主です。幼馴染・七瀬美雪は彼の才能を認めています。そんな彼らがさまざまな難事件に遭遇し、祖父譲りの推理力で解決していく物語です。本格的なミステリーを題材とした漫画が当時はまだ新しく、みな夢中になりました。

この金田一一役に堂本剛がピタリとはまり、七瀬美雪を演じたともさかりえの可愛さもドラマのみどころに。そこに、これまでバラエティで培ってきた堤監督の新しい演出が相まって、非常に見ごたえのある作品が誕生しました。堤幸彦の名を世に広めたドラマです。

著者
["さとう ふみや", "天樹 征丸", "金成 陽三郎"]
出版日

【おすすめ作品ランキング第10位】浦沢直樹の名作を堤幸彦が挑戦!シリーズ3部作!『20世紀少年』(2008年)

堤幸彦監督がメガホンをとった実写映画『20世紀少年』。原作は浦沢直樹が手掛けた同名漫画です。この実写化に伴い、浦沢自身が脚本にも参加しています。壮大なスケールの原作を映画ではシリーズ3部作に。総製作費60億というビッグプロジェクトとなりました。

コンビニを経営するケンヂのもとに刑事が現れます。彼がいつも酒を配達している敷島家の全員が行方不明になったからです。それを聞き、ビールの空きビンを取りに敷島の家を訪れるケンヂ。そこには、見覚えのある不思議なマークが壁に描かれていたのでした。

50年にも及ぶ壮大な物語に、浦沢ならではの綿密なプロット。並外れた作品であるため、映像化は難しいといわれていたこの作品を浦沢もチームに含めることで実現。堤と浦沢の作り出す、原作とは異なるもうひとつの『20世紀少年』も多くの人たちを熱狂させました。

唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子にオーディションで大抜擢された新人平愛梨など300名ものオールスターキャストが投入されたことも話題に。本作で重要な要素である音楽も、リアルな音で聞けるのが本作の魅力のひとつ。こんな時代だからこそ堪能したい平成の名作です。

原作については<『20世紀少年』が名作たる5つの理由をネタバレ考察!登場人物、伏線以外も>の記事でも解説しています。

著者
浦沢 直樹
出版日

【おすすめ作品ランキング第11位】堤幸彦ワールドの原点!中谷美紀と渡部篤郎コンビの誕生!『ケイゾク』(1999年)

『ケイゾク』は、その後続く「トリック」シリーズ、「SPEC」シリーズの前身ともいえる堤幸彦監督の連続ドラマです。中谷美紀、渡部篤郎のコンビが話題となりました。2000年には劇場版『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』が公開されました。

タイトル「ケイゾク」とは警察内で「迷宮入り事件」のことをいいます。そんな事件を担当するのが捜査一課の二係。この二係に配属される東大卒のキャリア警察官僚・柴田純、元公安の叩き上げ刑事・真山徹コンビが、これまで解決に至らなかった事件を見事に解決に導いていきます。

既存の熱血ドラマとは一線を画し、無機質で暗い雰囲気が非常に斬新で、堤節も大炸裂。その世界観に、柴田純演じる中谷美紀と真山徹演じる渡部篤郎の演技はピタリとハマり、これまで見たことのない特異なドラマが完成しました。

また、過去の刑事ドラマへのリスペクトを感じさせるところも本作の魅力。この後の堤ドラマスタイトルを確立しています。

【おすすめ作品ランキング第12位】堤幸彦代表作!石田衣良の人気シリーズをドラマ化!『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)

石田衣良のデビュー作でもあり人気シリーズ小説『池袋ウエストゲートパーク』。2020年現在、16弾まで発表されています。2000年、この小説を原作とした同名テレビドラマが放送されました。演出を堤幸彦が務めています。当時、無名であった宮藤官九郎が脚本を担当し、圧倒的に若者に支持されたドラマが誕生したのです。

東京・池袋が舞台。西口近くの果物屋の息子・真島誠を中心に、事件に巻き込まれる若者たちを描いていきます。そこでは、潰し合うカラーギャング団や行方不明の少女など、数々の難事件が起きていました。石田の描くリアルな若者たちの姿が多くの共感を呼んだ作品です。

このドラマには、20年経った今も活躍を続ける多くの俳優陣が多く出演しています。主演の長瀬智也をはじめ、窪塚洋介山下智久妻夫木聡、坂口憲二、小雪、佐藤隆太、阿部サダヲなど豪華キャストです。

原作からキャラクター設定が大きく異なり、堤監督特有の小ネタなども随所に織り込まれていますが、原作の持つ若者たちの空気感のようなものは非常によく表現されていました。

著者
石田 衣良
出版日
2001-07-10

【おすすめ作品ランキング第13位】東野圭吾のクライシス・サスペンスに堤幸彦が挑む!『天空の蜂』(2015年)

『天空の蜂』は、ベストセラー作家の東野圭吾が1995年に発表したクライシス・サスペンス小説です。20年の時を経て、その原作をもとにした同名タイトルの実写映画化に堤幸彦監督が挑みました。

「天空の蜂」と名乗る犯人が、航空自衛隊に納入を控えていた超大型ヘリを遠隔操作により奪取に成功。そのヘリには大量の爆発物が積載されていました。しかし犯人も予期せぬ事態に。見学に来ていた子どもが誤ってヘリの中に閉じ込められていたのです。彼らの目的は、日本中の原発の即時使用不可。要求をのまない場合は、高速増殖炉に墜落させるというのですが……。

東野圭吾による初の冒険小説と謳われ話題となった作品。手に汗握る圧倒的な迫力ある物語です。この緊迫の物語を見事に映像化した堤監督のもと、豪華キャストが集結しました。

主演の江口洋介をはじめとする本木雅弘、仲間由紀恵綾野剛がともに熱演。衝撃の結末が待っています。ぜひ原作と映画で楽しんでください。

 

【おすすめ作品ランキング第14位】石原さとみ主演!天童荒太のベストセラーを映画化!『包帯クラブ』(2007年)

『永遠の仔』や『悼む人』で知られる直木賞作家・天童荒太のベストセラー『包帯クラブ』。傷ついた場所の包帯を巻く包帯クラブを通して、少年少女の傷ついた心を癒す物語です。この原作が実写映画化されました。監督は堤幸彦。主演に石原さとみを迎えました。

関東の近郊の町に住む女子高生のワラは、手首を切り入院することに。そんなある日、病院の屋上で不思議な少年・ディノと出会います。彼は屋上のフェンスに包帯を巻きました。それを見たワラはなんだか心が軽くなるようでした。傷ついた場所に包帯を巻くと手当てされたような気分に。ここから「包帯クラブ」が始まるのでした。

他人の傷に寄り添ううちに、自分の傷とも向き合っていく少年少女たち。生きにくい現代に、大人たちにメッセージを投げながら懸命に生きる姿に感動を覚える物語です。

石原さとみのほか柳楽優弥、田中圭、貫地谷しほりなど現在もなお活躍中の人気俳優の若かりし頃の熱演も魅力的。ワラの母親を演じた原田美枝子がしっかりと脇を固めています。小説、映画ともに多くの人に触れてほしい名作です。

著者
天童 荒太
出版日
2013-06-10

【おすすめ作品ランキング第15位】堤幸雄が描く広末涼子と松田龍平のピュアラブストーリー!『恋愛寫眞』(2003年)

『恋愛寫眞』は、東京とニューヨークを舞台にしたカメラマンの青年のラブストーリー。本作とコラボレーション企画として、『いま、会いにゆきます』の市川拓司によって、小説『恋愛寫眞 もうひとつの物語』が執筆されました。

主人公の名前や写真を撮ること、舞台などの設定は共通しているものの、映画版とは全く別の物語となっています。この映画版を監督したのが堤幸彦監督。主演には松田龍平、共演に広末涼子、小池栄子など実力派がそろいました。

誠人のもとにかつての恋人・里中静流からエアメールが届きます。しかし、友人に確認すると、静流は1年前にニューヨークで殺されたというのです。同じくして写真が同封された手紙も届くことに。彼女のことが気になる誠人は、1人ニューヨークへ旅立ちます。写真を頼りに、彼女の足跡を追う誠人が辿り着いた真実とは。

美しい風景と松田龍平と広末涼子の瑞々しい演技が光っています。堤監督の幅広い作風に驚かされる作品です。

【おすすめ作品ランキング第16位】冲方丁初の長編ミステリー!堤幸彦が斬り込む!『十二人の死にたい子どもたち』(2019年)

『マルドゥック・スクランブル』や『天地明察』で知られる冲方丁のデビュー20年目にして初の長編ミステリーが『十二人の死にたい子どもたち』。そのタイトル通り、集団で安楽死をするため集まった十二人の少年少女たちの物語です。このセンセーショナルな原作の実写映画化に挑んだのは堤幸彦監督。

廃病院に集まる十二人の子どもたち。彼らはみな初対面同士で、その目的は集団で安楽死をすることでした。しかし、その場に用意されたベッドには、すでに少年が横たわってたのです。このまま実行するべきか否か。予測不能な議論が始まるのでした。

密室だからこそ、より深く描かれていくそれぞれの子どもたちの抱える事情や死にたい理由。自分とは異なる他人との会話により見えてくる自分以外の世界。それらが繊細に紡ぎだされていく冲方渾身の力作です。

映画版では俊才・堤幸彦が彼らの内面をえぐり出していきます。そんな難しい役を演じるのは若手実力派の杉咲花新田真剣佑北村匠海高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈。オーディションで選ばれたネクストブレイク俳優たち。彼らの演技もみどころです。

原作については<小説『十二人の死にたい子どもたち』あらすじ、結末などをネタバレ!映画化!>の記事でも紹介しています。

著者
冲方 丁
出版日
2018-10-06

【おすすめ作品ランキング第17位】堤幸彦が描く究極の幸せのかたちとは『MY HOUSE』(2012年)

建築家の坂口恭平が、ホームレスと呼ばれる河川敷などに住居を構える「都市の達人」鈴木さんを取材した著書『TOKYO 0 円ハウス 0 円生活』。その鈴木さんをモデルに描かれた小説『隅田川のエジソン』。

これらを原作に、これまで多くの娯楽大作を手掛けてきた堤幸彦監督が、『MY HOUSE』というタイトルで映画化に臨みました。デビュー当時から、社会への問題意識を常に持ってきたという堤監督念願の映画です。

アルミ缶拾いで換金し不用品を集めて使う鈴木さんは、理想の家を持ち楽しく暮らしています。対照的に、潔癖症の主婦トモコとその息子でエリート中学生ショータは、1戸建てに住み裕福にも関わらず、ストレスを抱えての生活です。そんな彼らが、あることがきっかけで関わることになる物語。

なかなか知る機会のない鈴木さんのように生活する人たちを楽しそうに取材をする坂口の著書は非常に興味深く描かれています。それを映画化するとは、堤監督の力量を感じます。

映画では、意図的に音楽や色彩を入れないという演出が効果的。幸せとは何か。原作と映画を両方堪能することで、自分なりの答えを見つけてください。

著者
坂口 恭平
出版日
著者
坂口 恭平
出版日

【おすすめ作品ランキング第18位】Kinki Kids主演!注目の若手俳優陣を堤幸彦が演出!『ぼくらの勇気 未満都市』(1997年)

1997年に放送された連続ドラマ『ぼくらの勇気 未満都市』は、Kinki Kidsの堂本剛と堂本光一を主演に迎え、堤幸彦が演出を手掛けました。

千葉県幕原市で大地震が起こったとニュースが流れます。しかし、地震というのは政府による情報操作で、実際は微生物「T幕原型」に汚染されていたのです。友人を探すため、その町に向かった高校生のヤマトは、ボランティアへと向かうタケルという少年と出会うことに。閉鎖された幕原市へなんとか忍びこむ2人でした。

バイオハザードの発生に大人の全滅。若さという勇気を持った子どもたちが立ち上がり、この地に新たな「未満都市」を作るという物語に当時みな夢中になりました。また、堤監督のMVのようなセンスある演出が受け、後の堤流ドラマへと繋がっていきます。

相葉雅紀や松本潤、元ジャニーズJr.の小原裕貴、矢田亜希子などの出演者も人気を博しました。このシリーズの最後に「20年後、この地で会おう」と言って別れた彼らが、20年後の2017年、本当にスペシャルドラマとして帰ってきたことも話題となりました。

【おすすめ作品ランキング第19位】日本中が涙した片山恭一のラブストーリー!堤幸彦がドラマ化!『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)

『世界の中心で、愛をさけぶ』は、片山恭一が描くラブストーリー。刊行されてから徐々に話題となり、空前の大ベストセラーとなりました。通称「セカチュー」。

その人気はとどまることを知らず、実写映画化、テレビドラマ化、舞台化といずれも大ヒットを記録しています。そのテレビドラマの演出を堤幸彦が担当。山田孝之綾瀬はるかのフレッシュコンビが主演を務めました。 

中学からの同級生で高校2年生の朔太郎とアキは恋人同士。そんな折、アキは白血病に倒れ亡くなってしまいます。物語はそこから始まります。ふたりの出会いから、思い出の旅行、病気の発症そして別れまで。愛する人を亡くす悲しみに暮れる朔太郎でした。

前を向いて歩きだすまでに長い年月がかかりましたが、そんな彼に誰もが涙した珠玉のラブストーリーです。この原作が映画やドラマ化された効果で、日本骨髄バンク新規ドナー登録者数が増加したとのこと。それだけ、多くの人に感動を与えた作品です。

著者
片山 恭一
出版日

【おすすめ作品ランキング第20位】東日本大震災後の気仙沼を描くドキュメンタリードラマ!『Kesennuma,Voices.東日本大震災復興特別企画〜堤幸彦の記録〜』(2012年)

『Kesennuma,Voices.東日本大震災復興特別企画〜堤幸彦の記録〜』は、堤幸彦監督が自ら立ち上げた企画。3.11東日本大震災から1年後の被災地・気仙沼を舞台としたドキュメンタリードラマです。出演は、アナウンサー・生島ヒロシの息子である生島勇輝と生島翔。彼らの叔母夫婦も津波に流された被災家族です。

これまで、数々の作品をこの気仙沼で撮影してきた堤監督。そして、被災地となったこの地で新たな作品を生み出しています。

気仙沼にボランティア活動に向かう生島勇輝と生島翔。東京在中の2人は被災者家族とはいえ、どう向き合うか悩んでいました。なかなか進まない活動。復興が困難な状況の中で現地の人と触れ合ううちに、彼らにも少しずつ変化が訪れるのでした。

ドラマとは謳っていますが、ここに出演している人たちの言葉はリアルなもの。私たちは彼らの言葉をどう受け止め、何ができるのか問われています。

このドラマはシリーズ化され、1年に1本ずつ放送されてきました。現在では、『Kesennuma,Voices.7東日本大震災復興特別企画〜2017堤幸彦の記録〜』まで放送されています。

【おすすめ作品ランキング第21位】二宮和也主演!堤幸彦が描くピュアな若者たち!『stand up!!!』(2003年)

2003年に放送されたテレビドラマ『stand up!!!』は完全オリジナル作品です。堤幸彦監督が演出を務めました。主演は嵐の二宮和也。共演には、山下智久、鈴木杏、成宮寛貴、小栗旬と豪華メンバーが集結しました。純情あり、人情ありのドタバタラブコメディです。

東京の戸越銀座が舞台。そこに住む正平と親友の健吾、隼人、功司の4人は戸越高校の2年生。思春期の高校生らしく頭の中は童貞を卒業することばかり。そんなある日、11年前に引っ越したマドンナ・千絵が戸越銀座に帰ってきます。ところが、昔とはすっかり違う見た目になっていました。

堤監督独特のコメディ色も強い中、登場人物たちのピュアさや大人たちが子どもたちに掛ける言葉など思わず涙する物語です。加えて、二宮和也の演技力に思わず脱帽してしまう作品。現在活躍中の若手たちの瑞々しい姿もみどころのひとつです。

【おすすめ作品ランキング第22位】直木賞受賞作に堤幸彦が挑む!高良健吾主演で送る愛の物語!『悼む人』(2015年)

2007年、小説『包帯クラブ』を実写映像化した堤幸彦監督が、同作者・天童荒太の直木賞受賞作『悼む人』を同名タイトルで実写映画化に臨みました。

世界で多発する不条理な事件や災害。そこで亡くなる多くの人々。そんな人たちのために、作者自身が実際に各地をまわり、亡くなった人たちを悼んで歩いたことをまとめた日記を『悼む人』として刊行しました。物語の主人公・坂築静人もまた、亡くなった人を悼むとともに、その死に関わった人たちとのドラマを繰り広げていきます。「悼む」とは、亡くなった人たちの愛に関わる記憶を刻みつけることです。

この物語に感銘を受けて、まず舞台化を敢行した堤監督は、満を持して映画化に取り掛かりました。主演は高良健吾、そのほか石田ゆり子、井浦新、貫地谷しほり、椎名桔平、大竹しのぶとベテラン陣が脇を固めました。

「死」を思えば必ず「生」も存在し、その「生」を考えた時「愛」も存在する。そんな普遍的なことを気付かせてくれる作品です。作者の天童が見てきた光景と堤監督が写す映像のどちらもこの作品にはなくてはならないのかもしれません。

著者
天童 荒太
出版日
2011-05-10

【おすすめ作品ランキング第23位】堤幸彦演出ここにあり!はちゃめちゃアクションムービー!『溺れる魚』(2001年)

戸梶圭太原作の『溺れる魚』を同原作者の『ご近所探偵TOMOE』のテレビドラマも手掛けた堤幸彦監督が、同名で実写映画化しました。

刑事であるにも関わらず、万引きで捕まった秋吉と横領が発覚した白洲。謹慎中の2人の不良刑事は、罪をもみ消してもらう代わりに、公安刑事の内偵を命じられるのでした。大手DPEチェーンが受けた「溺れる魚」という犯人からの奇妙な脅迫。これらの事件が結びついた先に待ち受けていたものとは

戸梶の軽快で過激なストーリーと畳みかけるような展開。最後に仕掛けられたどんでん返しは非常に痛快です。

映画も通常の堤節よろしく悪ふざけあり、アクションありのはちゃめちゃストーリー。ここ数年のシリアスな堤の作品を知る人には意外な作品かもしれません。

主演には椎名桔平、そのほか窪塚洋介仲間由紀恵、IZAM、渡辺謙と豪華キャストがそろいました。エンディングに流れる鬼束ちひろの主題歌が印象的です。

著者
戸梶 圭太
出版日

【おすすめ作品ランキング第24位】堤幸彦原作!向井理主演で難事件に挑む!『神の舌を持つ男』(2016年)

『神の舌を持つ男』は、2016年に放送されたオリジナルテレビドラマです。演出を堤幸彦監督が務めています。同年に実写映画も公開されました。主演には向井理を迎えています。

舌にのせたものを何でも分析できてしまう「神の舌」を持つ朝永蘭丸。彼は謎の温泉芸者「ミヤビ」を探していました。ひょんなことから知り合った古物骨董屋・甕棺墓光(かめかんぼひかる)と宮沢寛治の3人で、日本各地の温泉地を巡ることに。行く先々で遭遇する事件を蘭丸の舌で解決していく物語です。

ダサくて世間知らずの蘭丸を演じる向井理ほか、光を演じる木村文乃と宮沢を演じる佐藤二郎が加わり、面白おかしく物語が進行していきます。温泉宿に2時間ドラマ常連の女優陣の出演など、2時間サスペンスドラマへのリスペクトもたっぷり。堤ワールド全開の新しい作品が誕生しました。

【おすすめ作品ランキング第25位】ロック好き堤幸彦渾身の映画化!水嶋ヒロと佐藤健がロックにかける青春を熱演!『BECK』(2010年)

『BECK』は、ハロルド作石による人気コミックです。音楽に目覚めていく少年たちを描いています。1999年から「月刊少年マガジン」に連載され、2002年に講談社漫画賞少年部門受賞。テレビアニメ化された後、2010年同名タイトルで堤幸彦監督が実写映画化しました。

平凡な生活を送っていた中学生・コユキこと田中幸雄。ある日、彼は1人の天才ギタリストの竜介と出会います。彼にギターを教わると、そのまま音楽の世界にのめり込んでいくコユキでした。そんな彼らが「BECK」というバンドを組み、音楽にひたむきに向き合う姿を描いていきます。漫画であるにも関わらず、音が聞こえると話題となり大人気コミックへ。

映画版のキャストには水嶋ヒロ佐藤健、桐谷健太、向井理などを起用。ヒロインを忽那汐里が務め、若手注目株が集まりました。堤監督自身もともとロック音楽が好きだったということもあり、本作には並々ならぬ思い入れがあったようです。堤ワールドで築き上げた新たなBECKは、原作と同じ熱を持った音楽青春ストーリーです。

原作が気になる方は、<(漫画『BECK』6の魅力!あらすじ、最終回、名言をネタバレ紹介!【無料】>の記事もおすすめです。

著者
ハロルド 作石
出版日
2013-12-12

【おすすめ作品ランキング第26位】堤幸彦初の時代劇!京極夏彦の妖怪もの人気シリーズ!『巷説百物語 狐者異』(2005年)

妖怪研究家としても知られる京極夏彦の小説『巷説百物語』。江戸を舞台に、闇に潜む人の奥底に潜む妖を斬る悪党一味を描いた物語です。同シリーズの『続巷説百物語』に収録されている話を原作に、2005年に『巷説百物語 狐者異』、2006年に『巷説百物語 飛縁魔』がテレビドラマとして放送されました。監督を務めたのは、堤幸彦。自身初の時代劇です。

小説は、戯作者志望の山岡百介が狂言回しを務めていきます。小股潜りの又市を中心に、表だって解決できない事件を請け負う闇の一味。そうして、それぞれの恨みを晴らしていく彼らを描いていきます。人の持つ闇の部分を妖怪の仕業に見立て解決して様がよくできています。

テレビドラマでは、小股潜りの又市を渡部篤郎が演じ、その仲間の山猫廻しのおぎんを小池栄子、彼らに知恵を貸す山岡百介を吹越満、事触れの治平を大杉漣という味わいのあるベテラン俳優陣がそろいました。

さまざまな仕掛けを凝らした京極の真骨頂と言える時代ミステリーを時代劇初挑戦の堤幸彦がスタイリッシュに演出。『巷説百物語 狐者異』には、作者の京極がカメオ出演しています。

著者
京極 夏彦
出版日

【おすすめ作品ランキング第27位】松坂桃李と堤幸彦が描く愛の探し物!『視覚探偵 日暮旅人』(2017年)

『視覚探偵 日暮旅人』は、山口幸三郎原作の「探偵・日暮旅人」シリーズのテレビドラマ化です。2015年にスペシャルドラマが放送された後、2017年から連続ドラマとしたスタートしました。演出を務めたのはいずれも堤幸彦です。

ある事件がきっかけで視覚以外の感覚を失ってしまった日暮旅人。目に見えないモノが視える彼は探し物専門の探偵業を営んでいました。血の繋がりはありませんが、幼稚園に通う娘の灯衣と2人暮らし。そんな彼には悲しい過去があったのです。

音、匂い、味、感触、温度、重さ、痛み。これらがなくとも「視る」ことで出会う人たちの大事なものを取り戻すことのできる旅人。そんな彼が「愛」を見つけるまでの物語です。

旅人を演じたのは松坂桃李。そのほか灯衣の通う幼稚園の保育士・山川陽子に多部未華子、旅人を慕う雪路雅彦に濱田岳など個性的なメンバーが集まりました。

堤監督お得意の映像で魅せる演出で、旅人だけに視える世界を映像化。映像の魔術師が旅人の探す愛を見つけ出します。

著者
山口 幸三郎
出版日
2010-09-25

【おすすめ作品ランキング第28位】1番泣ける4コマ漫画に堤幸彦が挑んだ!『自虐の歌』(2007年)

業田良家原作の4コマ漫画『自虐の詩』は、「泣ける4コマ」として話題となった作品です。

ギャグ漫画としての体(てい)をなしつつ、後半に向けて徐々にドラマチックな展開になっていくそのさまが絶賛されました。最初に連載されたのは1985年。それから20年以上の時を経て、堤幸彦監督により同名で実写映画化されました。幸薄いヒロイン幸江を中谷美紀が演じ、乱暴な夫イサオを阿部寛が演じています。

大酒飲みで無職の夫イサオと彼にひたすら尽くすユキエ。ユキエの働くわずかばかりのお金で暮らしていました。気に入らないことがあるとすぐにちゃぶ台をひっくり返すイサオ。それでもユキエは幸せな毎日を送っていたのです。なぜなら、彼女には壮絶な過去があったからでした。

4コマ漫画でここまで感動することはなかったという感想が多く寄せられた作品。人の幸せとは何か、考えずにはいられない物語です。映画版でも原作の同様、感動が待っています。主演の2人の演技が素晴らしい作品です。

著者
業田 良家
出版日

【おすすめ作品ランキング第29位】堤幸彦が魅せる!吉永小百合と竹中直人が演じる夫婦愛!『まぼろしの邪馬台国』(2008年)

盲目の「邪馬台国」研究者・宮崎康平が1967年に『まぼろしの邪馬台国』という書籍を刊行すると、邪馬台国ブームが巻き起こりました。病のため失明しても、宮崎は妻とともに手探りで「邪馬台国はどこか」というテーマに取り組み、現地調査を進めていったのです。その30年間に辛苦の結果、宮崎が出した結論をまとめたものでした。それは、研究書の枠を超えた人間ドラマそのものです。

これをもとに、2008年、この本と同名タイトルで実写映画化。監督を務めたのは、堤幸彦監督でした。原作から大きく脚色され、宮崎康平とその妻・和子がともに歩んだ日々を描いています。

島原鉄道の元役員であった宮崎。素人離れした郷土史研究家、文学家などさまざまな顔を持っていました。和子は、福岡の放送局で宮崎と出会い彼の手伝いをしていくことになるのでした。そんな夫婦を竹中直人と吉永小百合が好演。この2人が演じる夫婦愛がみどころです。セリーヌ・ディオンの主題歌が作品を大いに盛り上げています。

著者
宮崎 康平
出版日

【おすすめ作品ランキング第30位】大島優子連ドラ初主演!堤幸彦の新しい刑事ドラマ!『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』(2015年)

『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』は、連続ドラマ初主演となる大島優子を迎えたオリジナル作品です。脚本は、『相棒』シリーズなど刑事ものを多く手掛ける櫻井武晴が担当しました。これまでの櫻井作品とはまたひと味違ったドラマに。堤幸彦監督が演出を務めています。

警察内にある警視庁組織犯罪対策部。その内部にさらに存在する「暴力団離脱者電話相談室」通称「足抜けコール」に所属する警察官の永光麦秋が主人公。暴力団対策法により作られた部署です。

具体的な仕事は、暴力団の構成員から要請があった場合、その「足抜け」のための手助けし就職先まで斡旋するというもの。麦秋は武術の達人でもあり、どんな相手であろうとも叩きのめすという強者です。そんな麦秋には過去に悲しい出来事が。過去を受け入れ、再生していく彼女とその周囲の人々の物語です。

彼女の相棒・三ヶ島翔を北村一輝が演じるなど、大島とのバディ感がみどころ。またスタントマンを使わず、自らアクションシーンを演じる大島は、これまでの役柄とは大きくことなり、クールで冷徹な女刑事を演じています。

【監督作品一覧】堤幸彦はドラマも映画もおすすめ作品ばかり


まとめ

堤幸彦監督はデビューから長きにわたり、数多くの作品を作り続けてきました。オリジナルから原作ありの作品に至るまで常に全力で向き合ってきたことが窺えます。さまざまな原作を堤マジックで最高の作品に仕上げる職人技は今なお現在。どんな風に仕上げているのか、ぜひ原作と映像作品を見比べてみてください。堤幸彦の本気がわかるはずです。

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